人生TRIP ファンタジー

事故で鳩山謙一郎(14)は、車イスに乗る小学6年生。 母、雪絵(44) に説得され、多くの政治家を占っている謎の占い師巫(かんなぎ)に一億円を出して、人生TRIPで、未来を体験して、謙一郎の2つの夢の候補の人生を体験することにした。
祥天音 3 2 0 12/29
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第一稿

    人 物

鳩山謙一郎(14) 車イスに乗る
小学6年生
鳩山謙一郎(25) 未来での政治秘書
鳩山謙一郎(30) 未来での宇宙飛行士
巫(かんなぎ) (年 ...続きを読む
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    人 物

鳩山謙一郎(14) 車イスに乗る
小学6年生
鳩山謙一郎(25) 未来での政治秘書
鳩山謙一郎(30) 未来での宇宙飛行士
巫(かんなぎ) (年齢不詳) 占い師
鳩山雪絵(44) 謙一郎の母
      代々政治家家系の1人娘
執事(50) 左右眼の色が違う男性執事
運転手(60) 白髪の微笑みの男性




○鳩山家・全景(朝)
 鳩山雪絵(44)の声が漏れ、大きな
邸宅前を通る通行人も驚いてる。

雪絵「当たった、当たったー、謙一郎!」

○鳩山家・謙一郎の部屋(朝)
 スマホを手に、走って鳩山謙一郎(14)の
 部屋まで行く雪絵。
 謙一郎は、ベッドで寝ている。
 ベッドの横に、電動車イスが置 いてある。

雪絵「謙ちゃん!あの、あの!有名な
 人生TRIPの占い師に見て貰えるわよ!」
謙一郎「人生TRIPの?」
雪絵「そうよ! 世界中の人が見て
 貰いたがっているから、倍率高いのに
 当たったのよ!」
謙一郎「でも・・?だってその人って、
 どっかの大臣が、一億円ぐらい払った
 って・・前にママ、言ってなかった?」
雪絵「いーのよ! 謙ちゃんの為なら、
そんなはした金! 未来を見て貰い、
どの人生が良いかを見極めましょ?」

 謙一郎は、車イスを見つめ首を振って呟く。

謙一郎「僕に、未来なんてないよ・・」
雪絵「何言ってるの!まだ、あなたは、
14歳よ! 諦めないで!」

  謙一郎は動かない足を叩き言う。

謙一郎「そんな単純な話じゃない。 
僕は、エリートコースからは、もう
外れたんだよ・・」
雪絵「あーら? 未来は、変わるものよ」
謙一郎「どういうこと?」
雪絵「医療技術は、早すぎるぐらい
変わって進化してるってこと!」
謙一郎「・・そりゃそうだけど・・」

 封筒から、紙を取り出し、
 鉛筆と一緒に渡す雪絵。
 一緒に入っていた銀色の鍵のような
 形のものをペラペラと不思議そうに
 揺らしてみるが、すぐに母親の顔に
 戻り言う。

雪絵「さっ、この紙に沢山のあなたが
やってみたい、なりたい夢を描いて、
想像して!」 

 謙一郎は、黙って聞いていたが、
雪絵を見て言う。

謙一郎「・・ママは、なりたい自分にな
れた?」
雪絵「素晴らしく可愛い謙ちゃんに
出会えた! ママは、充分幸せよ」 

  謙一郎は、雪絵にハグされ、
逃れるが少し嬉しそうに頷くが、
すぐ口を尖らし、文句を言う。

謙一郎「ママは、前向き過ぎなんだよ!」
雪絵「・・ママは謙ちゃんに諦めた人生
を生きて欲しくないだけよ」
謙一郎「一億円だよ?・・いいの?」
雪絵「先行投資!」
謙一郎「僕、競争馬みたいだ(笑)」
 
○ロイヤルホテル・ロビー(夜)
 車イスに乗った謙一郎と、雪絵
が、ロビーで、少し不安げに待
っている。

雪絵「(小声で)何でも先生が当たりす
ぎるから、色んな国の王族達も先生
を欲しがっているらしいの。誘拐の
危険があるから、指定してきたホテ
ルで待つしかないみたいよ・・」

 黒のタキシードを着た眼の色が 左右
 微妙に違う執事の男が、車イスの
 謙一郎の前でしゃがみ挨拶する。
 執事(50)が銀色の鍵のような名刺を差
 し出し、雪絵の持つ銀色の鍵のような
 名刺を差し出すとぴったりと一枚の
 名刺に変わる。
 
執事「お待たせ致しました。さあ、
私(わたくし)がご案内させて頂きます」
 
○ロイヤルホテル・車寄せ(夜)
 車寄せに向かうと豪華な黒塗りの大き
 なキャンピングカーのような車が止
 まっていて、運転手(60) 白髪の男性
 がレバーを押すと車イス用の昇降機が
 出てきて謙一郎は、車イスのまま乗り込む。
    
○黒い高級車のバン走行中・全景(夜)
 運転手が運転し、車がわずかに振動し、
 執事が助手席に座って高速の地下道を
 走り回る。

○黒い高級車のバン・車内
奥の白いカーテンで隠れた部分が回転し、
 占い師の巫(かんなぎ) (年齢不詳)が、
 現れる。
 高価そうな十二単を着ている

巫(かんなぎ)「いつも政治家のおじい
ちゃんや王族とかばっかりだから、
今日はとても楽しみにしてきたのよ? 
鳩山のお坊ちゃま、巫(かんなぎ)です、
よろしくね。」
謙一郎「・・あ、よろしく・・です」
雪絵「事故に合いましたが、多才な息子
なんでね、多才ですから私の一存で
限定して、夢を壊しちゃダメですで
しょ? 決められなくて・・」

 巫(かんなぎ)が、静かにのポーズをする。
 慌てて黙り込む雪絵。

巫(かんなぎ)「で、紙に書いて頂けました?」
謙一郎「・・笑わない?」
巫(かんなぎ)「勿論、笑わないわ。」

 謙一郎が、紙を差し出す。
 巫(かんなぎ)が黙読し、紙を破き、
 破いた紙を前に置き、謙一郎に話す。

巫(かんなぎ)「なりたい順番に、並べてみて?」

 謙一郎が悩んで、破かれた紙をパズル
 のように10枚の紙で順番に並べる。

謙一郎「・・出来ました」 
巫(かんなぎ)「私は、あなたの未来を見るわ」
謙一郎「・・本当に見えるの?」
巫(かんなぎ)「どうしても私の言葉だけじゃ
 信じられないなら、一緒に見せてあげる事は
 出来るけど、2人の場合、質量が重いから、
 不安定になるの。 だから、厳選して欲しいの」
謙一郎「・・6個?4個か3個?」

   巫(かんなぎ)と目が合うが、巫(かんなぎ)
   は首を振る。
   謙一郎は、剥(むく)れた顔をするが、微
   笑んでた巫(かんなぎ)が腕時計を出し言う。

巫(かんなぎ)「私も不死身じゃないから・・」
謙一郎「1個~2個?」
巫(かんなぎ)「それぐらいで、許して頂戴? 
 じゃ、右手に夢を書いた紙を持って、
 左手は、時計の文字盤を触ってて」
謙一郎「本当に僕も行けるの?」
巫(かんなぎ)「お母さま、私達に何があっても
 触らないで、必ず戻って来ますから!」
雪絵「は、はぁー」
巫(かんなぎ)「さっ、覚悟はよろしいですか?」
 巫の足元から沢山の光が輝き出す
効果音『ズンッ・・』

 巫(かんなぎ)の十二単が謙一郎の頭を
 包み込むように覆う。  
 大きな音と光と共に、謙一郎の意識が飛ぶ。
 雪絵が何か言っていたが、聞こえず、
 巫(かんなぎ)と謙一郎の魂だけは、別の空間
 に移動し、2人は倒れる。
 
○回想・異空間
 異空間に謙一郎と巫(かんなぎ)の魂だけが
 幽体となり、異空間を飛ぶ。
 2人は、手を繋いで流されてく。

巫(かんなぎ)のN「TRIPは、不思議な感覚です。 
 でも、何度もTRIPすると人生に
 は色々な可能性があって、色々な人
 の努力で、全て繋がっている事が解
 るようになります。 人間は1人じ
 ゃない。 偶然は決してありえ無いのです」

○回想・謙一郎の夢の未来(朝)
 未来のホテルの会食に、電動車イスで、
 行く謙一郎と、隣には紺のスーツを
 着た巫(かんなぎ)。 
 政治家秘書になった大人謙一郎が、
 車イスに沢山の資料を乗せて通り過ぎる。 

謙一郎「紺のスーツ!」
巫(かんなぎ)「動きやすくないとね」
謙一郎「あれは、僕?意外と車イスでも
 政治秘書出来るかもしれないな(笑)」
巫(かんなぎ)「出来ますよ。しかし、なぜ、
 ここで目覚めたのでしょうね?」
謙一郎「あ、パパだ」
    
 不審者がバッグから、ナイフを取り出し、
 謙一郎の父へ向かう。

謙一郎「パパ―、危ないー!」
 
 大人謙一郎が、不審者に気づく。

不審者「俺をさんざん騙しやがって!」
巫(かんなぎ)「危ない、坊ちゃま!」 

 大人謙一郎は、父を庇ってもみ合い、
 ナイフで刺される。
 ロビーに血が広がっていく。
 謙一郎を庇った巫(かんなぎ)と茫然と見てる

○黒い高級車バンの車内
 机に突っ伏していた2人が急に
 大きな効果音と共に起き上がる。

効果音『ズンッ・・』

 効果音を聞いて驚く、雪絵。

雪絵「謙ちゃん?!」
謙一郎「パパが!パパが!(泣)」
巫(かんなぎ)「もう、現代です、お坊ちゃま?
 ああ、もう触っても大丈夫ですよ」
 
 雪絵は、謙一郎を揺さぶる。

雪絵「どうしたの? 謙ちゃん?」
巫(かんなぎ)「政治秘書は、危険が伴いますね」
謙一郎「パパ、あの人に酷い事したんだね」
雪絵「何か見たの?」
謙一郎「その汚い金で僕は、ここに居るん
 だ・・」

 謙一郎は、泣きながら落ち込んでいる。
 雪絵は、黙って頭を撫でている。

巫(かんなぎ)「次が本命だっけ?行きます?
 止めます?」
謙一郎「・・行く!」
 
○回想・大人謙一郎の夢の未来・宇宙船内
 警告音の鳴る中、大きなTVモニター
 に隕石の集合体が近づく。
 大人謙一郎が座って機器の操作をしている。
 謙一郎と巫(かんなぎ)は、前回と同じ服装。
 
謙一郎「やった!僕、宇宙飛行士になって・・・」

 大人謙一郎が操作の為に立ち上がる。

謙一郎「・・えっ?僕、あるっ・・・
 歩いている!」
巫(かんなぎ)「前回と5年ぐらいの間に、
 何かが開発されるって事ね。」

   自爆装置を作動した後、また
   立ち上がり通信を始める大人謙一郎。

大人謙一郎「自爆装置作動完了です。
 これで隕石集合体から地球を守れるっと」
マシンの音声『至急、緊急脱出せよ』
謙一郎「……僕、宇宙飛行士の夢叶えるよ」
巫(かんなぎ)「良かったですね、さ、戻りましょう」
マシンの音声『新たな緊急事態発生中』

 謙一郎と巫(かんなぎ)が消えると同時に、
 隕石の集合体に囲まれ、宇宙船が爆発
 するが爆発も陽炎のようになり、
 異空間に消える.


END

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