終わりなき悪夢 第二夢「夢日記」 ホラー

フリーターの松本陽平は、ある日「書いた夢が現実になる」という不思議なノート『夢日記』を手に入れる。 最初は半信半疑だったが、些細な夢が次々と正夢になることに味を占めた陽平は、次第にその力を私欲のために利用し始める。 しかし、この日記には恐ろしい「ルール」があった。 ルールを破った代償は、残酷な現実となって彼を待ち受けていた……。 欲望の果てに逃げ場を失った若者の末路を描く、現代の怪異譚。 オムニバス第二夢。
あゆむ。 65 0 0 08/29
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第一稿

〇アパート・松本陽平の部屋・中(朝)
   散らかってる部屋の中、布団の中で眠っている松本陽平(20)。
   ニヤつきながら顔を掻く陽平、夢を見ている。
陽平「(寝言)ダメ ...続きを読む
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〇アパート・松本陽平の部屋・中(朝)
   散らかってる部屋の中、布団の中で眠っている松本陽平(20)。
   ニヤつきながら顔を掻く陽平、夢を見ている。
陽平「(寝言)ダメだよ…いやいや、ダメだって…(ニヤついて)もう仕
 方ないなあ」
   ゆっくりと目を開ける陽平。
陽平「あ…」
   勢いよく起き、辺りを見渡す陽平。
陽平「(がっかりして)何だ夢かよ…」
   大の字になって寝転ぶ陽平。
陽平「あぁ!折角奇麗なお姉さんといいとこまで行ってたのに!!」
   腕と足をじたばたさせる陽平。
   時計を見る陽平。
陽平「今日もバイトか…」

〇××書店・中・バックヤード
   入荷されてきた本を、伝票を見ながら検品をしている陽平。
陽平「今日は入荷の本多いなぁ…だりぃ」
   ため息をつき立ち上がる陽平。
   その拍子に本が一冊陽平の足元に落ちる。
陽平「あ…」
   屈んで本を手に取る陽平。
   表紙には『夢日記』と、書かれている
陽平「夢日記?何だこれ。こんな本入荷してたか?」
   伝票を確認する陽平。
陽平「入ってねぇし」
   本の中身を見てみるが何も書かれてな   い。
陽平「何にも書いてねぇし。どこから紛れ込んできたんだよ」
   ページの目次に目が留まる陽平。
陽平「ん?これは自分が見た夢を書き綴る日記です」
陽平M「何だこれ…」
陽平「そうすると見た夢が、正夢となって体験する事が出来ますって…え
 ぇっ!」
   大きな声を出し、辺りを見る陽平。
陽平「正夢になるって本当なのか?」
   先輩バイトの藤崎春樹(28)が来る
藤崎「松本ー」
陽平「(驚いて)はい!」
   夢日記を隠す陽平。
藤崎「伝票確認できた?」
陽平「はい!今終わりました」
藤崎「了解。じゃあ表に持ってきて。皆でさっと袋詰めするから」
陽平「了解っす!」

〇アパート・陽平の部屋・中(夕)
   バイト帰りの陽平。
   夢日記を鞄から取り出し、投げるように置く。
陽平M「黙って持って帰ったけど、伝票にも書かれてなかったし大丈夫だ
 ろ」
   ページを開き、目次を見る陽平。
陽平「見た夢をこの日記に書くのは分かったんだけど…え?書き始めた
 らいい夢でも悪い夢でも見た事は素直に書く…えぇ悪い夢も書かなきゃ
 いけないのか?」
   ページをめくる陽平。
陽平「守られなかった場合、自身に災いが起こる事があります。災いが降
 りかかったとしても当社では責任を負いかねます」
   本を閉じる陽平。
陽平「うわぁ…なんか怖えぇなあ」
   本を鞄の上に投げるように置く陽平。
   大の字になって横になる陽平。
陽平「…」
   起き上がり夢日記の本を手に取る陽平。
陽平「すっげぇ怖えぇけど…気になる…」
   F.O

〇陽平の夢・道(朝)
   バイトに向かっている陽平。
陽平「あぁ、毎日バイトだりぃなぁ」
   向かいから、三人組の女子高生とすれ違う陽平が目で追ってると、
   強風で女子高生達のスカートが浮き上がり下着が見えてしまう。
   慌ててスカートで、下着を隠す女子高生達。
陽平「おぉ!ラッキー」

〇同・陽平の部屋・中(朝)
   夢から覚める陽平。
陽平「(伸びをして)あぁーいい夢だったなあ」
   だらしなく笑う陽平。
陽平「物は試しだ。書いてみるか」
   夢日記を手に取り、見た夢を書いていく陽平。

〇道(朝)
   バイトへ向かっている陽平。
   向かいから三人組の女子高生達が来る
陽平「あ!マジで夢で見た女子高生達来た」
   楽しく話しながら陽平の横を通る女子高生達。
   陽平が目で追ってると、風が吹き女子高生達のスカートが浮かんで
   下着が見え、女子高生たちは叫びながらスカートで隠している。
陽平M「ラ、ラッキー…ってか、正夢になった。すげぇ…」
   女子高生達から目をそらし、驚いている陽平。
陽平M「マジかよ。あの日記…」
   × × ×
   陽平が財布を拾った夢を見て日記に書き財布を拾う。
   中には一万円札の束が入っている。
陽平「へへ、落としたやつが悪いんだからな」
   × × ×
   自転車にぶつかりこけてしまう夢を見る陽平。
陽平「悪い夢だけど、書かなくちゃいけないんだよな…」
   軽く手を怪我する陽平。
   × × ×
  
〇××書店・休憩室・中
   休憩に入ってくる陽平。
   席に着き鞄から、コンビニで買ってきたサンドイッチとコーヒーを
   出す。
陽平M「あの夢日記ほんとにすげぇ…」
   陽平の左手には怪我をして包帯を巻いている。
陽平M「夢を見ない日もあるけど、見た時は覚えてる範囲で書いてるけ
 ど…今日の夢が正夢だったら」
   ニヤついてしまう陽平だが、同僚が入ってきて顔を素に戻す。

〇陽平の夢の回想
   陽平がバイト帰りに、女子大性、唯子(20)とすれ違いざまに唯子
   がスマホを落とし陽平が拾い声をかける。
陽平M「おっ、かわいい…」
陽平「スマホ落としましたよ」
唯子「あ、ありがとうございます」
   そこで意気投合して付き合うまでの夢を見た陽平が、夢日記に書い
   て正夢になり付き合いだす。

〇回想戻り・××書店・休憩室・中
   コーヒーを飲んでいる陽平。
陽平M「ってなるんだけどなあ…」
   またニヤつく陽平。    

〇道(夕)
   バイト帰りの陽平。
   唯子が向かいからきてすれ違いざまにスマホを落とし陽平が拾う。
陽平「スマホ落としましたよ」
唯子「(振り返り)あ、ありがとうございます」
陽平M「来た!夢の通りの展開!」

〇××駅・前(夕)
   陽平が唯子を待っている。
   改札口から唯子が出てきて陽平を見つける。
唯子「ごめん、待たせちゃった?」
陽平「いや、俺も今来た所だから」
唯子「良かった。じゃあ行こうか」
陽平「おぅ」
陽平N「それで、意気投合して付き合う事になった。まさか、夢日記を書
 いて彼女まで出来るなんて思ってもみなかった…」  

〇アパート・陽平の部屋・中(夜)
   陽平が、車に轢かれる夢を見ている。
   苦しそうに顔を歪ませ脂汗が出ている
陽平「うわぁ!!」
   勢いよく起き上がる陽平、息が荒い。
   額の汗を手で拭う陽平。
   隣で唯子が寝ている。
陽平「あぁ…夢でよかった。なんかいつも以上にリアルだったな…」
   テーブルの上に置いてあるミネラルウォーターのペットボトルを手
    に取り飲んで深呼吸をする陽平。
陽平M「待てよ…これも夢日記に書かなきゃいけないって事か?」
   部屋の隅に置いてある夢日記を見る陽平。
陽平M「でも、これに書いたら死ぬじゃん。確実に死ぬ夢だったじゃ
 ん」
   額から汗が流れてくる陽平。
陽平「どうしよう…」
   唯子が寝返りを打つ。
   気持ちよさそうに眠っている。
陽平M「俺が死んだら、唯子と折角付き合う事が出来たのにこれもおしま
 い…そんなの絶対にやだぞ…」
   目を覚ます唯子。
唯子「陽ちゃん…どうしたの?」
陽平「あっ、起こしちゃってごめん」
唯子「うぅん…どうかしたの?」
陽平「いや、ちょっ嫌な夢見ちゃってさ…目が覚めちゃって」
唯子「大丈夫?」
陽平「うん。夢だったから安心した。もう一回寝よう」
唯子「うん」
   陽平と唯子が手を握り合って眠りにつく。

〇陽平の夢
   デート帰りの陽平と唯子。
   横断歩道の前に来て、信号が変わるのを待っている二人。
陽平「あぁ、今日も楽しかったなあ」
唯子「うん」
陽平「今度さ二人で休み合わせて旅行でも行かねぇ?」
唯子「旅行?」
陽平「近場でもいいからさ。そしたらまた俺達の思い出…増えるじゃ
 ん?」
唯子「(照れて)うん…」
   信号が青に変わる。
陽平「あ、青になった。行こう」
   手を繋ぎ横断歩道を渡る二人。

〇アパート・陽平の部屋・中(朝)
   夢から覚める陽平。
陽平「(起き上がり)あっ、また夢見てた…あっ、これを夢日記に書
 けばいいんじゃね?」
   ベッドから出て、本棚の隅に置いてある夢日記を取り出し、夢
   の出来事を書く陽平。
   唯子が起きてくる。
唯子「おはよう…何書いてるの?」
   唯子にばれないように夢日記を隠す陽平。
陽平「おはよう。いや、何でもないよ」
唯子「そう?」
陽平「あぁ、今日は天気良くて、良かったよなあ」
唯子「うん」
陽平「着替えて早く出掛けよう!」

〇道(夜)
   デート帰りの陽平と唯子。
   横断歩道の前に来て、信号が変わるのを待っている二人。   
陽平「あぁ、今日も楽しかったなあ」
唯子「うん」
陽平「今度さ二人で休み合わせて旅行でも行かねぇ?」
唯子「旅行?」
陽平「近場でもいいからさ。そしたらまた俺達の思い出…増えるじゃ
 ん?」
陽平M「よし、いい感じで夢日記通りにいってる」
唯子「(照れて)うん…」
   信号が青に変わる。
陽平「あ、青になった。行こう」
   手を繋ぎ横断歩道を渡る二人。
   横断歩道の真ん中で、陽平の靴紐が解けてるのに気付く。
陽平「あっ靴紐…」
   屈んで、靴紐を結びなおす陽平。
陽平M「あれ?こんなの夢であったっけ?」
   紐を結び直そうとするが、なかなか上手く結べない陽平。
陽平「あれ…体が動かない…」
   渡り切った唯子が振り返る。
唯子「あれ?陽ちゃん、どうしたの?」
陽平「いや…靴紐が…ってか体が…動かない」
唯子「え?」
   向かいから、車が猛スピードで走ってきている。
陽平「お…おい…どうなってんだよ」
   車のライトが陽平を照らす。
陽平「た…助けて…助けてくれー!」
   車はスピードを落とさず陽平にぶつかり跳ね飛ばされる。
   唯子や周りの人間の悲鳴が聞こえる。
   後頭部から大量の出血をし、顔も傷だらけになり瀕死状態の陽
   平。
陽平M「どうして…」
   唇をかすかに動かしている陽平。
陽平M「あの夢…続きがあったのか…?それよりも見た夢をちゃんと
 書かなかった俺がいけなかったのか…」
   ゆっくりと目を閉じる陽平。
陽平M「どっちにしろ俺は…」
   暗転。

完。

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