ネカマ女子会 コメディ

中学卒業後の春休み。 栄太少年は女子で流行りのバーチャルチャットサービス「がるちゃと」に女性として潜入し、女友達を作ろうと企む。 早速、四人の女子会部屋を立てメンバーを集める栄太。これで女の子とお話ができるぞ! ……しかしこの部屋に来た三人、全て栄太と同じく「女のふりをした男」だったのです。
苺ペンデュラムの作品置き場 42 0 0 09/15
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第一稿

【登場人物】
栄太/ひめゆり(15) 中学生。
薫/夕闇(15) 中学生。
お兄さん/クロマキー(25) ネカマのお兄さん。おじさんに比べればなりきりはうまい方。
おじさん ...続きを読む
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【登場人物】
栄太/ひめゆり(15) 中学生。
薫/夕闇(15) 中学生。
お兄さん/クロマキー(25) ネカマのお兄さん。おじさんに比べればなりきりはうまい方。
おじさん/おせんべえ(40) ネカマのおじさん。バレバレながらも想像上の女子を演じる。

○中学校・校門前
   卒業式の後。
   昇降口からクラスのマドンナ・優愛が出てくる。
   そわそわしながら校門前で待つ栄太。
栄太M「おさらい。高野優愛が来る。僕がその前に出てくる。好きでしたと伝える。お昼に誘う……オーケー」
   優愛、校門を通り過ぎる。
栄太M「(拳を握り締め)よし、行くぞ、行くぞ、行くぞ」
   しかし身体が行かない。
   そうしているうちに、別の男子が優愛に声かけ。
男子「なあ高野、この後暇?」
栄太N「ダメでした」

○栄太の部屋
   栄太、パソコンカタカタ。
栄太N「――といったように、僕は面と向かって女子と話すことができない臆病者であります。ゆえに彼女と付き合うなんて夢のまた夢のようですが、これならばどうでしょう」
   パソコン画面に『がるちゃと』表示。
栄太M「がるちゃと。女子の間で話題のバーチャルチャットサービス。卑怯極まりない行為だが、僕はこれから女子としてここに忍び込む。がるちゃとに潜入し、仲良くなった子に正体を明かして付き合う、これしかあるまい。まずは新規登録」
   栄太、パソコンカタカタ。
栄太M「基礎情報を入力して、……名前どうしよう?」
   栄太、部屋を見渡す。
   壁に貼られた女子向けアニメ『マジカル戦車隊ひめゆり』のポスターが目に入る。
栄太M「ひめゆりでいいや(カタカタ)」
   VRゴーグルをつける栄太。
栄太M「ゴーグルとかがあると没入感があってより良いらしい、それでは、ログイン!」

○がるちゃと内
   ショッピングモールの中庭みたいなバーチャル空間。
   そこに出現するひめゆり(栄太)
   ※ひめゆりは台詞は女、モノは栄太の声で。
ひめゆり「うわすっげ!(栄太M:じゃなくて!)すっごーい! ただのチャットだと思ってたけど、こんな本格的なバーチャル空間なんだ!」
   辺りを見渡すひめゆり。
   女の子のアバターがたくさん歩いている。
ひめゆり「皆可愛いな~。(自分の姿を見て)って、僕~じゃなくてあたしだけ初期アバターじゃん! なんかおしゃれしなくちゃ!」
    × × ×
   ブティックで服選びするひめゆり。
ひめゆり「かわいい~! これもいいな~! あ、こっちもいい!」
    × × ×
   ピンク基調の格好で街を歩くひめゆり。
ひめゆり「えへへ~、三千円も課金しちゃった~。って、そうじゃなくて!」
ひめゆりM「しっかりしろよ栄太。僕はただ遊びに来たわけじゃないんだぞ。まずは誰かに話しかけなくちゃ」
   ひめゆりの前を女の子が通りかかる。
ひめゆりM「あ、人だ。よし、話しかけるぞ、話しかけるぞ」
   拳を握り締めるひめゆり。
   しかし話しかけられず相手は去る。
ひめゆりM「知らん人に話しかける勇気がなさすぎる! どしたらいいんだ!」
   都合よく、ひめゆりの前にヘルプ画面が立体で表示される。
ひめゆり「わっ、なんか出た!」
ひめゆりM「これ、ヘルプだ。なるほど、がるちゃとにはランダムマッチングの雑談部屋があるんだ。利用しない手はあるまい!」
   ひめゆり、立体ヘルプのボタンをタッチする。
   雑談部屋機能が起動し、ワープするひめゆり。
ひめゆり「わっ!?」

○がるちゃと内・雑談部屋
   中央にテーブル、それを囲む四つの椅子が置かれた個室。
   そのうち一つの席に座る形でひめゆりが出現する。
ひめゆり「びっくりしたー。しっかし殺風景な部屋~」
   ログ:クロマキーさんが入室しました。
   ログ:夕闇さんが入室しました。
   ログ:おせんべえさんが入室しました。
   (服装はクロマキーが青、夕闇が黒、おせんべえがピンクベース)
ひめゆり「マッチングはや!」
クロマキー「よろしくです」
夕闇「よろしくお願いします」
おせんべえ「よろしく!」
ひめゆり「あ、よろしくお願いします」
四人「……」
ひめゆりM「え、よくよく考えたら何を話せばいいんだ!? 話題とか何も考えてないし! しかも僕の他に女が三人! この逆境の中で違和感なく女子を演じることができるのか……!?」
おせんべえ「とりあえずお部屋飾りましょう!」
   おせんべえ、個室にアイテムを配置してデコり始める。
   タンス、その上にくまさん、窓に柄付きのカーテン……。
ひめゆり「あ、こんな機能あるんですね。実は今日始めたばかりなのでよく知らなくて」
クロマキー「デコのバリエーションは最初からたくさん用意されてるから無課金でも大丈夫ですよー」
ひめゆり「そ、そうなんですね」
おせんべえ「ひめゆりさん良ければテーブルの上飾ってよ」
ひめゆり「え、あたしがですか?」
クロマキー「可愛くしてねー」
ひめゆり「は、はい」
ひめゆりM「え、どういうのがセオリーなんだよこれ。リストに焼き鳥とかあるけど、これじゃなくて無難にケーキとか置けば大丈夫だよな……?」
   何が置かれるか気になり、ひめゆりのをじっと見つめる他三人。
ひめゆりM「え、めっちゃ僕の方見てるし。大丈夫だよな、ケーキとかで。女子会ってなんかこう、スイーツでキラキラしてそうだし。……行くぞ?」
ひめゆり「じゃあ、これで……」
   テーブルの上にケーキが出現。
おせんべえ「……ケーキだ~!」
クロマキー「っぱ女子会はこれよ」
夕闇「ね~」
ひめゆりM「ああよかったあってた」
ひめゆり「あの、ひめゆりです。趣味はアニメと漫画です。よろしくお願いします……」
クロマキー「じゃ次うち。クロマキーです。都内の高校に通ってます。うちも漫画とか好きなのでもしかしたらひめゆりさんとあうかもしれませんね!」
おせんべえ「では私。おせんべえです。ファッションとか自信あります! よろしくね!」
夕闇「夕闇です。私もそういうの好きです。よろしくお願いします」
クロマキーM「(声:お兄さん)――というのは」
夕闇M「(声:薫)嘘」
おせんべえM「(声:おじさん)本当は女まみれの世界で遊びたいだけの」
クロマキーM「女子と話したいだけの」
夕闇M「女子の流行りを知りたいだけの」
おせんべえM「ただのおっさん」
クロマキーM「だとはみんな思うまい!」
夕闇M「他の皆にばれないように」
三人M「頑張ってイケイケ女子を演じ切るぞ……!」
栄太N「――そう、後から知ったのですが、今この部屋には女子のふりをした偽物しかいないのです」
おせんべえM「テーブルデコのセンスで男バレするのが怖くてつい他のに任せちゃったけど」
クロマキー&夕闇M「無難にケーキでいいんだ!」
おせんべえM「この知識今度の女子会で使わせてもらうぜ。かわい子ぶりつつケーキを選ぶ、王道よ」
夕闇M「てかこのおせんべえって人めっちゃぶってるけど女子ってこれが普通なのかな?」
クロマキーM「キャピる奴もいるみたいだが俺は引き続き適度にドライな感じにして逆に女らしさを出していくぜ」
おせんべえ「タピオカも置いちゃお!」
   テーブルにタピオカドリンクが出現。
クロマキー「あーね」
夕闇「いいですね!」
ひめゆり「(M:僕も便乗しなきゃ!)やっぱこうですよね」
四人「うんうん」
夕闇「(M:この調子で溶け込むぞ!)そういえば皆さん朝食って何食べてます?」
クロマキー「グラノーラですね(M:完璧な返しだろこれ)」
おせんべえ「食パンに苺ジャム! 夕闇さんは?」
夕闇「(M:え!)ブリトー……とかですかね」
ひめゆりM「皆日本語喋れよ……」
クロマキー「ひめゆりさんは?」
ひめゆり「え! あー、スムージーとかですね」
夕闇M「ほんとにスムージーとか飲む人いるんだ」
おせんべえ「(知ったかぶる)あー、いいよねー、そういうの」
夕闇「あと、美容とかってどうしてますか?」
ひめ&クロ&おせM「美容とか知らねー!」
ひめゆり「顔パック? とか」
クロマキー「まあ、お風呂上りにちゃんと化粧水つけてます」
おせんべえ「(M:化粧水? ああ、なるほど!)えーっと、親のを勝手に借りてこっそりやって怒られたな~」
夕闇「あ、皆さんちゃんとしてるんですね……」
おせんべえ「(M:ここはばれないよう攻めに転じる!)夕闇さんもやった方がいいって!」
クロマキー「そうそう、肌は女の命」
ひめゆり「ねー」
夕闇「あはは、そうですね」
おせんべえ「(M:よし、なんとかなったな。ダメ押しに女あるあるで攻めるぞ)そういえば私が高校の時だったかな? 体操服に着替えてる最中に友達におっぱい鷲掴みにされる奴、あれって全国共通?」
ひめ&クロ&夕闇M「それ本当にあんの!?」
ひめゆり「(M:どうしよ、適当にするか)あー、ありますよ。嫌ですよねー」
クロマキー「(M:え、二人がそういうならあるあるなんだろうな)うちも」
夕闇「ねー」
クロマキー「(M:危ないから話題を変えよう)ひめゆりさん漫画とか好きって言ってたけど最近はまってるのは?」
ひめゆり「(M:あーよかった得意分野だ)『幽霊警官ポリスペクター』です」
クロマキー&おせんべえ「ポリスペクター!?」
ひめゆり「(M:やーべ、油断して男向けの漫画言っちゃった。強行するぞ!)へ、変ではなくない?」
クロマキー「(M:あ、もしかして普通?)確かに~。うちも読んでるし」
おせんべえ「(M:あれ普通に女子にも人気なんだ)第四巻の展開が好き!」
夕闇M「知らねー……これ本当に女子の間で流行ってるのか?」
クロマキー「夕闇さんは?」
夕闇「(M:正直にしとくか)ごめんなさい、どんな漫画なんですか?」
ひめ&クロ&おせM「せっかくだから布教するか」
ひめゆり「ポリスペクターってのは幽霊の警察官で――」
    × × ×
ひめゆり「――ってわけ」
夕闇「すごい面白そうですね! 何巻まで出てるんですか?」
クロマキー「今は八巻までで、今度九巻が出るよ」
夕闇「あー、頑張ればすぐ追いつけそうですね」
おせんべえ「でしょでしょ。絶対読んだ方がいいよ!」
夕闇「今度本屋さんで探してみます!」
ひめ&クロ&おせM「よし」
夕闇「それじゃあ私そろそろご飯なんで、落ちます」
ひめゆり「お疲れ様ですー」
夕闇「お疲れ様です」
夕闇、消える。
ひめゆりM「いやー、意外と女子と話せてるな自分。残ってるクロマキーやおせんべえとももっと仲良くなれそう! 頑張るぞ!」

○薫の部屋
   夕闇こと薫の部屋。
   母親が戸を開ける。
薫の母「お姉ちゃん、ご飯だよー」
   そう、薫は本当に女だったのだ。
   薫、ゴーグルを外し、
薫「わかってるよ」
薫の母「まーたゲームばっかり。高校からは学校ちゃんと行くんでしょ? お姉ちゃんに友達ができるのかあたし心配だよ」
薫「(小声で)るさいなー、こっちだって友達作れるように話題とかリサーチしてるっつーの……」
薫の母「何?」
薫「いや」
薫の母「ご飯冷めちゃうから早くねー」
薫「うん」
薫の母「はよしないと猛が全部食べちゃうよ」
薫「いーから!」
   薫の母、戸を閉める。
   薫、背中の方へ倒れ天井を見つめる。
薫「……。とりあえず三巻まで買うか」

○高校・外観
テロップ「四月」

○同・教室
   自己紹介。
前の席の人「――です。高校からはバスケ始めようと思ってます。経験者の人いたら教えてください!(お辞儀)」
   一同、拍手。
   次は薫の番。
   恐る恐る立ち上がる薫。
薫「えっと、吉田薫です。最近は……漫画読むのにはまってます。よろしくお願いします」
   一同、拍手。
   薫、なんか嬉しげ。
    × × ×
   クラスメイトと話す薫。
女子A「吉田さんって漫画好きなんだっけ。うちも結構詳しいよ」
薫「そうなんだ!」
女子B「なんて奴が好きなの?」
薫「えっと、『幽霊警官ポリスペクター』って奴」
女子A「なんそれ」
女子B「あー、名前だけ知ってる。弟が読んでるし」
薫「あはは……」
   たまたま廊下を通りかかった栄太、立ち止まり会話をチラ見。

○同・校庭
   女子の体育。
   準備運動のストレッチで先生と組む薫。

○同・教室
   お昼。一人で食事する薫。

○帰り道
   寂しげに一人で下校する薫。

○本屋
   寂しげな顔のまま、ポリスペクターの九巻を手に取る薫。
   ――を、陰から見ていた栄太。
栄太M「やっぱり彼女もあれ、好きなんだ」
   栄太、目を瞑り回想シーンへ。

○回想/がるちゃと内
栄太N「がるちゃとの初の女子会の後、クロマキーとおせんべえとはフレンドになり、仲良くお話を続けていたのですが、急に後ろめたくなり、自身の正体を明かすことにしました。そしたら――」
クロマキー&おせんべえ「えー!?」
クロマキー「実は俺も男やねん」
おせんべえ「俺も」
ひめゆり「えー!?」
栄太N「皆男でした」
(回想終了)

○戻って/本屋
   立ち尽くす栄太の脳裏にクロマキーお兄さんとおせんべえおじさんの声が響く。
クロマキーの声「ひめゆりさん、いや、ひめゆりくん。勇気を諦め、がるちゃとなんかに入り浸ればいずれ君も俺たちみたいな大人になるだけだ」
おせんべえの声「しかし君はまだ高校生。周りに女の子も多かろう。まだこんなみじめな手段を選ぶには早いはずだ」
   栄太、拳を握り締める。
栄太「――やってみるよ、おじさんたち」
   薫のもとへ寄る栄太。
栄太「あのー」
薫「はい?」
栄太「同じ学校だよね。君もその漫画好きなの?」
薫「えっと、そう」
栄太「あーよかった、僕もそうなんだ。よければその、友達?になってくれないかなって」
薫「え本当に?」
栄太「ダメかな」
薫「いいや全然いいですよ。一年六組の吉田っていいます」
栄太「僕は三組。同じ一年生だから楽に話していいって」
薫「そっか。よろしく」
栄太「よろしく。でね、この九巻ね――」

(了)

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