<登場人物>
斎東 映二/斎東マンティス(29) 第13話主人公
ポストマン(35) 第14話主人公
イデアの民(17) 第15話主人公
菊地スコーピオン(26)
医者
怪人
浪人生(22)
職員(37)
川上朔太郎(57) 職業安定所職員
演奏戦隊オトレンジャーの面々(主にピンク) 声のみ
守村ダン ナレーション
<本編>
○町中
逃げ惑う人々。
T「第13話 説明しよう、斎東マンティスのケガは意外と重傷なのだ」
× × ×
怪人が暴れている。
怪人「フハハハ、人間どもよ、泣き叫ぶがいい」
菊地スの声「待てぇい!」
振り返る怪人。
高いビルの屋上に並び立つ斎東マンティス(29)と菊地スコーピオン(26)。ともにローカルヒーローといったクオリティの戦闘スーツ。
怪人「何者だ!?」
菊地ス「スコーピオンのピオンはチャンピオンのピオン。菊地スコーピオン!」
斎東マ「マンティスのティスはジャスティスのティス。斎東マンティス!」
しばしの沈黙。
怪人「……何者だ? いや、マジで」
菊地ス「くっ。名乗っちゃった後だというのに」
斎東マ「ならば仕方ない。俺達の名前を、その体に刻み付けてやる。行くぞ、とう!」
屋上から飛び降りる斎東マ。着地した際に足をひねる。
斎東マ「ぐおおお、足がっっっ!!!」
足を抱えて悶える斎東マ。ヘルメットが外れ、斎東映二(26)の姿に戻る。
菊地ス「(頭を抱え)あちゃ~」
○病院・診察室
向かい合って座る斎東と医者。
医者「捻挫だね」
斎東「くそっ、やっと肩の脱臼が治った所だったのに」
医者「ヒーローって大変だね。敵、強かった?」
斎東「え? え、えぇ。まぁ」
○大通り
片道二車線の車道。その脇の歩道を歩く斎東。足を引きずっている。
医者の声「全治三週間、って所かな」
斎東「そんなに待てるか。一週間で復帰してやる。だって俺は……」
クラクションの音。
斎東「ん?」
音のした方に目をやる斎東。斎東の位置から遠い側の車道に(落ちたぬいぐるみを拾いに)飛び出した少女と、少女に向かって走る(クラクションの主でもある)トラック。
斎東「危ない!」
駆け出す斎東。
斎東M「俺は、ヒーローなんだから!」
捻挫している足で着地しバランスを崩して転倒する斎東。
斎東「ふぬっ!?」
転がるように(手前側の)車道に出る斎東。そこに車が突っ込んでくる。
斎東「いやぁぁぁ!?」
捻挫している足を車にひかれる斎東。その隣の車道では、少女の手前でトラックが停車する。
斎東「ぐおおお! 足がっっっ!?」
○病院・診察室
向かい合って座る斎東と医者。
医者「骨折だね」
斎東「……でしょうね」
○荒野
バイクで走るポストマン(35)。
T「第14話 説明しよう、ポストマンは手紙を届けるのだ」
ピンク(オトレンジャー)が歌う王道ヒーローソング風の曲が流れている。
ピンクの声「郵便局員」
オトレンジャーの声「ポストマン!」
○郵便局
ヒーローの秘密基地のような室内。長官に敬礼するポストマンら郵便局員。
ピンクの声「みんなの手紙 届けるため 郵便局から やってきた」
× × ×
バイクで出発するポストマン。
ピンクの声「行け行け僕らのポストマン」
○荒野
爆発をかいくぐり、バイクを走らせるポストマン。
T「主題歌『行け! ポストマン!』歌:演奏戦隊オトレンジャー」
ピンクの声「ご心配には 及ばない 手紙と秘密は 守る主義」
バイクでジャンプするポストマン。
ピンクの声「行け行け僕らのポストマン」
○埠頭
バイクを降り、タバコに火をつけるポストマン。
ピンクの声「スーパーヒーローポストマン ハードボイルド 突き進む だけど」
思いを馳せるポストマン。
ポストマンの声「(台詞で)こう見えても、昔は公務員だったんだぜ」
バイクで走り出すポストマン。
ピンクの声「行け行け僕らのポストマン 配れよ僕らのポストマン」
○住宅街
様々な郵便物を手に持つポストマン。それらを投げると、次々にポストへ入って行く。
ピンクの声「書留 速達 ゆうパック 年賀状だって お手の物 だけど」
手帳に挟んだ謎の女性の写真を意味深に見つめるポストマン。
ポストマンの声「(台詞で)1月2日が休みだった頃が、懐かしいぜ」
手紙を守り、怪人と戦うポストマン。
ピンクの声「行け行け僕らのポストマン P・O・S・T ポストマン」
○ボロアパート・前
バイクでやってくるポストマン。
入口で待ち構える浪人生(22)。
ピンクの声「ポストマン ポストマ〜ン」
浪人生「あ、来た来た」
浪人生の前でバイクを止めるポストマン。封筒を差し出す。
ポストマン「郵便だ」
受け取り、中身を取り出す浪人生。そこには「不合格」と書かれた紙。
浪人生「また足切りだ……」
崩れ落ちる浪人生の姿を見つめるポストマン。バイクで走り去る。
ピンクの声「行け行け僕らのポストマン 配れよ僕らのポストマン」
○山林
棺を開け、起き上がるイデアの民(17)。ただし見た目はどう見ても四〇歳代。原始人のような服装。
ダンN「一万年の眠りから目覚めた、古の戦士、イデアの民」
歩き出すイデアの民。
ダンN「果たして彼は、敵か味方か……?」
○職業安定所・外観
T「第15話 説明しよう、イデアの民は仕事を探しているのだ」
○同・受付
机を挟んで向かい合うイデアと職員(30)。机の上には書類。
イデア「だから、イデアだと言っている
職員「ですから〜……」
そこにやってくる川上朔太郎(57)。
朔太郎「どうかしたのか?」
職員「川上さん。コチラの方が……」
職員の隣の席に座る朔太郎。
朔太郎「(書類に目を通して)ふむふむ。名前は?」
イデア「イデアだ」
朔太郎「年齢は?」
イデア「イデアだ」
朔太郎「住所は?」
イデア「イデアだ」
職員「ずっとこの調子なんですよ。何でもかんでも『イデア』『イデア』って。何の事だかさっぱり……」
朔太郎「名前はイデア、年齢は一七歳で、住所は不定だ、だそうだ」
職員「何でわかるんですか?」
朔太郎「ただのお前の勉強不足だろ?」
職員「え〜? ……じゃあ、前職は?」
イデア「イデアだ」
職員「……えっと、何て?」
朔太郎「悪と戦う戦士だ、だそうだ。あ、だったらいい話ありますよ」
「第2回 HERO—1グランプリ」のチラシを見せる朔太郎。
職員「何ですか、コレ?」
朔太郎「いわゆる、ヒーロー達が集まって、誰が強いかを決める大会だ。確か、三位くらいまでなら賞金が出るハズだぞ?」
職員「いいじゃないですか。イデアさん、コレ、どうですか?」
チラシを見つめるイデア。
職員「これでお仕事の紹介は終了、という事でよろしいですか?」
イデア「もちろん、イデアだ」
職員「結局、それ? だから、どっちよ」
イデア「(朔太郎に)このイデアは、イデアなのか? それとも、イデアか?」
朔太郎「あぁ、後者ですね」
イデア「それはまた、イデアだな」
職員「もう、付いて行けない〜!」
(その5 完)
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