不思議な彼女 ドラマ

ドジで間抜けな米田。毎日が辛い日々。クリスマスの夜なのに一人しょげていた。 そこに突然、コールガールのネリが現れた。 意外な彼女の素顔に米田の心は徐々に癒されていくが、彼女は突然消えてしまう。 あるプレゼントを残して
池上彰 3 0 0 05/08
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第一稿

   登場人物
米田卓司(21)フリーター
ネリ(20)コールガール


〇繁華街(夜)
   クリスマスソングが流れている。
   あふれる人並みと喧噪。
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   登場人物
米田卓司(21)フリーター
ネリ(20)コールガール


〇繁華街(夜)
   クリスマスソングが流れている。
   あふれる人並みと喧噪。
   一軒の居酒屋の前で、サンタ帽を被っ
   た店員が、呼び込みをしている。

〇同・裏口(夜)
   店員姿の米田卓司(21)が、店長風
   の中年の男Aに何か怒鳴られている。
   何度も頭を下げる米田。
   男A、米田を突き飛ばす。
   尻もちをつく米田。
   乱暴にドアを閉じ、店内に入る男A。
   悲しそうな顔で、立ち上がる米田、  

〇川沿いの公園(夜)
   小さな川沿いの小さな公園。
   薄暗い街灯に照らされたベンチに座り
   スマホを見ている米田。
   米田のスマホ画面には、森の小道で笑
   う高校の制服姿の女の子がいる。
   一瞬、突風が吹く。
   慌てて、コートの襟を合わせる米田。
   突然、ネリ(20)が、勢い良く米田
   の隣に座る。
   ギョッとする米田。
   金髪にド派手なメイクのネリが、米田
   に笑いかけながら、
ネリ「ねぇ、なに見てんの。彼女の写真?」
   慌てて、スマホをポケットに隠し、横
   を向く米田。
ネリ「暇? だったら、あたしと遊ばない。
 ショートで2万、泊りなら4万でいいよ」
米田「そんな金ねぇよ」
   ネリを無視して立ち上がる米田。
ネリ「まぁ、まぁ。そう言わんと」
   ネリ、米田の手を引き座らせる。
ネリ「シケた顔してるから、声かけたのよ」
米田「悪いけど、この顔、生まれつき」
ネリ「でも、川に飛び込みそうだったよ」
米田「あのなぁ、こんな浅い川で自殺する奴
 いるかぁ?」
ネリ「一部マニアには、いるかもよ」
米田「そんな奴、いる訳ないだろう!」
ネリ「あら、怒ってるの? はは~ん。なん
 かあったんだ」
   米田、うろたえて、
米田「いや……別に……いつもの事が、いつ
 ものようにあっただけだよ」
ネリ「え~っ、あたし頭悪いから、なに言っ
 てんのかわかんない」
米田「頭悪い? それがどうした。おれなん
 かドジで、アホで、間抜けで、運も悪いし
 ……周りからはヘレン・ケラーの三重苦よ
 りひどい四重苦って、言われてるんだぞ」
   ネリ、キョトンとして、
ネリ「……ヘレン・ケラーってだれ?」     
   米田、絶句して、
米田「まぁ、その、なんて言うか、おれの言
 いたいのは……ええっと……その」
ネリ「う~ん。良くわかんないけど、良くわ
 かった」
米田「えっ?」
ネリ「とにかく、大変だったんでしょ」
米田「まぁ、早く言えば、そんなもんかな」
ネリ「よし、よし。じゃぁ、これサービス」
   ネリ、米田の頭を引き寄せると、自分の肩にもたれ掛けさせる。
米田「でも、おれ、金……ないよ」
ネリ「サービスだってば。こうすると男の人
って、気が楽になるんでしょう。お客さん
の一人が言ってたわ」
米田「……ありがとう」
   ネリ、優しく米田の手を握る。
   米田、ネリの手を強く握り返す。
   静かな時間が流れる。
ネリ「そうだ。いいもの見せてあげる」
   ネリ、スマホを取り出すと操作して、
ネリ「ねっ。見て、見て」
   スマホの画面を米田に見せるネリ。
   ネリのスマホ画面には、浜辺でピース
   サインを出している美少女がいる。
   米田、驚いて、
米田「か、可愛い。マジで可愛い。だれ?」
ネリ「あ・た・し」
米田「ウソだぁ!」
   米田、スマホの写真をネリの顔の横に
   持っていくと、
米田「ぜんぜん違うじゃん」
ネリ「エヘヘ、素顔がわかんないと、色々都
 合がいいのよ」
米田「こんなに可愛いくて、若いのに、どう
 して、こんなこと」
   ネリ、暗い顔になり、
ネリ「それはね……あたしが馬鹿だから」
米田「ごめん。余計な事、聞いちゃった」
ネリ「いいよ。別に……あたしね。自分の人
 生の中で、思い出してもいいのは、この時
 だけなんだ」
米田「おれも似たようなもんだよ」
   ネリ、急に明るい顔になり、
ネリ「やっぱしね。人に言えない暗くて、辛
くて、女の子にもてない悲しい人生だったの
 よね。絶対そうだと思ってた」
米田「あのね。少しは否定してくれてもいい
んだけど」
ネリ「それは、サービスの中に入りませんの
 よ。おほほ」
米田「じゃ、いくらなら言ってくれるの」
ネリ「三億円ほどになります」
米田「え~っ、おれって、そんなに悲惨に見
 えるのかよ」
ネリ「へへへ。ホントはね。なんか辛そうに
 してたから、声かけたのよ」
  米田、悲しげな顔になり、
米田「おれって、社会の常識とか仕事の決ま
 り事とか、なんにも知らなくて……いつも
 周りから、怒られてばかりで」
ネリ「ふ~ん。それで、しょげてたんだ」
米田「そしたら、急に、昔の彼女を思い出し
 ちゃって」
   米田、深い溜息と共に、
米田「あの子。可愛かったなぁ……元気にし
 てるかなぁ……どうしてるんだろう」
ネリ「それって、さっきの写真の人?」
米田「……うん」
ネリ「別れちゃったの?」
米田「……東京に来てから、なんとなく疎遠
 になっちゃって」
ネリ「連絡してないの?」
米田「……いまのおれ、見られたくない」
   肩を落とす米田。
ネリ、米田の手を握り、立ち上がる。ネリ「ねっ、行こう」
米田「でも、おれ」
ネリ「いいから。気にしないで」
   米田の手を引っ張り、歩き出すネリ。

〇繁華街・全景(朝)
   朝日が、街を照らし始めている。

〇ラブホテル 出入口(朝)
   米田とネリ、笑いながら出てくる。
   化粧を落とし、素顔のネリの顔が、朝
   日に輝く。

〇T字路
   米田とネリ、腕を組み、やって来る。
ネリ「じゃ、ここでお別れね。ウフフ、昨日
 は、とっても楽しかったよ」
米田「あの、おれ、君が払ってくれた分、必
 ず返すから」
   ネリ、微笑んで、ゆっくり歩きだし、
ネリ「ねぇ、元カノに連絡してみたら」
米田「えっ?」
ネリ「なんか、いい事あるかもよ」
米田「それより……おれ、もう一度君と」
ネリ「たまには、あたしの事思い出してね。バイバ~イ」
   ネリ、手を振ると素早く角を曲がる。
米田「ま、待ってくれよ」
   慌てて、後を追う米田。
   一瞬、突風が吹き米田の足を止める。

〇同・曲がり角
   米田、走ってくる。
   だが、両側が古い塀に囲まれた細い路
   路なのに、ネリの姿が見えない。
米田「え~っ⁈」
   米田、辺りを必死に見回すが、ネリの姿は、何処にも見えない。
米田「マジかよ……誰だったんだ。あいつ」
   頭を掻き、来た道を引き返す米田。
   が、ハッとして、すぐに足を止める。
   米田、スマホを取り出すと操作する。
   携帯の着信音。
男の声「はい、もしもし」
米田「あれ、マリコさんの携帯では?」
男の声「どこ、かけてんだ。このドアホ!」
米田「す、すみません。間違えました」
   慌てて携帯を切る米田。
米田「ちぇ。やっぱり、いつも通りか」
   空を仰ぎ見る米田。
米田「あ~あ。生まれ変われねぇかなぁ」
  俯いてしまう、米田。

〇米田の部屋。
   六畳一間のワンルームアパート。
   ドアが開き、郵便物を手にした米田が
   入って来る。
   米田、郵便物を見ながら、
米田「請求書……請求書……請求書」
   中身も見ずにゴミ箱に捨てる米田。
米田「あっ」
   米田、一通の葉書に手を止め、読み始
   める。
米田「携帯の番号が、変わりました。なぜだ
 か、自分からかける勇気が出なくて。良か
 ったら、電話下さい。マリコ」
  急いでスマホを取り出す米田。
   携帯の呼び出し音が、鳴り始める。

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