bitter/sweet ドラマ

殺し屋が出会ったのは、かつて愛した人だった――。
山岸遼 23 0 0 04/03
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第一稿

   人物
久埜春壱(27) キャラメル店店主
久遠桜(27)  久埜の元恋人
山南太一(26) 半グレ組織の一員
上遠野恭介(56)久埜の上司
佐多斉昭(44) カフェ ...続きを読む
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   人物
久埜春壱(27) キャラメル店店主
久遠桜(27)  久埜の元恋人
山南太一(26) 半グレ組織の一員
上遠野恭介(56)久埜の上司
佐多斉昭(44) カフェ店主

女性


〇マンション・非常階段
   汗だくの山南太一(54)、息を切らしながら階段を駆け上がっている。首から下げたドクロのネックレスが激しく揺れる。

〇同・エレベーター前
   エレベーター前で佇む久埜春壱(27)。
   エレベーターが到着し、住民が降りてくる。
   愛想よく挨拶をしながら、エレベーターに乗り込む久埜。

〇同・非常階段
   踊り場で立ち止まる山南。階下を見下ろす。
   階下、無人。
山南「なんだよ」
   と、舌打ちして、汗を拭う。落ち着いた様子で、階段を上っていく。

〇同・エレベーター内
   角で佇む久埜。近くにベビーカーに乗った幼児。目をキラキラさせて久埜を見ている。
   久埜、笑って、懐からキャラメルを取り出す。
久埜「これあげる。すごく甘いよ」
   幼児の手に、キャラメルを握らせる。
   女性は久埜に礼をして、
女性「ありがとうございます」
久埜「いえいえ」
   エレベーターが到着する。
   女性はベビーカーを押して、エレベーターを出る。
   微笑んで見送る久埜。
   扉が閉まる。
   久埜、さっと笑みを消す。

〇同・屋上
   山南、非常口から出てくる。
山南「ったく、あいつ誰なんだよ」
   山南、スマホを取り出し、電話を掛ける。
山南「あ、もしもし。悪い、ちょっと遅れる。……ああ、つけられてんだよ。……知るかよ」
   山南、振り返と、驚きのあまりスマホを落とす。
   久埜、山南に銃を向けている。無表情。
久埜「本物、見たことあります?」
山南「……てめえ、誰だ」
久埜「知る必要のないことです」
   久埜、撃鉄を起こす。
山南「ちょ、ちょ、待って……」
   山南、後ずさる。
   その場で動かない久埜。
山南「お、お、俺が、なにした――」
   久埜、引き金を引く。
   山南、胸から血を流して倒れる。
   ドクロのネックレスが血に染まる。
   久埜、息を吐き出す。銃をしまう。
   久埜の方に手。
上遠野の声「よくやった」
   久埜、振り返ると、上遠野恭介(56)が立っている。
久埜「殺す必要あったんですか」
上遠野「依頼を受けたら殺す。それが仕事だ」
久埜「ですが、彼に犯罪歴はありません」
上遠野「同じようなものだ。逮捕こそされていないが、素行の悪さで有名だった。恨まれて当然。殺されて当然」
久埜「……」
上遠野「何、この仕事辞めたいとか言うんじゃないだろうな」
久埜「殺し屋は仕事じゃありませんよ」
   と、山南の遺体の前で屈み、開いた瞼を閉じる。

〇自由が丘・実景

〇キャラメリビング・外観
   看板には手書きで「キャラメリビング」と「キャラメル菓子専門店」の文字。
久埜の声「ありがとうございました。是非また立ち寄ってください」

〇同・店内
   こぢんまりとした店内には、キャラメルチョコや、ラスク、フィナンシェなど、キャラメルのお菓子が陳列されている。
   久埜、表から店内に戻る。
   奥から、上遠野が来る。
上遠野「板についてきたんじゃないですか、この仕事も」
久埜「おかげさまで」
上遠野「……キャラメルね」
久埜「不満でしたか?」
上遠野「いえいえ、本業を隠すにはふさわしいと思いますよ。裏に生きる人間は、表では普通の生活を送るべきですから」
久埜「……」
上遠野「しかし何故、キャラメル?」
久埜「それは……」
上遠野「まあいいです。ただ間違っても、キャラメルに魅せられないようにしてください」
久埜「……わかってます」
   上遠野、不敵に微笑み、
上遠野「忘れるな、お前の手は汚れている」
と、奥に消える。
   久埜、自身の手を見つめる。固く握りしめる。

〇カフェ・店内
   久埜、段ボールをカウンターの上に置いて、
久埜「これ、頼まれていたラスクです」
   佐多斉昭(44)、嬉しそうに微笑んで、
佐多「助かったよ。人気商品でさ、いつ入荷するのって常連さんに催促されてたんだ」
久埜「嬉しい限りです」
佐多「ちなみに他なんかない、新商品」
久埜「一応来月から生キャラメルを販売する予定です」
佐多「おお、うちにも置かせてもらえる?」
久埜「もちろんです」
佐多「久遠さんも喜ぶよ」
久埜「え?」
佐多「ああ、うちの常連さん。いつもキャラメルマキアート頼む」
久埜「久遠……」
佐多「それこそ、毎週土曜日、今日もそろそろ――」
   扉の鈴が鳴る。
   久埜、振り向く。
   久遠桜(27)、入る。
佐多「いらっしゃい」
桜「こんにちは」
佐多「ちょうど久遠さんの話してたんだよ」
桜「私?」
佐多「そうそう、キャラメル好きの――」
久埜「桜、さん……」
桜「え……」
久埜「久しぶり」
桜「久埜くん……」
   桜、切なそうに笑う。
   ×   ×   ×
   テーブルを挟んで斜向かいにかける久埜と桜。
   佐多はキャラメルマ”アートを2つ、テーブルに置くと、そそくさとカウンターに戻る。
桜「元気だった?」
久埜「うん、桜さんは?」
桜「一応。……久埜くん、今仕事は?」
久埜「仕事……」
桜「ああ、キャラメル屋さんか、ほんとびっくりだよ」
久埜「ごめん」
桜「ううん、元気そうでよかった」
久埜「桜さんも」
桜「ねえ、どうしてキャラメルなの?」
久埜「それは……」
   佐多、久埜と桜の様子をひっそりと見つめている。

〇同・駐車場(夕)
   久埜、運転席に乗り込む。
   佐多、窓をコツコツと叩く。
   久埜、窓を開けて、
久埜「どうしました?」
佐多「好きな人ですか?」
久埜「え?」
佐多「キャラメル。好きな人の好きなものを好きになったのかなと」
久埜「だとしたら好きすぎますね」
佐多「キャラメルが?」
久埜「好きな人のことが」
佐多「違うんですか」
久埜「僕の手は汚れてるから」
   佐多、ハンドルに置いた久埜の手を見て、
佐多「きれいですよ」
久埜「(苦笑して)では」
佐多「生キャラメル楽しみしてます」
   車が発進する。

〇アジト
   うす暗い部屋。
   上遠野はソファに腰掛け、資料に目を通している。
   久埜、入る。
上遠野「遅かったな」
久埜「申し訳ありません」
上遠野「また依頼が入った」
   と、資料を渡す。
   久埜、無言で受け取る。無表情で頷く。

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