天馬さんちの家政夫 ドラマ

売れないバンドマンで働きもせず親の仕送りだけで生活をしていた青葉理人。しかし仕送りが止まり困り果てていたところに突然舞い込んできた家政夫の仕事。青葉はお金のためにと働き始める。 ※コンクール落選作品
大門なおき 145 0 0 11/13
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第一稿

〇登 場 人 物

青葉理人(りひと)(29)
 バンドマン兼家政夫。高知県出身で赤い髪が特徴。高円寺でバンド活動をするもなかなか
 売れず、その上、生活の資金源だった母親 ...続きを読む
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〇登 場 人 物

青葉理人(りひと)(29)
 バンドマン兼家政夫。高知県出身で赤い髪が特徴。高円寺でバンド活動をするもなかなか
 売れず、その上、生活の資金源だった母親の花江からの仕送りも無くなり、困っていた所を
 鳥飼に声をかけられ家政夫として働くことに。

天馬宗一郎(70)
 陶芸家。入れ墨が入っており怖い印象を与えがちだが、根は優しく情に厚い男。
 理人を「赤髪」と呼び、強い口調で接するが、本当は理人のことを気に入っている。

鳥飼 彰(50)家政婦紹介所「孫の手」所長。
青葉花江(57)理人の母。
吉田照子(65)天馬の陶器が好きな客。

*******************************************************************************************

〇東京ひだまり銀行・外観(夜)
   白い外壁の小さな建物。
   「東京ひだまり銀行高円寺支店」の看板。

〇同・中(夜)
   ギターケースを背負ってATMを操作している赤い髪色の青葉理人(29)。
   ATMから通帳が出てくる。
   通帳の残高欄に「1367」と印字されている。
青葉「ん⁉ うそやろ⁉」
   スマホを取り出し電話する青葉。
花江の声「もしもし?」
青葉「オカン⁉ あの、お金が入っちょらん……」
花江の声「え? だって仕送りやめたき」
青葉「は? いきなりそんな……」
花江の声「おまん何歳よ!」
青葉「え?……」
花江の声「もうすぐ30やろ! いつになったらプロのバンドマンになれるが? ちっとも稼げ 
 ちょらんやないの!」
青葉「来月は何とかするから今月だけは……」
花江の声「生活できんなら高知に帰っちょいで! そいじゃ!」
   電話が切れる音。
   頭を抱えている青葉。
鳥飼の声「あのー」
青葉「あ、すみません! どきます!」
   青葉、ATMから離れる。
   青葉の腕を掴むスーツ姿の鳥飼彰(50)。
青葉「え?」
   名刺を渡す鳥飼。
鳥飼「私、こういうもので」
   名刺を受け取る青葉。
青葉「家政婦紹介所「孫の手」所長……」
鳥飼「いやぁ、人手不足で困っておりましてね。もし……あなたがうちで働いてくれる気がある
 なら……」
   青葉にスマホ画面を見せる鳥飼。
鳥飼「これくらい……お支払いできますが」
   スマホの画面には「200,000」と表示されている。
青葉「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……20万⁉」
   鳥飼の両腕を掴む青葉。
青葉「オレやりますっ! 何でもやります!」
鳥飼「本当に何でも……ですか?」
青葉「はい!何でも!」
鳥飼「承知いたしました……」
   不敵な笑みを浮かべる鳥飼。

〇天馬陶芸店・外観
   木造2階建ての古い建物。

〇同・入口
   「天馬陶芸店」と行書体で書かれた看板。
   スマホを片手に「孫の手」と書かれたエプロン姿の青葉が立っている。
   入口の扉が開く。
   仏頂面の天馬宗一郎(70)が出てくる。
青葉「家政婦紹介所「孫の手」から来ました青葉理人で……」
   天馬の長袖の袖口から見える入れ墨。
青葉M「マ、マジか……」
   青葉を頭の天辺から足のつま先まで見ている天馬。
天馬「来い、赤髪」
   店内へ入っていく天馬。
青葉「はい……。し、失礼します……」
   恐る恐る店内へ入っていく青葉。

〇同・店内
   色とりどりの陶器がきれいに並べられている店内。
   店の奥ののれんをくぐる天馬と青葉。

〇同・工房
   沢山の陶器が所狭しと置かれている。
天馬「お前にはここの部屋をきれいに掃除してもらいたい」
青葉「ど、どのようにお掃除すれば……」
   青葉を鋭い目で見る天馬。
青葉「あ……。今日が初日なんで……」
天馬「陶器は割れないように新聞紙に包む。包み終わったら工房から出して掃除。
 いいな!」
青葉「は、はい!……。分かりました!」
天馬「ったく……、最近のガキは……」
   部屋を出ていく天馬。
   大きくため息をつく。
   ×   ×   ×
   テーブルの上に置かれた大量の新聞紙と陶器。
   椅子に座り陶器を一つ一つ新聞紙に包んでいる青葉。
   青葉の後ろに棚があり、同じ木箱が2つ置かれている。
   テーブルの上の小皿を手に取る青葉。
   大きなアシダカグモがテーブルの上にいる。
青葉「ギャー!クモー!」
   手元から小皿が滑る。
青葉「うわっ!わわわわあ!」
   テーブルの上から逃げて姿が見えなくなるアシダカグモ。
   両手で小皿キャッチする青葉、よろけて棚にぶつかる。
   棚から木箱が一つ落ち、ガシャンと音が鳴る。
青葉「え?……」
   地面に落ちている木箱を手に取り、蓋を開ける青葉。
   赤い布の中で黒と淡い青色をしたマグカップが割れている。
   青ざめる青葉。
   店の扉が開く音が聞こえる。
   辺りを見回す青葉。
天馬の声「いらっしゃい……。あー待っててよ吉田さん。裏に行って取ってくるから」
青葉M「ヤバい! 天馬さんがこっち来る!」
   木箱の蓋を急いで閉め、棚に置かれている木箱の隣に木箱を置く青葉。
   のれんをくぐり工房にやってくる天馬。
   椅子に座って陶器を新聞紙に包んでいる青葉。
   棚に向かう天馬。
   天馬の様子を横目で見ている青葉。
   青葉の頬を伝う一滴の汗。
   木箱を手にする天馬。
青葉「あー!」
   青葉、勢いよく立ち上がる。
天馬「な、なんだ急に! びっくりするだろ!」
青葉「あ、いや……。なんでその木箱を取ったのかなって思って……」
天馬「なんでって、いま俺の常連のお客さんが引き取りに見えたんだ」
青葉「え?……。そうなんすか?……」
天馬「俺の自信作だ! 反応が楽しみだ! エヘヘ」
  笑顔で工房を出ていく天馬。
青葉「えー⁉」
   工房の出入り口に向かい、のれん越しから店内を覗く不安げな表情の青葉。
   天馬の後ろ姿と吉田照子(65)の姿が見える。
青葉「どうしよう……。俺、天馬さんに殺されるっ!……」
   木箱の蓋を開ける照子が見える。
照子「ちょっと天馬さん! なによこれ!」
   のれんをくぐり工房を出る青葉。

〇同・店内・中
   のれんをくぐり青葉が出てくる。
青葉「実はそのマグカップ俺が……」
照子「いいじゃない! 素晴らしいわ!」
   割れていない黒と淡い青色をしたマグカップを持った満面の笑みの照子。
天馬「俺の手に掛かればこんなもんだ!」
照子「さすが天馬さんね!」
   胸に手を当てホッとする青葉。
   満面の笑みで店を出ていく照子。
   笑顔で手を振っている天馬。
   店の扉が閉まる。
天馬「で? マグカップがなんだって?」
   青葉を鋭い目で見る天馬。
青葉「え?……。あ、あの……、じ、実は……」
   冷や汗を大量にかく青葉。

〇同・工房・中
   テーブルの上に黒と淡い青色をした割れたマグカップの破片が置かれている。
   地面に額をつけて土下座をする青葉。
青葉「すんませんしたっ!」
天馬「ったく! お前ってやつは!」
   新聞紙で青葉の頭を叩く天馬。
青葉「あたっ!」
   地面に額をつけたままの青葉。
   しゃがみ込む天馬。
天馬「顔上げろ、赤髪」
   ゆっくりと顔をあげ天馬を見る青葉。
天馬「早く仕事の続きをやれ」
青葉「え……、でも……」
天馬「いいからやれ!」
   木箱にマグカップの破片を入れる天馬。
青葉「あ、あの!」
   立ち上がる青葉。
天馬「あ?」
青葉「そのマグカップ、俺が買い取るじゃだめっすか?……」
天馬「半人前のくせに生意気なんだよ!」
青葉「すんません……」
天馬「お前にはこれからも俺の家政夫として最高の働きをしてもらう。それがお前に取って
 もらう責任だ。覚えとけ」
   木箱を持って工房を出ていく天馬。
   天馬の後姿を見ている青葉。

〇同・工房(夜)
   T「数日後」
   金継ぎされた黒と淡い青色をしたマグカップの底を見る天馬。
天馬「赤髪のくせに生意気なんだよ……」
   笑みを浮かべる天馬。
   マグカップの裏には「赤髪」の文字が入っている。

-コンクール用シナリオ Fin -

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