同じ卵を分け合ったとて ドラマ

一卵性双生児の兄弟、姉妹。サイコパスと真人間の兄弟間での葛藤を描きます。
Yamaru 6 0 0 02/05
本棚のご利用には ログイン が必要です。

第一稿

   人 物
松岡幸人(38) 公安の刑事
松岡裕実(33)幸人の妻
松岡莉子(5)幸人の娘
鈴井敬人(38) 謎の男
島袋哲也(53)幸人の上司
園長


...続きを読む
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
 

   人 物
松岡幸人(38) 公安の刑事
松岡裕実(33)幸人の妻
松岡莉子(5)幸人の娘
鈴井敬人(38) 謎の男
島袋哲也(53)幸人の上司
園長


◯松岡家・リビング
   松岡幸人(38) が食パンを齧りながら
   新聞をめくっている。
   その向かいで松岡莉子(5)がタブレッ
   ト端末で絵本を読みながら食事をして
   いる。
そこに松岡裕実(33)が席に着く。
裕実「莉子、お行儀が悪いわよ」
莉子「パパもやってる」
裕実「幸人」
幸人「これも仕事のうちだ」
裕実「…前言ってたやつ、大丈夫だったの?」
幸人「何の事?」
裕実「ほら、新興宗教の中に潜ったって」
幸人「お前、もっとオブラートに包めよ。誰
が聞いてるか分かんないだろう」
  裕実、家の中を見回し
裕実「誰か聞いてるの?」
幸人「公安の仕事は、家の中でも盗聴を疑う。
これが鉄則だって。何度も言ってるだろ」
裕実「でもじゃあ何て言えば良かったのよ」
幸人「安心しろ。団体は弱体化して、俺もも
 う事件自体から身を引いてるから」
裕実「なんだ、それなら良かった」
裕実、莉子の頭に手を置く。
裕実「この子も来年から小学校なんだから、
お父さん少しは仕事選んでよね」
莉子「でよね!」
幸人、苦虫を潰した表情で新聞を畳み
   席を立つ。

◯同・玄関
幸人が靴紐を結ぶ。
そこに莉子が弁当を持ってやってくる。
   幸人は弁当を受け取り、鞄へ。
幸人「莉子、ランドセルの目星つけたか?」
裕実「目立っても水色がいいって。誰かに似
て頑固なのよ」
幸人「いいじゃないか水色。綺麗な色だ」
幸人、出て行く。
裕実「行ってらっしやい!」
   ドアがバタンと閉まると、裕実は何と
   なく玄関先の観葉植物の鉢に手を伸ば
   す。
裕実「盗聴か…」
鉢の中の肥料に手を入れ、探るがすぐ
   止める。
裕実「な訳ないか」
   そこにバタバタと男が駆け込んでくる。
裕実「幸人?どうしたの?」
男「すまん、すぐに逃げてくれ。支度を」
裕実「え…何が…」
男「早く!」
裕実、慌てて家の中へ駆け出す。
   男は幸人に顔、服、鞄の全ての風貌がそ
っくりな鈴井敬人(38)。

◯警視庁・公安部
幸人が入ってくる。
そこに島袋哲也(53)がやってくる。
島袋「一課の奴らまだ取り調べしてるぞ」
幸人「例の同級生殺しですか」
島袋「あんな小娘ごときも吐かせられないな
 んてな。冷やかしてやろうぜ」
幸人「やめて下さいよ。益々嫌われますよ」
島袋「いいからお前も来いよ」
   島袋、去って行く。
   幸人、自分のデスクにカバンを置いて
   ため息をつく。

◯同・ミラーの取調室、隣の部屋
入ってくる幸人と島袋。
   捜査一課の刑事たちが集まって取調室
   を睨み見ている。
窓の向こう、取調室では容疑者の20く
   らいの女が俯いていて、その向かいに
   いる刑事が女を睨んでいる。
島袋「おーおーガッチガチじゃない」
   一課の刑事たち、一斉に島袋を見る。
幸人は無理やり笑って会釈。
島袋「ところでお前ら知ってんのか?この子、
一卵性双生児だぞ」
幸人「え?」
一課の刑事たちも騒つく。
   取調室では女がポロっと涙を流す。

◯走っている車・車内
鈴井が運転をしている。助手席に裕実、
そして後部座席に莉子。
莉子「ねえパパ〜どこまで行くのぉ?」
鈴井「とにかく東京を離れるんだ。莉子、眠
くなったら眠っていいからな?」
裕実「一体何があったのよ」
鈴井「この車の中も危ないんだ。とにかく、
今夜の宿に着いたらちゃんと話すから」
裕実「せめて何処に行くかだけ教えてよ」
鈴井「それも後で話すから」
鈴井、そう言いながら裕実の頭上の日
   除けカバーを指差す。
   開けると「とにかく南に行く」と書い
たメモが貼ってある。
裕実、ハッとして鈴井を見る。
   鈴井もチラリと裕実を見る。

◯警視庁・喫煙所
幸人と島袋が煙草を吸っている。
幸人「しかし化けもんですね、島袋さん。一
課の事件なんていつ調べる隙間があったん
ですか?」
島袋「調べなくても真実が向こうから寄って
 くるの」
幸人「しかし、双子の妹を洗脳してたなんて。
それで身代わりをさせて黙秘で時間稼ぎか。
 一卵性双生児でも性質は変わるもんですよ
ね。片方はサイコちっくに、片方は臆病に」
島袋「もしくは両方ともサイコか」
幸人、島袋を見る。島袋はニヤッと笑
う。幸人、それを見て笑い
幸人「怖いこと言うな〜ほんと」
   そこに幸人の携帯が鳴る。
幸人「(出て)はい、松岡です」
園長の声「あ、莉子ちゃんのお父さんですか?
 今日莉子ちゃんとお母さんが見えられてな
 いんですが、ご欠席でしょうか?」
幸人「え?いえ、莉子今朝は普通でしたが」
園長の声「お宅に電話しても繋がらなくて。
今日、遠足なのでどうしたのかなぁと思い
 まして」
幸人「すみません、ちょっと家内に連絡して
 みます」
幸人、電話を切り、裕実に電話をかけ
   る。
島袋「パパさんも辛いなぁ〜」
島袋、大きく伸びをして煙草の火を消
し、去って行く。
裕実は電話に出ない。
電話のコール音が響き、幸人は足をバ
   タバタと貧乏揺すりする。

◯パーキングエリア・駐車場
鈴井が車のすぐ近くで煙草を吸ってい
   る。

◯駐車された車・車内
後部座席の莉子は口を開けてすっかり
   眠っている。
助手席でため息を吐く裕実。
後部座席に置かれていた鈴井の鞄がず
   り落ちてビクッとする。
後ろを振り返り、鞄を元に戻そうとし
て掴んだ裕実の手が止まる。
そこに、鈴井が煙草をしまいながら乗
   り込む。
鈴井「トイレ大丈夫か?」
裕実「うん、平気」
鈴井「じゃあ行こうか」
鈴井がエンジンをかける。
裕実、鈴井をまじまじと見る。
裕実「パパ」
鈴井「うん?」
裕実「お弁当どうしたの?」
鈴井「え?」
裕実「朝持っていったお弁当。もう食べた?」
   鈴井、答えずに車を発車させる。
裕実は不思議そうに鈴井を見つめる。

◯警視庁・公安部
幸人がデスクで激しく貧乏揺すりをし
   ている。
急に立ち上がり、島袋のデスクへ。
幸人「すいません、一度家に戻っていいです
 か?」
島袋「え?家でなんかあった?」
幸人「いえ、繋がらないだけで外出してるの
 かも分かりませんが…」
島袋「なんだよ。そのうち繋がるよ。落ち着
けって」
幸人「なんか落ち着かないんすよ」
島袋「…もう一本吸ってくるか?許してやる」
幸人「いえ、今朝の事件…」
島袋「なんなんだ」
幸人「一卵性双生児なんです、俺」
島袋「おお、奇遇じゃねーか」
幸人「で、すいません隠してたんですけど、
親が離婚してすぐに弟は少年院入って」
島袋「おお」
幸人「でも、記憶では15の時まで顔ほんとそ
 っくりだったから」
島袋「なんだよ、はっきり言えよ」
   幸人の携帯がぶぶッと振動する。
携帯の文面「兄貴、久し振り」
   幸人がスクロールするとそこには眠っ
   た莉子と裕実の写真が。
幸人、それを見て走り出す。

◯走っている車・車内
助手席で深く眠る裕実。
   後部座席の莉子も横になって眠る。
鈴井はハンドルを握りしめたまま、口
笛を吹いている。

この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
本棚のご利用には ログイン が必要です。

コメント

  • まだコメントが投稿されていません。
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。