ポケベル 3322を待ってるの ドラマ

主山優紀(23)は、地方のテレビ局記者。人手が足りず、芸能人の泉山しげのチャリティライブに一人乗り込む事に⁈女子はハイヒールをはく・第3話
流合マキ 49 1 0 12/03
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第一稿

〇S役所・全景(朝)
  まばらな住人の出入り。
  (インサート)1994年10月28日

〇同・記者室ドア前(朝)
  ドア札には『記者室』と書いてある。
  S職 ...続きを読む
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〇S役所・全景(朝)
  まばらな住人の出入り。
  (インサート)1994年10月28日

〇同・記者室ドア前(朝)
  ドア札には『記者室』と書いてある。
  S職員が通りかかる。
優紀の声「ありえなーい!!」
  S職員、びくっと小走りで通りすぎる。

〇同・記者室内(朝)
  壁にぐるりの各社デスク、真ん中にソファセット。
  中を見渡すドア側の机。
  主山優紀(23)が、ソファにだらりと寝ころんでいる。
  矢山時子(33)がドア側の机で書類に手書きのペンを走らせている。
優紀「誰もいないじゃん!」
時子「下の『こごろー』にたむろってる」
優紀「大木さんも?」
  うなづく時子。
優紀「絶対… … 行かない!」
時子「… … 優紀ちゃんこそ、本社からクルーが来るからって、余裕すぎない?ケーブル持ちとかあるんじゃないの?」
優紀「なーい」
時子「お留守番?」
優紀「なら良かったなあ」
時子「どういうこと?」
  優紀、ソファから、がばっと起きる。
優紀「ひどいんだよおぉぉぉ。聞いてぇ」

〇(1時間前・回想)長テレ通信局(朝)
  7台並んだテレビ、編集機材、カメラ
  デスク、応接セット、遺影と花瓶の花。
  デスクには、電話が3台載っている。
  優紀がデスクに座って、テレビを眺めている。
  クリスマス特集が流れるテレビ。
優紀「クリスマスとか、まだなのにぃ!あぁ亨に会えるのがたのしみだあぁぁ。留守電聞いてくれたかなあ。ポケベルでも返事くれたらいいのに」
   電話の音
   優紀、受話器を取る。
優紀「あぁ部長!事務所はきれいに掃除しています。クルーはいつ来るんですか?夕版にのせるんなら、結構時間シビアですね… … え? 部長、聞こえないっ」
松川の声「あー、ごほごほ。うん、なんだな」
優紀「何ですか?本当に事務所、綺麗にしてるんですけど?」
松川の声「今日の、泉山しげのチャリティライブ、優紀ちゃん、頼むよ」
優紀「… … え? ケーブル持ちですか?もう、頑張りますよぉ。自分で取材しなくていいなら、何でもこい! です」
松川の声「ちょっと、原田カメラマンに代わるから、おーい、優紀ちゃんに。代わって、カメラの事」
原田の声「優紀ちゃん、いいか、ロングとアップがあればなんとかなるから。尺はっと、部長、尺は? ああ、1分、1分は長いなあ」
優紀「原田さん? どういう事ですか? 来るんでしょ? 今日。石本さんは?」
石本の声「ああ、優紀ちゃん。俺、すごいの掴んだから。そっちは任す。任したからな! ケツは拭いてやるから、ほら、原田!」
原田の声「ロングとアップでつなぐけど、出来たら、カメラ振って。教えただろ? 動かす前と動かした後、10秒数えろって。この間みたいに口に出すなよ。マイクが拾うから。10秒数えたら5秒にはなるから、つなげられるから、な。頑張れ! アップは絶対いるから、なっ」
  呆然とした顔で受話器を置く優紀。

〇(回想終・元の)記者室内(朝)
  時子、手を止めて優紀を見ている。
優紀「部長ったらね、電話切る直前まで、アップ撮ってこい、ってそれしか言わないし、ありえなーい!超、ありえなーい!」
  優紀、時子をじっと見る。
時子「部長さんて、デスクだよね?」
優紀「そ、新聞から来てるの。オフの日もカメラ持ち歩いてる。私にも、そうしていいよ、って言うの。笑顔で」
時子「親切心なんだろうね。カメラ、高いし」
優紀「ね? わかった上で、撮影から原稿までやれって言ってるの。白を自分のメモ帳で撮って、そこから構えて、よ! かっこ悪いぃ! 無理! 」
時子「記事、どうするの?」
優紀「カメラの音声から拾って書く」
時子「しかないよね。場所取り大丈夫? 各社通信局員に本社の人員で、すごいわよ」
  ヘリの音
優紀「… … PKテレビは、空撮のインサートときたもんだ」
時子「あそこはいつもだけどね。本社の人員に気おされて『こごろー』にたむろってるのも何だけど、誰も来ないの、長テレだけじゃない?」
優紀「再来月のクリスマスを楽しみに、頑張る! しかないのかなあ」
時子「プロポーズされたり?」
優紀「だめだめ! 都会で雑誌編集者になるまでは、結婚なんて」
時子「まんざらでもなかったり?」
優紀「なんて、浮かれても、さ… … 今日はやるしかないんだよ。何だかんだで、夕版に載せなきゃなんないんだから。現実、つら」
  優紀、出て行く。
時子「頑張れ! って。今回はさすがに厳しいか」

〇喫茶こごろー前(朝)
  優紀が石を蹴りながら歩いている。
  大木巌(58)が出て来る。
大木「お、お嬢ちゃん! 今日は出番はあるの? 本社からくるだろ?」
優紀「ありすぎですっ!!」
大木「こっわー。ケーブル捌きでもやるのかね。あれも、中々大変だぜぃ」
  優紀が去る後ろ姿を見送る。

〇S文化会館前庭
  各社取材陣が、場所取りをしてカメラを構えている。
  ぎゅうぎゅうに挟まれた狭い空間に優紀がいる。
  優紀、自分のメモ帳で白を撮っている。
  芸能人の泉山しげ(48)が、やってくる。
  各社、カメラのシャッター音鳴り始める。
  優紀、カメラを肩に構え、撮り始める。
泉山「おう、どうも」
他社記者A「今日は、どんな調子ですか」
優紀M「ちょっと、押さないで。あと、はっきり喋ってくれないと記事書けないよぉ」
優紀M「ええっと、ロングも撮ったし、10秒ね。1,2,3,4,5,」
他社記者B「こちら向いて頂いていいですか?」
優紀M「9,10秒で、動かすっと。止めて1,2,3,」
  取材陣、泉山に合わせて動き出す。
優紀M「9,10っと。あ、うごかなきゃ。後はアップか」
  優紀、カメラを覗き込んだまま、近づいていく。
  優紀のカメラ映像『泉山が大きくなっていき、鼻のアップになっている』
泉山の声「おい、俺の鼻撮ってどうする?」
  優紀、カメラから顔を外す。
  泉山の真ん前に立つ優紀。
優紀「あ! ズームだと思ってた」
泉山「俺の鼻撮ってどうすんだよ」
優紀「部長から、アップ撮ってこいって言われたんです!!撮らせてください」
泉山「いいいけどよ、少し離れて、ちゃんと撮れや。待っててやるからよぉ」
  慌ててカメラを構え直す優紀。

〇Nテレ通信局内(夕)
  優紀が、電話しながらテープをセットしている。
優紀「送ります!」
  技術部員の声「はい。あー、これ、結構細切れだねー」
優紀「原田さんが、つなげてく・れ・る、って言ってたんで。それでお願いします」
  電話の音
優紀「別の電話鳴ってるんで。はい、長テレです。あぁ、部長ですか? 原稿? えを送ったらすぐに書きますよ。… … 1分15秒?なっが。伸びてるじゃん。… … 何でもないですっ! 書いたら、ファックス流します。はい、はい」
  優紀、受話器を置く。
優紀「伸びてるんだけど? はぁ。クリスマス絶対、休む!! 結婚もいいんじゃないのお、こうなったら」
 優紀、ニュース用の原稿用紙に手書きで書いてく。
ピンクのストップウォッチと、裏向きに重なっていく原稿用紙。

〇S警察署・全景(夕)

〇同内・廊下(夕)
  窓に沿って長椅子がある廊下。
  中村涼平(33)が立ち止まり、椅子を眺める。
警察官A「中村刑事、どうされました?」
  中村、椅子の側の窓の外を見上げ、
中村「今日は、マスコミのヘリが飛んでいましたね」
警察官A「歌手の泉山しげが来てるからですよ」
中村「あぁ、そりゃ、忙しいわけだ。サツ回りする暇もないか… … いや、何でもない」
  窓外の夕焼け。

〇Nテレ通信局・玄関前(夜)
  公衆電話がある。
  優紀が出て来て、公衆電話の受話器を取り上げ、プッシュボタンを押す。
電話の音声「伝言をどうぞ」
優紀「… … なんとか終わったよ。クリスマス楽しみだね。もう家に帰るからポケベルにメッセージ入れてね。3322だよ。誰がはじめたのかな? 33は、サ行の3番目。22は、カ行の2番目。3322だからね!亨、会いたいなあ」
  受話器を置く音。    第3話・了

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