伝説のピンサロ嬢(最終選考作品) その他

第3回 北杜「水の山」映像祭 北杜市シナリオコンクールにて、 最終選考に残った「遺跡」のラジオドラマシナリオです。 どうして最終選考に残ったのかは、いまだに謎です。 あらすじ 東京在住のトキオは、北杜市へ移住することになった。 住み慣れた東京から離れることに気が乗らなかったが、同棲相手の春子がどうしても引っ越すと言ってきかないので、渋々ついていくことにしたのだが。。
井出眞諭 30 0 0 11/20
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第一稿

登場人物
トキオ(23)
春子(23)
マドカ(70)
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登場人物
トキオ(23)
春子(23)
マドカ(70)
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本文(A4サイズ20字×20行で5枚程度)

SE 蝉の鳴き声。

トキオM「暑い……暑すぎる。だから僕はこ
 んなところに来たくなかったんだ。でも彼
 女がどうしてもここに住みたいって言うの
 で、しぶしぶ移住を決めた。もちろん引っ
 越し費用は全て彼女に負担させた」

春子「いい所だねー。景色もいいし、東京の
 ことなんてすぐに忘れられるよ」
トキオ「そうだね。こんなだだっ広い原っぱ
 をただひたすら歩くのも悪くないよ」

トキオM「嫌な予感は的中した。こんな蒸し 
 暑いところ耐えられない。僕は癖っ毛なん
 だ。コンビニはどこだ。車もないのに生活
 できるのか。それに仕事だって探さなくち
 ゃいけない。ああ! お先真っ暗だ」

春子「荷物は明日届くことになってるから。
 今日はいろいろ見て回れるね」
トキオ「春子、その前に仕事探した方がいい
 んじゃないかな。東京の頃と違って、簡単 
 には見つからないかもしれないよ」
春子「たしかにそうだね。仕事探さないと」

トキオM「まあ春子が働ける店ぐらいすぐに
 見つかるだろう。そう、何を隠そう春子は
 五反田で名を馳せた伝説のピンサロ嬢マド
 カさんの弟子なのだ! もっとも、僕はま
 だマドカさんに会った事はないのだが」

SE 車が止まる音。

春子「マドカさん、この度はお世話になりま
 す!」
マドカ「まあまあ春子ちゃん、よく来てくれ
 たわね〜。嬉しいわ」
トキオ「え、どうゆうこと?」
春子「もう! この前話したでしょ。マドカ
 さんは今こっちに住んでるんだよ」

トキオM「そうか! 春子はマドカさんを頼
 って移住を決めたのか。ということはつま
 り、この土地にもそっち方面の仕事がある
 と考えて問題ないな。危ない危ない。とに
 かく僕が働く必要はなさそうだ。それにし
 ても……この人が伝説の?」

マドカ「ちょっと運転代わってもらってもい
 いかしら? そろそろ免許の自主返納を考
 えていたのだけど、あなたたちがいてくれ
 ればもう安心だわ」

トキオM「どうゆうことだ! ただのクソバ
 バアじゃねえか!」

春子「マドカさん、ごめんなさい。あたした
 ち免許持ってないんです」
マドカ「あらごめんなさいね。いいのよ。東
 京の人は車がなくても生活できるし、免許
 なんて持ってなくて当然よ」

SE 車が走る音。

トキオM「他愛のない話をしながら、しばら
 く走ると、山の手前で車が止まった」

マドカ「ちょっと寄り道してもいいかしら?」
春子「もちろんです!」

トキオM「また寄り道か。まあいい。車から
 降りるとしばらく山の中を歩かされた。す
 ると突然、目の前に滝が現れた」

SE 滝の音。

春子「わあ! すごい! 気持ちいい! マ
 イナスイオン!」
マドカ「トキオさん、で良かったかしら」
トキオ「はい」
マドカ「これより修行を始めます!」
春子「よろしくお願い致します!」
トキオ「はい?」
マドカ「滝に打たれ、その汚れた心と体を清
 めるのだ!」
トキオ「ちょっと春子、どうゆうこと?」
春子「ごめんね。あたしはトキオに真面目に
 働いてもらいたいんだよ」
マドカ「あんたはあたしが昔つきあってた男
 にそっくりなの。だから春子ちゃんを説得
 して、こっちに呼び寄せたんだよ。てっき
 り別れてくるもんだと思ってたのに。こう
 なったらあんたの根性を叩き直してやるほ
 かないんだよ!」

トキオM「そうだったのか。春子、ごめんな。
 今まで苦しめてしまって。とにかく僕はい
 ろんなことがショックすぎて、永遠に滝に
 打たれていたい気分だった」   終

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