本能寺の恋 ドラマ

時は戦国時代… 織田家家臣、明智光久はある日、城で働く女性、鶴といい雰囲気に。 そこに当主、織田信仲がやって来くるや鶴に一目惚れ、一方的に結婚を決める。 光久は、鶴を奪われた怒りから、翌日、本能寺へとデートに出かけた信仲を追いかける…
こばし友也 9 0 0 06/02
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第一稿

<人物>
明智光久(26) 武士・信仲の家臣
織田信仲(23) 武士・織田家当主
羽柴秀利(20) 武士・信仲の家臣
鶴(18)    安土城の厨女(くりやめ)
吉田弥助 ...続きを読む
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<人物>
明智光久(26) 武士・信仲の家臣
織田信仲(23) 武士・織田家当主
羽柴秀利(20) 武士・信仲の家臣
鶴(18)    安土城の厨女(くりやめ)
吉田弥助(40) 武士・信仲の家臣・鶴の父
家臣


〇T『時は、戦国時代…』

〇安土城・広間
   小上がりの上に座る織田信仲(23)に向か
   い、家臣たちが十数人並んでひざまず
   いている。
信仲「光久、此度(こたび)の戦でのそちの働き、見事で
 あった」
   家臣の中の明智光久(26)、頭を下げ、
光久「殿の御為(おんため)、命をも賭す覚悟であります!」
   光久の隣の羽柴秀利(20)、自分の事の様
   に嬉しそうに微笑む。
信仲「そちの様な者がいれば心強いぞ」
光久「ははー」
   と光久、さらに深く頭を下げる。
信仲「よし!」
   と信仲、立ち上がり、
信仲「此度の勝利を祝して今宵は宴じゃ! 
 家臣一同、その家族も呼び寄せ……」
   信仲、拳を突き上げ、
信仲「盛大に執り行うぞー!」
家臣たち「はーっ!」
   と家臣たち、一斉に頭を下げる。

〇同・大広間(夜)
   宴が催され、各々盛り上がっている。
   光久、膳の前に座り酒を飲んでいる。
   その隣で秀利が辺りを見まわしている。
光久「どうした? 先程から真剣な顔して」
   秀利、視線を落とさぬまま、
秀利「今宵は家臣の家族も招かれておるんじ
 ゃ。美しい女子(おなご)に出会えるやもしれん」
光久「(笑って)そうじゃな」
   と光久、お銚子を傾けるも中身が空。
光久「(呟く)なんじゃ、いつの間に……」
鶴の声「お注ぎ致しましょうか? 光久様」
   光久、声に気づき顔を上げる。
   鶴(18)がお銚子を持ち、前に立っている。
光久「おー気が利くのぉ」
   と光久、お猪口を鶴に差し出す。
   鶴、しゃがんで、お猪口に酒を注ぐ。
   秀利、隣のやり取りに気づき二人の様
   子を見ている。
   光久、鶴の姿を見てポカンとしている。
光久のM「なんと見目麗しい……」
   鶴、酒を注ぎ終わり、微笑み会釈する。
   光久、ハッとして、
光久「っおう……かたじけない……」
   秀利、二人を見てニヤニヤしている。
光久「そなた、見ない顔じゃが、この城で働
 く者であるか?」
鶴「はい。厨(くりや)にてお食事の世話を仰せつかっ
 ております」
光久「ほぉーそうであったか。ではこの膳も
 そなたが作ったものであるか?」
鶴「はい」
光久「いやーどの皿も実に美味い」
   と光久、皿を一つ手に取り、
光久「特にこれなんぞ、真(まこと)に美味い」
   と光久、一口食べる。
鶴「これは我が家に代々受け継がれてきたも
 のなんです! この料理をお褒め頂けると
 は、真に嬉しい限りでございます」
光久「そうか。いやーこれは絶品じゃよ!」
   秀利、ニヤニヤ頷いている。
光久「そなた、名を何と申す?」
鶴「鶴にございます」
   と鶴、丁寧に頭を下げる。
光久のM「真、鶴の如くしとやかじゃ……」
   鶴、頭を上げる。
光久「どうじゃ鶴、ここで一杯付き合わんか?」
鶴「そんな、私(わたくし)のような者がお伴など……」
光久「構わんよー、今宵は無礼講なんじゃ」
   鶴、遠慮しながらも嬉しそうに、
鶴「では、一杯だけ……」
    ×    ×    ×
   楽しそうに話している光久と鶴。
   隣の秀利、つまらなそうに、
秀利「(呟く)厠(かわや)にでも行ってくるか……」
   と秀利、立ち上がり、去っていく。
   そこに吉田弥助(40)がやって来て、
弥助「鶴、ここにおったか」
鶴「(弥助に)申し訳ございません!」
   と鶴、慌てて頭を下げ、
鶴「少々、長居が過ぎました……」
   と鶴、立とうとすると、
弥助「いやいや、構わんよ。楽しむがよい」
   と弥助、鶴を制止しすると、光久に気
   づき、
弥助「おぉっ! これは、明智殿!」
   と弥助、慌ててひざまずき頭を下げる。
光久「(弥助に)えー、そちは……?」
弥助「織田家家臣、吉田弥助と申します!」
鶴「(光久に)私の父にございます」
光久「おう、そうであったか」
    弥助、頭を上げ、光久に、
弥助「娘が粗相などなかったでしょうか?」
光久「粗相などとんでもない。真に良く出来
 きた娘であるぞ」
弥助「有り難きお言葉……(鶴に)良かった
 な鶴、以前から明智殿をお慕い申しておっ
 たものな」
   鶴、顔を赤らめ、
鶴「父上……光久様の前でその様な……」
   まんざらでもない様子の光久。
信仲の声「おー光久。楽しんでおるかー?」
   信仲、千鳥足でやって来る。
   鶴と弥助、慌てて信仲に頭を下げる。
光久「ええ。殿も楽しそうで何よりです」
   信仲、鶴に気づいて、
信仲「(光久に)ほー、女子など侍(はべ)らしおって。そちも隅に置けぬのぉ」
光久「いえ……」
信仲「どれ?」
   と信仲、鶴の前にしゃがみこみ、
信仲「(鶴に)これ、面(おもて)を上げよ」
   鶴、恐る恐る顔を上げる。
信仲「ほぉー! これは美しい女子じゃなー」
   信仲、鶴に顔を近づけ、
信仲「そち、名を何と申す?」
鶴「つ、鶴にございます……」
   信仲、頷き、
信仲「よし、決めた! 鶴、わしの嫁になれ!」
   鶴、呆気に取られる。
   弥助、驚いて顔を上げ、信仲を見る。
光久「(慌てて)と、殿! それは些か、急(せ)き
 過ぎかと存じますが……!」
信仲「(光久に)急かなくてどうする。誰(たれ)か取
 るやもしれんだろー」
光久「しかし……殿、些か飲み過ぎでは……」
信仲「わしが酒に呑まれ決断を誤った事があ
 ったか?」
光久「い、いえ……」
   信仲、鶴の肩を抱き、
信仲「(鶴に)なぁ鶴、わしの嫁になれ」
   鶴、困って声が出ない。
信仲「そうじゃ鶴! 京の本能寺に美しい庭
 があるんじゃ。そこで観る月は真に美しい
 ぞ。一緒に行こう」
鶴「(戸惑いながら)は、はい……」
信仲「よし! 決まりじゃ!」
   と信仲、立ち上がり、
信仲「明日(あす)、迎えに参る。明後日(みょうごにち)は十五夜じ
 ゃ。楽しみに待っておれ」
   と信仲、笑いながら去っていく。
   残された三人、呆然としている。
   そこに秀利が戻ってきて、去りゆく信
   仲と三人を見て、首を傾げる。

〇城下の通り(夜)
   弥助と鶴、話しながら歩いている。
弥助「鶴……明智殿と夫婦(めおと)になりたいか?」
鶴「夫婦だなんて……」
   弥助、立ち止まり、
弥助「頼む!」
   鶴、立ち止まる。
弥助「御屋形様に嫁いでもらえぬか!」
   と弥助、頭を下げる。
鶴「父上……」

〇安土城・中庭(朝)
   光久と秀利が池の前で話している。
光久「秀利、わしは殿を討つぞ……」
秀利「討つ!?」
 と秀利、一瞬驚くも、すぐ笑って、
秀利「お戯れを……昨夜(ゆうべ)の事を気にしておら
 れるのか? もう諦めよ」
光久「本気じゃ。これから京に上る……」
秀利「(驚いて)気は確かか! そ、そんな…
 …女子を取られたぐらいで、謀反など!」
光久「わしも本能の赴くまま動くまで……」
秀利「光久殿……!?」
   池を泳ぐ鯉。
光久「恋の恨みは恐ろしいのじゃ……」
   と光久、餌を鯉に投げつけ去っていく。
   去りゆく光久を見つめる秀利。

〇本能寺・縁側(夜)
   信仲と鶴、肩を寄せ、月を眺めている。
信仲「どうじゃ? 美しいであろう」
鶴「(緊張しながら)はい……」

〇同・門前(夜)
   立ち尽くしている光久、月を見上げて、
光久「(呟く)敵は本能寺にあり……」

〇同・寝室(夜)
   縁側から信仲と鶴が中へ入って来る。
   反対側の襖が勢いよく開かれると、そ
   こに刀を持った光久が立っている。
信仲「(驚いて)光久! 何をしておる!」
   光久、刀を構え信仲に向かっていく。
光久「信仲ー!!」
鶴「光久様ー!」
   信仲、咄嗟に鶴を傍らに弾き飛ばす。
   光久、信仲に刀を振り下ろす。
   倒れている鶴、恐る恐る顔を上げる。
   血を流して倒れている光久。
   光久の奥で、血のついた刀を持った秀
   利が息を切らして立っている。

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