#2 Beautiful Dreamer ドラマ

突如起こった発作の原因を探る主人公 出所した小悪党の父親 関係最悪の2人が見せる美しい夢とは
竹田行人 13 0 0 10/13
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第一稿

「Beautiful Dreamer」


登場人物
薪野壮太(28)会社員   
薪野佳美(28)壮太の妻
薪野勝(56)壮太の父


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「Beautiful Dreamer」


登場人物
薪野壮太(28)会社員   
薪野佳美(28)壮太の妻
薪野勝(56)壮太の父


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○暗闇
   壮太の視点。
永美の声「あなたは今、5歳です」
   小さな火が燈る。
永美の声「そこに、何が見えますか?」
壮太の声「ひ」
永美の声「火。それは、どんな火ですか?」
   火、迫ってくる。
壮太の声「あつい。あつい。あつい! たすけて! たすけておと」
   火、すぐ目の前に迫る。

○府中総合病院・心療内科診察室・中
   白を基調にした15畳ほどの部屋。
   薪野壮太(28)、荒い呼吸をしながら、ベッドで目を開く。
   医師・永美、ベッドのそばの椅子に腰かけている。
壮太「永美先生。何か、わかりましたか?」
   永美、首を横に振る。
壮太「そうですか」
永美「火災のあった工場は、勤務先のお近くだったんですか」
壮太「いえ。取引先に行く途中です。そこで火事を見たら突然。過呼吸とめまいが」
永美「それで。薪野さんご自身は発作の原因が5歳のころの火事の記憶にあると」
壮太「はい。ですから」
永美「ゆっくり、探していきましょう」
壮太「はい」
   壮太と永美、目を見合わせる。
   壮太の右手には古い火傷の跡。

○ライフパーク昭島・外観(夜)
   5階建てのマンション。

○同・蒼井家・ダイニング(夜)
   10畳ほどのフローリング。
   奥にキッチンが見える。
   テーブルの上には、茹でた枝豆。
   壮太、テーブルについて、息をつく。
   薪野佳美(28)、冷蔵庫から缶ビールを取り出す。
   佳美は妊娠後期である。
   佳美、壮太の前にビールを置く。
壮太「ごめん。佳美。臨月なのに」
佳美「動いた方がいいって。お医者さんが」
   佳美、壮太の向かいに座る。
佳美「壮ちゃん。こんな時になんなんだけど」
壮太「ん」
   壮太、ビールの缶を開け、飲む。
佳美「明日だよね。お義父さん」
   壮太、手を止める。

○府中刑務所・入口・外
   「府中刑務所」の看板。
   薪野勝(56)、左手に鞄、右手に茶封筒を持って出てきて茶封筒を開けて中身を見ると、封筒から紙幣を出してポケットに突っ込み、封筒を逆さにする。
   小銭が一枚、転がる。
   勝、小銭を追いかける。
   小銭を踏みつける壮太の足。
   勝、顔を上げる。
勝「おお。壮太! 元気か?」
   壮太、勝を睨んでいる。
勝「壮太。ちょっと、足。どけてくれるか?」
   壮太、勝に背を向けて歩き出す。
   勝、小銭を拾い、後を追う。

○タイトル「Beautiful Dreamer」

○薪野家・ダイニング(夜)
   勝、トラのスカジャンを着て、ビールを飲んでいる。
   壮太、向かいで新聞を読んでいる。
   佳美、壮太と勝を交互に見ている。
佳美「その服、お似合いですね」
勝「でしょ? コイツが買ってくれたんですよ。な?」
   壮太、新聞を読んでいる。
勝「やっぱりこういうの着ないとね。オレ、悪党だから。あ、火ある?」
   勝、鞄から煙草を出す。
佳美「え?」
壮太「まだ吸ってんのか?」
勝「そりゃそうさ、オレ、悪党だから」
   壮太、新聞を放り投げる。
壮太「ふざけんな! アンタの寝たばこのせいで一体何人死んだと思ってんだ!」
勝「7人だろ? 裁判で散々聞いたよ」
壮太「その内1人は母さんなんだぞ!」
佳美「やめて! この子が聞いてる!」
   壮太、大きく息をつく。
勝「ごめんなぁ。こんなんがお爺ちゃんで」
壮太「触るな」
   壮太、勝が佳美のお腹に伸ばした手を払う。
壮太「その子は、オレの子だ。アンタの孫じゃない」
勝「何言ってんだお前」
壮太「オレは絶対アンタみたいにはならない」
   壮太、キッチンの引き出しからライターを取り出し、勝に渡す。
勝「マッチないの?」
   壮太、勝を睨む。
   勝、出ていく。
壮太「なってたまるかよ」
佳美「壮ちゃん」
   壮太、右手の火傷をさする。

○都立府中総合病院・心療内科診察室・中
   壮太、ソファに座っている。
   永美、向かいのソファにいる。
   永美の背後には本棚。
永美「なかなか興味深い人物のようですね。お父様は」
壮太「前科六犯。父親としても、夫としても、人間としても、最低です」
永美「あなたとは関係のないことです」
   颯太と永美、目を見合わせる。
永美「遺伝子が作るのは形質。性質は環境によって作られる。自分次第です」
   壮太と永美、目を見合わせる。
永美「催眠療法下のあなたは、いつも鼻をくんくんさせています。なにかの匂いを嗅いでいるように」
壮太「におい」
   永美、立ち上がり、本棚に向かう。
永美「プルースト効果といって、昔から香りと記憶の関係は取りざたされています」
   永美、本棚から一冊の本を取り出す。
永美「それは嗅覚だけが直接、大脳辺縁系。より本能的な古い脳に繋がっているからだと言われています」
   永美、プルースト著「失われた時を求めて」を壮太の前に置く。
壮太「それが何か。関係して」
   携帯電話が鳴る。
壮太「すみません」
   壮太、携帯電話に出る。

○道
   道を走る青いカローラ。

○同・車内
   壮太、ハンドルを握っている。
   勝、助手席で煙草を吸っている。
勝「前に働いてた工場があってな。挨拶に行かねぇと、不義理だろ? あ、次右」
   壮太、ハンドルを切る。

○株式会社大灯・国立工場・入口・外(夕)
   「株式会社大灯 国立工場」の看板。
   青いカローラが止まっている。
   壮太と勝、カローラに寄りかかって工場を見ている。
   壮太と勝の前には、非常線が張られた、焼け落ちた工場跡。
壮太「ここ」
勝「あん?」
壮太「ここ。オレがこの前倒れた場所だ」
勝「倒れた? 大丈夫か?」
壮太「ああ。たいしたことない」
勝「社長は」
   壮太、首を横に振る。
勝「そうか」
   勝、工場に向かって合掌。
   壮太、工場に向かって合掌。
壮太「ここ。何の工場だったんだ?」
勝「え? ああ。マッチ工場だよ」
壮太「マッチ」
勝「社長。マッチよくくれたんだよ」
勝、ポケットから煙草とマッチを取り出し、火を付ける。
   壮太、勝を見つめる。

○暗闇
   壮太の視点。
   小さな火が点る。
勝の声「忘れろ。お前は悪くない。悪いのはオレだ。マッチが面白かったんだろ?」
   火、迫ってくる。
勝の声「悪いのはオレだ。オレは、悪党だ」
   火、目の前に迫る。

○株式会社大灯・国立工場・入口・外(夕)
   壮太、地面に手を付いている。
   勝、壮太の背中をさする。
勝「おい! どうしたんだよ?」
壮太「お、おお、おお、おおお」
勝「まさか。壮太お前。あのこと」
壮太「おお! おおおおぉ! おおおぉ!」
   二人に雨が降り注ぐ。

○薪野家・ダイニング(夜)
   テーブルには夕食の準備。
   佳美、お腹をさすっている。
佳美「お父さんとお爺ちゃん。遅いねぇ」
   雨音が響いている。

          〈おわり〉

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