<登場人物>
本川 花(18)サッカー部、GK以外の全ポジション
大塚 小夜子(18)同、攻撃的MF
小金井 愛波(18)同、サイドバック
平 直美(18)同、攻撃的MF
石神 香蓮(18)同、センターバック
伏見 夏芽(18)同、マネージャー(元センターバック)
上草 瑠那(17)同、守備的MF
関 弥生(18)フットサル同好会、FW(フットサル時はアラ)
柳沢 繭(18)同、GK(フットサル時はゴレイロ)
高田 梢(18)同、サイドハーフ(フットサル時はアラ)
村山 千里(18)同、センターバック(フットサル時はフィクソ)
落合 架純(18)同、FW(フットサル時はピヴォ)
西 彩佳(30)サッカー部監督
<本編>
○蒼蓮高校・外観
「蒼蓮高等学校」の看板。
○同・教室・前
勢いよく出てくる本川花(18)。
花「いよいよ今日は、高校最後の……」
○同・サッカー場
芝生のグラウンド。西彩佳(30)を中心に集まる花ら女子サッカー部員達。総勢五〇名以上。
彩佳「では、登録メンバー三〇名を発表する」
花「来た来た~!」
× × ×
彩佳「以上、三〇名を登録メンバーとする」
花「呼ばれなかった~!」
○本川家・外観(夜)
花の泣いている声。
○同・リビング(夜)
ソファーに座り、号泣しながらテレビで録画済み番組をチェックする花。
花「(号泣しながら)あ~、私の高校三年間が~。こんなに録画溜まる程練習したのに~。こんな時はスポーツもののドキュメンタリーを~。(何かを見つけ)おっ?」
× × ×
高校野球のドキュメンタリー番組を観ている花。すっかり泣き止んでいる。
ナレーション「最後の夏、ベンチに入れなかったメンバーによる引退試合が……」
花「おぉ、これは……!?」
○メインタイトル『WE live additional time』
○蒼蓮高校・外観
愛波&直美&香蓮の声「引退試合~!?」
○同・教室・中
花を中心に集まる小金井愛波(18)、平直美(18)、石神香蓮(18)。
T「本川 花(ハナ) 全ポジション」
花「そう。最後の大会で登録メンバーに入れなかった私達の、私達による、私達のための試合。対戦相手はレギュラー組。相手に不足なし。ね、やろうよ」
直美「先生は何て?」
花「『いいじゃん、面白そう』って」
T「小金井 愛波(マナハ) DF」
愛波「ええやん、やろやろ。ちょうど不完全燃焼やった所や」
T「平 直美(ペイ) MF」
直美「まぁ、先生の許可取ってるあたりは評価するけど」
T「石神 香蓮(カレン) DF」
香蓮「あのさ、私は登録メンバーに入ったから。一緒にしないでよ」
花「という訳で、作戦会議しよう!」
愛波「おう!」
香蓮「ねぇ、聞いてる?」
直美「その前に。人数、どうするの? メンバーに入れなかった三年生は全部で四人だったハズだけど?」
愛波「そら、何か考えとるんやろ。なぁ、花?」
花「えっと……(人数を数え)一、二、三、四……あ、足りない!」
愛波「今気づいたんかい!」
香蓮「それに、私は登録メンバーに入ったから」
花「よし、メンバー集めよう!」
愛波「おう!」
直美「いや、集めるってどうやって……?」
○同・廊下
伏見夏芽(18)を囲む花、愛波、直美、香蓮。
夏芽「引退試合?」
花「やろう!」
○同・校門
上草瑠那(17)を囲む花、愛波、直美、香蓮。
瑠那「自分がっスか?」
花「もちろん!」
○同・階段
大塚小夜子(18)を囲む花、愛波、直美、香蓮。尚、小夜子の右膝にはテーピングとサポーターが巻かれている。
小夜子「相変わらず、発想がぶっ飛んでんな」
花「ありがとう!」
○同・教室・中
花を中心に集まる小夜子、愛波、直美、香蓮、夏芽
、瑠那。
花「という訳で、七人集まったよ!」
愛波「これでルール上は試合出来るな」
瑠那「うわ~、楽しみっスね」
直美「いや、ちょっと待って。瑠那は二年生でしょ?」
T「上草 瑠那(ルナ) MF」
瑠那「え、二年は出ちゃダメなんスか?」
直美「だって、引退試合だよ?」
花「大丈夫だよ。私と瑠那の仲だもん」
瑠那「そうっスよ。自分はただ、花さん達ともう一回一緒にサッカーやりたいだけっスよ」
直美「じゃあ、ヨッコは? そもそもケガしてるせいでメンバー外れてるんだよ?」
花「大丈夫だよ。公式戦じゃないし」
直美「そんな事言って、ケガが悪化したら……」
T「大塚 小夜子(ヨッコ) FW」
小夜子「ったく、しゃあねぇな」
直美「え、いいの?」
小夜子「まぁ、花だし。(花に)その代わり、ウチはほとんど走んねぇかんな」
花「うん、大丈夫」
香蓮「あと、私も登録メンバーに入って……」
直美「(遮るように)あとナッチは? マネージャーだよ?」
T「伏見 夏芽(ナッチ) DF」
大きく頷く夏芽。
花「大丈夫だよ。去年まで選手だったんだから」
夏芽「それは、そうだけど……」
愛波「せやけど、ナッチが有りなんやったら、せっかくやし、元サッカー部でもかき集めて、11人でやりたない?」
花「うん、やりたい。やろうよ!」
直美「でもそんな、今もサッカーの試合出来るくらいのスキルを持ってる元サッカー部員なんて、そう何人も居る訳……」
小夜子「居るよ」
直美「え?」
○同・体育館・外観
○同・同・中
フットサルの練習中の関弥生(18)、柳沢繭(18)、高田梢(18)、村山千里(18)、落合架純(18)。皆、ヤンキーのような身なり(架純に至っては髪色を黒、桃、緑に染め分けている)だが、プレーのレベルは高い。
その様子を見学する花、小夜子、愛波、直美、香蓮、夏芽、瑠那。皆、圧倒されている。
直美「居た……」
花「みんな上手っ」
瑠那「何者っスか、この人ら」
愛波「めっちゃ上手かったのに『合わん』言うて、入学早々退部した奴らや」
小夜子「で、フットサル同好会を立ち上げて、今に至る」
夏芽「あ、でも確か退部届は出してないから、サッカー部に籍は残ってるハズ」
香蓮「まぁ、随分と都合のいい設定だ事」
花「(弥生らの元に駆け出し)ねぇ、みんな~」
振り返るフットサル同好会の面々。
T「柳沢 繭(マユ) GK」
繭「おいおい、今は練習中だゾ」
T「村山 千里(サト) DF」
千里「僕達の邪魔をするとは、血を見る覚悟があるんだろうな?」
T「落合 架純(ミケ) FW」
架純「……」
T「高田 梢(ピョン) MF」
梢「乱暴はダメぴょん。関ぴょん、話聞いてあげるぴょん」
T「関 弥生(セキ) FW」
弥生「つまんねぇ用件なら、ぶっ飛ばすぞ?」
花「あのね、あのね……」
○同・廊下
花を先頭に歩く小夜子、愛波、直美、香蓮、夏芽、瑠那、弥生、繭、梢、千里、架純(以下、この12人を「チームビブス」と記す)。
○同・校庭
勢いよく出てくるチームビブス。
花「よ~し、試合に向けて練習だ~!」
愛波&瑠那「おう!」
関「レギュラー組か。ぶっ潰してやんよ」
千里「古傷が疼くぜ」
架純「……」
梢「みんな、楽しくやるぴょん」
繭「あと、ケガに気を付けるんだゾ」
直美「その前に。練習場所、どうするの?」
周囲を見回すチームビブス。運動部員達が所狭しと活動中。
香蓮「どこもかしこも、運動部が使用中」
夏芽「校庭使うには申請が必要だからね」
小夜子「で、どうすんの?」
愛波「そら、何か考えとるんやろ。なぁ、花?」
花「えっと……(スペースを探し)あ、無い!」
愛波「今気づいたんかい!」
直美「何このデジャヴ……」
花「どうしよう~!」
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