マーブルポップコーンep ~クリスマス~
※マーブル・ポップコーン 他のエピソードが
ありますが、基本的に一話完結なのでこの
エピソードから読んでも特に問題ありませ
ん。
登場人物
一条 はるか(26)『いちじょう はるか』
女。女優を目指している。
ニック、(二宮 九太郎(36))『にのみ
や くたろう』男。夢は小説家。フリー
ター。
シュミレット、(三木 秀人(35))『み
き しゅうと』男。普通のサラリーマン。
ウェス、(五十嵐 西貴(33))『いがら
し さいき』男。ダンスレッスンの先生。
シシ、(四葉 詩詞(26))『よつば し
し』女。はるかの親友。密かに歌手を目
指している。
店員 女(20代)
サンタ?(影だけ?)
マーブルポップコーンep ~クリスマス~
〇シェアハウス リビング 昼
みんな(シュミレット以外)、リビング
でクリスマス企画の中継のテレビを観
ている。
〇テレビの番組
アナウンサー「さぁ、今年もやってきました。
今日はクリスマスです。みなさん、今年の
クリスマスはどうお過ごす予定ですか?」
〇シェアハウス リビング 昼
ニック「どう過ごす?(隣に座っているウェ
スに)」
ウェス「今の所朝からテレビを観て過ごして
る」
ニック「観終わったら?」
ウェス「特に何もない」
ニック「悲しいね~」
ウェス「ニックは予定あるのか?」
ニック、ウェス、お互いに顔を見合う。
ちょっとだけ止まって、またニックと
ウェスはテレビの方を観る。
ニック「……悲しいね~」
シシ「はるかは? 今夜なんか予定あるの?」
はるか「特にないよ」
シシ「じゃあ、今夜はシングル同士、鍋パー
ティーでもしますか」
ウェス「なぜ鍋パーティー?」
シシ「私がチキン嫌いだからよ。脂身がダメ
なの」
ウェス「ピザは?」
シシ「ダイエット中」
ニック「独裁的なパーティーだな」
シシ「うるさい。30超えてクリスマスの予
定も彼女もいないクソ男ども」
ニック「おぉい! 痛いところ的確につくな
よ!?」
ウェス「そうだ! ニックなんて30超えて
職もないんだぞ! 一緒にするな!」
ニック「俺は小説が売れてないだけだ! 無
職じゃねぇよ!」
ウェス「次の作品を書かない作家は無職と変
わらん」
ニック「ひでぇ! お前は今アーティスト全
てを敵に回したな!」
ウェス「アーティストじゃねぇ。お前をディ
スっただけだ」
ニック「言いたい事言いやがって。クリスマ
スに泣かそうとしてるのか? 感動させて
泣かせろよ! このままだと悲しみに包ま
れたブラッククリスマスになっちまうぜ!
可哀想にな俺ぇ!」
はるか「はいはい、もういいでしょ? シシ
も言い過ぎよ。本当の事言われたら人は傷
つくんだから」
ウェス「なにげにはるかも酷くね?」
シュミレット登場。
シュミレット「イェーイ! ハッピークリス
トマス!」
シシ「朝からテンション高いな……」
シュミレット「ほら、見ろよみんな」
シュミレット、メガネを着用している
(普段はかけていない)。メガネを着け
た自分をアピールしている。
ニック「何?」
シュミレット「何って、コレだよ」
ウェス「え、元から二重じゃなかったっけ?」
シュミレット「違うだろ! メガネだメガネェ!」
はるか「あれ? かけてなかったっけ?」
シシ「かけてたわ」
シュミレット「お前ら、一体俺の何を見てき
たんだ? お前ら、本当に俺の知ってるルー
ムメイトか?」
シシ「冗談よ。まぁまぁ似合うじゃない」
シュミレット「あっはっは! 冗談かよ!
だろ? けっこうインテリ系でもいけるだ
ろ?」
はるか「本当だ。カッコいいじゃない」
シュミレット「だろろ?」
はるか「(シシにヒソヒソ話)本当にかけてな
かった?」
シシ「え!? あれ、マジだったの?」
シュミレット「今夜は知り合ったグループで
クリスマスパーティーをするんだ。女の子
もいっぱいくるんだぜ? 夢のようなパー
ティーになるかもしれねぇ!」
はるか「その為にメガネを掛けたの?」
シュミレット「インテリ系狙いの女をターゲ
ットにな」
ニック「はいはい、いいですね~。大人のパー
ティーに行けて」
シュミレット「うん? お前は何も予定が無
いのか?」
ニック「俺は……」
シュミレット「いや! 言わなくていい!
どうせ無いのは分かってる!」
ニック「手間が省けたよ!」
シュミレット「サンタに頼むといい。来年は
クリスマスを過ごす恋人がいますようにっ
てな」
ニック「お前もいねぇからな?」
シュミレット「俺様は特別な相手が居ないだ
けだ。女とは過ごす」
シシ「最低」
シュミレット「男の本性ってのはこんなもん
さ」
ニック「一緒にするな」
ウェス「大人が願い事を頼んだらサンタが忙
しくなるだろ? 子供の為に頑張ってるん
だから変な事サンタに頼むなよニック」
ニック「お前も俺をおちょくるのか?」
ウェス「いや、俺は真面目に言ってるんだが?」
シュミレット「おいおい、まさか本当にサン
タが……」
シュミレット、何かに気づき途中で言
葉をやめる。
ウェス「サンタが、なんだよ? サンタは世
界中の子供に希望とプレゼントを渡す素晴
らしい存在なんだぜ……」
ウェス、うっとりした表情で宙を見つ
めている。
シュミレット「こいつ、嘘だろ……」
ウェス「何だよ?」
シュミレット「いや、何でもねぇ……」
ウェス「?」
× × ×
ウェス、テレビを観ながら笑っている。
一同、ウェスに気づかれないように会
話している(ヒソヒソ声で)。
はるか「え? ウェスがサンタを信じてる!?」
シュミレット「間違いねぇよ。あの純粋な瞳
をした表情。自分の将来の夢を信じる少女
のようだった」
ニック「夢見る少女ならともかく、30を超
えたおっさんが信じてたら気味が悪いな」
シシ「確かに、あの言い方は信じてる可能性
が高いわね」
はるか「……そうだ、今日はウェスに、サン
タさんに会わせてあげようよ!」
一同「えぇ?」
〇店 昼
ニック、店を見渡している。店員に話
しかける。
ニック「すいません、サンタにコスプレ出来
る衣装ってありますか? 出来るだけ安い
ので」
店員「ありますよ。こちらです」
店員、サンタの衣装を売っている所へ
ニックを連れていく。
店員「これです」
ニック「センキュー。助かるよ」
店員「お子様にサプライズですか?」
ニック「いんや、30を超えたおっさんに」
店員「……まさかの、おっさんずラブ」
ニック「うん? 何か言った?」
店員「いえ! それでは……」
〇シェアハウス リビング 昼
ウェス、シシ、リビングでくつろいで
いる。
シシ、ウェスをしきりに見ている。
〇同 ウェスの部屋
はるか、シュミレット、ウェスの部屋
をあさっている。
シュミレット「ねぇな。手紙」
はるか「ベッドの下探した?」
シュミレット「いや、まだだと思う」
はるか、ベッドの下を探し出す。
〇同 リビング
ウェス、まだテレビを観て笑っている。
ウェス「ははは!」
シシ(はるか、シュミレット、まだなの?
そろそろウェスも怪しむ時間よ……そう、
あの手紙を早く見つけて!)
× × ×
〇(回想)リビング
ウェス「そういえば、昔サンタに願い事を書
いたんだ。今もその手紙を何故か知らない
けど持ってるんだ。その時は叶わなかった
けど、いつかまた叶えてくれるんじゃねぇ
かって思ってよぅ。破り捨てようと思った
けど、希望を捨てないで粘ろうと思ったん
だよなぁ……もう大人になっちまったけど」
× × ×
(戻って来る)
シシ(欲しいモノを書いた手紙を早く見つけ
て!)
ウェス「あれ? シュミレット、トイレ長す
ぎねぇ? はるかどこ行ったんだ?」
シシ「あぁ! 観て観て、あのアナウンサー
絶対にカツラだよ! 今少しズレたもん!」
ウェス「嘘! マジで!」
〇同 ウェスの部屋
はるか、シュミレット、まだベッドの
下を探している。
はるか「あ、これ何だろ?」
シュミレット「あった?」
はるか、何かを引き寄せる。
出て来たのはエロDVDの箱。熟女、マ
ダム系統のもの。
はるか「……」
シュミレット「あいつ、高校生みたいな隠し
方だな」
はるか「もう一個あった!」
はるか、もう一度ベッドの下から何か
を引き寄せてくる。
はるか、四角い缶を発見。
シュミレット「おう、いかにもだな」
はるか、缶を開ける。
はるか「これは……」
出て来た物はエロDVD。熟女、マダム
系統。
シュミレット「てんどん(お笑い用語)かよ!」
はるか「待って、下にもあるわ!」
シュミレット「え? ホントに!」
はるか、エロDVDの下にあった手紙を
発見。
はるか、シュミレット、お互いの顔を
見て笑う。
〇街 道路
ニック、サンタの衣装を買って家に帰
っている。そこにニックに電話がかか
ってくる。
携帯を取る。
ニック「はい、もしもし?」
はるかの声「ニック、ウェスの子供の頃に欲
しかったモノが分かったわ! ポトモンの
金銀よ!」
ニック「ポッとでモンスター金銀!? んな
もん、どこに売ってるんだよ? 90年代
のゲームだぜ?」
はるかの声「リサイクルショップとかで売っ
てないの? グオとか」
ニック「グオか……分かったよ。とりあえず
見てくる。ついでにDVDも借りてくるから
よ」
はるかの声「ウェス、夜からバイトっぽいか
ら早めにお願いね!」
ニック「お、おう……」
〇シェアハウス リビング
はるか、シュミレット、リビングに登
場。
ウェス「お腹壊してるのか?(シュミレット
に)」
シュミレット「あ、ああ、めっちゃ壊してる。
昨日の晩飯がまずかったのかなぁ?」
シシ「昨日は私が作ったんですけど?」
シュミレット「いやいや! そういう意味じ
ゃないから! 体質に合わなかった、みた
いな?」
ウェス「ご飯とみそ汁に焼き魚で合わなかっ
たら、お前何人だよ?」
シュミレット「もしかしてイタリア系の生ま
れ変わりなのかもしれねぇな」
はるか「なんでイタリア系なの?」
シュミレット「……もうこれ以上聞かないで
くれ。恥ずかしくなってきた」
ニック、帰ってくる。
ニック「たっだいま~!」
はるか、玄関に向かう。
〇同 玄関
はるか「どう? あった?」
ニック「さすがに古すぎるゲームだったぜ……」
はるか「そっかぁ……」
ニック「なんてな!」
ニック、ゲームのポトモンを出す。
はるか「売ってたの!?」
ニック「あぁ、運が良いだろ?」
はるか「じゃあ、早く着替えないとね!」
ニック「そうだな。って、あれ? もしかし
て、サンタ役も俺がすんの?」
はるか「体系的に一番ニックがサンタっぽい
しね」
ニック「マジかよ……」
〇同 リビング
はるか、ニック、リビングに登場。
シシ「鍋の具材買えた?」
ニック「買えた。肉はなんでもよかったのか?」
シシ「まぁ、牛とか豚ならいいよ。猪とか買
ってきたらビックリしてたけど」
ウェス、まだテレビを観ている。
ウェスに聞こえないようにみんな会話。
シシ「信じられないくらいテレビを観てるわ。
今の内に着替えてきたら?(ニックに)」
ニック「え? 夜じゃねぇのか?」
はるか「今の方がチャンスよ!」
ニック「けど心の準備も何の準備もないぜ?」
はるか「大丈夫、ニックのサンタならイケる
よ!」
ニック「俺、そんなサンタっぽいの?」
シシ「ほら、早く!」
ニック、自分の部屋へ着替えに行く。
× × ×
(少し経って)
ウェス、ソファに座りまだテレビを観
ている。
シュミレット、ウェスの隣で座ってい
る。
テレビからクリスマスの曲が流れてく
る。
ウェス「クリスマスって言ったらこの曲だよ
だよな。クリスマス映画も観たくなってき
ちまった。バイトまでに『ホームアローン』
でも観ようかな?」
シュミレット「クリスマス映画って言えば『
グレムリン』だろ?」
ウェス「たまたまクリスマスの日に妙な生き
物が出る映画のどこがクリスマス映画なん
だ?」
シュミレット「たまたまクリスマスの日に一
人になった少年の家にサンタじゃなくて強
盗が来る話だろ。それもどこがクリスマス
映画なんだ?」
ウェス「……」
シュミレット「……」
ウェス「とにかく、俺はホームアローンを観
るぞ」
シュミレット「あぁ、パソコンで観てろよ。
俺はこのテレビで『グレムリン』を観るか
らよ」
ウェス「いや、俺がこのテレビで観る」
シュミレット「いやいや、俺が観る」
ウェス、シュミレット、リモコンの奪
い合いをする。
サンタ(ニック)「これこれ! クリスマス
にケンカはやめるんじゃ!」
ウェス「え……?」
シュミレット「え?」
サンタ(ニック)登場。
サンタの格好をしているのだけど、下
半身だけ赤のボクサーパンツ。
二人ともびっくりしてシュミレット、
持っていたリモコンを落とす。
暗転。
× × ×
T(少し前……)
〇シェアハウス ニックの部屋の前
はるか、シシ、部屋の前でニックの着
替えを待っている。
ドアが開いてサンタに着替えたニック
が出てくる。
はるか「あぁ! サンタさんだぁ……」
シシ「髭も付いてるんだ、ね……」
はるか、シシ、よくサンタ(ニック)
を見ると下半身だけ赤のボクサーパン
ツ。
はるか「あれ? サンタさんって、こんなん
だっけ? 下の布少なくない?」
シシ「まるでサンタの格好をした変態ね」
ニック「仕方ねぇだろ! まさか不足品でズ
ボンが付いてなかったんだ!」
シシ「だからって赤色とはいえパンツはない
でしょ!?」
はるか「赤色のズボンないの?」
ニック「持ってない。逆に持ってない?」
はるか「あるけど、スカートだわ」
シシ「私は水着ががそうだわ」
ニック「借りるわけにはいかないな。ある意
味、変態感が増す危険性がある」
シシ「それより、それじゃあマズいから下だ
けジーパンとかスウェットとかまともなズ
ボン履いたら?」
はるか「けど、サンタっていえば赤一色でし
ょ?」
シシ「え? このまま行かせるの!? どこ
にこだわってるのよ?」
ニック「白も少しあるけど?」
はるか「サンタは上も下も赤よ。赤に決まっ
てるわ」
シシ「いや、このままじゃあさすがにおかし
いんじゃないかな?」
ニック「えっと……俺はどうしたらいいんだ?」
はるか「そのまま行くしかないわ」
シシ「さすがにそれわ……」
ニック「……」
はるか「……じゃんけんよ。いい? シシ?」
シシ「仕方ないわね……じゃん、けん!」
はるか、シシ、お互いじゃんけんで手
を出そうとした所でシーン切り替え。
× × ×
〇同 リビング
ウェス、シュミレット、サンタを見て
驚いて口が塞がらない。
サンタ(ニック)「ハッピークリスマス!」
ウェス「……」
シュミレット「……」
サンタ(ニック)「……ハッピークリスマス!」
ウェス「……」
シュミレット「……」
サンタ(ニック)「いい加減返事しろぉ!」
シュミレット「あぁ、すまん。あまりにも、
その……思ってたのと違ってたから。そん
なベリーショートの履いてたっけ?」
ウェス「……サ、サンタだ……サンタだぁ!」
ウェス、鼻血を出して倒れる。
シュミレット「あぁん……、思ってたのと違
った反応ばっか起きるな」
× × ×
ウェス、鼻にティッシュを詰めながら
ソファで横になっている。そのまま会
話。
ウェス「まさかホントにあなたが来てくれる
なんて思いもしませんでした」
サンタ(ニック)「私も、まさかこんな状況
になるなんて思いもしなかったよ。ホーホー
ホー!」
はるか「(ニックにヒソヒソ声)何その笑い
方?」
サンタ(ニック)「(ヒソヒソ声)海外では
これが通常運転だ」
はるか「(ヒソヒソ声)日本じゃ飲酒運転か
もよ」
サンタ(ニック)「(ヒソヒソ声)なら……
捕まっちゃうね」
シュミレット、シシ、ヒソヒソ話。
シュミレット「信じてるな?」
シシ「えぇ、疑いもしてないわ」
ウェス「長旅で疲れてるんじゃないですか?
えっと、どこから来たんですか?」
サンタ(ニック)「えぇ? えっと~……」
ニック、みんなの方を見る。
みんな、何か適当に言えっていうジェ
スチャー。ウェスに見えないように。
サンタ(ニック)「北海道だよ」
みんな、オーマイガー! というジェ
スチャー。
ウェス「北海道!? てっきりフィンランド
とか雪国だと思ってました」
サンタ(ニック)「僕はサンタの代わりの派
遣だからね。さすがにサンタも世界中の子
供に一晩で渡せないからね。日本支部の所
属なんだ」
ウェス「なるほど、そんなのがあるんですね。
通りで一晩で世界中の子供たちにプレゼン
トが届けれる訳だ。それよりサンタさん」
サンタ(ニック)「何かね?」
ウェス「その格好で来たんですか? 外、寒
くなかったですか?(ボクサーパンツで)」
サンタ(ニック)「まぁまぁまぁ! 私の事
はいいじゃないか! それより、君へのプ
レゼントを持ってきたよ!」
ウェス「え!? ホントですか!」
サンタ(ニック)「君が子供の頃に欲しかっ
た物だ。サンタさんは覚えてるよ! ……
ほら!」
ニック、ウェスにポトモン銀を渡す。
ウェス「え? ポトモン?」
サンタ(ニック)「そう、ポトモン銀バージ
ョン。プレゼントに20年かかってしまっ
てすまない」
ウェス「いや、本人すら忘れてましたから。
もう今ほとんどいらないんですが、とにか
くありがとうございます」
サンタ(ニック)「いいんじゃ、いいんじゃ
よ」
ウェス「あれ? このソフト、裏にシールが
貼ってある?」
ウェス、ソフトの裏のシールを見る。
シールには「たけし」っと書かれてい
る。(中古で買ったから)
ウェス「たけし?」
サンタ(ニック)「そ、それは、その、先に
渡そうとしてた子供がいらないって言って
たから、代わりに君に渡したんだ。捨てち
ゃもったいないだろ?」
ウェス「そうなんですか。確かにアナタは地
球の環境の事も考えそうですもんね」
ニック「ああ、そうさ。環境保護バンザーイ!
地球バンザーイ! ホーホーホー!」
はるか「あ、またやった」
ウェス「あの、その、恥ずかしい話なんです
が……」
サンタ(ニック)「うん? 何じゃ? サイ
ンが欲しいか?」
ウェス「サインはいらないです」
サンタ(ニック)「あれ、きっぱり(言われ
た)」
ウェス「子供の時に書いた手紙の内容は今は
もう別に求めてません。忘れてください。
これだけで(ポトモン)けっこうです。子
供の頃だったので、サンタさんが何でも叶
えてくれると勘違いしていたので、子供な
がらにムチャを書いてしまいました」
サンタ(ニック)「ムチャを?」
はるか「?」
シシ「何の事?(ヒソヒソ、はるかに)」
はるか「分かんない。手紙には確かにポトモ
ンって……(シシに)」
はるか、ウェスの手紙をもう一度確か
める。読んでいると途中で気づく。
はるか「あっ!」
シシ「何?」
シュミレット「まさか、熟女モノのビデオじ
ゃないだろな?」
はるか「これ……二枚目があった」
はるか、シシとシュミレットに二枚目
の手紙を見せる。
シュミレット「……あぁ、こればっかりはち
ょっとサンタでも無理があるな」
シシ「そうね……けど、ウェスは本当に欲し
かったのよ。これが……」
はるか達、ウェスとサンタ(ニック)
を見る。
ウェスとサンタ(ニック)、何かを喋
っている様子。
そのままシーン切り替え。
× × ×
〇シェアハウス リビング 夜
シェアハウスメンバー全員で鍋パーテ
ィーをしている。
ウェス、鼻にティッシュを詰めながら
食べている。
シュミレット、メガネが曇っている。
だが外さずに一生懸命食べている。取
りこぼしまくり。誰もツッコまない。
はるか「……なんか、クリスマスにみんなに
鍋もいいね!」
ニック「そうか? ただの寂しい奴らの寄せ
集め会みたいに……」
はるか、ニックに見えない所で腹にパ
ンチ。
ニック「ゴフッ! 今のは効いた……」
ウェス「汚ねぇな。唾飛ばすなよ」
ニック「鼻に詰めてるティッシュ面よりマシ
だ」
ウェス「止まらねぇから仕方ねぇだろ。バイ
トも休まなくちゃいけなくなったし、ちょ
っとは同情しろよ」
ニック「クリスマスに同情されるなんて俺は
嫌だけどね」
ウェス「なんだと?」
はるか「まぁまぁ、ウェスもいいじゃない。
こうやってクリスマスにみんなで過ごす方
が大事だよ。きっと」
シシ「そうよ。大切な事を忘れがちなのよ現
代人は」
ウェス「そういえば、シュミレットも夜はパー
ティーじゃないのかよ?」
シュミレット「あん? まぁ、そうだったけ
ど、今年はめんどくさくなったから別にい
いや。また来年行くよ。ちくしょう!」
ウェス「なんで悔しがるんだよ? それにお
前、ちょっとこぼし過ぎじゃね?(食べ物
を)」
シュミレット「うるせい! 視界が曇って何
も見えないんだよ!」
ニック「いや外せ!」
シュミレット「やっとツッコミやがった!
やっと外せるよ! ふんっ!」
シュミレット、メガネを外す。
シシ「面倒臭いわね~」
ニック「うわ! 誰だ? 鍋に得体の知れね
ぇもん入れたの!?」
シュミレット「俺だ。バナナだ」
はるか「アイアム、バナナ?」
シュミレット「そういう意味じゃなくて。俺
が入れた。バナナを」
ニック「鍋に何しやがるんだお前は! 鍋テ
ロか!?」
シシ「うぇ、気持ちわる」
シュミレット「いいから食べてみろよ。前に
闇鍋した時に入れて旨かったやつの一つだ」
ニック「いらねぇよ!」
シュミレット「食わず嫌いめ!」
ウェス「……はははっ! バカみてぇだなマ
ジで!」
はるか、笑うウェスを見て想いを馳せ
る。ウェスの手紙の内容を知っている
から。
みんな、鍋で騒ぎながら食べている。
まるで家族みたいに。
その映像を流しながらウェスの手紙の
内容のナレーション。はるかorウェス
の子供の声でナレーション。
子供ウェス(N)「サンタさんへ。二枚目も
書いてすみません。一枚目は僕を心配する
大人の人達に見せる用に書いた手紙です。
その人達をあまり心配してほしくないから
わざと違う願い度とを書きました。二枚目
が僕の本当の願いの手紙です。一枚目に書
いたポトモン金銀も欲しいけど、けどやっ
ぱり僕が欲しいのは、お母さんとお父さん
と一緒に過ごすクリスマスです。一度でい
いから家族とクリスマスを過ごしてみたい
です。他には何もいりません。どうか、サ
ンタさん、願いを叶えてくれませんか?
僕はとても良い子にしてました。まだ良い
子じゃないなら、この先ずっともっと良い
子になります。僕にどうか、家族で一緒に
過ごすクリスマスをください。お願いしま
す」
シュミレット、携帯に電話がかかって
くる。みんなに声が聞こえないように
話す。
シュミレット「悪りぃ、今日はいけないわ。
せっかく楽しみにしてたのに……なにかあ
ったのかって?」
シュミレット、楽しそうなウェスを見
る。
シュミレット「何でもねぇさ。今年ぐらいは
家族と過ごそうと思ってよ……悪いな。じ
ゃあな」
シュミレット、電話を切る。そして、
鍋に戻って来る。
シシと会話。ウェスに聞こえないよう
に。
シシ「あんたも良い所あるじゃない」
シュミレット「シシもバイト休んだんだろ?」
シシ「行くのが嫌になっただけよ」
シュミレット「はっ! 俺と同じ理由じゃね
ぇか」
ニック「もっと酒ねぇの?」
はるか「ちょっと飲み過ぎじゃないニック?」
ウェス「俺にも酒!」
ウェス、鼻血が出ている。
はるか「ウェス、鼻血止まってないよ! 酒
のせいじゃない!?」
〇テレビの映像 外
テレビが付いていて、綺麗なイルミネー
ション、ライトアップされたクリスマ
スツリーの所で女キャスターが喋って
いる。
雪が降ってきている。
女「みなさん! 見てください! 今年のク
リスマスはホワイトクリスマスになりまし
た! 大変珍しく、奇跡が起きたって言う
人もいます。そんな珍しいクリスマスの今
日、みなさんは誰とお過ごしですか?」
〇シェアハウス リビング 夜
みんな、まだバカみたいに騒いでいる。
まるで家族のように楽し気に。
はるか(M)「私達は今日の本当の意味を忘
れていたのかもしれない。クリスマスは贈
り物や願いを叶えてくれる日じゃない。大
切な人達と一緒に過ごす日だ。大事なのは
クリスマスを一緒に過ごす家族や仲間。き
っと、これからもずっと……」
ウェス「サンタさん、無事に帰れたかな?
あの格好じゃ絶対に寒いだろうし、なんか
玄関から普通に帰っていったし」
シュミレット「ま、まぁ、大丈夫だろ! ど
こかにソリを駐車してたんだろうしな。ソ
リにはたぶん、魔法のヒーターか何かつい
てるよ」
ウェス「そっか……」
ニック「外はめちゃくちゃ寒かったけどな……」
はるか「シー!(口に指を当てて)」
ウェス「……今までで最高のクリスマスだ。
ホントに……」
ニック「なんか言ったか?」
ウェス「いや、何も」
映像は賑やかな所を映してフェードア
ウトしていく。
〇シェアハウス 外観 夜
雪が降っている外。
夜空にサンタがソリを乗って飛んでい
る影が流れていく。
サンタ「ハッピィーホリデー! ホーホーホー!」
サンタ、夜空に消えていく。
~~~END~~~
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