〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・星七緒
・涼風アキラ
・古川紘
・長谷川なつき
・聖川琉華
・乾椿
〇『STARLIGHT』・前(夜)
琉華とアキラが抱きあってるように立っている。
ゆっくりと琉華から離れるアキラ。
琉華の体が小刻みに震えている。
琉華が視線を下げると腹部にナイフが刺さっている。
琉華「な、何で…」
琉華の服が血で染まっていく。
膝から崩れ落ちるように倒れる琉華。
アキラが琉華を睨みつけてその場を離れる。
〇新宿・道(夜)
七緒が真剣な表情で走っている。
〇『STARLIGHT』・前(夜)
息を切らせながら走ってくる七緒。
道端の隅で倒れている琉華を見つける七緒。
七緒「琉華さん!!」
琉華の所へ行く七緒。
琉華「あ…セ、セブンか?」
七緒「何があったんですか!」
琉華「(笑って)何で、こう…なったんだろ…」
七緒「もう、喋らないで下さい。救急車呼びますから」
琉華「俺…このまま死ぬのかな…」
七緒「喋らないで下さい!!」
スマホを出し救急車を呼ぶ七緒。
〇シェアハウス・一階・千秋の部屋・中(夜)
ベッドに入り寝付けず寝返りを打っている千秋。
千秋の電話が鳴る。
千秋「…」
着信を無視している千秋。
千秋「どうせ…英二だろ…」
しかし着信は鳴り続けている。
千秋「ほんとに、しつこい…」
スマホを手に取り着信を見ると七緒からである。
千秋「七ちゃん(電話に出る)もしもし…七ちゃん、どしたの?え?
七ちゃん?黙ってたら分からないよ?どうかしたの?え…?」
千秋の顔が青ざめる。
千秋「琉華が…分かったすぐ行く」
電話を切り慌てて部屋を出る千秋。
〇同・二階・宗介の部屋・前(夜)
千秋が来てドアを激しくノックする。
千秋「宗ちゃん!起きてる?宗ちゃん!」
眠そうな顔をして宗介が出てくる。
宗介「何だよ。うるせぇなぁ。やっと寝付いたとこだったのに」
千秋「琉華が…琉華が…」
宗介「琉華がどうしたんだよ…」
なつきが部屋から出てくる。
なつき「もう、何の騒ぎ?今集中できてる時に」
千秋「あぁ、なっちゃんすぐにタクシー呼んで」
なつき「タクシー?何で?」
千秋「琉華が」
宗介「だから、琉華がどうしたんだよ。落ち着けって!」
千秋「琉華が刺されたって」
宗介「は?」
なつき「誰に?」
千秋「分かんない。七ちゃんが教えてくれたんだけど、一緒に病院に向
かったって」
宗介「大丈夫なのかよ…」
千秋「それが分からないから。病院に行ったらすぐ手術だとは思うけ
ど…七ちゃん一人じゃ心配だから」
なつき「すぐ呼ぶから」
部屋に戻るなつき。
宗介「お、俺も着替えてくる」
〇××病院・手術室・前(夜)
長椅子に座って、手を合わせ祈っている七緒。
宗介達が来る。
宗介「おぉセブン」
顔を上げる七緒。
七緒「あっ皆さん…」
千秋「ちょっと、七ちゃんどういう事なんだよ」
紘「琉華…大丈夫なのか?死なないよな?」
七緒「私が、見つけた時はまだ話せてたんですが、救急車の中に居る時
に意識不明になって」
なつき「うわ、それかなりマズい状況じゃ…」
七緒「すぐに病院に着いて手術始まったんですが、まだ…」
長椅子に座る宗介達。
千秋「あのさ、七ちゃんなんで琉華が倒れたとこに遭遇したの?近く
で仕事してたの?」
七緒「いえ、駅前で仕事をしてたのですが、急に水晶に琉華さんの顔が
浮かび上がって」
千秋「え…」
七緒「手に持ったら、何かの力が動いて割れてしまったんです水
晶…」
紘「商売道具割っちゃったのかよ」
七緒「私でも押さえられない力が動いたんです…でもそれが琉華さんの
メッセージかなって思ってお店まで行ったんです。そしたら…」
宗介「刺されて倒れてたって事か…」
頷く七緒。
宗介「でも、何で琉華が刺されなきゃいけねぇんだよ…」
七緒「それは、分からないです…」
手術中のランプが消える。
紘「あ、ランプが消えたって事は」
なつき「手術終わった?」
ドアを開け医師が出てくる。
医師に駆け寄る宗介達。
医師「うわっ…」
後ずさりをする医師。
七緒「あ、あの…彼は」
紘「琉華、死んでないよな?」
難しい顔をしている医師。
なつき「え?もしかしてダメだったんですか?」
千秋「え…違いますよね?死んでないですよね?」
宗介「ちょっと先生何か!」
咳払いをする医師。
宗介「あ…」
空気を読み冷静になる宗介達。
医師「聖川さんのお知り合いの方達ですか?」
千秋「一緒に住んでる者です。あの琉華は…」
医師「一先ず、一命は取り留めました」
胸を撫で下ろす宗介達。
医師「が、まだ危険な状況は変わりないです」
千秋「え…」
医師「今は麻酔で眠ってるので、少し経過を見てみましょう。では私は
これで」
去っていく医師。
紘「と、とりあえず大丈夫なのかな…」
千秋「多分」
なつき「最悪の状況は脱したって感じかな?」
宗介「まぁ、琉華はちょっとやそっとじゃ死にやしねぇよな」
千秋達が宗介を見る。
宗介「な、なんだよ…」
七緒「あの…」
千秋「七ちゃん?」
七緒「私が琉華さんに付き添っててもいいでしょうか?と、言っても
看護師さんに聞いてみないとまだ分からないのですが…」
紘「七ちゃん?」
千秋「付き添い出来るのならそっちの方が良いけど…でも七ちゃん大
丈夫なの?」
七緒「私なら大丈夫です。宗介さんも千秋さんも、お仕事ありますし
なつきさんも原稿ありますし紘さんもお仕事続くって言ってたから
…」
千秋「分かった。じゃあとりあえず看護師さんに確認して、OKだっ
たら今日は七ちゃんに任せよう。何かあったらすぐ連絡してね」
七緒「分かりました」
〇カフェ・中(朝)
椿とアキラ。
椿「何だ、朝っぱらから。話があるからすぐに会いたいって」
アキラ「はい…」
椿「どした?何があったんだ?」
アキラ「…」
椿「黙ってたら分からないだろ」
アキラ「俺…オーナーの事が好きです」
椿「(溜息)それは聞いた。それで断っただろ?そのために俺を呼
んだのか?」
アキラ「琉華とオーナーが関係があるのは俺気付いてました。オーナ
ーに振り向いてほしくて売り上げも頑張りました。でもやっぱり駄
目で…だから…琉華を…」
椿「琉華?」
アキラ「昨晩、仕事終わった後…琉華を刺しました」
椿「(大声)刺した?!」
客達が椿達の方を見る。
椿「どういう事なんだ…」
アキラ「琉華が邪魔だったからです。あんな奴のどこがいいんですか
!」
椿「容態は?どうなんだ?」
アキラ「直ぐに、逃げましたからどうなってるか分かりません…」
椿「どうなってるか分からないって…」
アキラ「…」
椿「琉華に、もしもの事があったら。俺はお前を絶対に許さないから
な。そして出頭しろ」
アキラ「言われなくてもそうします」
椿「やっぱり、僕はオーナーの隣に居る事は出来ないんだって今改め
て思い知りました」
アキラ「店も辞めます…って当然ですよね。犯罪者ですから」
椿「…」
アキラ「それじゃ」
店を出て行くアキラ。
〇✕✕病院・病室・中(朝)
七緒が琉華の手を握って眠っている。
眉間に皺をよせ弱い声で唸る琉華。
それに、反応して、七緒が目を覚ます。
七緒「あっ…いつの間に寝てたんだ…」
眉間に皺を寄せて、苦しそうにしている琉華。
七緒「琉華さん…大丈夫ですか?」
ゆっくりと目を開ける琉華。
琉華「うっ…」
視線だけ動かして七緒の方を見る琉華。
琉華「セブン…か?」
七緒「はい」
琉華の手を握りしめる七緒。
琉華「ってか、俺…生きてんの?」
七緒「当たり前でしょ」
琉華「本当か?これ、最後に見る夢とかじゃねぇよな」
七緒「違います」
琉華「そっか…俺刺されて…セブンが来たとこまでは覚えてるんだけ
ど…そっから記憶がねぇ」
七緒「無理に思い出す事は無いです…琉華さん…本当に生きてて良か
った」
七緒の涙が、琉華の手の甲に落ちる。
琉華「セブン…泣いてるのか?」
七緒「あ…」
琉華「ってかさ、一つ言っていいか?」
七緒「はい」
琉華「イテェ…」
七緒「は?」
琉華「腹…痛い」
シーツの上からお腹を触る琉華。
七緒「もしや、麻酔が切れたから、傷が痛みだしたのかも…看護師さ
ん呼びましょう」
インターホンを押す七緒。
看護師が来る。
看護師「どうしました?あっ目が覚めました?」
七緒「すみません。お腹が痛いと苦しんでるんですが」
看護師「あぁ。麻酔が切れたんですね。酷く痛みますか?」
脂汗をかきながら苦しい顔で頷いている琉華。
看護師「じゃ、座薬入れましょ」
ポケットから座薬を出す看護師。
看護師「下。脱いで下さい」
琉華「え?」
看護師「座薬入れますから」
七緒「じゃ」
七緒が琉華のズボンを脱がそうとする。
琉華「ちょ、待て…どこから入れるんですか?」
看護師「どこって、肛門ですよ」
七緒「どこから入れると思ったんですか?」
琉華「え…止めて」
看護師「は?」
七緒「どうかしました?」
琉華「(七緒に耳打ち)俺、タチなんだよ。ケツに入れられる方じゃな
くて入れる方なんだよ」
七緒「だから?」
琉華「だからじゃねぇよ」
看護師「何してるんですか?痛むんでしょ?早く入れた方が落ち着
きますよ」
琉華「…」
× × ×
肛門をのぞき込んでいる看護師。
看護師「では、入れますよー」
力んでいる琉華。
看護師「そんなに、力入れてたら座薬入らないし、傷口開きますよ!」
七緒「琉華さん…観念して下さい」
看護師が肛門に座薬を入れる。
琉華「アァァァッ!」
続。
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