米沢「あ(有馬に気づく)有馬君!」
有馬「米沢先輩」
米沢「有馬君、フルート組はこの教室だよ」
有馬「え、そうなんですか?」
米沢「うん、ね、有馬君てケーケンシャなの?」
有馬「あ、はい、そうです」
米沢「あ、じゃあこれ分かる?」
有馬「ああ、わかるというか・・・昔聞いたことあるから知ってるんです」
米沢「え、何それずるい」
有馬「はは」
米沢「じゃあさ、(楽譜指して)ここんとこ教えてよ」
有馬「ああ、ここは~~~(鼻歌)です」
米沢「はぁ~~~すごいわ、楽譜より分かりやすい」
有馬「米沢先輩読むより耳で覚えた方がいいんですよきっと」
米沢「そうね…あと、有馬君、私のことはありさでいいよ」
有馬「え、そんな・・・無理ですよ」
米沢(窓から下を見る感じで)「あ、亮だ、おーーーい!…って聞こえないか、あいつさ、バスケやめて今帰宅部なんだよ、なんかやり方が合わなかったんだって~~自分と。バスケ好きだったくせに…」
有馬「へぇ~、にしても、なんでそんなに知ってるんですか?」
米沢「だって私達幼馴染だから」
有馬「そうなんですね」
米沢「昔から私に何でも言ってくるんだから、まったくって感じ」
・遠藤、斜め上を見る、あかんべーをする
米沢「!何よあの態度―!」
有馬「まあまあ」
先生「ちょっとそこの二人、一体いつまでさぼってるの?」
2人「すみません…」
先生「今日はもういいわ、もう帰んなさい、その代わり明日出来るよう家で確認しとくこと、いい?」
2人「…はい」
× × ×
有馬「…ふぁ…」
先生「じゃあ前回の問題の答え合わせから始める。田中、ここは?正解じゃあ次中村~~…」
有馬「ふぁ~…」
先生「じゃあ有馬、最後の問題、答えの数字は?」
有馬「え?えっと…」
パラパラと問題がどこか探す。
先生「…なんだ、もしかして聞いてなかったのか」
有馬「すみません…」
遠藤「先生、(手を挙げて)答えは1です」
先生「遠藤、正解だ」
・チャイム音が鳴り授業が終わる
先生「じゃあ、各自で確認しておくように」
・先生退場。
・有馬、遠藤の所へ向かう。
有馬「遠藤君、さっきはありがとう」
遠藤「うん」
有馬「あ、そんだけ…じゃあ」(戻る)
・有馬、再び遠藤のところまで行く。
有馬「あの、遠藤君てさ、バスケ部辞めたって聞いたけど…なんで?」
遠藤「なんでそれをお前にいわなきゃなんないの?」
有馬「同級生に向かってお前はだめだよ」
遠藤「じゃあ有馬君」
有馬「あ、知ってたんだ」
遠藤「自己紹介ん時名乗ってたろ。一回聞いたら覚えるんだよ」
有馬「それはすごい」
有馬「それで、あの」
有馬「じゃあ、また」
先生「えー、この時間は、来月開催される春の学内祭りに向けての実行委員を決める。実行委員は男女2名ずつで、うち二人は学級委員ということだが、学級委員男子は有馬だったな。じゃあ有馬、男子でだれかやってほしいやつはいるか?」
有馬「はい、えっと…じゃあ、遠藤君を推薦します」
遠藤「えっ」
先生「そうか、やってくれるか、遠藤」
遠藤「何勝手に決めてんだよ」
有馬「いいじゃないか。君はどうせ暇だろ?僕は吹奏楽のパート争奪戦もあって忙しいんだ、手伝ってくれよ」
遠藤「はぁ?めんどくせえ」
有馬「なんだよそんなに嫌なのか?」
遠藤「(めんどくさくなって)ちっ・・・じゃあもう、いいよ」
有馬「ありがとう」
× × ×
・舞台、祭りの作業をしている
・有馬、米沢、上手から登場
米沢「びっくりした~~委員会行ったら有馬君いるんだもん。まさかフルート組二人して委員だったなんて」
有馬「というか米沢先輩も学級委員だったんだですね」
米沢「私意外とこういうのやる人なんだよ」
有馬「確かに米沢先輩しっかりしてそうですもんね」
米沢「してそう、じゃなくてしてるんです」
有馬「ああ、ごめんなさい」
・舞台中心ぐらいでじゃあ、と言って別れ、米沢、下手へ退場
有馬、作業している遠藤のとこへ行く。
有馬「はい、これはさみ」
遠藤「ああ」
有馬「どこまでやった?」
遠藤「ここまでやったから、あとここからたのむ」
有馬「了解」
クラスメイト「あっもうこれ切れちゃった…ちょっと遠藤、これ買ってきてよ」
遠藤「はぁ?知らねえよそれどこで売ってんだよ」
有馬「あ、それなら僕いけるよ、行ってこようか」
クラスメイト「ありがと~~それなら遠藤も持って行って」
遠藤「なんだそれ」
有馬「次僕がいない時なんかあったらいけないから、場所確認のためにもついてきてくれ、遠藤」
遠藤「…わかったよ」
× × ×
有馬「えっ遠藤ってA型なの、見えないね」
遠藤「どういう意味だよ」
有馬「まんまの意味だよ、僕なんかこう見えてB型だ」
遠藤「あー、でも、ぽいわ」
有馬「じゃあ誕生日は?…当ててやろうか、7月だ」
遠藤「全然違うし…4月でした」
有馬「えっじゃあもう終わってんじゃん」
遠藤「うん」
有馬「早いんだね、なんだよ、言ってくれればいいのに」
遠藤「いやそん時知り合ってなかっただろ、いいよ別に、毎年大体そんな感じだし」
有馬「へぇ…僕なんか10月だからまだまだ先だ」
遠藤「ああ、じゃあそのころにはきっと忘れてるわ」
有馬「あ、ひどい」
・岐路に着く。
有馬「じゃ、ここで」
遠藤「おう」
・有馬、公園でフルート練習を一人でしてる
遠藤「じゃあ、お疲れさまでした」
・遠藤、通りかかっておもしろそうに有馬を見る
・二人ほど有馬の前を通り過ぎる。
遠藤「へぇ…」
× × ×
『遠藤と同じ委員になった』
『半ば無理やりだったが承諾してくれた。案外いい奴かも…』
『なんだかこれからが たのしみだ』
『・・・にしても、どうして授業の時わざわざ助けてくれたんだろう?』
有馬「あの、一匹狼、仏頂面の遠藤が」
・日記を閉じる
有馬「…寝るか」
× × ×
【#7】放課後の帰り際
・遠藤バスケのボールを触ってる
有馬「遠藤、帰ろう…何してんの」
遠藤「見りゃわかるだろ、バスケ」
・遠藤、有馬にパスする。
有馬「なんかいいね、遠藤は」
遠藤「何が」
有馬「遠藤は自由だ」
遠藤「なんだそれ」
有馬「…いいなぁ君は、自分をちゃんと持っていて」
遠藤「フルートいっこあんだからいいじゃねえか」
有馬「でもライバルも多いし今自分がどのぐらいのとこにいるのかいまいちわからないし、米沢さんも最近ますますうまくなってきてるし、不安定だよ充分」
遠藤「不安定ね」
有馬「遠藤みたく自分で判断するのが苦手だし」
遠藤「…別にそんなすごいことじゃないから、買いかぶるなよ」
有馬「そんな事無いよ、僕なんか…幼いころから身近だったからなんとなくやってるだけで」
遠藤「フルートが?」
有馬「うん、母さんの影響なんだ」
遠藤「へぇ、…でも好きなんだろ」
有馬「うん」
有馬「…いいな、君は捕まえておかないとどこか遠くへ行ってしまいそうだ」
遠藤「はは、なんだそれ、でもそれはこっちのセリフだ。俺にとったらお前の方が、気付いた時にはどんどん先へ行ってしまいそうだ」
有馬「…僕は君に追いつきたい」
遠藤「…有馬は有馬だ、俺にならなくていいんだよ」
『…最近遠藤の顔ばっか頭に浮かぶ』
有馬「これじゃまるで恋だな」
有馬「…いやちがう!」
・米沢、遠藤、舞台に居る
米沢「ねぇ、なんで最近かまってくれないの?たまには一緒に帰ってよ」
遠藤「なんだようるせぇな」
米沢「バスケ部辞めたことお母さんに言ってないんだよね、お母さんに言っちゃうよーーーー?私達親公認なのに」
遠藤「…わかったよ」
有馬「遠藤!」
遠藤「あ、有馬」
有馬「ごめん、おそくなった」
遠藤「あぁ、いや、あのさ」
有馬「え、なに?」
米沢「亮!」
遠藤「あ、ありさ・・・じゃあ、俺今日あいつと帰るから」
有馬「えっあ、うん…て、え、どうして急に米沢先輩と?」
遠藤「あ、そう、俺たち付き合ってんだ」
有馬「え?うだったんだ」
遠藤「…まぁ…」
有馬「…へぇー…でも、確かに米沢先輩おかわいいもんね、女の子の中の女の子って感じで、遠藤が好きになるのも無理もないっていうか‥‥とっても優しくて?いい人だし」(ちょい動揺してる感じで)
遠藤「(動揺してる有馬をくみ取って)なんだよ」
有馬「なんだよってなんだよ…じゃあ」
遠藤「おう」
・有馬、はける
・米沢、遠藤二人で帰る
遠藤「…」
米沢(遠藤の様子を伺って)「…?ねぇ、亮」
遠藤「有馬に悪いことしたな…」
米沢「ねぇ、亮ってば!」
遠藤「…」
『遠藤と米沢先輩は付き合ってたらしい。』
『…なんだか胸が痛い…』
有馬「もう少しフルート練するか…」
先生「有馬、米沢、集まってほしい」
2人「はい」
先生「二人を呼び出したのには話がある。コンクールでソロの話だ。地方までは米沢に頼んでいたが、今年はどうしても全国で次のコマに進めたい。だから全国では一年生ではあるが、経験豊富な有馬に頼みたいと思っている。」
有馬「え!?僕でいいんですか?!」
先生「ああ、よろしく頼むよ。それに、米沢は来年もあるからな。いいよな、米沢」
米沢「…はい、わかりました」
先生「じゃあ、そういうことだ」
・先生、はける
米沢「…おめでとう有馬君、悔しいけど、がんばってね!」
有馬「あっはい…」
遠藤「お―――い!一雪ーー!!」
有馬「え、遠藤?!今一雪って言った?!えっと、なんだよ、亮―――!!」
遠藤「中庭来いよ!」
有馬「あ、うん、今行くーー!」
(この間米沢はずっとつまらなさそうに見ている)
有馬「遠藤、僕取ったよ、ソロ!」
遠藤「まじか、やったな!!」
有馬「わっ!と…。うん、本当に、よかった」
米沢の友達「あ、ありさ!なんだここにいたんだぁ。(有馬と遠藤を見て)ね、ちょっとあの二人、なんか超いい雰囲気じゃないーーー?!っていうか片方ありさの彼氏だよね?!」
米沢「…気に入らない」
・米沢、ポケットからスマホを取り出して二人を撮る。
『カシャッ』
有馬(後ろから)「遠藤、おはよう」
遠藤「おはよう」
エキストラ1「な、これお前だよな?なんかすごい拡散してんぞ」
エキストラ2「二人付き合ってんのか?」
有馬「え?」
遠藤「…なんだよこれ」
有馬「誰がこんな事」
遠藤「…おい有馬、コンクール近いのに大丈夫か?」I
遠藤、震えだす有馬に抱き着く(※抱き着くまでいらない?)
遠藤「大丈夫だ、犯人探して誤解を解こう」
有馬「…誤解」
同級生「ありさ、これでいい?」
米沢「ありがとう」
同級生「でもいいの?あんたの彼氏でしょ?ホモ説流しちゃっていいわけ?」
米沢「うん、ちょっとね、やけになっちゃった。…シンプルにむかつくんだ有馬君」
有馬「…え?米沢先輩?なんの話してるんですか?…もしかして先輩がやったんですか」
米沢「ええ、そうよ」
遠藤「お前マジ意味わかんねぇ…」
有馬「あ!ちょっと!」
米沢「…!何よ、全部私のせいなわけ?!大体有馬君が悪いのよ!経験者だからってソロ取ったりして!それだけでなく亮まで…」
遠藤「お前」
米沢「とにかく私悪くないから!もう知らない!」
遠藤「待てありさ!お前は有馬のこと何にもわかってねぇ!」
有馬「…遠藤?」
遠藤「俺は見たとこあるんだよ、コイツが学校近くの公園で一人で練習してるとこ!人が見えないとこで練習して、しかも他人なんて気にもしないで一心不乱にやってるの、こいつすげぇって思ってた。こんな風に話す中になるとは思わなかったけど…」
有馬「…そうだったのか…」
米沢「そう…ふっ…なんかわたし、悪者ね」
遠藤「そういう事がいいたいわけじゃない。お前は有馬のこと、見えるとこでしか判断していないだけなんだ」
米沢「…」
米沢の友達「ありさーーー?どこーーー?(3人を見て)あっ…取り込み中?」
米沢「ううん、大丈夫よ…大事な時期に取り乱すようなことしちゃってごめんなさい、有馬君」
× × ×
有馬『そして、時は過ぎて――――』
有馬「あ、僕またA組か…遠藤は…?名前ない…他…あった、隣のクラスかぁ」
遠藤「よぉ」
有馬「あ、おはよう」
遠藤「俺クラスどこ…ってあった、Bか…有馬、何組だった?」
有馬「あ、僕はAだったよ」
遠藤「じゃあクラス別々だな」
有馬「そうだね」
2人「…」
遠藤「…お前さ、俺とおんなじクラスになりたいとかおもってたろ」
有馬「え?!」
・遠藤、有馬の肩を叩き、
遠藤「俺もだよ」
『ああ、僕の心の空模様は、いつだって遠藤次第だ』
終
コメント
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。