開傑高校第三者委員会 学園

「夢は叶わないし、努力は報われない」  文武両道の名門校・開傑高校で晴れて正規雇用となった福田三郎(27)は、佐渡愛(17)率いる第三者委員会の顧問となる。早速、彼女たちが調べる野球部の暴力事件について調べる事になるのだが……。
マヤマ 山本 75 0 0 10/06
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第一稿

<登場人物>
佐渡 愛(17)開傑高校2年生
福田 三郎(27)同校教師、野球部副顧問
田才 祐輔(17)同校2年生、野球部員
中山 律(16)同校1年生、同
立岡 宙弥 ...続きを読む
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<登場人物>
佐渡 愛(17)開傑高校2年生
福田 三郎(27)同校教師、野球部副顧問
田才 祐輔(17)同校2年生、野球部員
中山 律(16)同校1年生、同
立岡 宙弥(17)同校2年生、同
本庄 芽衣(18)同校3年生、福田の恋人
門澤 公平(57)同校校長、
神原 徳久(47)同校教師、野球部顧問
クリスティーン(37)同校養護教諭

梶 辰彦(47)ミュージシャン、俳優

女子生徒A
女子生徒B



<本編>
○開傑高校・外観

○同・会議室・外
門澤の声「え~、では面接は以上です」

○同・同・中
   面接試験中の福田三郎(26)。面接官は門澤公平(56)ら。
門澤「福田三郎先生。貴方を本校の正規職員としてお迎えします」
福田「え、本当ですか!?」
門澤「福田先生は非常勤講師として三年間、本校で勤務されました。その実績と、筆記試験の成績を見れば、当然の結果です。大いにやってください」
福田「ありがとうございます!」
門澤「もちろん、まだ内定の段階です。今後、第三者委員会による審査もありますが、まぁ福田先生なら大丈夫でしょう」
福田「? 第三者……委員会?」
   ノックの音。
愛の声「失礼します」
門澤「お、噂をすればやってきたようですね」
   中に入ってくる佐渡愛(16)。
愛「では、第三者委員会より、福田三郎氏に関する調査報告をさせていただきます」
門澤「大いにやって下さい」
愛「まず、結論から申し上げます。福田氏を不採用とする事を進言します」
福田&門澤「えぇ!?」

○メインタイトル『開傑高校第三者委員会』

○開傑高校・外観
   T「1年後」

○同・グラウンド
   練習する野球部員達。「目指せ甲子園」と書かれた幕が張られている。
   その脇を通る愛(17)。
神原の声「おい、何やってんだ!」
   視線を向ける愛。部員にノックする神原徳久(47)。
神原「そんなんじゃ、甲子園なんて夢のまた夢だぞ! おら、次!」
   興味無さそうに通り過ぎる愛。
門澤の声「『諦めなければ、夢は叶う』」

○同・職員室
   福田(27)のデスクに置かれた梶辰彦(47)の日めくりカレンダーを後ろから覗き見る門澤(57)。この日のページには「諦めなければ夢は叶う」と書かれている。
門澤「カジタツ(=梶の愛称)の日めくりカレンダーですね、福田先生」
福田「人生のバイブルなもんで。……職場のデスクにはふさわしくないですかね?」
門澤「いえ、大いにやって下さい。それよりも、一つお仕事を」
福田「仕事?」
門澤「この度、産休に入られる事になった、坂本先生の代わりに、福田先生に顧問をお願いしたいと思いましてね」
福田「顧問? どこの?」
門澤「それは……」

○同・委員会室・前
   「第三者委員会」と書かれた表札。
   扉の前に立つ福田。
門澤の声「第三者委員会です」
福田「よりによって、ココか……」
   扉をノックする福田。反応がない。
福田「?」
   再びノックする福田。反応がない。
福田「誰もいないのかな……なら仕方ない、出直すとしよう」
   踵を返す福田。その目の前に立つ愛。
福田「うわっ!?」
愛「このボクに何か用かな?」
福田「あ、第三者委員会の……」
   にやりと笑う愛。
愛「委員長の、佐渡愛だ」
愛の声「久しいね、福田氏」

○同・同・中
   机を挟み向かい合って座る福田と愛。机の上には野球部員全員(約〇名)の写真付き調査書の山。学成績から野球部の練習の出欠、試合における成績等が記載されている。
愛「このボクが、不採用にすべきだと進言して以来、かな?」
福田「校長の鶴の一声で、無事に採用されましたけどね」
愛「それにしても、代わりの顧問がよりによって福田氏とはね」
福田「コッチの台詞だよ。……で、この書類の山は何?」
愛「実は先日、このボク宛に告発状が届いてね」
   と言って告発状を福田に渡す愛。
福田「告発状?」
愛「結論から言うと『野球部内にイジメ』があり『先週末に目撃した』と」
福田「(読みながら)なるほど……『先輩が後輩に』あるいは『レギュラーが控えに』常習的に部内暴力が行われているんじゃないか、調べて欲しい、か……。随分と時間のかかりそうな事案だね」
愛「なに、三日もあれば十分だよ」
福田「短っ。……そういえば、ウチの野球部って、去年の夏に地区予選準優勝まで行ったよね?」
愛「あぁ。今年もベスト4入りの名門校だ。おまけにマネージャーの本庄芽衣は、三年連続ミス開傑高に選ばれた美女とくる」
福田「……それ、関係ある?」
愛「話を今回の件に戻そうか」
福田「やっぱり、そういう強い運動部には、そういう問題がつきものなのかな?」
愛「そのような偏見や憶測は捨ててもらえるかな、福田氏? このボクが率いる第三者委員会は、あくまでも第三者としての中立的な視点が求められるんでね」
福田「それは失礼しましたね。で、今はその件を調べているって事?」
愛「あぁ。事が事だけに、部員や顧問の先生等には知られないように調査を進めねばならないのが厄介でね。それでも、先週末以降、部活を休んでいる生徒が三人いる事まではわかったよ」
福田「怪しいね。誰と誰と誰?」
愛「(それぞれの調査書を手にしながら)一年生、中山律氏。二年生、立岡宙弥氏。そして同じく二年生、田才祐輔氏だ」
福田「田才祐輔!?」
   田才の調査書を手に取る福田。
愛「さすがに田才氏の事は知っているみたいだね、福田氏も」
福田「そりゃあね。(調査書を見せながら)田才祐輔。去年、一年生ながらピッチャーとして、準決勝の引き分け再試合を含めて全試合投げぬいた大エース」
愛「では、他の二人は?」
福田「知らないけど……(調査書を読みながら)立岡君は秋の大会でベンチ入り、中山君はまだベンチに入った事ないんだね」
愛「本格的な調査は明日からだ。福田氏も、顧問として同行してもらうからね」
福田「あ、そうなの? 仕方ない、了解」

○同・校門(夕)
   帰路に就く福田や生徒達。福田を追い抜いていく女子生徒達。
女子生徒A「あ、サブちゃんだ」
女子生徒B「じゃあね、サブちゃん」
福田「だから、福田先生って呼びなさい」
   去っていく女子生徒達。揺れるスカートの裾。
福田「(揺れる裾を見つめ)まったく……ん?」
   視線の先に立岡宙弥(17)を見つける福田。立岡の右頬には殴られた跡。
福田「アレは立岡宙弥……あの傷は……」

○レストラン・外観(夜)
福田の声「間違いないね」

○同・店内(夜)
   食事をする福田と本庄芽衣(18)。芽衣は大分大人びた雰囲気。
福田「俺にはもう、真相が見えたよ」
芽衣「へ~、聞かせて聞かせて、福田先生」
福田「学校の外で『先生』呼びは止めてよ」
芽衣「ごめんごめん。で、福ちゃん。真相とは如何に?」
福田「簡単な事だよ。殴られたのは立岡宙弥。なら、殴ったのは誰?」
芽衣「さっきの話だと、残るのは田才君と中山君のどっちか、って事だよね?」
福田「でも考えてみてよ。ベンチに入っている二年生の立岡君を、ベンチに入ってない一年生の中山君が、殴るかね?」
芽衣「あ~、なるほど」
福田「しかも立岡君の傷は右頬。ココを殴ろうと思ったら、どう殴る?」
芽衣「えっと……(福田の右頬を殴る仕草をして)あ、左手?」
福田「そう、左手。でも……」

○(フラッシュ)開傑高校・委員会室・中
   田才、立岡、中山の調査書。立岡と中山は「右投右打」、田才は「左投左打」と書かれている。
福田の声「立岡君と中山君は右利き」

○レストラン・店内(夜)
   食事をする福田と芽衣。
福田「田才君は、左利きだ」
芽衣「すご~い。福ちゃん天才」
福田「でしょ? コレで佐渡さん出し抜いちゃうと、怨み買ったりすんのかな~?」
芽衣「でも、その子のせいで福ちゃん、不採用になりかけたんだもんね」
福田「まぁ。今に見返してやるからよ」
   飲み物を一気に飲み干す福田。

○開傑高校・職員室
   翌日を示す梶の日めくりカレンダー。書かれている文言は「逃げるな、立ち向かえ」。

○同・委員会室・中
   向かい合って座る福田と愛。
愛「……つまり、福田氏は『田才氏が立岡氏を殴った』と?」
福田「(どや顔で)そういう事。どう?」
愛「可能性はかなり低いだろうね?」
福田「そうでしょう、低いでしょう……って、え、何で?」
愛「それはこのボクの台詞だよ、福田氏。何故そのような結論に至るんだい?」
福田「だって、昨日見た立岡君の顔には左手で殴られたような傷があった。田才君は左利きで野球部のエース、中山君は右利きでベンチにも入ってない一年生。答えは見えてるでしょ?」
愛「……福田氏は、田才氏の調査書を読んだのかい?」
福田「え……読んだけど?」
愛「ならわかるはずだ。田才氏は二年生以降、公式戦に出場していないよ?」
福田「え? (調査書を見ながら)コレ、紙がここでいっぱいになったからじゃ?」
愛「このボクが、そんな中途半端な仕事をする訳がないだろう? 田才氏は、二年生になってから、ずっとベンチ外だよ」
福田「え……何でエースが急に?」

○同・保健室・前
   「保健室」と書かれた表札。
愛の声「『その原因は、左肩の負傷です』」

○同・同・中
   向かい合って座る福田と愛、クリスティーン(37)。
愛「『田才君は過酷な状況で多くのボールを投げすぎたのです』。だそうだよ」
福田「ケガ、か……。でももう一年以上経っているのに、まだ治ってないんですか?」
   どこの言葉かわからない言語に訳してクリスティーンに伝える愛。それをこの言葉かわからない言語で愛に返すクリスティーン。以下、会話の度にこのやり取りが挟まれる。
愛「『いえ、以前ほどではないにしろ、投げる事は不可能とは言えません』。だそうだよ」
福田「じゃあ、何で今も部活を休み続けてるんですか?」
愛「『問題は、彼の心にあります』。だそうだよ」
福田「心? どういう事ですか?」
愛「『心とは、ハートの事です』。だそうだよ」
福田「いや、訳になってないから」
   クリスティーンに訳そうとする愛。
福田「いや、ソレは訳さなくていいから」

○神社・前
   並んで歩く福田と愛。
福田「ケガが原因でベンチ外……でも、だからって田才君が立岡君を殴っていないとは限らないんじゃないかな?」
愛「確かに、福田氏の言う通りだね。ならば、田才氏本人に聞いてみるといい」
   神社を指す福田。
福田「? 何で神社?」

○同・境内
   入ってくる福田と愛。壁に野球のボールが当たる音。
福田「ん? 何の音……?」
   音のする方に目を向けると壁に描かれた的に向かってボールを投げる田才祐輔(17)の姿。
福田「あ、田才君……」
田才「? 誰? (愛を見て)ウチの高校の人?」
愛「第三者委員会委員長の、佐渡愛だ」
福田「顧問代理の福田です」
田才「あぁ、はいはい。で、俺に何の用?」
福田「え、あの……投げて大丈夫なの?」
田才「ソコ? まぁ、見てて下さいよ」
   振りかぶり、ボールを投げる田才。見事な速球が、的のど真ん中に当たる。
福田「凄っ」
田才「まぁ、こんなもんですよ」
福田「それだけ投げられるなら、野球部の練習、出ればいいのに」
田才「それは……まぁ、色々あるんですよ」
愛「福田氏、もう忘れたのかい? 田才氏の問題は、心だと」
福田「あ……」
田才「何、そんな事調べてんの?」
福田「うん、まぁ。差し支えなければ、聞かせてくれないかな?」
田才「……俺が肩を痛めた理由は知ってるんですか?」
福田「投げすぎ、だよね?」
田才「夏の大会は一人で投げぬいたし、その後、秋も投げましたからね。『バカだな』って思います?」
福田「いや、そんな事は……」
田才「俺は思ってましたよ」
福田「思ってたなら、何で?」
愛「決まっているだろう? チームが勝つため、甲子園に行くためだよ。当時の戦力では田才氏が投げる他なかったんだ」
田才「やっぱり、甲子園は夢ですから」
   的の脇に書かれた「行くぞ、甲子園! 田才祐輔 中山律」の文字を指す田才。
福田「あれ、中山律……?」
田才「あぁ、ボーイズリーグの頃からの後輩なんですよ」
福田「そうだったんだ……」
愛「それも、このボクの調査書には書いてあったけどね」
福田「(ごまかすように)そういう、皆の夢がかかっていたから、逃げずに立ち向かった、って事?」
田才「そうですね。たとえどんなに苦しい時でもマウンドに立つ。それがエースってヤツですから」
福田「エース、か……」
田才「肩を痛めた時はもうダメかと思ったんですけど、野球部は今年もベスト4まで勝ち残ったんですよ。これなら来年、俺が戻れば甲子園も夢じゃない。……そう信じてリハビリしてきて、なのに……」
立岡の声「それにしても、勝てるもんだな。田才なんかいなくても」

○(回想)開傑高校・野球部部室・前
   立岡ら数人の野球部員が談笑している姿を、物陰から立ち聞きする田才。
立岡「肩痛めたのだって、一年でエースになって調子に乗ってたからだろ? 自業自得なんだよ」
   拳を握り締める田才。
立岡「田才がそうやって優遇されてる間、俺らがどんな目に遭ってたか、教えてやりたいもんだよな」
   笑う立岡達。その場を立ち去る田才。

○神社・境内
   田才の話を聞く福田と愛。
田才「ソレ聞いたら『俺は何のために頑張ってたんだろうな』って。『何であんなヤツらのためにボロボロになってまで投げてたんだろうな』って。そう思ったらもう、あのチームに戻る気なんて……」
福田「心が、折れちゃったんだね……」
田才「甲子園、行きたかったんですけどね」
福田「諦めちゃダメだよ。諦めなければ、夢は叶うんだ」
田才「そんな事言われたって……」
福田「例えば……あ、ほら、今のチームが嫌なら、転校するとか」
愛「福田氏。高校野球では、やむを得ない理由でもない場合、転校後一年間は公式戦に出場できないよ?」
福田「え、そうなの?」
愛「有望選手の引き抜き防止のために、高校野球連盟が定めたルールだ」
田才「だから、俺が今転校しても、来年の夏の大会には出られないって事」
福田「うぅ……だったら……」
愛「そもそも、暴力事件なんか起こしてしまった部は、出場資格をはく奪されてしまうかもしれないがね」
福田「あぁ、そうか……」
愛「そもそも、福田氏は田才氏が暴力行為をした張本人だと疑っていなかったかい?」
福田「え? ちょっと、ソレ今言う?」
田才「は? 俺が? 何で?」
福田「だってほら、殴る理由はありそうだし」
田才「何でそうなんだよ。ざけんな」
福田「いや、えっと……」
田才「もういいだろ? 邪魔だからさっさと帰れよ」
   恨めしそうに愛を睨む福田。
福田の声「あの場面で、言うかね?」

○開傑高校・委員会室・中(夜)
   向かい合って座る福田と愛。
福田「おかげで田才君からすっごく嫌われた気がするんだけど」
愛「事実を言ったまでじゃないか。むしろ、どうして福田氏は急に田才氏の味方をし始めたんだい?」
福田「……田才君の左手」

○(フラッシュ)神社・境内
   田才の左手。無傷。
福田の声「人を殴ったような傷は無かった」

○開傑高校・委員会室・中(夜)
   向かい合って座る福田と愛。
福田「それに、喋ってて思ったんだよ。田才君、人を殴るような人じゃないな、って」
愛「なるほど。福田氏も少しは教諭らしくなってきた、といったところか」
福田「……一言多いな」
愛「ただ、あの言葉だけはいただけなかったね。『諦めなければ夢は叶う』」
福田「え、何で?」
愛「……まさか、福田氏は本気でそう思っているのかい?」
福田「当たり前でしょ? 諦めなければ夢は叶う、努力は必ず報われる。カジタツとか、成功者はみんなそう言ってるよ」
愛「ならばこのボクの考えを言おう。夢は叶わないし、努力は報われない。以上」
福田「随分後ろ向きな考え方だね」
愛「では聞くが『甲子園に行きたい』という夢を抱いている高校球児が、全員甲子園に行けると思うかい?」
福田「それは……」
愛「現在、高校野球連盟に加盟する高校は全部で三九五七校。そのうち、その年の甲子園大会に出場できるのは四九校だ。約四千分の四九。わずか一%だ」
福田「それでも、ゼロじゃない」
愛「確かに、そうだ。では、福田氏は朝の天気予報で『今日の降水確率は一%です』と言われて、傘を持っていくかい?」
福田「……持たない」
愛「だろうね。だがそれが普通だろう。皆、『一%』という確率は『降らないも同然』だと思っているからね」
福田「……」
愛「つまり『夢が叶う確率が一%』という状態は『夢は叶わないも同然』という解釈となる。異論は?」
福田「でも、努力はきっと……」
愛「福田氏の言う努力というのは、たとえば『毎晩家で千回素振りをする』といったものも含まれるのかい?」
福田「うん、立派な努力だよ」
愛「もし『毎晩家で千回素振りをしたら、必ずレギュラーになれる』と言われたら、誰だって素振りするだろう。『二千回素振りしたら、必ずプロになれる』と言われたら、このボクだってやるだろう。だが現実は、毎晩家で一万回素振りをしてもベンチにすら入れないかもしれない、そうだろう?」
福田「でも、実際に夢を叶えた人達は……」
愛「もちろん、確率は一%ほどあるんだ。ゼロではない以上、叶う人もいるだろう。だが『夢を叶えた人間』は『夢が叶わない』事を知らないんだ。彼らの言う事を鵜吞みにするのは、どうかと思うよ?」
福田「そんな事言っちゃったら……僕達教師は、未来のある子供達に何を教えたらいいの?」
愛「それを考えるのはこのボクじゃない。教諭である福田氏、君だ」
福田「ぐ……」

○アパート・福田の部屋(夜)
   1K程度の部屋。
   ベッドに寝転がる福田。
福田「最後の最後に丸投げしやがって……。でもまぁ、言う通りなんだよな」

○(劇中劇)小学校・教室
   小学校教師が主人公のドラマ。主演は梶(32)。
梶「いいか、みんな。努力は必ず報われる。頑張ろうぜ!」
子供達「先生~!」
   梶演じる教師の元に集まる子供達。
    ×     ×     ×
   梶がギターを弾き、子供達が歌う。

○(回想)福田の実家・居間
   前述のテレビドラマを観ている福田(12)。
福田「カジタツ、格好いい~。俺、大きくなったら、学校の先生になる!」

○アパート・福田の部屋(夜)
   小学校の卒業アルバムを見ている福田。
   「将来の夢」と書かれたページが開かれており、福田の欄には「小学校の先生」と書かれている。
福田「俺も微妙に叶ってないしな……ん?」
   他の生徒の欄には「プロ野球選手」といった文字も並ぶ。
福田「もしかして……」

○開傑高校・外観

○同・グラウンド
   練習する野球部。部員達にノックをする神原。その中に立岡の姿もある。
神原「オラァ、甲子園行きたいんだろ? 死ぬ気で練習しろ!」

○同・職員室
   梶のデスク。日めくりカレンダーは前 日のまま。
   電話が鳴る。出る門澤。
門澤「はい、開傑高校です。あぁ、福田先生ですか。どうしました?」

○町中
   携帯電話で通話中の福田。
福田「校長先生、申し訳ありません。一教師として、どうしてもやらなければならない事がありまして、今日の午前中いっぱい、お休みを頂けないでしょうか?」
門澤の声「一教師として、やらなければならない事、なんですね?」
福田「はい」

○開傑高校・職員室
   電話を受けている門澤。
門澤「わかりました。大いにやって下さい」
   電話を切る門澤。笑顔を浮かべ、日めくりカレンダーをめくる。書かれている文言は「出来る出来ないじゃない、やるんだ」。

○同・外観

○同・委員会室・中
   出かける支度を整える愛。そこに入ってく福田。様々な資料を抱えている。
福田「あ、おはよう」
愛「おはよう、福田氏。今日は随分と重役出勤だったそうじゃないか」
福田「さすが、耳が早いね」
愛「おほめに預かり、光栄だよ」
福田「……行くんでしょ?」
愛「あぁ。福田氏も、だろう?」
福田「もちろん」

○神社・境内
   一人、投球練習をする田才の元にやってくる福田と愛。
田才「(二人に気付き)また来たのか」
福田「うん、来たよ」
田才「もう話すことはない」
福田「今日は僕達の話を聞いてほしくてね」
田才「話?」
福田「まぁ、まずは佐渡さんが先、かな?」
愛「そうだね。では、第三者委員会より、野球部内における暴力事件に関する調査報告をさせていただく」
田才「いや、何で俺に?」
愛「決まっているだろう? 君がこのボクに告発状を出したからだよ、田才氏」
福田「え、そうなの?」
田才「……何でそう思う?」
愛「昨日、田才氏の前でこのボクが最後に言った事、覚えているかい?」
田才「最後? 確か……」

○(フラッシュ)同・同
   並び立つ福田、愛、田才。
愛「そもそも、福田氏は田才氏が暴力行為をした張本人だと疑っていなかったかい?」
福田「え? ちょっと、ソレ今言う?」

○同・同
   並び立つ福田、愛、田才。
愛「あの時点で、部内暴力は秘密裏に調査していた内容だ。なのに田才氏はそこに驚きを見せなかった」
福田「確かに。むしろ、田才君の事を調べてた事に『何で?』って言ってたね」
田才「……あぁ、そうだよ。俺が、アンタ達に告発状を出したんだよ」
福田「一体、何でそんな事を?」
田才「それは……」
愛「それも見当はついている」
福田「え?」
愛「田才氏は昨日、激しく怒っていたね。『俺が殴る訳ないだろ』と」
田才「当たり前だろ」
愛「しかし、福田氏は『理由はあるように感じた』だろう?」
福田「まぁ、理由だけはね」
田才「だから、何でそうなるんだよ。俺が殴る訳ないだろ!?」
愛「そこなんだよ、田才氏。君は勘違いしている」
田才「勘違い?」
愛「福田氏。君は誰が『殴られた被害者』だと思っているんだい?」
福田「え? だから、立岡君」
田才「は? 立岡?」
愛「そういう事だ」
福田「どういう事?」
愛「つまり田才氏は、殴られた被害者が立岡氏ではない別の誰かだと思っていたから『殴る理由がない』と言っていたんだよ」
福田「別の、誰か?」
愛「もうわかるだろう? 田才氏でも立岡氏でもなければ、候補はあと一人……」
   そこにやってくる中山律(16)。右頬に殴られた跡。
愛「中山氏だ」
福田「(傷に気付き)あっ……」
田才「律、何でここに?」
愛「このボクが呼んだんだよ。色々と証言をして欲しくてね」
中山「祐輔先輩、すみません……」
田才「一体、何がどうなって……?」
愛「じゃあ、話してくれるかい? あの日、何があったのか」
中山「あの日……」

○(回想)開傑高校・野球部部室・前
   立岡ら数人の野球部員が談笑している姿を、物陰から立ち聞きする田才。
   同じく、別の物陰から立岡らの話を立ち聞きする中山。
立岡「肩痛めたのだって、一年でエースになって調子に乗ってたからだろ? 自業自得なんだよ」
   拳を握り締める中山。
立岡「田才がそうやって優遇されてる間、俺らがどんな目に遭ってたか、教えてやりたいもんだよな」
   笑う立岡達。その場を立ち去る田才。
   立岡らの元に出ていく中山。
中山「この野郎!」
   左手で立岡を殴る中山。
立岡「痛っ!? おい、中山。何すんだよいきなり!?」
中山「祐輔先輩がどんな思いで、ケガするまで投げたのか、わかってんスか!?」
   左手で中山を殴る立岡。
立岡「実際、アイツ抜きで勝ててんだ。問題ねぇだろ?」
中山「……んだと!」
   掴み合う立岡と中山。他の部員が慌てて二人を引き離そうとする。
中山の声「悔しかったんス」

○神社・境内
   中山の話を聞く福田、愛、田才。
中山「自分は祐輔先輩の苦しんでる姿、ずっと見てきたんで。あんなチャラチャラした人に祐輔先輩が馬鹿にされるのが悔しくて、我慢できなくて、つい……」
田才「律……馬鹿野郎」
中山「すんません」
愛「つまり、結論から言えば、告発状に書かれていた件はいじめの類ではない。ただの喧嘩だ」
田才「そうだったのか……」
福田「あ、ねぇ、ちょっと待った。一つ疑問なんだけど、何で二人とも左手で殴ったの? 右利きだよね?」
中山「え、それは……」
愛「福田氏は野球選手というものがわかっていないようだね」
福田「はいはい。どうせわかってませんよ」
愛「このボクは、むしろ立岡氏の顔に『左手で殴られた跡がある』と聞いた時点で、田才氏を容疑者から外していたからね」
福田「え、何で?」
愛「それは、田才氏が左投手だからだ」
福田「あん?」
愛「野球選手にとって、手は命と言ってもいい。利き腕なら尚更だ。そんな手を喧嘩の道具になんて使えるかい? 万が一、骨折でもしたら、話にならないだろう?」
福田「言われてみれば、確かに」
田才「もちろん、利き腕じゃなきゃいい、って問題でもないけどな」
中山「すんません」
田才「まぁ、いいさ。どうせ俺にはもう関係ない野球部だ」
中山「戻ってきてはくれないんスね」
田才「あぁ。もうあのチームのためには投げられない。『甲子園に行く』って夢は、もう諦めたよ。ごめんな」
中山「そんな、謝らなくていいっスよ」
田才「……なぁ、福田」
福田「福田先生、って呼んでくれない?」
田才「昨日、言ってたよな? 『諦めなければ夢は叶う』って」
福田「言ったよ」
田才「夢って叶わないもんなんだな。それともこの状況、諦めた俺が悪いのか? 諦めない以外の選択肢、あったら教えてくれよ」
福田「まだ諦める必要はないよ」
田才「は?」
中山「え?」
愛「ほう……」
福田「田才君の夢は、本当に甲子園に出る事だったの?」
田才「当たり前だろ?」
福田「あ、ごめん。聞き方を間違えたね。甲子園に出る事『だけ』だったの?」
中山「どういう事っスか?」
福田「コレを見てよ」
   一冊の卒業アルバムを取り出す福田。それはとある小学校の卒業アルバム。
田才「コレ……」
愛「学校名と年代から察するに、田才氏の小学校の卒業アルバム、といった所かな?」
田才「何でコレを、福田が持ってんだよ」
福田「いや~、苦労したよ」

○(回想)アパート・福田の部屋(夜)
   あちこちに電話をかける福田。
福田の声「昨日から、使えるコネを全部使って、何とか田才君の同級生にたどり着いて、借りたんだ」

○神社・境内
   福田の持つ卒業アルバムを見る愛、田才、中山。
福田「で、このアルバムには『将来の夢』を書くページがあってね。田才君は、自分が何て書いたか、覚えてる?」
田才「小六の時だろ? 覚えてねぇよ」
   「将来の夢」と書かれたページを開く福田。そこには「甲子園に行ってプロになる 田才祐輔」と書いてある。
福田「『甲子園に行って、プロになる』」
中山「ぶれてないっスね」
田才「本当だな」
福田「確かにね。でもこの文章だと、田才君の本当の夢は『甲子園に行く』事よりも『プロになる』事のように思えるんだ」
田才「……だな。それがどうした?」
福田「……確かに、田才君の気持ち的にも、甲子園はもう無理なのかもしれない。でもプロになる夢はまだ、諦める必要はないんじゃないかな?」
田才「俺が、プロ?」
   笑う田才。
福田「何で笑うの?」
田才「いや、プロ舐めすぎでしょ? 俺、ただでさえ一年公式戦出てないんだぜ? プラス、もう投げないって事は丸二年ブランクが出来る。そんな状況でプロどころか、大学の野球部だって入れてもらえるかどうか……」
福田「この学校が嫌なら、転校とか……」
田才「だから、転校したとしても、俺は公式戦には出場できな……」
福田「そうとも限らない」
田才&中山「え?」
福田「『一年間公式戦に出場できない』っていうのは、あくまでも高校野球連盟が決めたルールだ。つまり、高校野球連盟に属していない高校なら、試合に出られる」
愛「なるほど」
田才「そんなチーム、あんのか?」
福田「(資料を取り出し)例えば、独立リーグの傘下にある野球部もあるし、通信制の高校に通いながら、社会人のクラブチームに所属する手もある」
田才「(資料を受け取り)コレ、俺のために……?」
福田「僕が教師として出来るのは、これくらいだから」
田才「(資料を見ながら)そっか。こんな手もあるんだな……」
福田「僕の尊敬する人がこう言ってた。『諦めなければ夢は叶う』『努力は必ず報われる』。でも昨日、それを別のある人に真っ向から否定されてね。『夢は叶わないし、努力は報われない』って」
田才「清々しいくらい否定されたな」
愛「おほめに預かり、光栄だね」
田才「いや、お前かい」
福田「でも、悔しいけど僕はそれを否定できなかった。実際、僕の夢は完璧には叶ってないし、田才君の努力だって百%で報われてはいない」
田才「あぁ」
福田「『諦めなければ夢は叶う』『努力は必ず報われる』っていうのは理想論で、努力が報われて夢が叶ったごく一部の人の結果論でしかないのかもしれない。でも……」
   一度愛を見やる福田。
福田「諦めたら夢は叶わないし、努力しなきゃ報われない。コレは間違いないと思う」
田才「諦めたら、夢は叶わない……」
中山「努力しなきゃ、報われない……」
愛「確かに、このボクとて、ソコは賛同せざるを得ないね」
福田「僕は田才君に、夢を叶えて欲しい」
愛「このボクも、応援しよう」
田才「……」
中山「祐輔先輩!」
田才「(フッと笑って)キッツいな~。俺は簡単に野球をやめる事も出来ないのかよ」
中山「仕方ないじゃないっスか。たとえどんなに苦しい時でもマウンドに立つ。それが……」
田才「それが、エースってヤツだな」
   笑い合う田才と中山。
   その様子を見守る福田と愛。
愛の声「悪くなかったんじゃないかな」

○道
   並んで歩く福田と愛。
愛「このボクと出会う前と比べれば、各段に教諭らしくなってきたと思うよ?」
福田「誉め言葉として受け取っておくよ」
愛「まぁ、他校への転校を勧める事は、我が校の教諭としてどうかと思うがね」
福田「一言多いな。……でも、ただの喧嘩だったとはいえ、野球部はきっと無傷じゃないよね? 一ヶ月か二ヶ月くらいは活動自粛とか?」
愛「どうかな? 最悪、来年の夏まで公式戦には出られないかもしれないね」
福田「え、そんなに?」
愛「福田氏。君はどう思う? 今回の件」
福田「だから、ただの喧嘩……」
愛「もちろん、今回告発文に記述されていた事自体は、ただの喧嘩だろう。ただし、立岡氏も中山氏も、感情的になって喧嘩騒ぎを起こしたにも関わらず、咄嗟に利き腕じゃない方の手を使用している」
福田「……何が言いたいの?」
愛「コレこそ、常習的に部内暴力が行われている可能性を示唆しないかい?」
福田「それは……」
愛「立岡氏も言っていたんだろう? 『田才氏がそうやって優遇されている間、俺らがどんな目に遭っていたか、教えてやりたいもんだ』と」
福田「確かに言ってたけど……でもそんな事したら、七〇人を超える部員達全員の夢を奪う事になるんじゃない? 全員が部内暴力に関わっているとも限らないのに……」
愛「だから言っているだろう? 夢は叶わないし、努力は報われないんだよ」
福田「そんな……」
愛「それに、我が校の野球部がもし甲子園に行く夢を叶えるような事があれば、それは真っ当に努力してきた他の野球部が報われない事になるんだよ?」
福田「残酷な事、言うよね」
愛「そうかな?」
   分岐路に着く福田と愛。
福田「じゃあ、僕はコッチだから」
愛「あぁ。また明日」
   反対方向に歩いていく福田と愛。

○開傑高校・外観

○同・野球部部室・前

○同・同・中
   空になったロッカーの前に立つ田才。大量の荷物を抱えている。

○(回想)小学校・教室
   「将来の夢」と書かれた紙に「甲子園に行ってプロになる 田才祐輔」と書く田才(12)。

○(回想)野球場A
   中学(ボーイズリーグ)の試合。
   ピッチャーの田才(15)。投げる。相手打者を三振に抑えてゲームセット。捕手の中山(14)が駆け寄り、喜びを分かち合う。
中山の声「え、開傑高校?」

○(回想)神社・境内
   投球練習をする田才と中山。
中山「祐輔先輩なら、もっと強い所行けるんじゃないっスか?」
田才「それじゃ面白くないだろ? そこそこのチームを強くして、俺が甲子園に連れて行くんだよ」
中山「いいっスね。じゃあ、俺も再来年、開傑高校行くっス」
田才「おう。またバッテリー組もうぜ」
    ×     ×     ×
   壁に「行くぞ、甲子園! 田才祐輔 中山律」と書く田才と中山。

○(回想)野球場B
   高校野球の試合。
   疲労困憊ながら投げる田才(16)。

○(回想)開傑高校・保健室
   クリスティーンに肩を診てもらう田才。

○(回想)同・グラウンド
   練習する部員達を横目にリハビリをする田才。

○(回想)同・野球部部室・前
   談笑する立岡ら。立ち去る田才。

○同・同・中
   ロッカーをしめる田才。涙を流す。
芽衣の声「田才君、辞めちゃったんだ?」

○レストラン・店内(夜)
   食事中の福田と芽衣。芽衣はやはり大人びた服装。
芽衣「なんて言ったらいいんだろう? 『良かったね』とも違うし」
福田「うん……勧めといてアレだけど、やっぱり後悔もあるよね。他に手はなかったのかなって」
芽衣「仕方ないよ」
福田「それに、結局『夢は叶わないし、努力は報われない』っていうのを認めちゃった感じだし」
芽衣「いいんじゃない?」
福田「そうかな?」
芽衣「そうだよ。確かに、夢は叶わないし、努力は報われないかもしれない。でもだからこそ、叶わない夢に向かって、報われない努力をできる人が、素晴らしいんじゃない?」
福田「さすが、俺の彼女。言う事が違うね」
芽衣「どうも。で、中山君は?」
福田「学校に残るって。まぁ、今回の暴力沙汰の張本人な訳だし、自分だけ別のチームでっていうのも気が引けたんじゃない?」
芽衣「あ~、野球部活動停止だっけ?」
福田「そう。大変だったんだよ」

○(回想)開傑高校・会議室
   職員会議中。
   報告する愛と福田に対して激高する神原の様子。
福田の声「職員会議で報告したら、案の定、激怒されてさ」
   福田に掴みかかる神原。左手で殴ろうとして門澤に止められる。
福田の声「殴られそうになったんだけど」

○レストラン・店内(夜)
   食事中の福田と芽衣。
福田「その時、右利きのくせに左手で殴りかかってきたんだよ」
芽衣「あらら」
福田「『お前もかよ』って笑いそうになっちゃってさ。顧問がソレならそりゃそうじゃん、って。何なら体罰とかもあったんじゃないかって疑っちゃったよ」
芽衣「そこまで調べたりしないの?」
福田「あぁ、うん。調べようかな、とは思ったんだけどさ……」

○(回想)開傑高校・委員会室・前
   扉の前に立つ福田。鍵がかかっている。
福田「? あれ?」

○(回想)同・同・中
   鍵を開け入ってくる福田。無人。
福田「? 佐渡さん……?」
福田の声「あれ以来、委員会室に来てないんだよね」

○レストラン・店内(夜)
   食事中の福田と芽衣。
福田「何でだろう、って気になってはいて」
芽衣「う~ん……単純に、今調べる事案が無いって事なんじゃない?」
福田「かもね。……じゃあ、そろそろ店出ようか」
芽衣「うん」
   席を立つ福田と芽衣。福田に腕を絡ませる芽衣。
芽衣「今日もごちそうさま。福田先生」
福田「だから、学校の外で『先生』って呼ぶんじゃないよ」

○開傑高校・外観

○同・会議室
   職員会議中。門澤、福田らはいるが、神原はいない。
   配られた紙を見て驚き、目を見開く福田。
福田「あの、コレは……」
門澤「ご覧の通り。福田先生に、生徒との交際疑惑が浮上しています」
福田「いや、それは……」
門澤「入ってください」
   別室から、神原に連れられ入ってくる芽衣。開傑高校の制服姿。
神原「本庄芽衣を連れてきました」
芽衣「……失礼します」
福田「芽衣……」
門澤「いや、福田先生。随分と大いにやって下さいましたね」
福田「いや、コレはその、誤解といいますか……」
門澤「この件に関しては、まず彼女からの報告を聞かせてもらいましょうか。入ってください」
   入ってくる愛。
愛「失礼します」
福田「佐渡さん……」
愛「では、第三者委員会より、福田三郎氏に関する調査報告をさせていただきます」
門澤「大いにやって下さい」
愛「まず、結論から申し上げます。福田氏と本庄芽衣氏は……」
福田「止めて~!」

○同・職員室
   福田のデスクの上、梶の日めくりカレンダー。書かれている文言は「間違えた時は、ちゃんと謝れ」。
                 (完)

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