美しき怪物 ミステリー

「心の中には怪物がいる。そう、誰にだって」人の心を操る9才の美少年。
友里香 44 5 0 05/09
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第一稿

◯学校・校庭
   沢山の児童が遊具やボールで遊んでいる。
   じっと佇んで何かを見つめる神田翼(9)。
   チャイムが鳴る。

◯同・4年3組の教室
   4年3 ...続きを読む
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◯学校・校庭
   沢山の児童が遊具やボールで遊んでいる。
   じっと佇んで何かを見つめる神田翼(9)。
   チャイムが鳴る。

◯同・4年3組の教室
   4年3組の看板。
   宮内美咲(36)が教室に入って来る。
美咲「はーい皆んな座ってー。5時間目は国語ですよ。漢字の宿題の答え合わせからやりますから
 ね」
   松井翔(9)が手を挙げる。
松井「先生!」
美咲「松井くんどうした?」
松井「神田くんがいません」
美咲「え?」
   美咲は席を見る。
   空席がある。椅子の避難帽子には、神田翼と書かれている。

◯同・校庭
   美咲が走って来る。
美咲「神田くん!ここで何してるの?」
   神田が立っている。
美咲「これで2回目よ。チャイムが鳴ったら教室にきちんと帰らなきゃダメでしょ」
神田「ごめんね先生。でも面白かったから」
美咲「面白い?何が」
   神田が一歩横にずれる。
美咲「きゃ!」
   ネズミの死骸。
   神田の唇の口角が上がる。
美咲「神田くん近づかないで。ね、菌持ってるかもしれないから」
   美咲は神田の肩を掴む。
   神田はじっと死骸を見つめている。

◯同・応接室
   酒井道隆(43)と美咲が向き合っている。
美咲「殺した?」
酒井「うん。自分で言ったんだよ。ネズミを殺したのは僕なんですって泣きながら」
美咲「そんな…酒井先生とこの森川くんってとても優しい子じゃないですか?なのにどうして」
酒井「それが妙なことを言ってきてね」
美咲「妙なこと?」
酒井「おたくの神田翼くんがこう囁いてくるからって」
美咲「囁く?」
   酒井が美咲の耳元で囁く。
   美咲目を見開き驚き、酒井を見る。

◯同・職員室(夜)
   美咲がパソコンを打っている。背伸びをする。
   隣に座っていた酒井がカバンを持ち、
酒井「ではお先に失礼します」
美咲「はいお疲れ様です」
酒井「宮内先生」
美咲「はい」
酒井「私も本当に森川くんがやったとは今でも信じられません」
美咲「私もそう思います」
   酒井が頭を下げて去って行く。
   美咲がボーッと一点を見つめる。

◯同・校庭(夜)
   美咲が歩いてきて、
美咲「近くにあったスコップでって…そんなのあったっけ…」
   美咲が辺りを見回す。
   バケツとバケツの中に入っているスコップ。
   美咲がバケツを拾う。スコップを掴む。
   美咲の目は大きく見開く。
   血だらけのスコップ。

◯同・全景(夕)
   沢山の生徒が下校している。

◯同・4年3組の教室(夕)
   4年3組の看板。
   美咲が黒板の前に立っている。
美咲「さようなら」
児童の声「さようなら!」
   美咲、ふと何かを見つめる。
   神田がランドセルの中に教科書を入れている。
   神田は松井、広川智也(9)と共に帰って行く。

◯同・応接室(夕)
   美咲が座っている。
   美咲の真剣な目。
   森川勇希(9)が俯き座っている。
美咲「森川くん、あなた本当にネズミを殺してしまったの?」
   森川は小さく頷く。
美咲「どうして?あなた凄く優しいじゃない?」
   森川は口を結んでいる。
美咲「神田くんと何か関係してるの?」
   森川は口を結んでいる。
   震えている森川の手。

◯住宅街(夕)
   神田、松井、広川が歩いて行く。
   松井、広川がじゃんけんをしている。
   神田が立ち止まる。
神田「ねえねえもっと面白いことやろう」
松井「えなに?」
   松井と広川が神田に近寄る。

◯学校・応接室(夕)
   森川が頭を下げる。
森川「ごめんなさい」
美咲「え?」
   森川はカバンの中から1万円を取り出す。
美咲「どうしたの?それは」
森川「僕が盗みました」
美咲「え?誰から?」
森川「酒井先生の財布から盗みました。お母さんとお父さんがウチにはお金がないって喧嘩するの
 が嫌で…」
美咲「それがどうして神田くんと関係してるの?」
森川「見てたんです。神田くんは。すぐに先生に言われると思ったけど、神田くんは何もしなかっ
 た。僕に何してるんだとも、やめろとも言わずに、ただ僕をじっと見てたんです」
   涙を拭う森川。
   美咲の真剣な目。

◯住宅街(夕)
   神田を先頭に後を付いて行く松井と広川。
   神田が急に立ち止まり振り向く。
広川「面白いことって何?」
   神田を見つめる松井と広川。
神田「松井くんは僕に言ってたね。もっとハラハラすることがしたいって」
松井「ああうん」
神田「広川くんもそうだねって言ってたよね」
広川「うん」
神田「ならとっておきのゲームがあるよ」
   松井と広川は神田を見つめる。
   住宅の壁には、子供飛び出し注意の看板。
   神田の口角が上がる。

◯学校・応接室(夕)
   森川は涙を拭う。
   美咲は森川に近寄り、背中を撫でる。
美咲「よく正直に言ってくれたね」
森川「神田くんはバケツに入ったネズミに向かって、僕の盗んだお金を入れようとしたんだ。ネズ
 ミは何でも食べるんだよって」
   森川は涙を拭う。
森川「僕は咄嗟にスコップを持って…そしたら神田くんが笑いながら僕に言ったんだ」
   森川は何かを呟く。

◯住宅街(夕)
   松井と広川の肩に手を掛ける神田は笑みを浮かべ、神田は松井と広川の耳元で囁く。
神田「これはゲームだから」
   松井と広川はじゃんけんをする。
   松井が一歩前へ足を出す。
松井「やっぱやめようかな」
神田「弱虫だね。松井くんは。そう思わない?広川くん」
広川「そうだそうだ、俺ならやれるけどな。お前ビビってんだろ」
松井「うるせえ!」
   松井が子供飛び出し注意と書かれた看板の角に身を潜める。
   一台の車が進んでいる。

◯住宅街(夕)
   美咲が走っている。
   救急車とパトカーが止まっている。
   周りには沢山の住民。
   美咲が走って来る。
   救急車に運ばれる担架。
   走る美咲。
   泣いている広川の元へ美咲が駆け寄る。
美咲「広川くん一体何が…」
   美咲、視線が止まる。
   美咲をじっと見つめる神田。
神田「これはゲームなんだよ先生」
   美咲は眉間にシワを寄せる。
   笑みを浮かべる神田。

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