〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・星七緒
・松本一樹
・千堂孝介(24)紘のコスプレ仲間
・宮田由香(22)紘のコスプレ仲間
・山村チカ(20)
・長谷川なつき
・古川紘
・聖川琉華
・竹野内亮
〇『PART7』・中(夜)
紘が来る。
紘「こんちはー!」
一樹「あっ紘さんお疲れっす」
紘「おぅ、あれ今日は表、一樹一人?」
一樹「雄太は早上がりしました」
宗介「あぁ、もう看板下げようか…って紘」
紘「おぉ、宗ちゃん」
宗介「どしたんだよ、今日はここで深酒するつもりじゃねぇだろう
な?」
紘「んなんじゃないって。腹減って何か食べたいなって」
宗介「家帰って食ったらいいのに。もう店上がるし」
紘「いや、今日派遣先新宿でさここの近くだったんだよ。腹減りす
ぎて家まで持たねぇなあって」
亮が出てくる。
亮「よし、今日はこれで終わり…おぉ紘」
紘「亮さん。お疲れっす」
宗介「すみません、紘が腹減って何か食べさせてほしいって」
紘「お願いします!」
亮「あぁ、ミートソース余りあったからなあ…パスタでいいか?」
紘「何でもいいっす。腹に入れば!」
宗介「なんか…すみません」
亮「宗ちゃんが気にする事ないよ。ちょうど紘ので使い切るからま
た明日仕込み出来るし。紘すぐできるからなー」
紘「うぃっす」
〇シェアハウス・リビング(夜)
宗介と紘が帰ってくる。
紘「ただいまー」
宗介「ただいま」
千秋、なつき、七緒が二人の方を見る
宗介「な、何だよ三人して」
紘「何か、あったのか?」
千秋「ねぇ、宗ちゃん」
宗介「何だよ」
千秋「宗ちゃんって、彼女…とかって居た?」
宗介「はぁ?(紘の方を見る)」
紘は何も言ってないとアイコンタクトする。
宗介「そ、そりゃ居たさ。女の一人や二人」
七緒「(呟くように)二人?」
宗介が七緒を睨む。
七緒「…」
宗介M「あいつ、また人の心を…」
千秋「それって、今でも…付き合ってたりするのかなあ?」
宗介「ってか、何で急にそんな話になるんだよ(小声で紘に)本当に何
も言ってねぇだろうな」
紘「(小声で)言ってないって」
千秋「七ちゃんが言ってたんだけど、さっきこのシェアハウスの前で女
の子が立ってて」
七緒「誰かを探してるような感じだったんです。で、私が家から出てき
たら目が合ってそのままどこかへ行ってしまいました」
宗介「だから?」
千秋「もしかしたら、宗ちゃんの付き合ってた人なのかなって…」
宗介「何でそこに結び付くんだよ?」
千秋「だって、女の子の知り合いって言ったら…」
千秋達が宗介を見る。
宗介「だから、なんで俺?女の子が家の前に立ってただけでどんな感
じの子かも分からないのに?」
千秋「だって、俺達よりその…女性だったら宗ちゃんの方が知り合いで
居るんじゃないかって…」
七緒「一応似顔絵を描いてみたのですが」
なつき「あっ描いたのは僕ね」
七緒「あ、失礼…」
似顔絵を見る宗介と紘。
紘の顔付きが少し変わるのを見ているなつき。
宗介「うーん…俺ではないと思うぞ」
千秋「やっぱ、違うかぁ…」
宗介「なぁ、もしかしてストーカーとかじゃないよな?」
なつき「ストーカー?」
千秋「いやぁ、それは無いんじゃない?だってここで女子にストーカ
ーされるような関係になるのってないよね…」
宗介「分かんねぇじゃん…知らない所で、勝手に思われてるかもしれね
ぇじゃん?」
千秋「まぁ、確かに…」
宗介「あっ、あのさ、琉華なんだけど」
千秋「琉華?」
宗介「琉華が働いてるホストクラブってのは、客は女だろ?」
千秋「そうだけど」
宗介「じゃあ、琉華の店の客とかじゃないのか?」
なつき「えぇ…」
宗介「可能性は無しとは言えないだろ?だってここに居る皆知らない
んだろ?」
千秋「まぁ…」
宗介「取り合えず琉華が帰って来たら聞いてみよう」
× × ×(時間経過・朝)
テーブルに突っ伏して眠っている宗介
琉華が仕事から帰ってくる。
琉華「ただいまー…って、宗介?」
寝ている宗介を見て息をのむ琉華。
琉華「まさか…死んでるのか?」
宗介の体を揺らす琉華。
宗介「う…イテッ…首痛い…」
琉華「んな訳ないか」
宗介の隣に座る琉華。
宗介「おぅ、帰って来たのか?」
ドアから陽が差し込んでいるのを見る
宗介。
宗介「あぁ、もう朝か…」
琉華「どしたんだよ、部屋じゃなくてこんな所で…もしかして俺の事待
ってくれてたのか?」
ふざけて宗介の後ろから抱きしめる琉華。
宗介「イテェ!首が痛ぇんだよ!別に待ってねぇよ…あっいや、待
ってた」
琉華「ほら、やっぱ俺の事待ってくれてたんじゃん。どしたんだ、何か
あるのか?」
宗介「あのさ、昨日家の前に女の子が立ってたんだって?」
琉華「は?何の話?」
宗介「いいから、最後まで聞けって。その女の子がセブンが家から出て
きた時に目が合ってそのままどこかへ行ってしまったみたいなんだ。
セブンが言うには誰か探してたみたいな感じだったんだって」
琉華「んで?」
宗介「俺達は皆知らないってなって琉華にだけは聞いてないから」
琉華「知らねぇよ。ただ女の子が立って立ってだけで。セブンの勘違い
か何かじゃねぇの?」
宗介「でも、何か気になるって言ってたからさ、これなつきが描いた似
顔絵なんだけど見覚えある?」
似顔絵の用紙を宗介から受け取り目を通しすぐにテーブルに置く
琉華。
琉華「知らね」
宗介「おい!ちゃんと見たのかよ?」
琉華「見たよ。知らない」
宗介「琉華の仕事先に来る女の子とかじゃないのか?」
琉華「違うわ!店に来る客には誰にも家なんか教えてねぇし…俺の事
ゲイだって事も知らねぇんだから」
宗介「じゃあ、やっぱ、セブンの勘違いだったのかな」
〇同・二階・紘の部屋・前(朝)
なつきが来て紘の部屋をノックする。
紘がドアを開け顔を出す。
なつき「おはよう」
紘「おぅ、おはよう」
なつき「ちょっと入ってもいい?」
紘「おぅ」
〇同・中(朝)
なつきと紘。
紘「どした?」
なつき「ねぇ、僕が描いたあの似顔絵。紘、本当は知ってるんじゃない
の?」
紘「…」
なつき「僕、どこかで見た事がある気がするんだけど…」
紘「やっぱ、覚えてたかぁ…」
なつき「じゃあやっぱ知ってるの?」
頷く紘。
なつき「じゃあ、何であの時言わなかったの?」
紘「皆を変に巻き込むわけにはいかないだろ?」
なつき「…」
紘「今も、メールが良く来てるんだ。何とか上手く断ってはいるけど
さぁ。もうかなりしんどくなってきた」
なつき「あの子とどういう関係なの?」
紘「コスプレのイベントで見に来ててさ、俺の事気に入ってくれたん
だ」
なつき「あー!」
紘「何だよ、びっくりしたー」
なつき「それで、あの子の事どこかで、見た事あるような気がしてた
んだよね。その時のコスプレイベント僕も行ってたから」
紘「あぁ、そっか…そういや来てたもんな」
なつき「やたらと紘に話しかけてきてたもんね。メールが来てるって
連絡先交換してたんだ」
紘「結構しつこく聞いて来るからさあ…メールだけは交換した。電話
番号とかは教えてないけど…ってか何でここが分かったんだろうな
あ…」
なつき「まぁ、考えられるのは紘の後をつけて来たとか?」
紘「まぁ、そうだろうなぁ。俺、昼からコスプレイベントのオフ会行
くんだけど彼女来ると思うからその時、話してみるわ。家に来られ
るのは迷惑だって」
なつき「うん…紘」
紘「ん?」
なつき「大丈夫?」
紘「あぁ。皆には内緒にしててくれよな」
なつき「うん…」
〇同・一階・リビング
紘となつきが来る。
紘「ちーちゃん。俺出掛けてくる」
千秋「えー出掛けるの?」
キッチンから戻ってくる宗介。
宗介「おぅ、紘になつきも」
千秋「紘、出かけるんだって」
宗介「あーそうなんだ。今から昼飯でもって思ったんだけど」
紘「早くに言えば良かったな。ごめん」
宗介「いや、別にいいけど。なつきは?」
なつき「僕は食べようかなあ。宗ちゃんのご飯美味しいから」
千秋「折角琉華も七ちゃんも居て、皆でお昼食べようかなって思った
のに」
紘「俺が一日家に居るって事無いってちーちゃん知ってるだろ?」
千秋「…」
琉華「コスプレのイベントでもあるのか?」
紘「いや、今日はオフ会。まぁ来週あるコスプレイベントに向けて話
し合いとかもしとこうかなって」
琉華「ほんとに、紘ってアグレッシブだよなあ」
紘「俺が今、一番やりたい事やれてるから苦にもならねぇよ。じゃ行
ってくる」
千秋「ねぇ、夜は?」
紘「うーん、分かんねぇけど遅くなりそうだったら電話する。じゃ
行ってくる」
宗介達「行ってらっしゃーい」
七緒「ちょっと待って!」
紘「え?」
紘の前へ行き、顔をじっと見る七緒。
紘「な、何だよ…」
七緒「行ってらっしゃい」
紘「お、おぅ…」
リビングを出て行く紘。
宗介「セブン、何かあったのか?」
七緒「いえ、別に…」
千秋「じゃ、お昼にする?」
宗介「あぁ」
七緒M「紘さんに女難の相が出てる…」
〇カフェ・中
紘が入ってくる。
男「おい、紘。こっちー」
紘「おぅ!」
コスプレ仲間の千堂孝介(24)、宮田由香(22)とシェアハウス
前に居た山村チカ(20)が居る。
紘「ごめん、遅くなって…(チカを見て)あっ…」
チカ「紘さーん。こんにちは」
紘「こ、こんにちは…」
笑顔で紘を見ているチカ。
紘は引きつった顔でチカを見ている。
チカ「フフフ」
紘「ハハハ…」
続。
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