狐の嫁入り ドラマ

陰陽師と物の怪たちが戦っていた時代。かつて安倍晴明の門徒、淡路ひろつなは今でははぐれ陰陽師となり、物の怪退治にて日々小銭を稼いでいる。そこへ安倍晴明の兄弟だという狐の物の怪が淡路ひろつなに興味を抱く。
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第一稿

「狐の嫁入り」

                
登場人物
          
淡路ひろつな(はぐれ陰陽師)
淡路とみ(ひろつなの姉-陰陽師/お嫁さん)
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「狐の嫁入り」

                
登場人物
          
淡路ひろつな(はぐれ陰陽師)
淡路とみ(ひろつなの姉-陰陽師/お嫁さん)
淡路おくまん(ひろつなの父・陰陽師))
狐子(ヨウコ-狐の物の怪)
銀狐(ギンコ-狐子の弟)
狐彦(狐子の一族)
コンナ(狐子の一族)
ゴンザレス(狐子の一族)
野狐(ヤコ・狐子の一族の下っ端)
ひろつなの式神(蒼)(アオイ)
       (晴)(ハル)        
(凛)(リン)
ひろつなの式神(大人)(蒼)
            (晴)
           (凛)
ひろつなの式神(佐川A)
(佐川B)
とみの式神(雪/セツ)おっかあ/女/お義母
     (海/カイ)おっとう/男/お義父
庄屋
旦那様
N(ナレーション)



一場

○丑三つ刻(月が出ている)
○畑に囲まれた茅葺屋根の屋敷
○手前には大きな門。門は開いている
○外から屋敷の座敷が見える
○座敷の真ん中では、紋付き袴を着た男が祈りを上げている


N   水無月の初め。畑に囲まれた茅葺屋根の屋敷がポツンとあった。夜が深い時間だというのに、門は開かれている。よく見ると、障子も開け放たれている。更によく見ると、座敷の真ん中に、紋付き袴をまとっている男が……祈っている。

花婿   神様、仏様、どうか、どうか……

N   花婿の祈りもむなしく……夜のしじまに響く。

花婿   どうか、どうか……

○鼓の音
○狐子登場。花嫁姿
○狐子の後ろには、提灯を持った女、鼓を鳴らしている男、冠婚葬祭の格好をした男女が続く

N   ふと、どこからか、鼓の音が、ポン、ポン、ポンと聞こえてくる。白無垢と思われる花嫁の衣装をまとった女を先頭に提灯を持った行列が後に続く。

花婿   どう……

N   女たちの行列が、畦道をゆっくりと、屋敷に向かっている。

花婿   きた~!

○狐子止まる。行列、足を止める

N   白無垢と思われる花嫁の衣装をまとった女が、足を止める。と同時に、行列も止まる。

花婿   止まった!

○狐子、周囲を見る

N   白無垢と思われる花嫁の衣装をまとった女が、十字になった畦道で、ふと、首を傾げた。空をちらりを見る。綺麗な満月だ。月の光で畦道が照らされているのに、3歩ほど先の道が見えない。と、心の中で思ったのもつかの間、白無垢と思われる花嫁の衣装をまとった女が何やらつぶやく。パシっと何かが弾けた。と同時に、屋敷へとつながる道が開いた。

○狐子、呪を唱え終えると再び歩き出す。行列も歩き出す

花婿   ひえ~!神様、仏様、……以外の誰でもいい、どうか、どうか……

○狐子、屋敷へ辿り着く

N   屋敷へたどり着き、行列が……止まった。

狐子   迎えに参りましたぞ。旦那さま
花婿   嫌じゃー、嫌じゃー!どこにも行きとうない!
狐子   ……。マリッジブルーじゃなぁー(お付きの者に)

○お付きの者たち、うなづく。

花婿   違うわい!
狐子   では、何ゆえ!今頃そのような事を申される?
花婿   今頃ではない!わしは、ずーっと『嫌じゃ』と言うておる!
狐子   旦那さま……。では、では、では、では、ではなぜ!あの時、私を助けてくださったのですか?
花婿   普通の行為であろう!女子が罠に捕らわれていたら、一般のストレートな男子だったら、助けるであろう!
狐子   ですから、こうして恩返しに……
花婿   『恩返しなぞよい!』と言うておるのに、嫁入りの格好をして、毎晩毎晩ストーカーのように現れおって!恩を仇で返されるというのは、このことではないか!
狐子   一般のストレートな男子が相手だったら、『積極的にアタックしてみて』と、アンアンに書いてありましたゆえ。それが気に入りませんでしたか?
花婿   気にいる、気にいらんの話ではない
狐子   では、一体何が問題なのですか!?
花婿   それはな……
狐子   それは?
花婿   それはなーー
ひろつなの声 それは、お主が人ではないからじゃ
狐子     何奴!?
ひろつなの声 わしか?わしは……
花婿     陰陽さーん、早く出て来てくれよーー

○ひろつな、マイクをもちながら登場。

ひろつな カッコよく出てこようと思っておったのに、なぜ先に言う?
花婿   そういうのいいからさーー
ひろつな (溜息)
狐子   お主、陰陽師か?
ひろつな 物の怪の気で、この地に呼ばれてしまったのだ。まぁ、今の時期で助かったがな。なんせ懐が……
狐子   (ひろつなをフル無視する)旦那さま……なぜ?
花婿   お主が、物の怪とは気が付かなかったのじゃ。ただ、嫌に積極的でまいってはいたがの
狐子   おのれ、アンアンめー!男子への攻略法を信じてしまったではないか!電話してやるー、クレームつけたる!ネットに書き込んだるーー
花婿   アンアンに罪はなーい!というか、雑誌の問題ではない!間がないの! 出会ってすぐ祝言ってないでしょ!
狐子   ビビビっときたんです
花婿   松田聖子か!って、ネタが古いわ!
ひろつな 等はとっくに過ぎてるからなー仕方がない。見よ!あの皺を!
花婿   あ!目じりにカラスの足跡が!
狐子   いや!見ないで!……おのれ~陰陽師めー!!気にしておることをズケズケと~!女子にシミシワ年齢を指摘する輩は、死に値する(刀を取り出す)

○お付きの者たち、刀を取り出す。    

花婿   ひぇ~!(陰陽師の後ろに逃げる)
ひろつな 本性を表したな、物の怪!しかし、なぜ物の怪が刀を握っておる?
狐子   これか?これはな、先日の合戦に紛れてみたら、渡されてな。使ってみたら、まあまあ使い心地が良いではないか、この、人殺しの道具はな!
ひろつな 面白い。刀を人殺しの道具とぬかすか。では、私も(刀を取り出す)
狐子   何!?陰陽師が刀を振り回すのか!?
ひろつな 振り回すくらい、なんてことない

○ひろつな、狐子に斬りかかる
○狐子たち、応戦する。
○N、登場。

N   平安時代。平安時代とは、闇が闇として残っていた時代。人が妖しを信じていた時代。人も鬼も物の怪も、同じ都の暗がりの中に棲んでいた時代である。

ひろつな おい、そんなところに突っ立ってると危ないぜ!
N   陰陽師。陰陽師とは、わかりやすく例えるなら占い師といったらいいか、幻術師、拝み屋と呼ぶ者もいる。星の相を観、人の相を観る。詳しくは、映画を見るといいだろう!危ない!
狐子   雑な、ナレーションをしよって、お前から斬ってやる!  
 
○ひろつな、狐子の動きを封じる。

ひろつな 刀は人を殺めるだけではない。己を、人を、守るためにも使われる
狐子   刀を使う陰陽師……聞いたことがあるぞ、聞いたことがある
ひろつな (軽い口調で)俺って、有名なんだなぁーー
狐子   (隙を逃さず、ひろつなに呪いをかける)
ひろつな ぐわっ、しまった
狐子   人に傷をつけられたのは300年ぶりじゃ。面白い……お主、名は?
ひろつな 物の怪に名を聞かれるとはな、ますます有名になっちまうぜ。淡路ひろつなってんだ
狐子   淡路ひろつな……はて?なにやらその名に聞いたことがあるぞ?
ひろつな 名が……轟いているんだなぁ!
狐子   どこの宗派じゃ?
ひろつな それは勘弁してくれよ
狐子   お主……はぐれか?
ひろつな さぁてね
狐子   いつかこの礼はするぞ、はぐれ陰陽師!覚えておれーー(逃げる)

 ○狐子たち、退場。

ひろつな 待て!ち。逃がしたか(刀を収める)
花婿   あぁ、助かったー。ありがとな、陰陽さん
ひろつな はい(手を差し出す)
花婿   なんじゃ、この手は?
ひろつな 勿論、礼っすよ。礼。さっきの物の怪も、今日は持ち合わせがなかったんでしょうなぁ。いつか礼をと、言っていたではないですか。
花婿   そんな意味じゃねぇしっ!ってか、ほんとだったら礼儀正しいな、物の怪!
ひろつな はい。というわけで、礼。
花婿   陰陽師が、金目的に人助けをしてはいかんと思うぞ
ひろつな いいから、早く礼だせよー、お前も礼出せー、礼ーー……あ……(なんやかんやで倒れる)
花婿   あれ?おい、どうした?おい、大丈夫か?一体急にどうした?あ、なんか、さっき「ぐわっ」って言ってたな。なんか、あの物の怪にされたのか?……息はしてるな。……おい……って……ちょっと待てよ、このまま、この陰陽師が目を覚ましたら、また礼を出せって言われるな。……それなら~今のうちに……悪く思うなよな、陰陽さん。

○花婿、退場。

N   助かった。紋付き袴をまとった男の言う通り、この場を去った方がよさそうだ。おや、向こうから童たちがやってくる……

○式神たち(晴、蒼、凛)、登場。

式神(晴) あ、いたー。
式神(蒼) もう、世話がやけるな~。
式神(凛) おきて~(ひろつなの頬をペシペシする)
式神(晴) おきて~(ひろつなの額をペシペシする)
式神(蒼) お~き~て~(ひろつなの鼻をつまむ)
ひろつな  ぶはっ!
式神    おきた
ひろつな  あやうく、三途の川を超えるかと思うたわ!お前らは、わしの式神なんだぞ、もっとちゃんとした起こし方というものがあるだろ!

○式神たち、顔を見合わせる。

式神(蒼) あなたーん、おきて~。
ひろつな  や~め~ろ!その姿でそのようなことをするな!クレームがくる!
式神    は~い。
ひろつな  ったく。……わしは……気を失っておったのか?……あ!あいつ!逃げやがったな!一般のストレートな男子が気を失ってる人を見捨てるなんて、そんなことあっていいのか!?なんて奴だ!……あ~あ。ただ働きしちゃったよ。

式神(蒼) 大丈夫(財布だす)ちゃんともらった。
ひろつな  どうやって!?
式神(蒼) すった。
ひろつな  えらい!さすがはわしの式神じゃ。はい(手を出す)
式神(蒼) なに?
ひろつな  よこせ。
式神(蒼) やだ。
ひろつな  なんじゃと?
式神(蒼) これ、私たちの働き。
式神    はたらき~
ひろつな  何言ってんだ、よこせ。
式神(蒼) やだ。
ひろつな  よこせ。
式神(蒼) やだ。
ひろつな  よこせって(財布を引っ張る)
式神    やだ~!
式神(蒼) 幼児ぎゃくた~い!
ひろつな  おい、物騒なこと言うな!よこせ。
式神(蒼) やだ(ひろつなを押す)
ひろつな  ぐふっ(地面に倒れる)
式神(蒼) ちゃんと働け(退場)
式神    はたらけ(退場)

○式神たち、退場。

ひろつな  待て!あ~、ちくしょ~!……でも、さすがはわしの式神じゃ、しっかりしとる。あ、また気を失いそう。

◆暗転


二場
 
◆ゆっくり明転

○鼓の音(ポンポポン、ポンポポン、ポンポポン
○アシや茅の屋根の家、粗末な部屋
○とみ、豪華な嫁入り衣装を着ている
○おっとう、おっかあは粗末な着物を着ている

N    上弦の月夜の足元に、アシやカヤの屋根がポツンと見える。外からは屋根しか見えないが、手入れの行き届いていない草の向こうに入口があった。中から、老夫婦が娘に嘆いている声が聞こえる。娘は、この家にはそぐわないような金糸入りの嫁入り衣装をまとっている。
 
おっとう  すまないのぅ
とみ    おっとう。
おっかあ  すまないのぅ
とみ    おっかあ。
おっとう  わしらが、百姓でなければ……
おっかあ  こんなことには……
とみ    おっとうと、おっかあのせいじゃない。これは、これは全部

N    全部……昨日のこと。おっとうが、名主(みょうしゅ)へ呼び出された。

○○庄屋、登場。(回想シーン)

庄屋    弥太郎、ありがたく思え。今年の花嫁にお主の娘、おとみが選ばれた。
おっとう  おとみが!?
庄屋    あぁ、そうじゃ。お主の娘が、この地を救うのじゃ。
おっとう  でも、でも……おとみは……
庄屋    ほれ、支度金じゃ。(袋を投げる)
おっとう  (袋を拾いに行き、中を見る)こ、こんなに!?
庄屋    その金があれば、嫁入りの衣装を買うても、米を買う金は十分に残るぞ。
おっとう  嫁入りの衣装っていうたって、人身御供でねぇか!
庄屋    弥太郎、よう考えろ!残りの金で、残りの子に、腹いっぱい、米を食わせてやれるのじゃぞ。
おっとう  米を……腹いっぱい……
庄屋    そうじゃ、腹いっぱいな。弥太郎、お主は幸せ者だなぁ……はじめは、次から次に子を成して、いつかは一家心中する運命になるかと心配しておったが……あと、7人も、いるから安泰じゃな。

おっとう  そんなことのために、子を宿したんじゃねぇ!そんなことのために
庄屋    ……弥太郎、よう聞け。まぁ、物は考えようと言うことじゃ。お主の娘がこの地を救う。この地を救った者として名を残すのじゃ。例えばじゃ、人々が行き交う通りに、おとみの像を置こう。わしが、作らせる。雪が降る季節には、寒くないように、白いホワホワがついた、赤い着物を着させよう。これで、いつまでも、人の心におとみが残る。な、どうじゃ?こう考えると、まんざら悪い話に聞こえぬだろう。
おっとう  それでも、人身御供にはかわりゃせん。
庄屋    嫁に行くだけだ。必ずしも、死ぬとは限らん。
おっとう  でも、狐さまの元に行き、その後、娘の姿を見たものはおらん!きっと、きっと、みな、食われとる。
庄屋    弥太郎、すまないが、これはもう決定したことじゃ。くつがえすことは出来ん。その金を持って、すぐに嫁入り支度をはじめるのじゃ。いいな。

○○庄屋、退場。(回想シーン終わり)

とみ    そうさ、全部……狐が悪いんだ!
おっかあ  これ、狐さまを呼び捨てにしちゃいかん!

○狐彦、登場。紋付き袴を着ている

狐彦    誰じゃ、わしを呼び捨てにするのは!
おっとう  ひぇ~!
おっかあ  狐さま!
狐彦    生意気じゃなぁ~。
とみ    あたしだよ。
おっとう  これ!
おっかあ  おとみ!
狐彦    おとみ?あ~今年のわしの花嫁か。
とみ    夫婦になるんだ、呼び捨てにしても、いいんじゃない?
狐彦    何?小娘が~!
おっとう  やめんか、おとみ!
おっかあ  そうじゃ、狐さまに謝んなさい。
とみ    や~だね、男女平等の時代がくるんだよ~!あたしが、先取りしてもいいじゃないか!
狐彦    もう、謝っても許してやんね~ぞ~!
おっとう  狐さま、おとみはまだ子供!反抗期の真っ只中なんでさ~。(狐彦に近づく)
狐彦    それを抑えるのも、また楽しみの一つ。
おっとう  お許しを!(狐彦の元へ行き、右の手首に紐を通す)
狐彦    だめだ、だめだ!
おっかあ  そうそ、おとみは思春期真っ只中なんでさ~。(狐彦に近づく)
狐彦    恥ずかしがる姿もまた、格別じゃろうて。
おっかあ  お許しを!(狐彦の元へ行き、左の手首に紐を通す)
狐彦    お仕置きだべぇ~って、……ん?なんだこれ?

○とみ、印を組む。

とみ    引っかかったね。リン、ヒョウ、
狐彦    うお~!待て待て待て待て!お前、今年の貢物ではないな!
とみ    当たり!気付くのが遅いね~。シャ
狐彦    ちょっと、ツンデレみたいな感じでいいかなって思って。
とみ    そりゃ、残念だったね。レツ
狐彦    待て待て待て待て待て!詠むな詠むな詠むな!
とみ    詠むのを止めたら、暴れだすだろ。ゼン・・清明の名の元に・・・
狐彦    ぐわ!お前ら……。だったら……あの……庄屋のくだり……いらなかったんじゃ……
とみ    何事にもリアルさは必要だろ。滅!
狐彦    確かに(倒れる)
とみ    さて、終了っと。雪、海、おつかれっ。
式神(雪) おつかれーっす。
式神(海) おつかれさまです。(狐彦を指さして)これ、どうします?
とみ    あ、おもろ村に持ってかなきゃね。ごめん、残業になるけど。
式神(雪) 1、25倍っすよ~。
式神(海) 雪!
式神(雪) なんだよ、こう言わねぇと残業代でねぇだろ。
式神(海) なるほど。
とみ    はいはい。残業代が出るか、まずは、おもろ村に行ってから決めよ。雪、運んで。
式神(雪) 俺が?運び屋に頼みましょうよ~。
とみ    しょうがないわね~。(符を取り出し、印を詠む)むにゃむにゃむにゃ、えい。

○とみ、符を投げる。(ポワポワポワーン)
○式神(佐川A、B)、登場。

式神(佐川) 毎度~
とみ     あれ、運んで。
式神(佐川B)は~い。あ、生ものなのでチルドですね~。
式神(佐川A)よいさ、
式神(佐川B)こらさ。
式神(佐川A)よいさ、
式神(佐川B)こらさ。


■暗転

三場


◆明転

○鬱蒼と茂る林の中
○ひろつな、狐と戦っている
○ゴンザレスとコンナは後方より指揮をとっている。

ひろつな  (狐子にかけられた呪いでヘロヘロ)く。こやつら、次から次へと、ネズミのように出てきよる。
ゴンザレス だぁれが、ネズミじゃ!神聖な狐さまを汚らわしきネズミどもと一緒にしおって~!許せんな~!
コンナ   あぁ。許せないねぇ。
ひろつな  (やられる)あう!
ゴンザレス 狐子さまの言うとおり、呪いで随分動きが鈍い。
コンナ   あぁ、鈍いねぇ。
ゴンザレス わしらの出る幕もなく、あやつらで片が付きそうじゃがなぁ~。
コンナ   あぁ、付きそうだねぇ。
ひろつな  (頑張る)うらっ!
ゴンザレス じゃが、中々にしぶとい人間じゃわい。
コンナ   あぁ、しぶといねぇ。
ゴンザレス どーれ、そろそろ加勢してやるか。
コンナ   あぁ、加勢しなきゃねぇ。
ひろつな  (頑張ってる)どりゃ、ぐっ、よいせ。まだ、終わらぬか?しぶとい奴らめ!
ゴンザレス しぶといのはお前の方じゃ!
コンナ   あぁ、お前の方だねぇ。
ゴンザレス さっさとくたばればいいものを。
コンナ   あぁ、くたばっちまえばいいのにものをねぇ。
ひろつな  また、援軍か!
ゴンザレス 援軍などではない。
コンナ   あぁ、援軍じゃないねぇ。
ひろつな  では、なんだ?
ゴンザレス わかりやすく言えば、この幕のラスボスじゃ。
コンナ   あぁ、ラスボスだねぇ。
ひろつな  あぁ!ようやく、ラスボスか。って、遅いわ!
コンナ   そりゃ、悪かったねぇ!
ひろつな  (やられる)おわっ!
ゴンザレス すまないな。と。
ひろつな  (やられる)くっ。お前が先だと思ったのに、そんなやり方、ずりぃぜ。
コンナ   汚らわしい人間に、気遣う必要などない!
ゴンザレス ないねぇ!
ひろつな  そりゃ、そうだな。ならこっちも。(人形の紙を出す)むにゃむにゃむにゃ、そりゃ(式神出す)

○式神3人、それぞれ武器(おたまとか)を持って登場。

3人    ヤ~!
ゴンザレス わっぱ?
ひろつな  あ~!こいつらじゃない!(人形の紙と取り出す)むにゃむにゃむにゃ、そりゃ(式神3人に向かって、人形の紙を投げるが、大きく反れて投げてしまう)
式神(蒼) もう、ノーコンなんだから~!

○式神3人、人形の紙を追いかけ、退場。ポワポワポワーン。
○大人になった、式神3人が、それぞれ武器を持って登場。

大人式神   はっ!(武器構える)
ゴンザレス  我らに式神とは……面白い。
コンナ    あぁ、面白いねぇ。
ゴンザレス  我ら、狐己一族の恐ろしさ……
大人式神(凛 えい!
ゴンザレス  (やられる)最後まで……
大人式神(清 とう!
コンナ    ちょっと!
大人式神(蒼 やあ!
ゴンザレス  (やられる)言いたかった……。
コンナ    ゴンザレス~!
大人式神(蒼 ハイカラな名だなぁ。
コンナ    きさま~、よくもゴンザレスを~!
大人式神(凛 だって、隙だらけだったから。
大人式神(清 さてと、あとはお前だけだな。
コンナ    むむむむ。えい!逃げるが勝ち!
大人式神(清 あ、卑怯な!
コンナの声  お前らが言うな~!

○コンナ、狐たち、退場

大人式神(凛 おきて~(ひろつなの頬をペシペシする)
大人式神(晴 おきて~(ひろつなの額をペシペシする)
大人式神(蒼 お~き~て~(ひろつなの鼻をつまむ)
ひろつな   ぶはっ!
大人式神   起きた
ひろつな   あやうく、三途の川を超えるかと思うたわ!何度も言うが、お前らは、このわしの式神なんだぞ、もっとちゃんとした起こし方というものがあるだろ!

○式神たち、顔を見合わせる。

大人式神(蒼 あなたーん、おきて~。
ひろつな   先日も言うたが……って……その姿では……、ありだな。どうした、ほれ、続けろ。ちゃんとしたら起きてやろう。ほれ、どうした?続きは?
大人式神(凛 変態(ひろつなを殴る)
ひろつな   ぐはっ!
大人式神(清 きもい(ひろつなを殴る)
ひろつな   ぐへ。
大人式神(蒼 むかつく(ひろつなを殴る)
ひろつな   冗談……だったのに……
大人式神   うそをつけ!


◆暗転

四場


◆ゆっくり明転。

○洞窟の中の屋敷。豪華な一室
○野狐が舞っている。
○狐子、銀狐が酒を飲んでいる。
○コンナ、登場
○野狐、舞を止め、待機姿勢になる。

コンナ   狐子さま。
狐子    コンナ。

○銀狐、ふと顔を上げ、左右上下をゆっくりと確認する。

狐子   やられたか?
コンナ  ……は。
狐子   ゴンザレスは?
コンナ  やられました。
狐子   死んだか?
コンナ  ……たぶん。
狐子   仲間の死すら確認せずに逃げてきたというのか?
コンナ  わが身も危うかったゆえ……。止むを得ず……
狐子   ……そうか?
コンナ  は。
狐子   むにゃむにゃむにゃ(復活の呪文を唱える)
銀狐   狐子。
狐子   よい。 
 
○ゴンザレス登場

コンナ  ゴンザレス!生きて、無事逃げてきたか!
狐子   あぁ。生きておった。生きておったぞ。わしに殺される前まではな。
コンナ  え?
狐子   今のそいつは、ただの躯じゃ。やれ。

○ゴンザレス、コンナを斬る

コンナ  ぐは!な、なぜ……?(コンナ、倒れる)
狐子   仲間を置いてくるような奴はいらぬ。死ね。むにゃむにゃむにゃ(復活の呪文を唱える)

○コンナ、立ち上がる。

狐子   弱い奴もいらぬ。わしの目の届かぬところで働くがよい。体が朽ちるまでな。連れていけ。

野狐   こっちだ。

○コンナ、ゴンザレス、野狐についていく(退場)

銀狐   ……。まぁた、むくちゃんを増やしおって
狐子   むくちゃん?それはなんだ?
銀狐   (俺に合わせろ。という合図を送る)躯だけだから、むくちゃん。
狐子   あぁ。……また安易な。ネーミングのセンスがないのぅ。
銀狐   は?では、あれを呼ぶ時はなんと呼ぶ?次から次へと躯を作りだされては……そろそろ呼び名が必要であろう。
狐子   ただの躯に呼び名を?これまた、酔狂な。……まあ、そうじゃな……あえてつけるとしたら……ムック、ムックはどうじゃ?
銀狐   あんな毛むくじゃらと一緒にするな!  
狐子   あぁ。そういえば、先におったな。
銀狐   そうじゃ。さて、どうしたもんかのう?
狐子   …………殺ってしまえばよかろう?
銀狐   は?
狐子   あやつを殺ってしまえば、二番千時にならぬ。よし、ムック暗殺を命じよう!
銀狐   待て待て待て待てい!あやつは、ぜんこっくのイエティぞ!お茶の間の子供たちが泣く!それに、ムックは1匹だけではない!
狐子   は?
銀狐   今では、赤だけではなく、青・ピンクと増えておる!そのうち、黄色や緑と、もっと増えていくであろう。そして!レインボームックと称するユニットをつくり、果ては、海・外・進・出!
狐子    むむむ、こしゃくな。今のうちに手を打たねばならぬな。そうじゃ、あの頭についておるプロペラを潰してやろう!そうすれば、暑さに耐えきれずに、元の住処の北極に帰るであろう。
銀狐   あれは、エアコンであったか!?タケコプターではなかったのか!?
狐子   フジ違いじゃ!って、何奴!?(扇を振る)
銀狐   ふん。逃げたか。気取られまいと頑張ったんだがなぁ~。
狐子   あぁ。無駄な時間を過ごしてしもうた。あの気は……あの、はぐれ陰陽師であった。コンナの気を辿ってきたのじゃ。銀狐、追えるか?
銀狐   ……(気を探す)いや、完全に気を消した。
狐子   ……そうか。しかし、まだ、我が呪いは抜けておらぬはず。あの、はぐれ、なかなかやりおる。
銀狐   その、はぐれ陰陽師とは、何者じゃ?随分と気にいってる様子だが?
狐子   ……あれはな……我が母の子を覚えておるか?
銀狐   まさか!あれが、せい……いや、我が母の子か!?
狐子   いや、
銀狐   なるほど~さすがは、せい……いや、我が母の子。あの気の消しよう……
狐子   あの、
銀狐   空狐の中でも、一番の神通力を誇る、この銀狐様にも辿らせんとは。いや、見事見事!
狐子   おい、
銀狐   でも……なぜ、我が母の子が、はぐれと呼ばれる?せい……いや、我が母の子は、敵の御大将のはずであろう?
狐子   だから、
銀狐   そうか、他の奴らに任せられなくなり、自ら動き出したというところかのう。
狐子   だから、
銀狐   相変らずわんぱくな。いや、でも、それでこそ、せい……いや、我が母の子らしい。なぁ、そうは思わぬか?
狐子   お主な……
銀狐   ん?どうしたのじゃ?わかっておる。お主の複雑な気持ちは。せい……いや、我が母の子に人間なぞがいては、我が一族の恥!早く消し去ってやりたい!そういうお主の気持ち、わかっておる。
狐子   ぎん……
銀狐   だが、一方で、せい……いや、我が母の子が、憎っくき人間の中で随分快挙な働きをしておると聞くと……少し誇らしい気持ちにもならんか?
狐子   (大きく息を吸う)
銀狐   まぁ、その快挙な働きが、主にわしらに向けて、というのが皮肉なものではあるがのう。で?その、せい……いや、我が母の子をどうする?
狐子   ……。
銀狐   ん?どうしたのじゃ?
狐子   ……もう……話しても良いのか?
銀狐   あたり前ではないか!さっきから話をしておるではないか!会話は、言葉のキャッチボール!であろ?
狐子   キャッチボールになっとらん!わしが話そうとすると、お主が2行~4行しゃべる!
銀狐   あ……すまない、狐子。話しておくれ。さぁ、今から言葉のキャッチボールを始めようではないか、さぁ、話をしておくれ。
狐子   まず、ここに来ておったはぐれ陰陽師は、清明ではない。
銀狐   なに!?先にそれをなぜ言わん!
狐子   だから、言おうとしておるのに、お主がベラベラと話をして、
銀狐   お主、我が母の子を覚えておるか?と、問うたではないか!そう問われたら誰だって、あぁ、さっきのはぐれ陰陽師とは、清明のことなんだなーって思うであろう?
狐子   わしは、
銀狐   お主が、清明と呼ばずに我が母の子と申すから、あぁ、こいつはまだ、我が母が、人間と恋に落ちたことに対して、まだ腹を立てておるのだなと思い、その、お主の気持ちを組みとって、わしも、清明と言わずに、我が母の子と呼ぼう。でも、あれから何百年経ったと思ってるんだよ。ほんと、相変らずちっちゃい奴。と思うてだな、
狐子   なに!?
銀狐   あ、でも、こいつもこないだ、恩返しと称して、我が母と同じ……いや、わかっておる、心臓を食らいに行っただけということは!先に人間どもの方が、わしらの胆のうを食らおうとして、罠をあちこちに仕掛けたということも!全く、どこのどいつじゃ、わしらの胆のうが病を治すと始めに申した奴は!許せんな!あ、でも、その後、すぐに見つけ出して、そいつの心臓を食ろうてやったんだっけ、へへ。
狐子   おい、
銀狐   しかしながら、なにゆえ、我が母も、いくら我が子といえど、人間なんかに我が一族に伝わる水晶の玉と黄金の箱を渡してしもうたのかのう。それさえなければ、清明は、ただの占い屋!正暦2年、あの、天皇の病を治してしもうたばかりに、陰陽師としての出世コースに乗ってしもて、あれよあれよと、安倍清明という名をぜんこっくにしてしもうた!そして、化物退治の御大将じゃ。人と化け物の戦……。わしらと清明は、兄弟であるのにのう……なにゆえ、兄弟で争わなければならん?なぁ、そう思わぬか?
狐子   覚えておるかと、聞うただけで、我が一族の恥を、簡易版にして、1ページ半もつらつらと、ようしゃべったな!おかげで、これを見た者、みな、後々安倍清明をネットで調べるぞ!
銀狐   マジで!?
狐子   マジで。
銀狐   それでは、もっと調べやすいように、キーワードを教えんといかんな!
狐子   もうよい!
銀狐   え?
狐子   もう、よい。と、申しておる。
銀狐   は。
狐子   あの、はぐれ陰陽師は、かつては京の都で、我が母の子、安倍清明の門徒であった。陰陽師というものは、己の力を過信している者が多い。もう少し修行を積めば、もう少し金を積めば、もう少し恩を売れば、もう少し、もう少し何かをすれば。そうすれば、安倍清明のようになれると勘違いをする輩が多かった。は!笑止千万!人の子が、我ら化け物の血が混ざっている者に勝てるわけがない。だが、……あのはぐれ陰陽師は……どうか?
銀狐   先ほどの気の消しようは……見事であった。
狐子   そうじゃ……わしの呪いにかかっていても、見事に気を操れる。群衆の中に光を見たとき、清明は自分の地を危ぶんだという。そして、品性豊かだった男が、ここで、下劣な行為に及ぶ。呪いじゃ。清明は陰陽道に呪いを持ち込んだ。たった一人の男のために。面白いと思わんか?化け物の血が、たった一人の男のために、人の血に勝ったのじゃ。
 銀狐   ……いつから……そのことに気づいた?
狐子   ある日……清明の気が濁っておるのに気付いた。あれは……闇じゃ。人の心の闇。めったとあやつに近づけぬが、その闇に気付いてからは、容易に近づくことができた。……よう見ると、その闇が一人の男に集中しておるのじゃ。 
その男の名は……淡路ひろつな。その、淡路ひろつなは生意気にも、清明にわしが付いておるのに気付きおった。清明は気づいてもおらんというのに。だから、
銀狐   だから?
狐子   だから、そっと……
銀狐   そっと?
狐子   清明に耳打ちをした。
銀狐   耳打ち?なんと?
狐子   (笑っている)……。
銀狐   なんと?耳打ちをした?
狐子   ……そのまま進めと。そのまま進めば、あの男なぞ足元にも及ばぬ力を手にできるであろうとも。
銀狐   そのまま進めば?清明が……闇に……進めば……と?
狐子   ……そうとも……取れるであろうなぁ。
銀狐   お主は……なんと……
狐子   なんと?
銀狐   ……良きことをしたな!
狐子   そうであろう!ふはははは!人の血に、化け物の血が混ざれば、それはもう化け物なのだ!それなのに、あやつは、清明は、我が一族に伝わる秘法で、我が一族と対峙する!人間として!許されるものか!だから、ちょっと、仕置きをしただけのこと!姉としての……思いやりじゃ。
銀狐   で?どうなった?清明は、その淡路なんとかに何をした?
狐子   淡路ひろつなじゃ。
銀狐   名前なぞどうでもよい!で、どうなった?闇に落ちた清明は?どうなったのじゃ?……いや……待て。待て待て待て。確か…………あの噂は……真であったということか?
狐子   どの、噂じゃ?
銀狐   安倍清明は……鬼の総大将である。
狐子   ふははははは!京の都は、面白い地じゃ。化け物も多いが、鬼も多い。まぁ、人からすれば、鬼も化け物も同じだろうがな。
銀狐   ふん!鬼と、わが一族を同様に申すのではない!鬼の方が、よほど化け物!そうであったか、鬼と組んだか。清明。安倍清明さまが、地に落ちたということか。ぎゃははははは。
狐子   鬼で蠱毒を作り、
銀狐   清明が、ご禁制の蠱毒を!ぎゃはは!さぞかし強力な奴が出来上がったのであろうな!
狐子   ああ、特に臭いがな!ひどかったぞ!
銀狐   鬼は鬼!ぎゃはははは!それを、その淡路なんとかに放ったのか?
狐子   あぁ。放った。
銀狐   ひどいことをする!ぎゃはは……いや、待て……鬼を放たれて……その者、生き残っておるのか?強靭な鬼を倒したというのか?
狐子   刀を使う陰陽師でな。
銀狐   刀?
狐子   そうじゃ。九字の切り方が面白い。
銀狐   刀で……九字を?刀で九字を切る者は、見たことがないのぅ。
狐子   そうであろう?一見、早九字のように見えるが
銀狐   見えるが?
狐子   ……よくわからん。淡路ひろつな。おもしろい男じゃ。清明にくれてやるのはもったいない。さて……どうするかのう。


 ◆暗転


五場


◆明転。

○村外れの参道
○ひろつな、登場
○女、伏してる。(清楚な衣装)

ひろつな ふい~。あぶねぇ、あぶねぇ。流石は狐、勘が鋭いぜ。(女を見つける)ってよ、あれは……女子?こんな所にイキナリ女子!?
(女に声を掛けようとする)おい、だい(留まる)いやいやいやいや、さっきのシーンの後にこれは、ないわ。怪しさ満開すぎなんだよ!
これじゃ,どこぞの三文芝居みたいじゃねぇか!へん!ひっかかからねぇよ!

○ひろつなが素通りする時、女が苦しそうな声をあげる。

女    うう。
ひろつな ん?苦しそうな声?本当に病で倒れてるのか?よく見ると……身なりも良さそうだ・・・。

○若い女の苦しそうな声

若い女の声 あぁ。
ひろつな  若い女子の声!(女に駆け寄る)どうした?大丈夫か?
若い女の声 持病の……癪が……
ひろつな 癪が!?癪といえば……心の臓!それはいけない、拙者が押してしんぜよう!さ、もう少しこちらへ……ささ。
女    つ~かま~えた~!
ひろつな げ!物の怪!
女    誰が、物の怪じゃ!
ひろつな あぁ!やっぱり、罠であったか!やっぱりなぁ、こんな話だもんなぁ。こういう展開になるよなぁ。
女    へっへっへっへ。あんた~、あんた~!捕まえたで~!

○男、登場。刀を持っている

男    ようやった、ようやった!
ひろつな 男?げげ!まさかの、美人局!?
男    おっと、動きなさんなよ。(ひろつなに刀を突きつける)
ひろつな この状態で、動くなと言われて……動かぬ者がいるものか!(女を払う)
女    あう!
男    あ、大丈夫か?
女    あぁ。
ひろつな って、おい、並んだら完全に、孫の授業参観に来た、おじいちゃんとおばあちゃんじゃねぇか!?

○○お嫁さん、登場(回想シーン)

嫁    お義父さん、お義母さん、すみません。ひろつなの参観、仕事で行けそうにないので、お願いできます?
女    お嫁さん、子供と仕事、どっちが大事なんじゃ?
嫁    どっちって……
男    そうだよ、お嫁さん。ひろつなは今が大事な時期なんじゃ。パートなんやさかい、参観日くらい、休めるやろ。
嫁    パートも大変なんですよ!なんですか、パートなんやさかいって!?パートなめんとってもらえます!

○○お嫁さん、退場(回想シーン終わり)

女、男  ってね。
ひろつな 大変なんだなぁ。同居ですか?
女    二世帯です。
男    玄関、別でも、結局、同じ。
ひろつな そっかぁ、大変なんだなぁ……って!この回想シーンを使う手口は~、姉上!

○とみ、登場(テクテク歩いて)

とみ   呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!
ひろつな 飛び出てないし!てふてふ歩いてるし!
とみ   それを言うならテクテク!てふてふだったら蝶々になるじゃない!まぁあ、蝶々のように華やかっていう意味かしら。うふ
ひろつな というか、蛾の方ですね。

とみ   なんですって!
式神(雪)蝶々と蛾は大違い
とみ   え?
式神(海)色彩、触覚、腹部
とみ   腹部?
式神(雪)腹部、つまり胴回り
とみ   つまりのつまり、ウエスト?
式神(海)蝶々は細くて、蛾は太い
とみ   う。
式神(雪)アゲハ蝶をはじめ、鮮やかな色合いで標本にしたいのが、蝶々。それ以外は全部、蛾。
とみ   全部……蛾……
式神   そう……全部……蛾。
とみ   雪~!海~!あんたら、今日残業代出ないからね~!
式神(海)え!?冗談っすよ、冗談!
式神(雪)そうそう。蛾はね~モスラのモデルなんですよ、
式神(海)え!そうなの?モスラって、世界的にも有名じゃん!
式神(雪)わぁお!モスラ凄い!

とみ   で?
式神(海)残業代カットは…………
式神(雪)止めてもらえませんか~。
とみ   考えとく。もういいわよ。おつかれっ。
式神(海)お願いしますよ~。
とみ   はいはい。
式神(海)(歩きながら)雇い主が、気分屋だとホント大変。
式神(雪)(歩きながら)っていうか、捕まえたんだからボーナスがあってもよさそうなのに!

○式神(雪・海)退場

とみ   と、いうわけ。   
ひろつな なにがですか?
とみ   あなたのおかげで、わかりやすい説明となった。
ひろつな あれが?
とみ   ええ。
ひろつな 蝶々と蛾の話しかしてないではありませんか!
とみ   だから、蝶と蛾。昼と夜。光と影。花と木。安倍清明と……
ひろつな 蝶の話を、清明につなげるには強引すぎます!
とみ   蝶と蛾のように、、分類はあるけど、見る人によっては、蝶も、蛾も同じ虫。
つまり、安倍清明と淡路おくまん。分類はあるけど、見る人によっては同じ陰陽師。
ひろつな ……。確かに。
とみ   戻ってらっしゃい。
ひろつな あっちが俺のことを嫉んでるんですよ。
とみ   あなたが、父上の技を得意げに見せなければ……
ひろつな 清明には見せてない。
とみ   これ、そのような口調で清明の名を呼んではならん!
ひろつな もう、門徒ではないので。
とみ   ひろつな!
ひろつな わぁ!ごめんなさい!
とみ   (笑う)殴りはせぬ。
ひろつな 式神は?
とみ   呼ばぬ。
ひろつな 九字は?
とみ   切らぬ。人に九字を切ることは禁じられておる。
ひろつな 子供の頃、私に切ったではありませんか!
とみ   あれは……見様見真似で、本当に効力があるか試そうとしただけ。辺りを見まわすと、調度、良き大木が目の前に……
ひろつな その良き大木の下では、幼い弟が寝てたではないか!
とみ   …………失敗してよかったのう。
ひろつな あれ、成功してたら、俺、滅されてましたから!
とみ   まぁ、そんなことも、あったのぅ。…………懐かしい……昔の話。
ひろつな あの時は……父上も驚いておられたようですね。なんせたった5歳の女子が、見様見真似で九字を切ろうとは。いやはや度肝を抜かれる思いがしたと申しておりました。俺、滅されかけたけど。
とみ   あなたは……3歳から修行に入ったんでしたねぇ。
ひろつな 姉上があの後すぐに修行したいと申し出たからですよ。5歳の女子が修行に耐えれるのなら、男子は3歳から始めなければ。という取り決めになったそうです。全く、陰陽師の修行を3歳から始めるなぞ、本来無茶苦茶ですよ。3歳で死を悟るなぞ、淡路家くらいのものでしょう。
とみ   死に近づくことで能力を高めるという荒行。それを繰り返し行うことで過酷な術に耐えうる強靭な心身を創る。荒行……私が初めて行ったのは、10の時でした。それでも、刀は……最後まで持たせてもらえなかった。
ひろつな  刀は……
とみ    刀は?
ひろつな 姉上は……女子だから
とみ   そう。女子だから。女だから、神聖な刀に触れてはいけない。   

○○父上、登場(回想シーン)

父上   ならん!お主は女子!女子は神聖な刀に触れることを禁じられておる!
とみ   なぜですか?父上?私も、父上やひろつなみたいに刀を持ちとうございます!
父上   刀は、己を守るもの、人を守るもの、人を殺めるもの。女子は……自ら血を流す。人の血まで、流さずともよい。
とみ   でも……私は……己も父上も母上もひろつなも守りたいのです。
父上   印だけでも十分守れる。それに、ひろつながおるから安心しろ。わしも母君も立派に守るであろう。
とみ   でも、ひろつなはまだ幼いから……
父上   幼いが、力は秘めておる。おお、そうじゃ。今日より、ひろつなと同じ道場に立つことを、禁ずる。
とみ   なぜです?
父上   今日より、道教の教えに入るゆえ、女子は立ち入ることを禁じられておる。
とみ   道教?道教は今の日の本では禁じられております。それを、幼いひろつなに教えるというのですか?
父上   三教全てに通ずる。それが、淡路家を継ぐ者の、辿る道。とみ。
とみ   はい。
父上   女子が、余計なことを案ずるな。
とみ   しかし、ひろつなは……
父上   あまり、深追いするな。陰陽への道も閉ざされたいか?
とみ   それは……
父上   全ては、父に任せておけば良い。この、淡路おくまんにな。

○○父上、退場(回想シーン終わり)

ひろつな ……そう……ですか。そんなことを……父上に……。だから姉上は、私から離れたのですね。いや、離されたのですね?……私は……ずっと、姉上は私のことを好いていないのだと思っておりました。疎ましく……思ってるのだと。
とみ   ……ひろつな……そんなことは…………うっ。
ひろつな 姉上?
とみ   ずっと…………思っておった。
ひろつな 姉上?
とみ   そうじゃ、お前の事をずっと…………
ひろつな どうしたのです?様子が……
とみ   そうじゃ、お前の事をずっと疎ましく思っておった。私から、刀を……力を……道場を、愛情を、父上を!私から奪ったのはお前じゃ!ひろつな!疎ましい?疎ましいとは生ぬるい!憎い、私は、貴様が憎い!
ひろつな あね……うえ……?
とみ   ……ひろ……つな……。
ひろつな 姉上!
とみ   寄るな!貴様に寄られると虫唾が走る!
ひろつな …………わかりました。
とみ   貴様に何がわかる?
ひろつな いいえ、わかりましたよ、姉上。
とみ   死ね、淡路ひろつな!(札を出し、ひろつなを殺そうとする)むにゃむにゃ
ひろつな  姉上!(とみを止める)
とみ   離せ!離しやがれ!淡路ひろつな!
ひろつな 姉上…………許して……ください。むにゃむにゃむにゃ。捕らえろ。

銀狐の声 あ~!!

○式神たち、銀狐を連れて登場。

銀狐   あいててててて。
式神   捕まえた。
銀狐   こんな……わっぱに……いててててて!
ひろつな やはり、貴様らの仕業か。姉上への術を解け!
銀狐   大した術は掛けておらぬぞ。(式神に)ほれ、離せ。(とみの術を解く)

○とみ、ガクンと意識が無くなる。
○式神たち、とみの元へ。

ひろつな 姉上!?
銀狐   安心せい、息はある。だが、術が心根に深くはまればはまるほど、身体への負担が大きいものよ。案外、あれが貴様の姉上の本音ではないのか?(笑)
ひろつな なに?
銀狐   今更なにを言うておる?憎しみ合うのが他人だけの行為だと思うておるのか?血が繋がっておるからこそ、憎しみが増す場合もあるんだぞ?(笑)女、来い。

○とみ、起きて銀狐の元へ。

ひろつな 姉上!
銀狐   お前は、刀を持ちたかったのだな。ほれ、貴様のだ。存分に暴れるがよい。敵は、目の前だ。

○とみ、ひろつなに刀を向け、斬りかかる。

式神   え?なんで、急に?(上手前に逃げる)

ひろつな 姉上!目をお覚ましください!私は、あなたの弟のひろつなです!姉上!(とみの刀から避ける、避ける)姉上、ごめん!(止める)

○とみ、再び倒れる

ひろつな 蒼、姉上を!
式神(蒼)はいよ。

○式神(蒼)、とみを上手へ。

銀狐   やっぱり、人間の女はダメだな。
ひろつな 一度と足らず二度までも姉上を愚弄しおって……貴様だけは許さん!
銀狐   では、アレを試してみるか。いでよ、狐戦隊、ムック、レンジャー!(援軍を呼ぶ)

○狐彦(レッド)・ゴンザレス(ブルー)・コンナ(ピンク)、登場。

銀狐   ムックレンジャー、参上!
式神   5人いなきゃ、レンジャーじゃないよ!
銀狐   ムギギギギ!痛いところをつく、わっぱどもめ!なんか、腹立つから、まずあいつらからやっつけたる!
ひろつな (札を出し、術を唱える)むにゃむにゃむにゃ

○式神(大人)、登場。

式神(大人)は!

○戦う
○とみの式神も登場。
○狐、危うし。

狐子の声 どれ、手伝いが必要か?

○狐子、登場。
○戦う
○ひろつな、勝つ。

狐子   殺せ、弱いものはいらぬ、さぁ、殺せ!
ひろつな 殺さない
狐子   今ここで殺さなかったことを後悔するぞ。いや、させてやるぞ!
ひろつな 誰が解いてやるといった?
狐子   え?
ひろつな 殺さぬが、解いてもやらん。何をするかわかったもんじゃないからな。
狐子   じゃあ?
ひろつな 貴様をあるところに送り込う、そこでせいぜい反省するんだな。むにゃむにゃむにゃ

○式神(佐川)AB登場。

式神(佐川)  まいど。
式神(佐川)B あ、キツネ?ルールルルルルル。
ひろつな    キタキツネか!
式神(佐川)B あれ?違うんですか?
式神(佐川)A 馬鹿だな、アレだよ。
式神(佐川)B アレ?
式神(佐川)A そう、アレだ。おいで、ジョリィ!
狐子      今度はいぬっころか!

式神(佐川)B 送り先は?
ひろつな   宇治の稲荷大明神まで。
狐子     げぇ!稲荷大明神の所だと!?ここで、北の国からでも、名犬ジョリィでも,なんでもやってやる!稲荷の……あいつのところだけはやめてくれ!あいつは細かすぎて合わないんだ!顔を見ると歯ぎしりしたくなる!あいつはな、鳥居が本当に千本あるか数えるような奴なんだぞ!
ひろつな   一緒に数えると良い。
狐子     私は十までしか数えれん!
ひろつな   数えれん!って、いばられも……調度良かったではないか。教えてもらえ。お願いします。
式神(佐川) はいよ、行くよ。よいせ、こらせ。
狐子     やめてぇ!淡路ひろつな、覚えておれぇ!
ひろつな   はいはい。悪者の名言と。達者でな!

○狐子たち、退場

ひろつな   姉上、帰りましょう。
とみ     戻ってくれるのか?
ひろつな   それは、わかりません。ですが……私たちのことならわかります。姉上、会えなかった日々を取り戻しましょう。姉上の好きなリンゴ焼き、焼いてあげますから……
とみ     はちみつもあるか?
ひろつな   もちろん。式神に取ってこさせましょう。
式神     マジで!?



   
 



   

         

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