ヒット&ラン 学園

強肩強打の遊撃手・中松日登美(14)は吉高嵐(14)と小学生時代から二遊間コンビを組んでいた。しかし中学に上がると徐々に男女の体格差が影響しはじめ……。
マヤマ 山本 12 0 0 08/09
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第一稿

<登場人物>
中松 日登美(12)
吉高 嵐(12)

木下 菜々(12)
監督



<本編>
○メインタイトル『ヒット&ラン』

○野球場A
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<登場人物>
中松 日登美(12)
吉高 嵐(12)

木下 菜々(12)
監督



<本編>
○メインタイトル『ヒット&ラン』

○野球場A
   小学生の野球の試合が行われている。ショートを守る紅一点の中松日登美(12)と、セカンドを守る小柄な少年・吉高嵐(12)。
   相手打者の打球、二遊間へ飛ぶゴロ。
日登美「セカンド」
   グラブを伸ばすも、捕りきれず打球を弾いてしまう吉高。
吉高「あっ」
   ボールが転がった先、日登美がフォローに入って捕球し、一塁へ送球。矢のような送球でアウトにする。
日登美「よっしゃ」
吉高「ごめん、ヒット(=日登美のあだ名)」
日登美「ラン、何回も言わせんな。こういう時は『ごめん』じゃなくて……」
吉高「ありがとう、ヒット」
日登美「よろしい」
   グータッチをする日登美と吉高。
    ×     ×     ×
   打席に立つ吉高。フォアボールを選び、一塁へ向かう。入れ替わりで打席に向かう日登美。
日登美「ナイッ選」
アナウンスの声「三番、ショート、中松さん」
   初球を打つ日登美。外野を超える大きな打球。
日登美「よっしゃ」
   ホームインする吉高と、三塁に到達する日登美。
吉高「ナイバッチ、ヒット」
   ガッツポーズで応える日登美。
日登美の声「え、マジで!?」

○同(夕)
   グラウンド整備をする日登美と吉高。
日登美「ランも硬式行くの?」
吉高「そんな驚かなくても……」
日登美「『驚く』っていうか、ランは身体も小さいし、レベルの高さについていけるのか心配な訳」
吉高「そんな事言ったら、ヒットだって……あ、ごめん」
日登美「いちいち謝るな。『二中の野球部は女子じゃ入れないから、続けるなら硬式しかない』ってのも、また事実」
吉高「でも……」
日登美「とりあえず、せっかく同じチーム行くんだから、また黄金の二遊間コンビで頑張ろうよ。ね?」
吉高「うん」
   グータッチをする日登美と吉高。

○中学校・外観
   「入学式」の看板。

○同・一年二組・中
   吉高の元にやってくる日登美。吉高の学ランはブカブカ。
日登美「クラスも一緒か。よろしく」
吉高「うん」
日登美「それにしても、制服デカすぎない? サイズ間違えた?」
吉高「これから背が伸びるんだよ」
日登美「そう? そんな伸びるか~?」
吉高「伸びるよ!」
   笑う日登美。

○野球場B
   ランニングする中学生主体の野球選手達。後方を遅れて走る日登美と吉高。
    ×     ×     ×
   倒れ込む日登美と吉高。
吉高「もう無理……」
日登美「やっぱ、レベル高いな~」
吉高「うん」
日登美「このままじゃダメだ。今夜、特訓しよう」
吉高「凄いな~、ヒット。頑張って」
日登美「何言ってんの。ランも一緒にやるんだよ」
吉高「え、俺も!?」

○公園(夜)
   互いにゴロ性の球を投げ、守備練習をする日登美と吉高。吉高の投げた球を難なく捕球する日登美。
日登美「ラン、もっと強い球投げてよ」
吉高「ごめん……」
日登美「さぁ、もう一本」
吉高「ねぇ、俺もう膝痛いんだけど」
日登美「泣き言は捕ってから言え。ほら!」
   と言ってゴロ性の球を投げる日登美。補球する吉高。
日登美「ナイスキャッチ!」

○中学校・一年二組・中
   日登美の元にやってくる木下菜々(12)。
菜々「ねぇ、中松さんって野球やってるの?」
日登美「まぁね。一応、去年までは三番ショート」
菜々「カッコいいな~」
日登美「ちなみに、ランも同じチーム。吉高嵐、わかる?」
菜々「あ~、まだ顔と名前が一致してなくて」
日登美「ほら、あそこにいるチビだよ」
   席に着いている吉高を指す日登美。
菜々「チビ? そんなに小さくないと思うけど……?」
日登美「何言ってんの、アイツがチビじゃなかったら誰がチビなの。(吉高)ねぇ、ラン」
吉高「? ヒット、呼んだ?」
   と言って席を立つ吉高。身長が大分伸びている。
日登美「あれ……背、伸びた?」
吉高「うん、少しね」
日登美「……」

○野球場B
   ランニングする中学生主体の野球選手達。後方を遅れて走る吉高と、そこからさらに遅れる日登美。

○公園(夜)
   互いにゴロ性の球を投げ、守備練習をする日登美と吉高。吉高の投げた球を弾く日登美。
日登美「痛っ」
吉高「ごめん、強かった?」
日登美「……大丈夫」
吉高「……今日はこの辺にしておかない? ヒット、調子悪そうだし」
日登美「……そうする」

○中学校・プール
   水泳の授業中。見学組に日登美の姿。

○野球場B
   ショートを守る日登美とセカンドを守る吉高。やや深い位置に飛ぶゴロを捕球し、一塁に投げるも間に合わず内野安打となる。
日登美「そんな……」
吉高「ヒット、ドンマイ」
    ×     ×     ×
   監督の前に立つ日登美と吉高。
日登美「えっ、コンバートですか?」
監督「あぁ、お前達、セカンドとショート、入れ替われ」
日登美「でも、ランは……」
   と言って隣の吉高を見やる日登美。もう吉高の方が背は高い。
日登美「……」
日登美の声「背、伸びたね、ラン」

○道(夕)
   並んで歩く日登美と吉高。
日登美「いつの間にか、追い越されてるし」
吉高「だから言ったでしょ、伸びるって」
日登美「あとはもうちょっとシャキッとすれば、モテるだろうに」
吉高「うぅ……どうせ俺はシャキッとしてないよ」
   笑う日登美。
吉高「ねぇ、ヒット。ポジションの事なんだけど……」
日登美「頑張ろう」
吉高「え?」
日登美「ただ入れ替わるだけ。黄金の二遊間コンビを目指すのは変わらないんだから」
吉高「うん、そうだね」

○野球場B
   セカンドの位置でノックを受ける日登美。苦戦気味。
    ×     ×     ×
   野球の試合が行われている。セカンド守る日登美と、ショートを守る吉高。
   相手打者の打球、二遊間へ飛ぶゴロ。
吉高「セカンド」
   グラブを伸ばすも、捕りきれず打球を弾いてしまう日登美。
日登美「あっ」
   ボールが転がった先、吉高がフォローに入って捕球し、一塁へ送球。矢のような送球でアウトにする。
吉高「よしっ」
日登美「ごめん、ラン」
吉高「ヒット。こういう時は『ごめん』じゃなくて……」
日登美「ありがとう、ラン」
吉高「よろしい」
日登美「調子に乗んな」
吉高「え~」
   グータッチをする日登美と吉高。
                  (完)

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