登場人物
陸 (33) 男、天然でバカ。
直人 (32) 男、皮肉屋。
ゆず子(33) 女、サバサバしてる。
沙紀 (32) 女、THE 女子。
Twitter: @naokiisonline
エレベーター
〇あるビルのエレベーターの中
直人、エレベーターに乗っている。
エレベーターが途中階で止まったので、直人は人が入れるように「開」ボタンを押し始めた。
その瞬間、エレベーターに乗ってきた人が反対側のボタンで同じく「開」を押し始めた。
直人 「(なんてこった!)」
〇陸の部屋
直人と陸がテレビを見ながらソファでテイクアウトした夕飯を食べている。
陸 「こないだトイレ入っててさ、小便器のほう。それで自分以外誰も使ってないのに、次に来た人が俺の隣の小便器を使い始めたんだよ。」
直人 「それは一番やっちゃいけないことだな。一番ダメ。」
陸 「だよな?」
直人 「その場合はお前から遠いところ選ぶのが普通じゃない?」
陸 「そうなのよ!少なくとも一つは空けるよな?」
直人 「それが暗黙の了解だよ。」
陸 「殺されるかと思ったわ。」
直人 「それが許されるのは、スパイがこっそり任務を言い渡す時だけだな。」
陸 「それはちょっとよく分からないけど。」
直人 「てか、俺もこないだ驚いたことがあったよ。」
陸 「なに?」
直人 「エレベーターに乗ってて途中階で止まったから俺が『開』ボタンを押し始めたんだよ。人が入れるように。にも関わらず、そのあと乗ってきた人が反対側のボタンで『開』を押し始めたんだよ!びっくりだよ!」
陸 「え、ごめん、何に怒ってるの?」
直人 「分からないの?俺が責任もって『扉開ける担当』をやってるのに、そいつは同じことし始めたんだよ?二人で開けるボタン押す意味ないだろ。」
陸 「まぁ、確かに。」
直人 「あの人はおれを信用していなかったんだよ。」
陸 「いやー、ただ単にお前がボタン押してるとか関係なく、その人は無意識にやっちゃったんじゃない?」
直人 「無意識に意味ないことするのか?信じられない。」
陸 「それか過度に人の役に立ちたい人なのかもな。」
直人 「あれ、なんかさっきのトイレの話ほど盛り上がらないな。同じあるあるなのに。」
陸 「いや、お前のはあるあるじゃないのよ。」
直人 「次見かけたら俺言っていいかな?『すいません、俺が「開く」押してるんで押さなくて大丈夫ですよって。』」
陸 「絶対トラブるからやめた方がいいよ」
〇沙紀の部屋
ゆず子がトイレから出てくる。
沙紀がリビングにいる。
ゆず子「急に寄っちゃってごめんねー。近くにいたんだけどトイレ行きたくなっちゃってさ。」
沙紀 「全然大丈夫だよ。暇してただけだから。」
ゆず子がテーブルの上のピザに気付く。
ゆず子「沙紀、ピザ頼んだの?」
沙紀 「そう」
ゆず子「一人で?」
沙紀 「そうだよ。」
ゆず子「一昨日も一緒にピザ食べなかった?」
沙紀 「あーそういえば食べたね。」
ゆず子「何かおかしい。常にダイエットを気にしている沙紀がそんな連続でピザ食べる?」
沙紀 「最近ハマってるだけだって。」
ゆず子「何か隠してるでしょ!ここ一週間で何回ピザ頼んだ?」
沙紀 「・・・4回。」
ゆず子「4回!?なんでそんな頼んでるの?」
沙紀 「・・・」
ゆず子「白状しなさい。」
沙紀 「ピザの宅配員が超かっこいい。」
ゆず子「は?」
沙紀 「宅配で来てくれる男の人が超かっこいいんだって!俳優かと思うくらいかっこいいの。」
ゆず子「その人を見たいからピザを週に4回も頼んだの?やりすぎでしょ。」
沙紀 「ゆず子も見たら絶対惚れるって。」
ゆず子「かっこいいかもしれないけど、店員さんでしょ。そんな本気で惚れる訳ないって。」
沙紀 「じゃあ今からピザ頼んでみる?」
ゆず子「・・い、いいよ。」
沙紀はスマホからピザを注文。
沙紀 「はい。頼んだから。じゃあちょっと化粧してくる。」
ゆず子「え、沙紀もう化粧してるでしょ?」
沙紀 「これはレベル1の化粧だから。あの店員さんに会うには最低でもレベル2にはしなくちゃ。」
ゆず子「レベル何まであるの?」
沙紀 「レベル4まであるよ。」
ゆず子「レベル4はどんな時に使うの?」
沙紀 「山Pとデート行くときとか。」
ピンポーン。
しばらくしてピザが届く。
沙紀 「きたきたー。ゆず子、受け取ってきていいよ。」
ゆず子「はいはい。どうせそこまでじゃないって。」
ゆず子がドアを開ける。
ピザ宅配員「こんばんは。ピザのお届けです。」
ガチャン。
ゆず子がドアを閉める。
ゆず子「やばい。あり得ないくらいかっこいい。」
沙紀 「でしょ?だから言ったじゃん。」
ゆず子がドアを開ける。
ゆず子「ごめんなさい。間違えてドア閉めちゃいました。」
沙紀 「(いやどんな間違えだよ)」
ピザ宅配員「こちらマルゲリータです。」
ゆず子「はーい、ありがとうございます。」
ピザ宅配員「ありがとうございます。ではまたのご利用をお待ちしています。」
ピザ宅配員が帰っていった。
ゆず子「かっこよすぎる。一瞬で惚れたんだけど。」
沙紀 「ほんとかっこいいよね。」
ゆず子「声もかっこいい。『こちらマルゲリータです。』って言ったところ録音しとけば良かった。で何回もリピートで聞きたい。」
沙紀 「あたし録音したのあるから送るよ。『こちらクアトロ・フォルマッジです』もあるから送るね。」
ゆず子「ほんと?絶対送って!」
沙紀 「送る!やったー!待って私たち、今キモいかな?」
ゆず子「うん、多分キモい!」
〇あるビルのエレベーターの中
直人がエレベーターに乗っている。
エレベーターが止まったので、直人は人が入れるように「開」ボタンを押し始めた。
するとエレベーターに乗ってきた女性が反対側のボタンで「開」を押し始めた。
直人 「(でた!)」
ボタンは連動して光るので、誰かがすでに押してることは分かるはず。
それでも女性は自分でもボタンを押す。
直人 「(もう我慢できない。言ってやる)」
直人 「(女性に向かって)すみません、僕が『開』を押しているんで、あなたには『開』を押してもらわなくても大丈夫ですよ。」
女性 「え、どういうことですか?」
直人 「僕が扉を開いているので、わざわざ同じことしても意味ないですよってことです。」
女性 「意味が分からない。私は押しちゃいけないって言いたいんですか?」
直人 「どちらか一方がやればいいから無駄じゃないですか。僕が最初にボタンを押し始めたんだから、僕に任せてください。」
女性 「何をむきになってるんですか。」
直人 「僕が責任持ってやってるのに、それを疑うかのように後からボタンを押されたらいやな気持になるでしょ。」
女性 「そんなこと考えたことなかったです。よくそんな風に考えられますね?」
直人 「僕のこと信用してないんですか?」
女性 「今この会話で信用しなくなりました。」
直人 「もっと他人を信用してください。」
女性 「てかそれってわざわざ口に出して言う必要あります?」
直人 「言わなきゃ直らないですよね。」
女性 「直すことじゃない、だって何の問題もないんですから!」
直人 「この後止まった階は僕が『開』押すんで任せてください。」
女性 「勝手にしてください。」
その後女性は不機嫌になりながらエレベーターから降りて行った。
〇直人の部屋
沙紀とゆず子が遊びに来ている。
直人 「二人はこの後は何する予定?」
沙紀 「私とゆず子は、そうね、夜になったらピザでも食べる?」
ゆず子「いいね。久しぶりに食べよう。直人は何するの?」
直人 「前に陸とルームシェアするかもって言った話覚えてる?」
沙紀 「覚えてるよ。どうなったの?」
直人 「今日この後、候補のアパートの入居前面談があるんだ。」
沙紀 「面談?」
直人 「そう。そのアパートは広くて安いから大人気なんだけど、それゆえ若者が入ってパーティーとかして騒音が起こるのが問題になってるんだって。だから大家さんが入居者と事前に会って、それで素行が悪い人じゃないか確認するらしい。」
ゆず子「そんなアパートあるんだ。」
直人 「大家さんもそんなことしたくないらしいんだけど、仕方なくやってるんだって。仕事とか、人柄を見るだけだから普通は問題ないって言ってた。」
ゆず子「なるほどね。陸も一緒に行くの?」
直人 「そう。原則入居する人全員参加らしい。でもあいつまだ来ないなぁ。」
ピンポーン。
部屋のチャイムがなり、ドアを開けると酔っぱらった陸が入ってくる。
陸 「お待たせー。行こうぜ、面談。」
陸は酔っぱらっていて、ふらふらしている。」
直人 「お前、酔っぱらってる?」
陸 「あー、朝までパーティーしてた。大学の時の友達で海外行っちゃう人がいて、お別れパーティーだよ。」
直人 「お前とお別れしたいわ。」
陸 「大丈夫だって。この通り酔いは冷めたから。ほぼね」
直人 「どうすんだよ面談!大家さんが一番警戒しているのがそういう朝までパーティーするような人たちだよ。印象悪くなるだろ。」
陸 「人生ってのは意味ないんだよな。すべてのものはいつか終わる。だからこそ今を楽しむんだよ。」
直人 「とにかくお前は面談で一言もしゃべるな。しゃべった瞬間酔っぱらってるのがばれるから、ただずっとニコニコしてればいい。話すのは俺が全部話すから。」
陸 「了解!あ、ふらふらして起き上がれない。起こして。」
直人 「めんどくせーなー。」
直人は陸の手を引っ張り起こし、出かける準備を始めた。
〇沙紀の部屋
夕方、沙紀とゆず子がテーブルで話し合っている。
沙紀 「はい、今ピザを注文完了しました。やったーまた会える!」
ゆず子「だめ。」
沙紀 「え?」
ゆず子「これで最後にしよう。ピザを頼むのは。」
沙紀 「なんで?」
ゆず子「たしかにあのピザ宅配員はかっこいい。だからってピザを何枚も頼むのは馬鹿らしいからもうやめよ。」
沙紀 「そんなの自分でも分かってるけど。でもどうやってやめるの?私、彼のことずっと考えちゃうのよ?」
ゆず子「気持ちは分かるけど。」
沙紀 「・・・」
ゆず子「・・・」
沙紀 「あの人を嫌いになるとか?」
ゆず子「どうやって?」
沙紀 「百年の恋も一時で冷めるような、男の人がしてたら嫌なことをあの人がしているところを見れればいいんだよ。」
ゆず子「いいかも。」
沙紀 「例えば、食べる時くちゃくちゃ音を立てたり、食べ方が汚いとか。」
ゆず子「あ!元カノと比べてくる人とか?」
沙紀 「そう。あと割り勘が超細かい人とか。よし、ノートに書いていこう。」
二人はノートに男の人がしたら嫌なことリストを書いていった。
ゆず子「結構出てきたね。これを何となく彼に聞いて、確かめよう。」
沙紀 「これをどうやって何となく聞く気?」
ゆず子「何とかして話繋いでうまく持っていくしかないよ。」
ピンポーン。
ピザが届いた。
ゆず子「やばい!もう来ちゃった。じゃあ、作戦決行ね。」
ゆず子がドアを開ける。
ゆず子「こんばんは。」
ピザ宅配員「こんばんは。ペスカトーレと、サイドのポテトとナゲットです。」
ゆず子「ありがとうございます。」
ピザ宅配員「はい、これで全部ですね。」
ゆず子「・・ちょっとあの、中身がちゃんと合ってるか確かめてもいいですか?」
ピザ宅配員「え、はい、大丈夫です。」
ゆず子「寒いんで、中でお待ちください。」
ピザ宅配員「ここで大丈夫ですよ。」
ゆず子「まぁそんなこと言わずに中へどうぞ。」
ピザ宅配員「・・・は、はい、分かりました。」
ピザ宅配員は玄関に入り、ドアが閉まった。
ゆず子「靴脱いで上がってください」
ピザ宅配員「いや、それは流石に。ここで大丈夫です。」
ゆず子「ここだと暗くて見えないので。」
ピザ宅配員「いや、でも。」
ゆず子「大丈夫です。さぁ、どうぞ。」
ピザ宅配員はリビングに入り椅子に誘導される。
二人もテーブルの椅子に座る。
ゆず子「あ、ちょっとピザの中身見てみますね。」
ゆず子はピザとサイドメニューの箱を開けた。
中にはポテトとナゲットが入っている。
ゆず子「(この後どうすればいいんだ)」
沙紀 「ちょっと味見しますね。」
ピザ宅配員「は、はい。」
沙紀 「うん、おいしいです。お兄さんも一つポテト食べてみませんか?」
ピザ宅配員「え、何言ってるんですか。それはできませんよ。」
沙紀 「いいんですよ。沢山働くと小腹も減るんじゃないですか。」
ピザ宅配員「とはいえ、お客様のですから。」
沙紀 「いいんです、食べてほしいんです。」
ピザ宅配員「困ったな。。」
沙紀は紙皿にポテトとナゲットをよそい、ピザ宅配員に渡した。
ピザ宅配員「じゃあ、、いただきます。」
沙紀 「(これで食べ方が汚かったら彼を諦められるかも!)」
二人は彼が食べるところをさりげなくじっくり見る。
彼はいたって普通に、むしろきれいに食べる。よく噛んで、食べ終わったらティッシュで口をふいて、箸をそろえて皿の上に置いた。
ピザ宅配員「ごちそうさまでした。美味しかったです。(笑顔)」
ゆず子「(なるほど)」
沙紀 「(更に惚れたわ)」
ピザ宅配員「じゃあすみません。僕はこれで失礼しますね。紙皿と箸どちらに捨てればよろしいでしょうか?」
ゆず子「あ、それは捨てておくんで置いといて大丈夫です。それより、沙紀、このお代どうする?」
沙紀 「え、どうするって二人で割れば、、(あ、割り勘が細かくないか聞く話に繋げるのね!)割り勘にしましょ。」
ゆず子「じゃあ一人1327円ね。」
沙紀 「あー細かい。一円単位まで割るねの。昔付き合ってた彼氏にもそういう人がいたわ!デートなのにいつもきっちり割り勘。お兄さん、そういう細かい割り勘する人をどう思います?」
ピザ宅配員「僕ですか?うーん、僕はデートだったら奢ってあげたいって思うし、いつも自然とそうしてるからあまり考えたことなかったですね。でもきっとその彼は、お金が厳しい時期だったとか、お金を本当に大切にしてる人だとか、何か理由があったかもしれませんね。(笑顔)」
ゆず子「(模範解答きた)」
沙紀 「(AIより正確な受け答えするなこいつ)」
沙紀 「その男そういえば、カフェとかで店員さんへの態度がすごく悪くて。タメ語は当たり前、すごい上から目線だったんだよね。嫌なこと繋がりで思い出しちゃった。お兄さんはそういうのどう思いますか?」
ピザ宅配員「僕は前にコンビニ店員やってて少し乱暴なお客さんもたくさん見てきたので、今はつい丁寧に接してしまいますね。」
ゆず子「もし急いでいる時に、店員さんがすっごいゆっくりレジしてたらどうします?さすがにイライラが出ちゃいますよね?」
ピザ宅配員「いやぁ大丈夫です。全員が全員完璧に接客出来たらそっちの方が不自然ですよ。そういう人もいるって割り切りますね。商品を袋に入れるの僕が手伝うのはあるかもですね。」
ゆず子「(なんてこった)」
沙紀 「(この子の親御さん、良く育てた)」
〇アパートの一室
直人と陸がアパートの入居面談に来た。
管理人が一緒にいるが、まだ大家さんは来ていない。
直人 「いい部屋ですね。」
管理人「そうですよね。この値段でこの広さは中々ないですよ。」
陸 「・・・」
陸は酔っぱらっているので、しゃべらないことにしている。
直人 「もうすぐ1時ですね。」
管理人「はい、大家さんがそろそろいらっしゃると思います。みなさんがお話中は私は外で待機していますので。」
ガチャ。
ドアが空いて、大家さんが入ってきた。
大家さん「こんにちは、すいません、わざわざ来ていただいて、、」
直人 「こんにちは、今日はよろしくお願いします。、、ん?」
大家さんは直人がエレベーターで喧嘩になった女性だった。
直人 「(やばい)」
大家さん「あなた、この間エレベーターで。」
直人 「あ、え、えっと。」
陸 「・・・」
管理人「どうかしましたか?」
大家さん「いえ、ちょっと。では、面談始めますので。」
管理人「では私は失礼しますね。」
管理人が部屋から出ていった。
直人 「先日はその、すみませんでした。」
大家さん「よく言いますね。あなたとはもう話したくないです。」
直人 「いやでも、それとこれとは別じゃないですか?」
大家さん「別じゃないです。あなたが入居したらトラブルが増えそうな気しかしないです。」
直人 「そんなことないですよ。」
大家さん「(陸に向かって)そちらの方は、お友達のことをどう思いますか?私がエレベーターのボタンを押しているだけで文句を付けてきたんですよ。」
陸 「・・・」
大家さん「どうかしましたか?」
直人 「(返事しろ陸)」
陸 「あ、ああ。彼は、良い人だと思いますよ。良い人です。今日も動けなかった僕を手を引っ張ってここまで連れてきてくれました。」
大家さん「なんで動けなかったんですか?」
陸 「ああ、その、」
直人 「昨日からちょっと風邪気味だったんだよな。」
陸 「そうです。」
直人 「あ、でももう今は治ってきてるので風邪が移ることはないです。」
陸 「何がうつる?」
直人 「風邪だよ」
陸 「誰が風邪引いたの?」
直人 「・・・」
陸がテーブルの上の水を一気飲みする。
陸 「あーうまい。」
大家さん「?」
直人 「大家さん、僕らこの部屋をぜひお借りしたいんです。」
大家さん「分かってます。あなたとはトラブルありましたけど、今話してみて嫌な印象はなかったですし、経歴も真面目そうなので、前向きに検討します。」
直人 「ありがとうございます!」
大家さん「ただ、一つ条件があります。エレベーターの件だけ謝罪いただけますか?」
直人 「さっき謝ったじゃないですか。」
大家さん「ちゃんと正式に謝罪して欲しいです。『開』ボタンを押しているだけで文句を言った私が悪かったです、と。」
直人 「・・・はい。分かりました。「開」ボタンを押しているだけで文句を言った私が、、」
陸 「?」
言葉に詰まる直人。
直人 「悪かっ、」
陸 「どした?」
直人 「悪くないです。文句を言ったんじゃありません。思いを伝えただけです。」
大家さん「なんですって?」
陸 「直人何言ってるんだよ?早く謝れ!」
直人 「いや、謝らない。おれは思ったことを言っただけだ。自分に嘘は付けない!」
陸 「何言ってんだよ。今の状況分かってるだろ!非を認めればいいじゃないか。」
大家さん「やっぱり本性を表しましたね。」
陸 「なんてバカなことするんだ。」
直人 「うるさい!」
陸 「心ではそう思っていても、それを表に出さず対処するのが大人だろ。なんでそんな簡単なことができないんだ。」
直人 「簡単なこと?お前だって面談の当日にお酒控えるというはるかに簡単なことが出来てないだろ!酔っぱらいが!」
大家さん「酔っ払い!?」
陸 「あーそうです。酔っ払いですよ私は!だから何ですか?」
大家さん「もういい、二人ともお引き取りください!」
〇沙紀の部屋
沙紀とゆず子、ピザ宅配員が椅子に座っている。
ピザ宅配員「すいません、じゃあ僕は失礼しますね。」
ゆず子「あっ、はい。(結局欠点を見つけられなかった。。)」
沙紀 「わざわざありがとうございました。。」
ピザ宅配員が玄関に向かう途中で、冷蔵庫に貼ってある写真を見た。
ピザ宅配員「これは、あなた達お二人と、この男性二人は彼氏ですか?」
沙紀 「いや、それは友達です。」
ピザ宅配員「ああ、ですよね。」
沙紀 「どうかしました?」
ピザ宅配員「いやなんでもないです。ただ、お二人が美人なのにこの人たちと付き合ってるのかと思ったら、」
沙紀 「思ったら?」
ピザ宅配員「何でもないです。ただもっとイケメンじゃないと釣り合わないんじゃないかと思ってしまいました。」
沙紀 「?」
ゆず子「ちょっと待って、あなた私たちの友達をけなしています?」
ピザ宅配員「そんなことないです!ただ、美人なんだからイケメンと付き合っているのかと思い込んでいました。僕みたいな。」
ゆず子「おーーっと!」
沙紀 「それは、ずいぶんな自信ですね。」
ゆず子「私たちの友達をイケメンでないと言いましたね?」
ピザ宅配員「イケメンでは、、ないですよね?笑」
沙紀 「帰ってください。」
ゆず子「はい、出口あっちです。」
ピザ宅配員「何ですか急に。あなたたちが招いたんじゃないですか。」
沙紀 「まさかナルシストだったとはね。しかも私たちの友達をけなすという。あーこれでけじめが付いた。お陰でまたダイエット始められそうです。」
ゆず子「ピザ代も浮きました!」
ピザ宅配員「ダイエット?ピザ代?何の話ですか?」
バタン。
二人はピザ宅配員を部屋から追い出した。
〇カフェ
陸、直人、沙紀、ゆず子がお茶している。
直人 「って感じでいろいろあって、結局あの部屋はゲットできませんでした。」
ゆず子「仕方ないね。あんたら二人揃ったら確かにトラブル起きる気しかしないわ。」
直人 「うるさいわ。」
陸 「二人は?最近よく沙紀の家で遊んでるらしいじゃん。」
ゆず子「あーそれはたまたまだよ。」
沙紀 「私はねー最近イケメンを見つけたんだけど、ナルシストで友達をけなしてきたから会うのやめた。」
陸 「友達っておれじゃないよね?」
沙紀 「違うよ。ナルシストはまだしも、やっぱり友達の悪口だけは許せなかったよね。」
直人 「熱いな。ワンピースかよ」
陸 「ワンピースなら沙紀はナミって感じだよな。」
沙紀 「え、私ロビンが良いんだけど」
直人 「ロビンになれるわけないじゃーん。冷静さがないもん」
沙紀 「は?あんたなんかブルックだからね?」
直人 「ブルックいいじゃん。強いよ?」
沙紀 「ギャグがつまらないからブルックってことだから」
直人 「おお、いい度胸だね。言わせてもらうけど、客観的に見てもおれはゾロか」
・・・
こうして話は続いていった。
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