Episode 100 スポーツ

film buyer投稿100作目記念。 2017年。紀田寿也(16)は、翌年に控えた第100回甲子園大会出場を夢見て野球部の門をたたく。
マヤマ 山本 5 0 0 06/22
本棚のご利用には ログイン が必要です。

第一稿

<登場人物表>
紀田 寿也(16)~(22)高校生~大学生
野田 (38)野球部監督
上田 (54)陸上部監督

新入部員A



<本編> 
○高校・野球部 ...続きを読む
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
 

<登場人物表>
紀田 寿也(16)~(22)高校生~大学生
野田 (38)野球部監督
上田 (54)陸上部監督

新入部員A



<本編> 
○高校・野球部グラウンド
   T「2017年 春」
   野田(38)や野球部員達の前で挨拶する紀田寿也(16)ら新入生達。
新入部員A「目標は、甲子園優勝です。よろしくお願いします!」
   拍手が起きる。
紀田「百田ボーイズ出身、紀田寿也。ポジションはピッチャー。目標は来年夏、第一〇〇回甲子園大会に出場する事です。よろしくお願いします!」
   顔を見合わせる部員達。少し間があった後、拍手が起きる。
    ×     ×     ×
   ブルペンで投げる紀田。球速はあまり速くない。その様子を見ている野田。浮かない表情。
    ×     ×     ×
   紀田ら投手陣の前に立つ野田。
野田「いいか。ピッチャーに大事なのは下半身だ。とにかく走り込め。いいな?」
紀田「はい!」

○河川敷
   走る紀田ら投手陣。

○高校・野球部グラウンド
   ブルペンで投げる紀田。球速は上がっている。
紀田「おっ……?」

○河川敷
   走る紀田ら投手陣。紀田は先頭を走っている。

○高校・野球部グラウンド
   ブルペンで投げる紀田。さらに球速は上がっている。その様子に目を細める野田。
野田「ほぉ……」

○河川敷
   走る投手陣達。ただし紀田はぶっちぎりで先頭を走っており、その先を走る陸上部員達を追い越していく。その様子を見ている上田(54)。
上田「こらぁ! 陸上部が野球部に抜かれてどうすんや!」

○高校・野球部グラウンド
   ブルペンで投げる紀田。球速は上がっている。その様子を見守る野田。
野田「おい、紀田。ちょっと来い」
紀田「はい!」

○阪神甲子園球場・外観
   「第99回 全国高校野球選手権大会」の看板。

○同・グラウンド
   マウンドで投げる紀田。相手打者を三振に取りガッツポーズする。
紀田「しゃあ!」

○紀田家・外(夜)
   庭付きの一戸建て。
紀田の声「行ってきます」
   家から出てくる紀田。そのままジョギングを始める。

○同・庭(夜)
   シャドーピッチングをする紀田。

○同・紀田の部屋(夜)
   筋トレをする紀田。壁には「目指せ第100回甲子園」の張り紙。

○高校・野球部グラウンド
   冬。
   ブルペンで投げる紀田。豪速球を投げ続ける。

○同・室内練習場
   筋トレをする紀田。

○河川敷
   一人走る紀田。陸上部員達を追い越していく。その様子を見ている上田。
上田「ほんま、ええ足しとるわ」

○野球場・外観
   T「2018年 夏」

○同・グラウンド
   〇対〇の九回裏を示すスコアボード。
   マウンドに立つ紀田。渾身の投球を打たれ、打球はスタンドへ。
   喜びを爆発させる相手チームと、マウンドに崩れ落ちる紀田。

○阪神甲子園球場・外観
   「第100回 全国高校野球選手権大会」の看板。

○同・グラウンド
   入場行進をする高校球児達。
    ×     ×     ×
   試合をする高校球児達。

○紀田家・リビング
   テレビでその試合を観ている紀田。テレビの電源を切る。
野田の声「おい、紀田。考え直せ」

○高校・監督室
   野田の前に立つ紀田。野田の手には「退部届」と書かれた封筒。
野田「今年はダメだったが、お前はまだ来年があるだろ? いや、お前の力ならプロだって夢じゃない」
紀田「監督。自分は一〇一回大会にも、ましてやプロにも興味はないんです。だから……すみません」
   一礼し、出ていく紀田。
野田「おい、紀田!」

○同・校門
   下校する生徒達。その中に居る紀田。坊主頭が少し伸びたような髪型。そこに待ち構える上田。
上田「紀田寿也君、やったな?」
紀田「? えっと……」
上田「陸上部監督の上田や」
   にっと笑う上田。
上田の声「聞いたで。『第一〇〇回の甲子園大会に出られへんかったから』言うて、野球部辞めたて」

○河川敷
   並んで座る紀田と上田。
上田「何でそない『一〇〇』に拘るんや? キリがええからか?」
紀田「それもありますけど、野球始めた頃から、もう計算すればわかるじゃないですか? 『自分が高二の時、甲子園は一〇〇回目だな』って。そしたら、目標にしません?」
上田「するわな。で、次の目標は?」
紀田「考えてなかったんで。まぁ、とりあえず受験勉強でもやりますよ」
上田「ほな、陸上部に入らへんか?」
紀田「はい?」
上田「前から見とったで。ウチの部員よりよっぽどスタミナあるやんか。見込みあるで」
紀田「褒められたってやりませんよ。やる理由がないですし」
上田「そうでもないで」
   意味深に笑う上田。紀田に耳打ちする。
紀田「!?」
上田「どや?」
紀田「……やりましょう、陸上」
   握手する紀田と上田。

○同・校庭
   陸上部員と練習する紀田。
    ×     ×     ×
   体幹トレーニングをする紀田。
    ×     ×     ×
   紀田の走行フォームを矯正する上田。

○河川敷
   走る陸上部員達。ただし紀田はぶっちぎりで先頭を走っており、その先を走る野球部員達を追い越していく。その様子を見ている上田。満足げに頷く。

○大学・外観

○同・グラウンド
   T「2020年 春」
   陸上部員達の前で挨拶する紀田ら新入生達。
紀田「紀田寿也です。高校二年までは野球部でした。目標は……」
    ×     ×     ×
   紀田ら陸上部員全員が走っている。

○同・同(夕)
   紀田ら数名の陸上部員が走っている。

○同・同(夜)
   紀田だけが走っている。

○大手町
   T「2024年 1月2日」
   多数の観客が沿道で見守る中、スタートラインに立つ紀田(22)ら選手達。
紀田M「ついに来た。ここまで……」
   スタートの号砲、走り出す選手達。その背後に「第100回東京箱根間往復大学駅伝競走」の弾幕。
                   (完)

この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
本棚のご利用には ログイン が必要です。

コメント

  • まだコメントが投稿されていません。
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。