両刀使 恋愛

マネキンのジェシカか、隣人の宇津木優(25)か。江洲翔平(30)の心がまだ揺れ動いていたころの話。
マヤマ 山本 10 0 0 06/21
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第一稿

<登場人物>
江洲 翔平(30)洋食屋の厨房スタッフ
椎 千秋(30)江洲の友人
窪田 圭(36)洋食屋の店長

宇津木 優(25)江洲の隣人
ジェシカ  マネキン
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<登場人物>
江洲 翔平(30)洋食屋の厨房スタッフ
椎 千秋(30)江洲の友人
窪田 圭(36)洋食屋の店長

宇津木 優(25)江洲の隣人
ジェシカ  マネキン



<本編> 
○(夢の中)アパート・外観(朝)

○(夢の中)同・江洲の部屋(朝)
   ベッドで寝ている江洲翔平(30)。目を覚ます。キッチンに立つ宇津木優(25)。ただし優は、擬人化した女性型マネキン・ジェシカという体。
江洲「おはよう、ジェシカ」
優「おはよう。もうすぐ朝ご飯の準備できるからさ」
   電子レンジから温め完了の音が鳴る。
江洲「朝ご飯、何?」
優「昨日の残り」
   江洲が電子レンジから取り出したのは前夜の焦げた料理の残り。
江洲「コレ、焦げてるじゃん」
優「まぁ、コレはコレで、独特な味で悪くなかったというか」
江洲「じゃあさ、ジェシカ的には、また今度同じように焦がして作って欲しい?」
優「……いや、いいや」
江洲「わかりやすっ。ったく、次はちゃんと作りますよ」
優「お願いしま~す」
   笑う二人。
   突如真顔になり、優の腕を掴む江洲。肩を抱き寄せ、頬に触れる。
優「翔?」
江洲「ジェシカ……」
   優にキスをしようと唇を寄せる江洲。受け入れ、目を閉じる優。

○同・同(朝)
   ベッドで寝ている江洲。目を覚ます。
   その隣で横になる本物のジェシカ(つまりマネキン)。
江洲「夢、か……」
   ジェシカを見つめる江洲。
江洲「ジェシカ、おはよう」
   ジェシカにキスをする江洲。唇を離すと、ジェシカは目を見開いたまま。
江洲「……」

○洋食屋・外観
   商店街の一画にある店。

○同・店内
   ランチタイムで混んでいる。

○同・厨房
   調理する江洲ら厨房スタッフ達。
江洲「店長、お願いします」
   無反応。
江洲「? 店長?」
   厨房の出口から客席をこっそり覗き見ている窪田圭(36)を見つけ、圭の元にやってくる江洲。
江洲「店長、何してるんですか?」
圭「しっ。(小声で)元カノが来てる」
江洲「えっ、愛が!?」
   客席を覗き見る江洲。
江洲「……いや、身に覚えのない人ばっかりですね」
圭「は? 『江洲の元カノ』なんて言ってないでしょ」
江洲「確かに。じゃあ、誰の……?」
圭「私の」
江洲「あぁ、そうでしたか……。って、えぇっ!?」
圭「……え?」

○同・外
   「ランチタイムは終了しました」と書かれた札がかかっている。
圭の声「江洲には言ってなかったっけ?」

○同・店内
   テーブル席で向かい合って座り、まかないを食べている江洲と圭。
圭「面接の時に必ず言うようにしてたハズなんだけど」
江洲「『私はレズビアンです』って?」
圭「『それでもいいですか?』って」
江洲「凄いですね。勇気があるというか」
圭「まぁ、隠すのは簡単だけど、隠し切るのは大変だからね。それに、後々知られた方がややこしいでしょ」
江洲「それ聞いて、辞退される事って……」
圭「しょっちゅう」
江洲「……やっぱりそういうのって、理解されるのは難しいんですね」
圭「理解なんてされないでしょ」
江洲「え?」
圭「そりゃ、他人事な内はいくらでも『理解してます風』な事言えるでしょ。けど、いざ自分の身に降り掛かった時に同じ事が言えるかどうか。それが出来て初めて、本当の意味で『理解した』って事になるんだと思うけど。まぁ、大抵は無理でしょ」
江洲「じゃあ、性的少数者は一体どうすればいいんですか?」
圭「コッチが『理解されよう』と思わない事が一番手っ取り早いと思う」
江洲「理解されなくていい、って事ですか?」
圭「例えば、私はレズだけど、今日来てた元カノはバイで……あ、バイってわかる?」
江洲「バイセクシャル?」
圭「そう、翔平と一緒」
江洲「俺、違いますよ」
圭「江洲じゃなくて、大谷」
江洲「……二刀流って事?」
圭「よくわかったね」
江洲「どうも。で?」
圭「あ、そうそう。私は彼女と付き合ってたけど、バイセクシャルっていうものを完全に理解してたかって言えば違うし。でも、理解してなくても、支障はなかったから」
江洲「なるほど」
圭「そもそも江洲だって、みんなだって、何で大多数の男が女を好きになって、女が男を好きになるのか、一〇〇パーセント理解してる訳でもないでしょ?」
江洲「……まぁ、確かに」
圭「人と人との関係なんて、そんなもんなんだから。割り切ればいいんだよ。人の心なんて、全部は見えないもんなんだ、って」
江洲「……本当にいいんですかね、そんな結論で」
椎の声「翔平は、人の事を信用しなさすぎるんだよ」

○DVDショップ・アダルトコーナー(夜)
   両手にそれぞれアダルトDVDを持っている江洲。片方は希崎ジェシカで、もう片方はあべみかこ出演作品。その背後に立つ店員姿の椎千秋(30)。
椎「自分の目で見えるものしか信用できない。だから、全部見たがる」
江洲「でも、知りたいと思わないか? 相手の本音とか」
椎「今の世の中よ、本音を言ったって炎上するだけだぜ? 求められてるのは、何もしないで側に居て(サムズアップして)ただ『いいね』って言うだけのマネキンみてぇな人間だけなんだよ」
江洲「マネキン、か……」
椎「それによ、全部見える事が良い事とは限らない。むしろ、見えない方がいいって場合もある」
江洲「例えば?」
椎「見えちまったら、それで終わりだ。だが見えなければ、考える。見えないから、想像する。どうすれば見えるのか、策を練る。そうやって人間は進化していくんだよ」
江洲「一理あるな」
椎「だからこそ……」
   椎の指す先、着エロDVDコーナーの棚。
椎「ウチでも着エロのコーナーを拡充させてみた。どうだ、一本?」
江洲「お前は黙って、AVだけ売ってろ」
椎「いいもんだぞ? 見えそうで見えない、ってのもよ」
江洲「遠慮しておく」
椎「本当、人を信用しなさすぎだな」
江洲「そもそも、こういうのは、別にアダルトじゃなくて、(入口の暖簾の外を指し)普通のコーナーで売ればいいだろ?」
椎「か~っ、わかってねぇな。今どきよ、着エロも千差万別。完全に隠すもの、チラやスケがあるもの、上は全部出してるものまであって、18禁も珍しくねぇんだぞ?」
江洲「はいはい、そうですかそうですか。俺はAV専門なんでね。っていうか、千秋だってそうだろ?」
椎「もっと柔軟に考えろよ、翔平。世の中よ、『どれか一つに選ばなきゃならない』ものなんて、そう多くはねぇよ」
江洲「一つに、選ばなくていい……?」
椎「両方愛したっていいじゃねぇか。AVと着エロだろうと、男と女だろうと、人間とマネキンだろうと、な」
江洲「……千秋。お前の言いたい事、わかったよ」
椎「お、その心は?」
江洲「(手に持ったDVDをかざし)俺に両方買わせようとしてんだろ?」
椎「ハハ、正解」
江洲「ったく」
椎「で、どうすんだ?」
江洲「そりゃあ……」
   両方のDVDを交互に見つめる江洲。やがて両方を椎に渡す。
江洲「……両方買うよ」
椎「さすが。毎度あり」

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