臆病マイヒーロー ドラマ

「私の卒業」第二期プロジェクトに出したものです。 原稿用紙8枚まで、「臆病からの卒業」というテーマで書きました。
雨宮 78 0 0 02/22
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第一稿

【人物表】
立葉三波(たてばみなみ) (18) 高校3年生。科学部。
安城明音(あんじょうあかね) (17) 高校2年生。科学部。
女子1
女子2
男子1
男子2
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【人物表】
立葉三波(たてばみなみ) (18) 高校3年生。科学部。
安城明音(あんじょうあかね) (17) 高校2年生。科学部。
女子1
女子2
男子1
男子2

〇校門前・外
   第75回卒業式という看板。

〇教室・中
   男女数人、話している。
女子1「そういえば知ってる? なんと今年、うちのクラスから東大生が出たらしいよ!」
女子2「うっそまじか。で、誰なの?」
女子1「えーと、なんて言ったかな……」
   男子1、笑いながら
男子1「おいおい、同じクラスだろ」
女子1「一度も喋ったことないから……あ!」
   教室の扉が開く音。
   立葉三波(18)、教室に入る。
女子1「あ、あの人だ。噂の東大生」
男子1「あれ、誰だっけ」
男子2「お前も人のこと言えねーじゃん。あれ、立葉だな。科学部の」
男子1「立葉って、あの髪ぼさぼさで、暗そうな、いつも科学実験室にいるやつ?」
   女子1、にやりとして
女子1「うん……でもさ、東大生ってことは将来有望ってことだよね。話しかけてくる!」
女子2「私も!」
   女子二人、立葉を追いかける。
男子1「お、おい!」
   男子1、2、呆気にとられる。

〇廊下
   立葉を追いかける女子二人。
立葉「な、なんで追っかけてくるんだ!」
女子1「待ってえ~! 立葉くーん」
   走る三人。
   曲がり角で教室の中から手が伸びてくる。その手が立葉の腕を掴む。
立葉「うわっ」
   立葉、教室の中に入る。
   女子二人、立葉を見失う。
女子2「あれ~、どこいったんだろ?」
   きょろきょろする二人。

〇科学実験室・中
   安城明音(17)、立葉の腕を掴む。
安城「なんだか大変なことになってるみたいですね」
立葉「安城……ありがとう、助けてくれて」
   安城、黒板の前の机の前に立つ。
安城「先輩の子守をするのは慣れてますから」
立葉「子守って……」
   安城、黒板の前の机に立ち、アルコールランプで珈琲を入れる。
安城「先輩。そんなところに立ってないで座ってくださいよ。今珈琲入れますから」
立葉「うん」
   立葉、安城の前に座る。
   ビーカーに入った珈琲に砂糖を入れ、
安城「砂糖はスプーン三杯、ですよね」
立葉「ありがとう。この珈琲を飲むのも今日で最後か…」
   立葉、珈琲を飲む。
立葉「僕達が初めて会った時のこと、珈琲を飲む度に思い出すよ」
安城「……何かありましたっけ?」
立葉「えっ!忘れちゃったの? 僕が二年生で、安城が一年生のとき…」

〇(回想)科学実験室・中
   立葉、椅子に座りうなだれている。
立葉「やっぱりゼロか……」
   「新入部員募集中でーす!」という呼び込みの声。立葉、窓を眺め、
立葉「ああいうことができる勇気があればなあ……」
   教室の扉が開く音。安城、入ってくる。
安城「ここって、アルコールランプ、置いてあります?」
   立葉、はっとしてから立ち上がり、
立葉「あ、あります!」
   安城、珈琲を入れる。立葉、前に座る。
立葉「あ、あの…」
安城「困りました。高校がこんなに厳しいところだとは思わなくて」
立葉「え」
安城「火が使える場所、全然ないんですね。茶道部にも行きましたがダメみたいです」
立葉「……君はうちの部の、科学部の入部希望じゃないのかな?」
安城「ああ、ここは科学部なんですね。仕方ありません、珈琲を入れることができるのはここしかないみたいなので入部します」
立葉「し、仕方なくって……」
   安城、珈琲を差し出す。
安城「これからよろしくお願いします、先輩」
   安城、にっこりと笑う。
   立葉、ぼーっと見とれる。

〇科学実験室・中
立葉「あのときは、廃部寸前のところにやってきたヒーローだって思ったよ。態度には驚いたけどね」
安城「私も、珈琲に砂糖を入れる人間がいることを初めて知りました」
立葉「甘党なんだって!」
   安城、微笑み、
安城「先輩は何も変わらないですね」
   立葉、考え込み、
立葉「……安城、僕さ。自分自身を変えていきたいと思ってるんだ」
安城「……すみません、そこまで思い詰めてたとは。私は珈琲に砂糖を入れるのは人それぞれでいいと…」
立葉「(遮って)珈琲の話じゃなくて!……臆病な自分を卒業したいんだ」
   立葉、珈琲を眺めながら、
立葉「先輩が卒業して部は一人になってさ。でも僕は、新入生の勧誘も部のためになることも何もしなかった」
   安城、立葉を見つめている。
立葉「安城のお陰で部は継続したけど、どうしても煮え切らなかったんだ。自分は何もしてないのにこのままでいいのかなって……」
安城「だから、有名な大学に入って、部を宣伝しようとしたんですね」
   立葉、目を見開き、
立葉「なんでそれを……」
安城「沢山勉強してたの私知ってます。それに、先輩が臆病なんて思った事ないですよ」
立葉「え……」
   安城、アルコールランプを指さし
安城「生徒だけで火は使っちゃいけない……ってこの教室のルールみたいですね」

〇(回想)職員室・中
   立葉、科学教師に頭を下げている。
立葉「お願いします!」

〇科学実験室・中
立葉「でも、先生には実験のために火を使っていいですかって嘘をついてたんだよね」
安城「私のためについた嘘ならチャラですよ。だから、臆病からはとっくに卒業してると思います」
立葉「……そう言ってもらえただけで嬉しいよ、ありがとう」
安城「珈琲は私が一番好きなものです。その好きなもののために一生懸命になってくれて、私は、あの時から先輩は……」
   安城、徐々に俯き小声。
立葉「……安城?」
   安城、笑顔で
安城「先輩は私のヒーローってことです!」
立葉、驚き周りに風が吹く
安城「先輩、臆病からは卒業しても…私からは卒業しないでくださいね」
立葉、一瞬驚くがすぐに笑顔で、
立葉「もちろん。また珈琲入れてね」
   安城、驚き、
安城「先輩のくせにっ!」
立葉「照れてるの?」
   安城、顔を隠す。
   立葉、にやにやしながら周りをうろうろする。

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