カーツ惑星調査団♯10『燃料人間 in 惑星メーテキ』 SF

莫大なエネルギー量を検知し、惑星メーテキに降り立ったカーツ惑星調査団の面々。しかし検知したエネルギーの正体は怪獣の姿もなければ、他のエネルギー源でもなく、この惑星に住む人々だった……。
マヤマ 山本 14 0 0 08/30
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第一稿

<登場人物>
タノク・M・イリウス/影タノク(20)団員/影の巨人
ナサマチ・F・ダラ(17)同
テシ・Y・ケルナー(8)同
ナサマチ・F・ルギエバ(46)同団長、ダラの父 ...続きを読む
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<登場人物>
タノク・M・イリウス/影タノク(20)団員/影の巨人
ナサマチ・F・ダラ(17)同
テシ・Y・ケルナー(8)同
ナサマチ・F・ルギエバ(46)同団長、ダラの父
ラヤドケ・S・リオト(33)同副団長
 
矢浦/影矢浦(26)宇宙探偵/影の巨人
田尾(22)矢浦の世話係、女性型アンドロイド
 

寄生獣・コレザ



<本編>
○航行するツエーツ号

○ツエーツ号・共同スペース
   作戦机を囲み食事中のタノク・M・イリウス(20)、ナサマチ・F・ダラ(17)、テシ・Y・ケルナー(8)、ナサマチ・F・ルギエバ(46)、ラヤドケ・S・リオト(33)。
タノク「なぁ。惑星カーツって、あとどんぐらいで着くの?」
ラヤドケ「上手くいけば、あと二回のエネルギー補給で着くかと」
ナサマチ「そう言われると、何やあっという間やったな」
テシ「楽しみだね、久しぶりの惑星カーツ」
タノク「俺は初めてだけどな」
ナサマチ「そうか、覚えてないんやもんな」
テシ「でも、ふるさとの空気を吸えば、何か思い出すかもしれないよね」
ダラ「どこで覚えんねん、そんな言葉」
タノク「おっ、やっと喋ったな」
ダラ「え?」
   ダラを見つめるタノク、テシ、ナサマチ。
テシ「本当、全然喋らなかったよね」
ナサマチ「具合でも悪いんかて、心配したで」
ダラ「別に、心配するような事なんて、何もあらへんわ」
ラヤドケ「皆さん、話を戻しても?」
ナサマチ「あぁ、すまんかったな。どうぞ」
ラヤドケ「先ほど『上手くいけば』と言いましたが、私達には時間がありませんので、上手くいかせる必要があります」
ダラ「何の時間がないねん」
ラヤドケ「時間は、時間です」
   ダラとラヤドケの間に緊張が走る。
   ソレを見て耳を寄せ合うタノクとテシ。
テシ「(小声で)ね? ダラちゃんと副団長、絶対何かあったよね」
タノク「(小声で)いや~、でもまさか副団長がダラに行くとはな~」
ダラ「(タノクとテシに)そこ、うるさいで」
   肩をすくめるタノクとテシ。
ラヤドケ「とにかく、次の惑星では時間のかかる探索は避け、怪獣を見つけ次第、生命エネルギーを回収します」
タノク「何だよ、それ」
テシ「怪獣さん、かわいそう」
タノク「団長はそれでいいのか?」
ナサマチ「……やむを得んわな」
タノク「俺は嫌だ」
テシ「僕も」
ナサマチ「でも、多数決やと……」
ダラ「ウチも反対や」
タノク&テシ&ナサマチ「え!?」
ダラ「……この間、イリウスがようわからん姿になったやないですか。本人の問題か、システムの問題かはわからんけど、あくまでも最終手段にしとった方がええと思います」
ラヤドケ「ほう……」
   再びダラとラヤドケの間に緊張が走る。
   再び耳を寄せ合うタノクとテシ。
テシ「(小声で)じゃあ、僕の勝ちね」
タノク「(小声で)へいへい、約束通りお支払いしますよ、って」
ダラ「賭けすな」
ナサマチ「まぁまぁ、安心しぃ。今ラヤドケはんが言うたのは、あくまで……」

○惑星メーテキ・外観
   赤色の惑星。
   T「惑星メーテキ」
   そこに向かって行くツエーツ号。
ナサマチの声「怪獣が居ったら、の話や」

○メインタイトル『カーツ惑星調査団』
   T「♯10 燃料人間in惑星メーテキ」

○惑星メーテキ・オフィス街
   多くの人が行き交っている。
タノクの声「人、人、人」
   信号待ちをするタノクとダラ。
タノク「随分賑わってっけど、本当にこんな所に燃料あんのかよ」
ダラ「反応はある、言うてたで。それも、かなりぎょうさん」
タノク「……ところで、ダラさ」
ダラ「何や?」
タノク「副団長と何があったんだ?」
ダラ「……イリウスには関係ないわ」
タノク「まぁ、確かにな」
   信号が青に変わり、歩き出すタノク。
ダラ「気ぃ付けや」
タノク「ん? 信号、青だろ?」
ダラ「そうやなくて。リオトさんに、や」
   と言ってタノクを追い越すダラ。
タノク「え、何、俺も関係あんの?」
   ダラを追いかけるタノク。すれ違う人々が皆、体の一部に特徴的な形の痣がある。

○同・繁華街
   テシとナサマチ。周囲は多くの人で賑わっている。
   銅像を粒子状の光にし、電池のようなものに閉じ込めるテシ。電球は無反応。
テシ「コレでもないね」
   銅像を元に戻すテシ。
ナサマチ「随分大きいものも出来るようになったんやな、ケルナー」
テシ「えへへ、凄いでしょ?」

○同・各地
   タノク&ダラ、テシ&ナサマチの二手に分かれて色々な場所を探索している。
   どこも多くの人で賑わっている。

○同・オフィス街
   タノクとダラ。周囲は多くの人で賑わっている。地面に耳を当てているタノク。
ラヤドケの声「エネルギー反応には移動の痕跡があります。もしかしたら怪獣という可能性も……」
ダラ「地下を移動しとるような音、聞こえるか?」
タノク「(立ち上がり)いや。それどころか(地面を踏みならし)大した空洞もなさそうだな」
ダラ「ほな、怪獣が移動している訳とちゃうみたいやな」
タノク「っていうかさ(周囲を見回し)人、多くね?」
ダラ「いや、逆にウチらが、人がぎょうさん居る所ばっかり来とるんちゃう?」
タノク「そんなもんか。それにしてもよ」
   二人の周囲を行き来する人々。皆、体の一部に特徴的な形の痣がある。
タノク「みんな、同じ痣あんのな」
ダラ「ほんまやな」

○同・停留所
   停泊しているツエーツ号。
タノクの声「結局、収穫はゼロ」

○ツエーツ号・共同スペース
   作戦机を囲むタノク、テシ、ラヤドケ。
タノク「一体全体、どうなってんの?」
テシ「エネルギー反応はあったんだよね?」
ラヤドケ「えぇ。そこで今、ナサマチ団長達に詳細な解析をお願いしています」
ダラの声「解析結果、出たで」
    こにやってくるダラとナサマチ。
ラヤドケ「いかがでしたか?」
ナサマチ「ラヤドケはんの言う通りやったわ」
テシ「言う通りって?」
ダラ「見てみ」
    ニターに映る繁華街の人々。黄色い光。
タノク「これって……」
ダラ「莫大なエネルギー反応を持っとるのは、この星の人間いう事や」
テシ「そんな事、あるの?」
ラヤドケ「宇宙は広いですからね。無いとは言い切れません」
ナサマチ「こんだけのエネルギーを持った人が、こんだけ大勢居ったら、そら莫大なエネルギー反応を関知するわな」
ラヤドケ「問題は、どうするかですね」
   しばしの沈黙。
タノク「まぁ、でも、仕方ねぇんじゃねぇの?」
ダラ「せやな」
タノク「三、四人、ぶっ殺すとすっか」
   驚く四人。
タノク「え、何? 足んねぇ?」
ダラ「いや、そういう問題ちゃうて」
テシ「人、殺しちゃうの?」
ダラ「普通に、あかんやろ」
タノク「は? だって、人間以外に燃料見つかんなかったんだろ?」
ナサマチ「せやけど、人殺すんはさすがに……」
タノク「生きて行く為に仕方ない、って言ったのはソッチじゃん」
ナサマチ「それは……そうやけど」
タノク「それとも何、怪獣はいいのに人間はダメなの? 何で?」
ラヤドケ「それは……」
   黙り込む四人。
ナサマチの声「参りましたな」

○同・同(夜)
   作戦机を囲むナサマチとラヤドケ。二人の前には酒瓶。
ナサマチ「『何で怪獣はいいのに人間はダメなの』か」
ラヤドケ「強いて言うなら、私たちが人間だからなんでしょうけど」
ナサマチ「そない言うたら、イリウスは怪獣として怪獣と戦ってたようなもんやからな」
ラヤドケ「今回は、私達が試されているのかもしれませんね……」
ナサマチ「……にしても、エネルギーぎょうさん抱えた人間か。怪獣ちゃうから、例の『惑星間怪獣流通禁止法』にも引っかからんのやろな。何人か連れて行きまっか?」
ラヤドケ「(睨む)」
ナサマチ「冗談やて」
矢浦の声「それは止めた方がいいと思うぞ、小生は」
   モニターに映る矢浦。
   驚くナサマチとラヤドケ。
矢浦「こんばんは、諸君」
ナサマチ「矢浦はん」
ラヤドケ「探偵……何の用ですか?」
矢浦「お供をさせてもらおうと思ってね、晩酌の。流行っているらしい、リモート飲み」
ナサマチ「いつまでワイらに付きまとうんや? ワイらはお前さんに用あるけど、お前さんはもうワイらに用ないやろ?」
矢浦「それは……」
ラヤドケ「そうでもない、ですよね?」
矢浦「フフ」
ナサマチ「どういう事や?」
ラヤドケ「ナサマチ団長。あの探偵が手に入れたものは、何だったでしょう?」
ナサマチ「え?」

○(フラッシュ)同・安置室・中
   カプセルを飛び出すクチヲ。
ナサマチの声「カプセルからあの男が出て行った映像と」

○(フラッシュ)惑星チョクガ・街
   シャラが出現する。
ナサマチの声「あの男の体から怪獣が出現した映像」

○ツエーツ号・共同スペース(夜)
   作戦机を囲むナサマチとラヤドケ。モニター画面に映る矢浦。
ナサマチ「いわば、ワイらの悪事の証拠映像、やろ?」
ラヤドケ「では、その二つのみで何を証明出来ますか?」
ナサマチ「え?」
矢浦「そう、不十分なのだ、一例では」
ラヤドケ「例えば『その男が特異体質でした』という可能性もあります。何せ、宇宙は広いですからね」
矢浦「その通り、例えば、寄生獣」
ラヤドケ「!?」
ナサマチ「寄生獣……何や聞いた事あるな」
ラヤドケ「まさか……」
矢浦「何かあるのかな、思い当たる節?」
ラヤドケ「……探偵、貴方の目的が私には理解しかねます」
矢浦「大した事はない、一言で現すなら、道楽」
   モニター映像が途絶える。
ラヤドケ「探偵、まだ話は……。まぁ、今はいいでしょう。それより、ナサマチ団長。今から少々、調べ物の手伝いをお願いしたいんですが?」
ナサマチ「いきなり、どないしたんや?」
ラヤドケ「ちょっと、気になる事が……」

○惑星メーテキ・停留所
   停泊しているツエーツ号。
ダラの声「わかった!?」

○ツエーツ号・共同スペース
   作戦机を囲むタノク、ダラ、テシ、ナサマチ、ラヤドケ。
ダラ「この星の人達の、エネルギーの秘密が?」
ラヤドケ「はい。その前に一つ、確認したい事があります。このような痣を付けた人を見ましたか?」
   特徴的な痣の画像を見せるラヤドケ。
ダラ「見ました。……って言うか」
タノク「全員にあったぜ? その痣」
ラヤドケ「そうですか……やはり」
テシ「それがどうかしたの?」
ラヤドケ「おそらくですが、寄生獣」
タノク「寄生獣?」
テシ「何それ?」
ナサマチ「ええか、寄生獣言うんはな……」
ダラ「その名の通り、別の生物の体に寄生して成長して行く怪獣の事や」
ナサマチ「ワイの台詞、取らんといてや」
ダラ「ええやん。どうせ、一夜漬けで覚えただけやろ?」
ラヤドケ「補足をしますと、成長すると六〇メートル程の大きさの怪獣となり、その際、寄生されていた側の生物は命を落とす」
テシ「かわいそう」
タノク「で、どこの誰が寄生されてんだ?」
ラヤドケ「それは(痣の画像を指し)この痣をつけている人間、です」
ダラ「それって……」
ラヤドケ「おそらく……この惑星の全ての人間です」
   驚くタノク、ダラ、テシ。
ダラ「そんな事、あるん?」
ラヤドケ「過去に聞いた事はありませんが、あり得ないとも言い切れません。何せ……」
タノク「宇宙は広ぇ」
ラヤドケ「そういう事です。そして、問題はここからです」
ダラ「ここから?」
ラヤドケ「まず、検出されたエネルギー量から察するに、ほぼ全員が同じ時期に寄生されています。そして……」
テシ「そして?」
ラヤドケ「かつ怪獣への覚醒時期は、近い」
タノク「具体的に、あとどんぐらいなの?」
ラヤドケ「早ければ……今日」
タノク&ダラ&テシ「え?」
   地響き。
ナサマチ「何や?」
   窓の外を見る一同。六〇メートル程の怪獣・コレザが出現している。
テシ「あれが、寄生獣?」
ダラ「早速出よったな」
ラヤドケ「タノクさん、お願いします」
タノク「いや、最初は皆で協力して……」
ラヤドケ「時間がないんです。お願いします」
タノク「でも……」
ラヤドケ「死にたくなければ、さっさと行け!」
   凍り付く一同。
タノク「……はい」
ダラ「……ウチも、イリウスの手伝ってくるわ」
   出ていくタノクとダラ。
ラヤドケ「お見苦しい所をお見せしました。私達も準備をしましょう。とにかく、時間がありません」

○惑星メーテキ・オフィス街
   出現する影タノク。コレザと対峙する。
影タノク「どっちが勝っても恨みっこなしだぜ」
   戦うタノク。優勢に進める

○ツエーツ号・共同スペース
   窓から影タノクとコレザの戦いを見ているテシ、ナサマチ、ラヤドケ。
ナサマチ「ええ調子やないか」
ラヤドケ「何をしているんですか。早くケリを付けて下さい」
テシ「副団長、何でそんなに急いでるの?」

○惑星メーテキ・繁華街
   少し離れた所で影タノクとコレザが戦っている。
   逃げ惑う人々。
   その中で数名が立ち止まり、苦しそうにしている。
男「ぐああああ!」
   男の体から、痣を中心に光が出現する。

○同・オフィス街
   サーゼボックスの脇に立つダラ。
ダラ「ミニサーゼ、起動!」
   黒い剣が出現する。
影タノク「さぁ、終わりだ。シャドー……」
   そこにもう一体現れるコレザ。タノクに襲いかかる。
影タノク「何だよ、くそっ。(新たなコレザを見て)え、あれ、増えた?」
   それを見ているダラ。
ダラ「どういう事や?」
ラヤドケの声「コレを恐れていたんです」

○ツエーツ号・共同スペース
   影タノクの戦いを窓から見ているテシ、ナサマチ、ラヤドケ。
ラヤドケ「同じ時期に寄生獣に寄生されたという事は、同じ時期に怪獣へと覚醒する可能性がある、だからこそ早急に決着をつけて欲しかったんです」
ナサマチ「怪獣の同時多発発生」
テシ「それって……」

○惑星メーテキ・各地
   人、人、人。皆苦しみだす。
テシの声「あの人達が、全員?」

○同・オフィス街
   二体のコレザと対峙する影タノク。
影タノク「はっ、アレ全部相手すんの? 無理だろ」
ラヤドケの声「(無線で)ですから、早急に一体分のエネルギーを回収し、出発したいと考えています。時間をかければかける程、どんどん怪獣は増えて行きますよ」
影タノク「了解。えっと……」
   二体のコレザを見比べる影タノク。片方は明らかに疲れている。
影タノク「(疲れている方を指して)お前だな。じゃあ……」
   疲れていない方のコレザを蹴り飛ばす影タノク。疲れている方と一対一となる。
影タノク「くらえ、シャドーストライク!」
   爆発四散するコレザ。エネルギーを吸収するツエーツ号。
   起き上がるもう一体のコレザ。その目の前で消えて行く影タノク。
影タノク「お前の命までは取ったりしねぇから、安心しろ」
    ×     ×     ×
   サーゼボックスから出てくるタノクと出迎えるダラ。
ダラ「おはようさん。労いは宇宙に着いてからや」
タノク「利子、高ぇからな」
ラヤドケの声「(無線で)二人とも、早く戻ってきて下さい」
ダラ「了解……あかん、後ろや」
   停泊しているツエーツ号の後方、新たなコレザが出現している。
ラヤドケの声「(無線で)了解。プワツナー砲、発射!」
   新たなコレザが爆発四散する。
   その間に影タノクと戦っていたコレザも近づいてくる。
タノク「くそっ、キリねぇぞ?」
ダラ「イリウス、もう一遍いけるか?」
タノク「は? それよりさっさと戻って出発しちまった方が早くねぇか?」
ダラ「せやけど、その途中に襲われたらひとたまりもないで」
タノク「あ~、もう。どうすんだよ」
矢浦の声「足りていないようだね、手数が」
   そこにやってくる矢浦と田尾。
ダラ「アンタら、何しに?」
矢浦「見ての通り、協力」
タノク「どうだか」
矢浦「ちょうどあの辺りにあってね、小生の船」
田尾「発進できなくて困っております」
タノク「だから手を組もう? 冗談じゃねぇ」
矢浦「妙案があるぞ、小生に」
タノク「妙案?」
   タノクとダラに耳打ちする矢浦。
矢浦「どうするか決めるがいい、其方が」
タノク「……いいだろう」
ダラ「確かに、それがええかもな」
矢浦「この状況、一言で現すなら、合意」
タノク「じゃあ、副団長には、ダラから伝えといてくれよ。仲直りがてら」
ダラ「せやから、そんなんちゃうて……(無線で)ダラからツエーツ号へ」

○ツエーツ号・共同スペース
   コクピット前に座るラヤドケ。
ラヤドケ「協力体制、了解しました」
   後ろに立つナサマチとテシ。ラヤドケと目で合図するナサマチ。
ナサマチ「ほな、ワイらも行くで。ケルナー」
テシ「りょーかい」
   出動するテシとナサマチ。

○惑星メーテキ・オフィス街
   二つ並ぶサーゼボックス。それぞれに入っていくタノクと矢浦、それぞれの脇に立つダラと田尾。

○サーゼボックス・中
   中央に立つタノク。光に包まれる。

○矢浦サーゼボックス・中
   中央に立つ矢浦。光に包まれる。

○惑星メーテキ・オフィス街
   伸びて行くタノクと矢浦の影。
   それぞれのサーゼボックスの脇に立つダラと田尾。
ダラ「サイズ六〇」
田尾「サーゼシステム」
ダラ&田尾「起動」
   同時に出現する影タノクと影矢浦。背中を合わせる。
   影タノクの前方に二体、影矢浦の前方に一体のコレザ。
影タノク「上手くやれよ」
影矢浦「その言葉、そっくりそのまま返すとよう、其方に」
影タノク「っていうかさ、俺の相手が二匹でお前の相手が一匹って、おかしくね? 代わってくれよ」
影矢浦「及ばないよ、心配には。どうせ来るのだ、新手は」
影タノク「確かにな。そん時は、そん時だ」
   互いに前方の敵に向かって行く。
    ×     ×     ×
   コレザ二体と戦う影タノク。武器は使わず肉弾戦のみ。
    ×     ×     ×
   コレザ一体と戦う影矢浦。その後方からさらに一体のコレザが現れるも華麗にその攻撃をかわして行く。
    ×           ×
   コレザ一体に向けてプワツナー砲を発射するツエーツ号。
    ×     ×     ×
   コレザ一体に向けてレーザー銃を発砲するダラ、テシ、ナサマチ。

○同・各地
   人々が次々にコレザとなっていく。

○同・オフィス街
   続々と出現するコレザ。
   じりじりと下がる影タノクと影矢浦。再び背中合わせになる。
   四方八方をコレザに囲まれている。
   一斉に襲いかかってくるコレザ。
影タノク&影矢浦「今だ」
   消えて行く影タノクと影矢浦。
   互いに激突するコレザ達。コレザ同士の戦いが始まる。
   その隙に発進するツエーツ号と矢浦号。

○ツエーツ号・共同スペース
   窓から見えるコレザ同士の戦い。
タノク「それじゃあ、後は皆さんでごゆっくり」

○惑星メーテキ・外
   惑星から出てくるツエーツ号と矢浦号。

○ツエーツ号・共同スペース
   作戦机を囲むダラ、テシ、ナサマチ。
ダラ「あ~、疲れた」
テシ「あの星、今頃怪獣さんだらけ、って事だよね?」
ナサマチ「想像もしたくないわな」
タノクの声「まぁ、いいんじゃね?」
   そこにコーヒーを持ってやってくるタノク。
タノク「変に人間がいない方が、怪獣にとってもやりやすいだろ」
ナサマチ「かもしれへんな」
   そう言いながら、コクピット前に座るラヤドケにコーヒーを渡すタノク。
タノク「副団長、いつもお疲れ様です。コーヒーどうぞ」
   驚く一同。
ラヤドケ「……あ、どうも」
タノク「砂糖と牛乳は?」
ラヤドケ「いえ、結構です」
タノク「了解で……」
ダラ「ちょ、イリウス」
   タノクを部屋の隅まで引っ張っていくダラ。タノクの額に手を当てる。
ダラ「熱はない、な」
タノク「どういう意味だよ」
ダラ「コッチの台詞や。何のつもり? 何や恐いわ」
タノク「お前が言ったんだろが。『リオトさんに気ぃ使え』って」
ダラ「え?」
タノク「確かに、中間管理職って色々ストレスたまっちまうよな。さっきもいきなりブチ切れられたし」
ダラ「いや、ウチは『気ぃつけろ』て……まぁ、ええか」
   ラヤドケの元に歩み寄るナサマチ。
ナサマチ「しかし今回は、あの矢浦はんに助けられましたな」
ラヤドケ「この状況、一言で現すなら、不覚、ですかね」
ナサマチ「おっ、珍しい事言いまんな」
ラヤドケ「今回だけですよ。次は……」

○航行する矢浦号
ラヤドケの声「必ず仕留めます」

○矢浦号・生活スペース
   食事を終えた矢浦、片付ける田尾。
矢浦「美味しかったよ、今日も」
田尾「光栄です」
矢浦「さてと、浴びるとするか、シャワーを」
   席を立つ矢浦。
   開いた胸元、惑星メーテキの人々と同じ痣がある。
              (♯11へ続く)

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