愛のミニチュアハウス コメディ

地球に住むお父さん、お母さん、ジュン、ミサ、タク、リコの一家6人が宇宙ツアーに参加し、ホームステイしながらいろいろな星の生活を見て回ります。地球では考えられないような文化や習慣・自然環境があり、驚きの毎日を過ごしながら家族が成長していきます。宇宙を旅するが宇宙SF小説とは違う異色ホームドラマ。アニメならば約10分、1話完結の物語。
トナミKK 12 0 0 11/19
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第一稿

【登場人物】
お父さん 45歳
お母さん 41歳
ジュン 16歳
ミサ 13歳
タク 10歳
リコ 7歳
HF=ホストファーザー
HM=ホストマザー
HB=ホスト ...続きを読む
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【登場人物】
お父さん 45歳
お母さん 41歳
ジュン 16歳
ミサ 13歳
タク 10歳
リコ 7歳
HF=ホストファーザー
HM=ホストマザー
HB=ホストブラザー(ホストハウスの息子) 22歳
HS=ホストシスター(ホストハウスの娘) 19歳


○ホストハウスの玄関前

地球家族6人が到着。リコ、玄関のドアを開ける。
リコ「おじゃまします」
HM「いらっしゃい、どうぞお上がりになって」

○ホストハウスの家の中

HMが部屋をひとつひとつ案内して回る。
母「広いお家ですね。お部屋がたくさんあって」
HM「一人一部屋ずつになっていまして。ここが長女の部屋」
隅にミニチュアハウスが置いてある。
タク(小声で)「見た? 家の模型みたいなの」
ミサ(小声で)「ミニチュアハウスよね。さすが女の子」
HM「ここが私の部屋」
やはり、隅にミニチュアハウスが置いてある。
ミサ(心の中で)「あそこにも」
HM「ここが主人の部屋です」
同じく、隅にミニチュアハウスが置いてある。
タク(心の中で)「あ」
HM「ここが長男のHBの部屋」
ミサ(心の中で)「ここには置いてないか」

○居間

地球家族6人とHM、HF、HS。
母「あの、・・・」
HM「あ、お気づきになったかしら。ミニチュアハウス」
母「ええ、みなさん、ああいうのお好きなんですか?」
HS「この家だけではないんです。私たちの星では、大人になるとみんな作るんですよ」
タク「みんな!?」
HM「はい。自分が住みたいと思う理想の家を、ミニチュアで作るんです」
ミサ「おもしろそうですね。でも難しそう。あんなにうまく、よく作れましたね」
HF「簡単ですよ。材料はまだたくさん残っていますから、みなさんもぜひ作ってみませんか?」
父「は、はい」
HS、大きな箱をかかえて戻ってくる。
HS「壁を作るための板と、樹木用の針金はここにあります。小物も、ここにある粘土で作るんですよ。色は、ここにある絵の具で塗っていきます」
父「よし、じゃあせっかくだから、みんなで、自分の住んでみたい家を1軒ずつ、作ろうじゃないか」
地球家族6人、ミニチュアハウスをめいめい作り始める。
しばらくして。
ミサ「できた」
ジュン「よし、みんなのを並べてみよう」
母「よろしければ、ご家族みなさんのも、ここに持ってきて並べませんか」
HM「それがいいわね。HS、あなたのも持っていらっしゃい」

○居間

地球家族6人+ホストファミリー3人分のミニチュアハウスがテーブルにずらりと並ぶ。リコの作った家だけ、かなり不恰好。
ミサ「ねえ、みて! お父さんとお母さんの、そっくり!」
ジュン「本当だ。かなりよく似ているなあ」
HM「素晴らしいわ。今までにお泊りになった地球の方のミニチュアハウス、いくつも見てきたけど、ご夫婦でこんなに同じ家が出来たのを初めてみたわ。これ以上ないお似合いの夫婦ということよ」
父「そんなことが言えるんですか?」
HM「少なくとも、私たちには、とても大事なことよ。ほら、私たち夫婦の作った家もそっくりでしょ」
母「そうですよね、私も気づいてました。でも、このミニチュア、まさに今住んでいるこの家ですよね。お二人とも、今住んでいる家をモデルにして作ったんじゃ」
HM「いえ、とんでもない。私たち、知り合う前にこのミニチュアを作ったのよ。そして、お互いのミニチュアがそっくりだとわかって、すぐに結婚したの。そして、二人が考える理想の家を建てたのよ」
ミサ「うわー、なんてロマンチックな恋愛なんでしょう!」
HM「みんなそうなのよ。同じ家を理想と思う男女が結婚するの」
タク「みんな!?」
HM「この星の価値観では、住みたい家を見ればその人のすべてがわかるのよ。そもそも結婚するということは、同じ家に住むということなのだから、どんな家に住みたいと考えているかがとても大事、いや、それが相手に望むすべてなのよ」
ミサ「へえ」
母「ちょっと見てよ、ジュンもミサも、とても個性的な家。二人とも、永久にパートナーにはめぐりあえないかもね」
ミサ「ひどい」
父「ところで、お二人はどこで知り合ったんですか?」
HM「パーティーよ。結婚を望む男女が大勢集まるパーティー」
父「なるほど。そのようなパーティーは、地球にもありますよ」
母「そういえば、長男のHBさんは、まだ帰ってきませんけど、ミニチュアハウスを持ってパーティーに行かれているんですか?」
HF「いや、HBは、今日は就職活動。就職の面接でもミニチュアハウスを使うんです。これを見れば人格がわかるから」
そのとき、玄関のドアが開き、HBが入って来る。
HS「あ、噂をすれば」
HB「こんにちは。」
父「就職活動中だそうで」
HB「はい、おかげさまで、受かりました!」
HM「おめでとう!」
父「でも、会社が人を雇う場合、同じタイプの人ばかりを採用するのは、あまりいいことじゃないような」
HM「あ、逆です。就職の面接の場合は、いろいろなタイプの人を採用するためにミニチュアハウスを使うんです。地球の言葉でいうと、えーと、なんだったかしら」
父「人材ポートフォリオですか?」
HB「そう、それそれ」

○翌朝、居間

父と母が居間に入る。HSがそこにいる。
母「HSさん、おはようございます」
HS「おはようございます。せっかく来ていただいたのに、両親は仕事を休めなくて、ごめんなさい。今日は私が町を案内しますね」
父「ありがとう。HBさんは?」
HS「兄は、今日は朝から、パーティーなんですよ」
父「パーティー? 結婚相手を探すパーティー? 朝から?」
HS「そうなの、ごめんなさい。大事なイベントだからはずせないんですよ。兄さん、結婚願望強いから」
そのとき、HBが居間にかけこんで来る。
HB「わ、寝坊だ」
HS「兄さん、まだいたの! 遅刻よ」
HB「行って来る!」
HS「財布持った?」
HB「持った」
HS「ハンカチ持った?」
HB「持った」
HS「家持った?」
HB「家、おっと、忘れるところだ」
HS、HBにミニチュアハウスを手渡す。
HS「はい、一番大事なもの忘れちゃダメ」
しばらくして、ジュン・ミサ・タク・リコが入って来る。
ジュン「あれ、僕の作った家がないよ」
HS「しまった、間違えて兄に渡しちゃったんだ。もう30分もたつのに、取りに戻ってこないわ。まだ気づかないのかしら」
HS、時計を見る。
HS「私、届けに行ってきます。でも、留守番頼むのも悪いし」
ミサ「よければ、一緒に行ってもいいですか?」
HS「それもそうですね。会場はすぐ近くですから」
ミサ「あの、私も自分のミニチュアを持って行っていいですか? パーティーってちょっと興味があって」
HS「悪いけど、それだけはやめてください」
ミサ「は、はい」

○道

HSを先頭にジュン・ミサが小走り。ミニチュアハウスをかかえて歩いている老若男女が大勢いる。
ジュン「ミニチュアハウスをかかえて歩いている人が大勢いますね」
HS「若い人は、結婚相手を探している人が半分、あとは就職活動ですね。今ちょうどシーズンですから」
ミサ「お年の方もいますよ」
HS「就職活動だと思いますよ」
ホールのような建物の前に到着。
HS「着きました。ここがパーティー会場です。ちょっとのぞいてみましょう」

○パーティー会場のドア付近

HS・ジュン・ミサが少しドアを開けて中をのぞく。若い男女がいっぱい。みんなミニチュアハウスを持っている。
ミサ「わー、すごい」
そのとき、一箇所で拍手が起こる。
ジュン「あの拍手は何でしょう?」
HS「カップルが誕生したようね」
ミサ「カップル? なんだか気の早いような」
HS「成立したカップルが出てくると思うから、出口をあけたほうがいいわ」
ミサ「え?」
HS「結ばれたカップルは、もうパーティーには用がないから、速やかに会場から出て行くのが礼儀なのよ」
そのとき、若い女性がものすごく嬉しそうな表情で勢いよく飛び出してくる。その後ろから、HBが困った表情で出てくる。
ミサ「あれ」
HS「兄さん」
ジュン「どうしたんですか」
HB「誤解なんだよ。これ、僕のミニチュアじゃない。家から間違えて持ってきちゃった、ジュン君のなんだ。地球からの旅行者で・・・」
女性「え? そんな・・・」
女性、笑顔から急に世にも悲しい表情に変わり、その場で泣き崩れてしまう。
ジュン「大丈夫ですか?」
ミサ「わけがわかりません。どういうこと?」
HB「ほら、彼女の持っている家」
女性が持っていたミニチュアハウスは、ジュンの作ったものにそっくりだった。
ジュン「あ、僕のそっくり」
HB「そう、彼女は僕の持っていたこの家を見て、自分のとそっくりな家だから、勘違いして大喜びしちゃって。それで、これが地球からの旅行者であるジュン君のだと説明したら、この結果です」
ジュン「それは見ていてわかりました。わからないのは、この女性がなんであんなに大喜びして、そして今はこんなに悲しんでいるのか」
HB「大喜びする人たちは、何人も見たことがあります。でも、人がこんなに悲しんでいるのを見るのは、生まれて初めてです」
HS「私も」
ミサ「えっ、どうして・・・」
HB「私たちには無い言葉、辞書にも載っていない言葉があります。何だと思いますか」
ミサ「さあ」
HB「『片思い』です。ここでは、相手に望む条件はミニチュアハウスが自分のと同じであること、それがすべてなんです。だから必ず両思いになるんです」
ジュン「でもまったく同じ家なんてありえないでしょう」
HB「99%似ていれば、それは同じ家とみなします。みんなこのように割り切っているんです。そうでないと、結婚した後にもっと家が似ている人を見つけてしまうと、後悔して不幸になってしまいますから」
HS「それからここには、『失恋』という言葉もありません。同じミニチュアハウスをもつ二人は、出会った瞬間、相手が理想のパートナーであることを確信します。あとはもう迷うことなんてしません。その日が結婚記念日なんです」
ジュン「彼女が泣いているのは、普通絶対に経験しないような、失恋と同じ気分を味わってしまったからなのか」
HB「そう。理想のパートナーを見つけたと思ったら、その人は地球に帰らなければならない旅行者だと知ったショックは計り知れません」
そのとき、泣き崩れていた女性は起き上がり、少しほほえみ、ジュンに話しかける。
女性「握手してください」

○空港へ向かう小型バスの中

地球家族6人とHB、HS。
ジュン「なんだか、あの女性に悪いことをしてしまった」
HB「ミニチュアを間違えたのは僕たちだから」
ミサ「でも、私たちが、みんなのを並べてみようなんて言ったからこんなことに」
HB「でも、最後に彼女が言っていたんですよ。ジュンさんに会えて本当によかったと。パーティーに何度行ってもパートナーにめぐりあえなくて、半ばあきらめていたけれど、自信が出ましたって」
HS「さあ、もうすぐ空港に着きますよ」
父「お見送りありがとうございます。すっかりお世話になっちゃって」
HB「そうだ、みなさんの作ったミニチュアハウス、これから旅行を続けるにはお荷物になってしまうでしょう。あそこに寄って行きましょう」
HB、窓の外を指差す。小屋のような建物がある。

○小屋の入口

地球家族6人とHB、HS。
HB「ここには、地球の旅行者が滞在中に作ったミニチュアハウスが飾られているんです。縁結びの神様という迷信まで出来ているんですよ。みなさんも、あいているところに飾ってください。手前が男性、奥が女性です」
ミサ「縁結びの神様か。ん?」
ミサ、入口近くに置いてあったミニチュアハウスを見て叫ぶ。
ミサ「私と同じ家!」
ジュン「本当だ」

○飛行機の中

タクがリコに話しかける。
タク「お父さんとお母さんは、自分たちが理想の夫婦であることを再認識。ジュンとミサは、異性運があがってきたと思い始め、みんな物思いにふけってる。誰も話しかけてくれないから、二人でゲームでもして遊ぼうか」
リコ「うん」

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