XenoMessiaN 第2界 ユメヘノヒショウ SF

東京の街に突如出現した凶悪な罪獣バビロンに立ち向かった巨人の正体は愛に飢えた青年だった。 皆が憧れるヒーローのように活躍すればまだ知らぬ愛を得られると意気込み奮闘するのだが…… これは現実から目を背けながらも一方的に他者からの愛を待ち続ける者たちの物語。
甲斐てつろう 16 0 0 08/10
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第一稿

【主な登場人物】
創快:主人公の高校生
瀬川抗矢:快の友人
与方愛里:快のクラスメイト
河島咲希:上同
創美宇:快の姉
横山純希:快のかつての苛めっ子
ゼノメサイア: ...続きを読む
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【主な登場人物】
創快:主人公の高校生
瀬川抗矢:快の友人
与方愛里:快のクラスメイト
河島咲希:上同
創美宇:快の姉
横山純希:快のかつての苛めっ子
ゼノメサイア:快が変身した巨人
マルコシアス:翼の生えた罪獣

その他



○創家 居間(朝)
  創快(16)、ニュースを見ながら震える。
キャスター『巨大不明生物による被害総額はお
 そよ二兆円に上る模様です。死亡者行方不明
 者は三千人を超えています。現場はどうでし
 ょう?』
リポーター『はい、ただ今巨大不明生物の残骸
 処理が始まりました。一方巨人ですが完全に
 姿を消し捜索は困難との事です』
キャスター『なるほど。いかがですかこの巨人
 について』
専門家『経済的ダメージは計り知れないものだ
 と思っております、現に爆発により周囲の街
 が……』
  快、そこでテレビの電源を切る。
  震えながらスマホを開きSNSを見た。
アカウント1『怪獣と侵略者同時に現れるとか
 オワタ』
アカウント2『違くない? 巨人はヒーローっ
 ぽく見えたけど』
アカウント3『いやいや、ヒーローとはかけ離
 れてるでしょ』
  快、画面をスクロールし政府の放送を見つ
  ける。
大臣『ただ今より巨大不明生物を罪獣、謎の巨
 人をゼノメサイアと呼称するものとします』
  創美宇(24)、心配そうに声を掛ける。
美宇「大丈夫……?」
  快、ゆっくりと顔を上げる。
快「大丈夫、行ってきます」

○メインタイトル
【XenoMessiaN 第2界 ユメヘノヒショウ】

○高校 2-B教室(朝)
  快、扉を開けて入る。
  瀬川抗矢(17)、驚く。
瀬川「おぉ⁈ 大丈夫なのかお前、精神面とか
 諸々……?」
快「大丈夫だよ、てかお前寝坊して良かったな」
瀬川「それはな。でも良かったよ、これ以上お
 前暗くなったらって心配だったんだ」
  快、教室を見渡す。
  クラスメイト、暗い雰囲気だった。
  瀬川、空気を読まず快に問う。
瀬川「てかさお前見たのか? 罪獣とゼノメサ
 イア!」
  クラスメイト、反応する。
  快、複雑な表情を浮かべる。
快「あぁ、見たよ……」
瀬川「マジか! どんなんだった?」
  河島咲希(16)、瀬川に話しかける。
咲希「ねぇ! 今その話やめて……」
  咲希、与方愛里(16)の所へ行き背中を摩
  る。
咲希「大丈夫だから、アイツが死ぬ訳ないって」
愛里「うんっ……」
  愛里、涙を堪えている。
  担任、教室に入って来る。
  そして首を横に振った。
愛里「……あぁぁっ」
  愛里、泣き崩れた。
瀬川「……そっとしといてやるか」
快「……うん」

○高校 渡り廊下
  瀬川、ベンチに座りネットニュースを見て
  いる。
記事《ゼノメサイアは人間⁈ 現実に現れた変
 身ヒーローの可能性!》
  快、缶コーラを持ちやって来る。
瀬川「遅いぞー」
快「ごめん自販機混んでてさ」
  快、瀬川の隣に座り弁当を広げる。
瀬川「相変わらずみう姉の弁当か」
快「節約だよ」
瀬川「みう姉も大変だもんな」
快「うん、めっちゃ働いてんのに……」
瀬川「その上こんな大変な弟がいるもんなー」
快「お前が言うか? お前だって親に迷惑かけ
 てるだろ」
瀬川「大変なのは俺の方だって! 親父って創
 世教だろ、それも神父と来た! 嫌でも神へ    
 の信仰とか押し付けて来やがる」
快「そうだったな……」
瀬川「しかも何をトチ狂ったかゼノメサイアを
 神の子とか言いやがるんだぜ? そんなんじ
 ゃねー、あれはきっとスーパーヒーローだ」
快「え……?」
瀬川「宇宙の秩序を守るために派遣されたエー
 ジェントだぜ、それで地球に来たんだ」
  瀬川、快の様子を見る。
瀬川「ま、少なくとも神の子はねぇだろ。流石
 に呆れたもんだぜ」
快「そっか……」
瀬川「そいえばネットで見たんだけどさ、ゼノ 
 メサイアって変身ヒーローかも知れねぇんだ
 って!」
快「……マジで?」
瀬川「いやーどこに居るんだろうな、案外近く
 に居たりして!」
  快、目を見開く。
  ネットでの酷評を思い出した。
瀬川「会ってみてーな、ヒーローショーで握手
 するのとは全然違うんだろうなぁ」
  快、瀬川の憧れの眼差しを見て決心する。
快「実はさ……」
瀬川「ん?」
快「俺がゼノメサイアなんだよね……」
  一瞬、沈黙。
瀬川「……で?」
快「え?」
瀬川「え、終わり?」
快「いや、ジョークではない……」
瀬川「……は?」
快「一応本当なんだけど……」
  瀬川、真剣な表情に変わり快の肩を叩く。
瀬川「ヒーローに憧れるのは分かるけどさ、嘘
 はいけねーな」
快「信じられないのは分かるけどっ……」
  快、説得は諦めた。
快「やっとヒーローの力を手に入れた、でも皆
 んな悪者扱いするんだ……瀬川なら認めてく
 れると思ったのに……」
瀬川「あのなぁ、そうやって嘘で気を引くのは
 やめろ。ヒーロー目指してるなら尚更だぞ」
快「だ、だよな……」
瀬川「ガキの頃からの付き合いだから分かる、
 お前は普通の人間だ」
  瀬川、快の目を見つめる。
瀬川「でも心ならヒーローになれるって信じて
 るからな、昔バカにして来た奴らも見返せる
 ように頑張れ!」
  瀬川、快の肩に手を置く。
快「俺がそんな風になれるか……?」
瀬川「まずは自分だけじゃなく他人を考えられ
 るようにする事だな」
  瀬川、ポケットから一冊の小さな本を取り
  出し快に見せる。
瀬川「俺にだって辛い事はある。俺に無理やり
 創世教のこと習わせるんだ、呆れて母さんも
 出てったってのに懲りねぇ野郎だよ」
  本には創世教の歴史と書かれていた。
瀬川「辛いのはお前だけじゃない」
  快、歯を食いしばる。

○高校 2-B教室(夕)
  快、放課後の掃除をしている。
  ボーッとしているとクラスメイトに注意さ
  れた。
クラスメイト「もう掃き掃除終わったよ、雑巾
 がけするから退いて」
快「あ、ごめんっ……」
  快、慌てて動き水の入ったバケツを倒して
  しまう。
クラスメイト「あーあ……」
  快、溢した水を拭こうとする。
  クラスメイト、快を止める。
クラスメイト「もう良いから、ゴミ捨て行って
 来て」
快「ごめんなさい……」
クラスメイト「ゴミ捨てたらそのまま帰って良
 いから」
  快、ゴミ箱を持ち教室を出た。

○高校 ゴミ捨て場(夕)
  校舎裏のゴミ捨て場。
  快、動悸が速くなりながらゴミを捨てる。
快「はぁ、はぁ……」
  快、ゴミ捨て場に瀬川が持っていた創世教
  の歴史という本が捨てられているのを見つ
  ける。
瀬川(回想)「辛いのはお前だけじゃない」
  快、更に呼吸が荒くなる。
  そこで近くの中庭に愛里がいるのを見つけ
  た。
  中庭にいる愛里、泣いている。
愛里「あれ、快くん……?」
  愛里、快に気付き涙を拭う。
快「あ、どうも……」
  愛里、ベンチの隣の席をポンポンと叩く。
愛里「ねぇここ座りなよ、ちょっとお話しよ?」
快「え……」
愛里「ダメかな……?」
快「いや、いいけど……」
  快、中庭に向かった。

○高校 中庭(夕)
  快、愛里の隣に座るがソワソワしている。
  愛里、口を開いた。
愛里「一昨日はごめんね急に家行っちゃって」
快「良いよ、届けに来てくれたんでしょ?」
愛里「そうだけど……何か申し訳なくて」
快「何で……?」
愛里「辛そうにしてたのに余計な事しちゃった
 かなって……」
快「そんな事はっ……落ち込んでたのは自分の
 せいだし……」
  快、姿勢を変えて話す。
快「俺、ヒーローになりたいんだ。でも自分は
 相応しくない、それを目の当たりにした感じ
 で……」
愛里「そっか、やっぱあの話したのマズかった
 よね」
快「いや全然っ! そんなつもりで言ったんじ
 ゃないって分かってるし」
愛里「そう? ありがと……」
  愛里、夕陽の方を見た。
愛里「そっか、ヒーローになりたいんだね」
快「うん……」
愛里「一昨日話した事、私には凄いヒーローが
 いたって言ったでしょ?」
快「あぁ……」
愛里「本当に凄い人だった。他人の心にも泣き
 ながら寄り添えて綺麗事を実践しちゃうよう
 なヒーロー。否定されても曲げなかったん
 だ」
快「凄い人だったって……」
  愛里、再度涙目になる。
愛里「昨日の新宿で死んじゃったの」
快「え、罪獣の騒ぎで……?」
愛里「私も一緒に近く居たんだけどね、真っ先
 に『救助に行くんだ』って飛び出して行った
 んだ』

○回想 昨日の新宿
  愛里と友人、バビロンを視認できる距離に
  居た。
友人「行かなきゃ、出来る事をやらないと!」
愛里「ダメ! 絶対死んじゃう!」
  愛里、友人の腕を掴み止めている。
愛里「無茶はやめて! 本当に死んじゃうよ!」
友人「お願い行かせて、何もせずに見てるだけ
 なんて出来ないの……!」
愛里「私この手を離したら一生後悔するような
 気がする……!」
友人「私も同じ、今行かなきゃ後悔するっ」
  友人、真剣な眼差しで愛里を見る。
友人「私ずっと自分に出来る事を探してた、そ
 してやっと答えが分かったの。愛里を火事か
 ら救った時にこれなら出来るって……!」
愛里「でも……!」
友人「愛里、貴女が出来る事に気付かせてくれ
 た。お陰で私は翼を手に入れたの」
愛里「翼……?」
友人「そう。人は出来る事を見つけてスタート
 ラインに立った時、翼を広げて飛ぶんだよ」
  愛里、握る手が緩まる。
友人「ありがとう、私に翼をくれて」
  友人が首から下げる水晶のついたネックレ
  スが光の反射で輝く。
  愛里、そっと手を離した。
友人「ありがとね」
  友人、バビロンの方へ走っていく。
  愛里、その背中に向かって叫んだ。
愛里「絶対、出来る事やってね!」
  友人、一瞬立ち止まり振り返る。
友人「だって私、ヒーローだから」
  友人、再度背を向けて走り出した。

○高校 中庭(夕)
  愛里、涙を一滴流す。
愛里「あれから騒ぎが終わった後も連絡取れな
 くて今朝学校で聞いたんだ、やっぱ死んじゃ
 ったって……」
快「そんな……」
愛里「本当バカだよね、私のヒーローにさえな
 ってくれればそれで良かったのに……結局何
 も出来なかったんじゃんっ」
  愛里、首からかけていたネックレスを取り
  出す。
  快、それを見て反応する。
快「それ……!」
愛里「これ? その友達、英美ちゃんとお揃い
 のやつなの……」
  愛里、蒼い水晶のついたネックレスを見せ
  る。
快「実は俺、英美さんと一緒にいたよ」
愛里「本当に……?」
快「本当だよ、ホラ!」
  快、ポケットからグレイスフィアを取り出
  し愛里に見せる。
愛里「これ英美ちゃんの……っ」
快「最期に託してくれたんだ」
愛里「最期を見たの……?」
快「ヒーローだったよ、男の子を助けて俺まで
 助けてくれた。そしてこれを託されて、俺は
 ヒーローになる事を託されたんだって気付い
 た」
愛里「英美ちゃん……」
快「頼りないかも知れないけどさ、俺が代わり
 にヒーローになれれば英美さんは活き続ける
 と思うんだ……!」
愛里「うぅっ……」
  愛里、大粒の涙を流す。
快「あぁっ、泣かないで……」
愛里「ううん、大丈夫だよ」
  愛里、すぐに笑顔を見せた。
愛里「やっぱり英美ちゃんは凄かったんだね、
 流石私のヒーローだ」
  愛里、快にネックレスを見せた。
愛里「今度は快くんとお揃いだね」
快「うん、次は俺が翼で飛び立つ番だ」
愛里「じゃあ応援しなきゃね!」
  二人とも笑顔を見せていた。

○道中
  快、嬉しそうに走る。

○チキン店 厨房(夕)
  快、バイト先の店に到着。
  先輩が出迎える。
快「おはようございますっ」
先輩「何だいつもより元気そうじゃん」
  先輩、新人を紹介する。
先輩「コイツ今日から入る新人、挨拶して」
  快、新人の顔を見て驚愕する。
  横山純希(17)、新人として快を見る。
純希「マジで快じゃん、俺覚えてる?」
  快、表情が強張る。
純希「小学校で一緒だったさ、横山純希だよ」
  快、瀬川の言葉がフラッシュバックする。
瀬川(回想)「昔バカにしてきた奴らも見返せる
 ように頑張れよ!」
  快、歯軋りをした。
  × × ×
  快、純希に仕事を教える。
  声が小さい。
快「まず部位ごとにパーツを分けて……」
純希「え、何て?」
快「あっ、部位ごとにパーツをっ……」
純希「何だよ久しぶりで緊張してんのかー?」
  純希、快の背中を軽く叩く。
  快、驚いて固まる。
先輩「遊んでんじゃねーぞ」
純希「さーせん」
  快、かつての純希を思い出す。
純希(回想)「お前みたいな奴がヒーローになれ
 る訳ねーじゃんっ」
  快、視界がボヤけて来た。
  × × ×
  純希、仕事しながら快に話す。
純希「お前ちょっと変わった?」
快「……え?」
純希「高校生にもなりゃ俺もちったぁ変わった
 けどよ、お前は見るからに落ち着いてる」
快「俺は暗くなっただけだよ」
  快、純希の方は見ない。
快「でも純希は本当に変わったよ、別人みたい
 だ……」
純希「何だ成長したって言ってくれるのかぁ?」
  快、ボソッと呟く。
快「……その変わりようが怖いんだ」
  × × ×
  純希、先輩と話していた。
先輩「へー、レスキュー隊目指してるんだ」
純希「ヒーローみたいでカッコよくないっす
 か?」
  快、洗い物をしながは無言でその話を聞   
  いている。
先輩「そいえばヒーローと言えばさ、ゼノメサ
 イアとかどう思う?」
純希「あーゼノメサイアっすか……」
  快、洗い物を止めて聞き入る。
純希「アイツお気に入りの店壊したんすよ、あ
 んなのヒーローじゃねぇっす」
  純希、快の近くを通り肩を叩いた。
純希「お前はいいヒーローになれるように頑張
 れよ」
  快、気力を失った。

○公園 カナンの丘(夜)
  快、夜の丘で一人座る。
  瀬川と電話で話していた。
瀬川「は? バ先に純希が来たぁ?」
快「今までの事なかったみたいに接して来てさ」
瀬川「バカにした側は遊びのつもりってよく聞
 くからな……」
快「しかもレスキュー隊目指してるとか言って
 てヒーローとしても先越されそうだよ……」
瀬川「そうか……」
快「はみ出し者は俺たちの方なんだ、現に先輩
 にも好かれてたし世間的にはあっちが普通な 
 んだよ。俺がバカにされたのもそれだ」
瀬川「それは……」
快「アイツはいい奴だ、それが大人になっ
 て……ダメなのは俺の方だ」
瀬川「おいおいネガティブ過ぎるって」
快「俺みたいなのがヒーローになれる訳っ」
  快、一瞬冷静になる。
快「ごめん、つい……」
瀬川「いや良いんだよ」
  瀬川、何とか慰めようと試みる。
瀬川「少なくとも俺はお前にヒーローになって
 欲しいぜ? あんま世間とか気にし過ぎない
 方がいい」
快「そうだね、ごめん」
瀬川「んじゃ俺、風呂入って来るから」
  快、電話を切る。
  そのままスマホで愛里の連絡先を見てメッ
  セージを開いた。
快「くっ……」
  何も書けずに画面を閉じてしまう。
  すると非通知から着信が届いた。
  時計を見ると夜十一時を過ぎている。
快「こんな時間に……もしもし?」
  快、応答する。
  非通知の相手はボイスチェンジャーを使っ
  たような声だった。
快「もしもし……?」
非通知「やぁ、創快くんだね?」
快「どちら様ですか……?」
非通知「まだ知る必要はないよ、それより伝え
 たい事がある」
快「え?」
非通知「まさか君に神の心が宿るとは、予想外
 だった」
快「神の心って……」
非通知「心当たりはあるんじゃないかな?」
快「まさか……」
非通知「当たりだよ」
  快、一瞬黙る。
快「俺がなったのって予想外なんすか……?」
非通知「全くの想定外だよ、永い記録からもね」
快「そうすか……」
非通知「それで本題なんだけどね、今から君の
 近くに罪獣を出現させる」
快「え、出現させられるものなんすか?」
非通知「まだ我々には君の情報が不足してい
 る、君の存在を存分に示してくれ」
  電話、切れる。
快「あっ、切れた……」
  快、体に震えが現れる。
快「今出来る事……っ」
  快、慌てて街に向かった。

○住宅地(夜)
  快、走り回る。
快「みんなぁー! 逃げて下さいっ!」
  住民、窓を開けた。
住民「何時だと思ってんだ!」
  住民、窓を閉める。
  快、立ち止まり息切れする。
快「はぁ、はぁ……やばいっ」
  すると空から雄叫びが聞こえる。
  滑空しながら罪獣マルコシアスが現れた。
  快、マルコシアスが飛ぶ空を見上げる。
快「マジかよ……!」
  快、焦るがポケットにあるグレイスフィア
  が輝く。
快「あっ……」
  快、グレイスフィアに触れる。
快「この感じ……そうだ、俺が守ればっ」
  快、ポケットからグレイスフィアを取り出
  し掲げる。
快「もう一度っ……!」
  快、ゼノメサイアに変身した。

○住宅地(夜)
  快、ゼノメサイアと化し住宅地に立つ。
  しかし足下を気にしてしまう。
快「くっ、人が……」
  住民たち、逃げ惑っている。
  マルコシアス、滑空し突進する。
快「うわぁっ⁈」
  ゼノメサイア、避けるが足下を気にしよろ
  ける。
  マルコシアス、再度滑空し足の爪でゼノメ
  サイアの胸部を切り裂く。
快「いっ……⁈」
  ゼノメサイア、倒れて背中で建物を崩して
  しまう。
快「やっちゃった……」
  ゼノメサイア、体を起こし構える。
  マルコシアス、翼についた穴から光弾を放
  つ。
快「危ねっ」
  ゼノメサイア、避けるが光弾は追尾し背中
  に命中してしまう。
快「熱っ!」
  マルコシアス、爪を前に突き出す。
快「クソッ、人さえ居なければ……!」
  マルコシアス、ゼノメサイアの両肩を足で
  掴み空へ連れ去る。
快「うわぁぁっ、痛てぇっ……」
  ゼノメサイア、両肩に爪が食い込む。
  マルコシアス、上空まで行き大量の光弾を
  放った。
  光弾、方向を変えゼノメサイアに向かう。
快「ヤバい、死ぬっ」
  快、嫌な記憶の走馬灯を見る。
  しかし最後に愛里の顔が浮かんだ。
快「与方さんっ……」
  快、覚悟を決めた。
快「そうだ、まだ死ぬ訳には……!」
  ゼノメサイア、マルコシアスの爪と皮膚の
  間に指を突っ込みほじくる。
  マルコシアス、絶叫しゼノメサイアを落と
  す。
  光弾はマルコシアスに命中した。
快「あ」
  ゼノメサイア、落下してしまう。
快「うわぁぁぁっ⁈」
  落下速度は勢いを増していく。
快「やばいやばいっ」
  快、恐怖の余り目を閉じる。
  そして数秒が経過した。
快「……あれ?」
  快、目を開ける。
  ゼノメサイア、落下していない。
  宙に浮いていた。
快「浮いてる? いや、飛んでるっ!」
  快、愛里から聞いた英美の言葉を思い出
  す。
英美(回想)「人は出来る事を見つけてスタート
 ラインに立った時、翼を広げて飛ぶんだよ」
  ゼノメサイア、自由に飛んでみせる。
快「おぉ飛んでる、飛んでるぞぉ!」
  マルコシアス、傷だらけで降りて来る。
快「まだ生きてる、でもこれならっ!」
  ゼノメサイア、スピードを上げて突っ込
  む。
  マルコシアス、大量の光弾を放つがゼノメ
  サイアは完璧に全て避ける。
  ゼノメサイア、上空へと飛び上がり急降下
  しマルコシアスの顔面に蹴りを入れた。
  マルコシアス、空中でよろける。 
  ゼノメサイア、その隙にエネルギーを溜め
  拳を前に突き出しライトニング・レイを放
  った。
  マルコシアスに命中し爆散。
快「少しはヒーローっぽくなれたかな……?」
  ゼノメサイア、光となり快の姿に戻った。

○住宅地(夜)
  街は戦いの影響で停電していた。

○創家 玄関(夜)
  快、無言で帰宅。
  美宇、快に駆け寄り抱きしめた。
美宇「快っ、よかった……!」
快「ちょ、避難してなかったの?」
美宇「心配でずっと待ってたの……!」
  快、しばらく美宇の抱擁を受け入れた。

○創家 快の部屋
  快、ベッドに寝転がりスマホを見る。
  愛里の連絡先を開きメッセージを送ろうと
  した。
快「うーん、違うな……」
  文章を書いては消してを繰り返す。
  すると愛里からメッセージが届いた。
  以下、画面上
愛里(文章)「また罪獣出たけど大丈夫? お返
 事ください」
  快、目を見開く。
  慌てて返信した。
  以下、画面上
快(文章)「無事だよ。与方さんと英美さんのお
 陰で少しだけヒーローに近づけた気がする」
愛里「良かった!」
  快、愛里からの返信を見てニヤける。
快「ははっ」

             つづく

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