勇者が来たりて 舞台

全てを支配しきった悪の魔王の部屋に、やってきたのは幼き勇者とその子犬。 純粋無垢な小さな勇者に魔王は思わず...。 魔王の一人芝居。
AYUMU 10 0 0 07/06
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第一稿

⚪︎魔王の部屋

魔王(性別年齢不詳)、豪華な椅子に足を組んで座っている。
魔王「ようこそ、勇者よ。800年、いや、1000年くらい待ったぞ。何と、子供のようなちっぽ ...続きを読む
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⚪︎魔王の部屋

魔王(性別年齢不詳)、豪華な椅子に足を組んで座っている。
魔王「ようこそ、勇者よ。800年、いや、1000年くらい待ったぞ。何と、子供のようなちっぽけな勇者じゃ。仲間もいない。小さな子犬とただ一人。どうやってわしを倒すというのだ?」
魔王、上品に笑う。
魔王「おやおや、話がしたい?今や世界を支配しきった私を説得しようというのか?いいだろう。話をしよう。」
魔王、驚く。
魔王「昨日の夕飯は何を食べたか、じゃと?…昨日はパスタを作ったぞ。それにキノコのはいったコンソメスープをつけたが… 何パスタだったか?…カルボナーラだ。…いやいや、緑のパスタはジェノベーゼだ。カルボナーラとは卵と生クリームを使ったパスタだ。胡椒が決め手じゃ。(呆れて)勇者よ、パスタを食しないのか?普段何を食しておる。…和食か!和食は良い。ヘルシーで旨い。何が好きなのだ?筑前煮?ほう、そんな物があるのか。レシピを教えてくれるのか?おお、ありがたい。近いうちに作ってみよう。
そうじゃ、みたらし団子を知っておるか?あれは美味じゃなあ!この間戴いての、初めて食したんじゃ。甘くてしょっぱくって、団子の弾力といい...。あんな美味い菓子はない。何?そのレシピも教えてくれるのか?おお!すまぬな!」
魔王、沈黙。我に返る。咳払いし、椅子に深く座りなおす。
魔王「さて、勇者よ。わしをどうやって倒すつもりじゃ?説得には失敗したようじゃが。
何?倒さないからお願いが一つある?何と情けない。勇者とは名ばかりであったか。良かろう、申してみよ。…ほほう、動物園を設営してほしいとな。子供たちが喜ぶのか?確かに、幼き頃にいろんな生き物がいることを学ぶことは良きことじゃ。わしも幼きころは動物が好きじゃった。良かろう。動物園の設営を約束しよう。動物園と言えばキリンじゃな。ゾウとチンパンジーも外せない。ふれあいコーナー?もちろんじゃ!動物と触れることを通して子供たちは命の鼓動、生命の温かさを知るのじゃ!お主はわかっておるな。(立ち上がる)どうじゃお主、経営を任されてみよ。動物の仕入れから園内のルートも任せよう。明日から忙しくなるぞ!」
魔王、我に返る。咳払い。着席。
魔王「して、お願いとやらは以上か?…そうか、帰るのか。気をつけて帰るのじゃぞ。レシピ?おお、待っておる。動物園の会議が必要じゃな。来週のこの時間にまた訪ねよ。近くまで使いを出そうぞ。この辺りは物騒じゃからな。(我に返り)…じゃあの(手を振る)」
魔王、長いため息。
魔王「わしとしたことが、勇者を無事に帰してしまった。」

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