先生、ハケンなの? 学園

堀朝香(25)は私立高校の派遣教師。派遣である事は生徒に知られてはいけないが、岡崎礼(17)にバレてしまい……。
マヤマ 山本 10 0 0 07/13
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第一稿

<登場人物>
堀 朝香(25)派遣教師
岡崎 礼(17)高校生
畠山 早苗(17)不登校の高校生
金子 悠矢(23)正規の新人教師
長井 日向(29)朝香のルームメイト
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<登場人物>
堀 朝香(25)派遣教師
岡崎 礼(17)高校生
畠山 早苗(17)不登校の高校生
金子 悠矢(23)正規の新人教師
長井 日向(29)朝香のルームメイト
麻田 奈々(28)同
倉山 文子(52)教頭先生



<本編> 
○藤山学園女子高校・外観
   「藤山学園女子高校」という看板。
早苗の声「私達はどうして、学校に行くのだろうか?」

○同・教室・中
   堀朝香(25)の授業を受ける岡崎礼(17)、畠山早苗(17)ら生徒達。真ん中の一番前の席の早苗、立って教科書を読んでいる。
早苗「その答えを、私はまだ知らない」
朝香「はい、ありがとう畠山さん」
   着席する早苗。
朝香「今訳してもらった通り、この文章のポイントとなる文法は……」
   チャイムの音。

○同・同・前
   教室から出てくる朝香を追いかけてくる早苗。
早苗「堀先生」
朝香「どうしたの、畠山さん?」
早苗「ちょっと教えていただきたい所があって。今日の放課後って、空いてますか?」
朝香「放課後……は、ちょっと厳しいかな」
早苗「じゃあ、別日でもいいんで、どこかの放課後でお時間いただけませんか?」
朝香「ごめんね、あの……私から、他の英語の先生に聞いてみるから、ね?」
早苗「え……はぁ……」
   逃げるように立ち去る朝香。その様子を教室内から覗き見る礼。
礼「ふ~ん……」

○同・外観(夕)

○同・前(夕)
   多数の生徒達とともに下校する朝香。そこに待ち構える礼。
礼「先生」
朝香「あ、岡崎さん。また明日ね」
礼「先生、何で畠山さんに勉強教えてあげないの?」
朝香「え? それは……まぁ、色々あるの」
礼「ふ~ん。もしかしてさ……先生、ハケンなの?」
朝香「!?」

○メインタイトル『先生、ハケンなの?』

○藤山学園女子高校・外観

○同・職員室・前
   廊下を歩く朝香。その前を歩く金子悠矢(23)。そこに声をかけてくる生徒達。
生徒A「堀先生、おはよう」
朝香「おはよう」
生徒B「コネコ先生、おはよう」
金子「おはようにゃ」
   「第1職員室」の表札。ドアを開けて入っていく金子。
金子の声「おはようございます」
   その前を通り過ぎる朝香。その奥にある「第2職員室」の表札。ドアに手をかける朝香。ため息。
文子の声「何かありましたか?」
   驚き、振り返る朝香。そこに立つ倉山文子(52)。
朝香「教頭先生。おはようございます」
文子「おはようございます、堀先生。で、何かありましたか?」
朝香「いや、その……」
礼の声「先生、ハケンなの?」

○(回想)同・前(夕)
   礼に問い詰められ、動揺する朝香。
礼「やっぱり、そうなんだ」
朝香「何で知ってるの?」
礼「ちょ~っと噂話でね。あ、情報元は守秘義務なんで」
朝香「守秘義務?」
礼「(自分を指し)新聞部なんで」

○同・職員室・前
   第2職員室のドア前に立つ朝香と文子。
朝香「別に、何もないです。それでは」
   中に入っていく朝香。
文子「あ、ちょ……まったく。(スマホで通話を始めて)あ、もしもし? おたくから派遣された堀先生なんですけど……」

○同・外観(夕)

○同・前(夕)
   多数の生徒達とともに下校する朝香。そこに待ち構える礼。その手にはペンやメモ帳やボイスレコーダー。
礼「先生」
朝香「もう、勘弁してよ」
礼「取材だってば、しゅ・ざ・い」

○通学路(夕)
   朝香の後をついてくる礼。
礼「『派遣教師』という新しい働き方、って感じで、職業紹介コーナーで大々的に、イイ感じで載せちゃおうと……」
朝香「お断りします」
礼「(急にかしこまり)先生は何で『派遣教師』として働こうと思ったんですか?」
朝香「実務経験を積むため」
礼「あ~、実務経験が無い事を理由に新卒で雇ってもらえなかったタイプ?」
朝香「(ムッとして)」
礼「じゃあ次の質問。何で生徒に『私は派遣です』って言っちゃダメなの?」
朝香「それは……」
朝香の声「派遣教師より正規雇用の教師が教えた方が、生徒の成績が伸びるから」

○シェアハウス・外観(夜)
朝香の声「それを皆わかってるから、『派遣だ』ってバレると、親御さんからクレームが来ちゃうから」

○同・リビング(夜)
   座卓を囲んで酒を飲む朝香、長井日向(29)、麻田奈々(28)。
朝香「だから、『派遣』って言えないんです」
奈々「……って、言ったの?」
朝香「言えたら楽になれるのにな~」
奈々「良かった~。いや、生徒にそんな事言ったのかと思って焦ったわ」
日向「まぁねぇ」
朝香「さすがに、言わないよ」
奈々「っていうかさ、その、生徒の成績が伸びる伸びないの話って、実話なの?」
朝香「数字として、出てるらしい。まぁ実際、正規雇用と派遣教師で、やれる範囲も大分違うし」
奈々「そんなに違うんだっけ?」
朝香「私達は契約上、授業以外で生徒と関わっちゃいけないから。放課後とか、そういう時間外で生徒に勉強を教えるっていう事が出来ないんだよね」
日向「あ~、授業でわからなかった所を聴きに行く、みたいな?」
奈々「そんな真面目な子、今どきいるの?」
朝香「いるよ。ついこの間、まさに同じシチュエーションになって、断った」
奈々「うっわ~。それ、断るのもなかなかキツいよね」
朝香「そうなんだよね……」
日向「? 何かあった?」
朝香「実はその、断った後が問題でさ……」

○藤山学園女子高校・外観

○同・教室・中
   朝香の授業を受ける礼ら生徒達。
朝香「じゃあ、八行目の頭から読んで。(名簿に目を落とし)次は……畠山さん」
   早苗の席、空席。
朝香「……は休みだから、藤方さん」
   教科書の英文を読み始める生徒。その間、早苗の席を見やる朝香と、その様子を見ている礼。
礼の声「やっぱり、気になっちゃう?」

○同・外観(夕)
礼の声「あの真面目な畠山さんが、先週の火曜日から学校に来てない事」

○通学路(夕)
   朝香の後をついてくる礼。
礼「しかも、放課後の指導を断った直後から」
朝香「……」
礼「『もしかして、私のせい? だとしたら、どうしよう!』って」
朝香「あ~、もう。そうだよ。気になってるよ。当たり前でしょ?」
礼「じゃあ、どうするの?」
朝香「どうするも何も、派遣教師の私には、何も出来ないの」
礼「家庭訪問でもしちゃう?」
朝香「だから、時間外の業務は契約違反で……」
礼「先生が、じゃなくて、私が」
朝香「え?」
礼「私が畠山さんの家に行く分にはセーフでしょ? だって、同級生だし」
朝香「畠山さんの家、知ってるの?」
礼「(自分を指し)新聞部なんで」
朝香「(納得して)あぁ」
礼「という訳で、この件は私がイイ感じにしとくんで。ね?」
朝香「岡崎さん……ありがと……」
礼「そ・の・代・わ・り。ちょ~っとだけ、私のお願い、聞いてくれない?」
   イタズラっぽく笑う礼。
朝香「……嫌な予感」

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