送料有料 ドラマ

再配達による運送業者への負担軽減のため、送料や手数料を自在に請求できるようになった世界。根元壮馬(15)は同級生の江田凌平(15)をパシリに使っていたが……。
マヤマ 山本 41 0 0 02/08
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第一稿

<登場人物>
根元 壮馬(15)中学生
江田 凌平(15)根元の同級生
未希  (15)同

根元の父(40)運送業
教師



<本編>
○中学校・外観
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<登場人物>
根元 壮馬(15)中学生
江田 凌平(15)根元の同級生
未希  (15)同

根元の父(40)運送業
教師



<本編>
○中学校・外観

○同・教室
   駄弁っている根元壮馬(15)、未希(15)ら男女の生徒達。皆、制服を着崩している。
   そこに息せき切ってやってくる江田凌平(15)。制服はきちんと着用。手には多数の飲み物。
江田「か、買ってきました……」
根元「遅っせぇよ、江田。何分かかってんだよ」
江田「(時計を見て)そんなに、極端に遅くは……」
未希「いいから、早くちょうだい。喉カラッカラなんだから」
江田「あ、はい……」
   飲み物を渡していく江田。根元にはカフェオレを渡す。
根元「何だコレ?」
江田「カフェオレです」
根元「誰がこんなもん買ってこいって言ったんだよ」
江田「いや、根元君は『任せる』って……」
根元「だからってこんなもん買ってくるかよ、普通。俺は、金出さねぇからな」
未希「きゃはは、超ひでー」
江田「でも、だったら最初から『任せる』なんて言わなければ……」
根元「あ?」
   江田を突き飛ばす根元。倒れる江田。
根元「お前、誰に口答えしてんだ? あ?」
未希「ちょっと壮馬、止めてよ。ほこりが舞う」
根元「確かに」
   笑う一同(江田以外)。拳を握り締める江田。
江田「(小声で)今の内だからな」

○メインタイトル『送料有料』

○マンション・外観
   運送会社のトラックが停まっている。
   インターホンの音。

○同・エントランス
   荷物を抱え、インターホンを押す根元の父(40)。
根元の父「……ったく、時間指定しといて留守かよ」
根元の父の声「で、再配達させられる事が多かった訳よ」

○根元の家・リビング(夜)
   食卓に並ぶ寿司を食べる根元と根元の父。
根元の父「でもこれからは、そういう奴からは送料やら手数料やらをたんまり請求できるように、法律が変わったんだよ。しかも、悪質でかつ証拠さえあれば、過去二年分まで遡って請求できるとくる」
根元「それで、前祝いに寿司かよ。再配達が減って、仕事が楽になるだけじゃねぇの?」
根元の父「仕事が楽になる上、たんまりと請求できるんだよ。一石二鳥じゃねぇか」
根元「へぇ。俺もトラックの運ちゃんになろうかな」

○中学校・外観

○同・教室
   根元、未希らに飲み物を渡す江田。
根元「ったく、あいかわらずセンスねぇな」
   根元に手を差し出す江田。
根元「何だよ、その手は」
江田「お金。いい加減払ってもらわないと困る」
根元「こんなもんに金払えるか。我慢して飲んでやるから、とっとと失せろ」
江田「……何でそんなに偉そうにされなきゃいけないの?」
根元「あ?」
江田「こっちは買ってきてあげて、届けてあげて、なのに『お金払わない』なんて言う人の、何が偉いの?」
   怒りに震える根元の拳。
江田「少なくとも、根元君は部活動やってる訳でもないし、学校の成績も僕より下だし、何が僕より上なの?」
未希「おい、江田。止めとけって」
江田「答えろよ!」
根元「調子ん乗ってんじゃねぇ!」
   江田を殴る根元。倒れる江田にマウントを取る根元。
根元「ごたごた言ってんじゃねぇよ。俺はな、お前なんざいつでも殺せんだぞ!」
   他の男子生徒に押さえられる根元。
根元「もしお前の方が偉いって言いてぇんなら、その根拠を見せてみろよ! あ?」

○同・職員室
   応接用の席に向かい合って座る根元と教師。
根元「……ったく、何で俺が」
江田の声「遅くなりました」
   そこにやってきて、教師の隣に座る江田。手には一枚の請求書を持っている。
根元「遅っせぇよ、ったく」
教師「じゃあ、始めるぞ」
根元「はいはい、手ぇ出したのは悪かったです。反省してます。これでいいだろ?」
江田「そういう話じゃないから」
根元「あ?」
   請求書を根元に渡す江田。そこには二千万円を超える請求額。
根元「請求書? 二千……何だこれ?」
教師「根元。送料に関する法律の話、知っているか?」
根元「あ~、何か送料とか手数料とかを請求できる、とかいうヤツ?」
江田「知ってるなら、話が早いね。その請求書」
根元「は?」
江田「今まで散々、送料を踏み倒されてきたからね。過去二年分に遡って、まとめて請求させてもらうよ」
根元「だ、だからって、送料で二千万って普通におかしいだろ?」
江田「まぁ、支払いの滞納による利子とか、そういうのを含めた手数料のさじ加減は、各運送会社に任せてもらえるからね」
根元「ふざけんな。お前は会社じゃねぇだろ」
   請求書の一部を指さす江田。そこには「江田運輸」の文字。
根元「江田運輸……?」
教師「江田は既に起業してる。つまりこれは一運送会社からの正式な請求書という事だ」
根元「んなバカな……」
江田「根元君、言ってたよね? 『もしお前の方が偉いって言いてぇんなら、その根拠を見せてみろよ』って」
   立ち上がり、根元を見下ろす江田。
江田「僕は今、債権者だ」
   江田を睨みつける根元。

○根元家・前(夕)
   ポストの前に立つ根元。
根元「ったく、何が二千万だ。んなもん、払う訳ねぇだろ」
   ポストから出てくる「江田運輸」と書かれた封筒。
根元「!?」
   その場で封筒を破る根元。
根元「くそが」

○中学校・教室
   授業を受ける根元、江田ら生徒達。根元と江田は席が隣同士。ペンを落とす根元。
根元「あっ……」
   ペンは江田の足元に転がり、それを拾う江田。根元に渡す。
根元「……」
   ペンを根元が受け取るも、離さない江田。
江田「百円ね」
根元「あ?」
江田「送料」
根元「(無視して)……」
江田「また踏み倒すの?」
   立ち上がる根元。
根元「ふざけた事言ってんじゃねぇぞ!」
教師「おい、根元。静かにしろ」
   渋々座る根元。江田を睨む。

○根元家・前(夕)
   帰ってくる根元。
根元「本当、マジあいついい加減に……」
   ドアに貼られた「差押」の札。
根元「!?」

○同・リビング(夕)
   ありとあらゆる家具家電に貼られた「差押」の札。それを前に呆然と立ち尽くす根元と根元の父。
根元の父「おい、壮馬。(請求書のコピーを見せ)何だコレは? 二千万って!?」
根元「……」
根元の声「頼む」

○中学校・教室
   江田に頭を下げる根元。その様子を未希らが見ている。
根元「俺が悪かったから、何とかしてくれ」
江田「……それが人にものを頼む態度?」
根元「……」
   土下座する根元。
未希「壮馬……?」
根元「……お願いします」
江田「そうだなぁ……じゃあ」
   根元が座っていた席に座る江田。
江田「飲み物、買ってきてもらおうかな」
根元「は?」
江田「さっさと行けよ」
根元「……はい」
                   (完)

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