なにか撃ちにいこう アクション

廃工場に集まった人々に、突如、銃を乱射し始めた男たち。生き残った15名に銃弾が一発だけ入ったリボルバーを渡す。誰にでもいいから銃口を向け撃て、と告げられ、総勢15名のメキシカン・スタンドオフができた。撃つか撃たれるか。
鈴木俊哉 3 0 0 09/10
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第一稿

登場人物

梅餅玩真(うめもち がんま)(9)・・・少年
父親(34)・・・玩真の父親
白洲(しらす)(35)・・・武装集団のリーダー
七井(なない)(31)・・・武装集 ...続きを読む
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登場人物

梅餅玩真(うめもち がんま)(9)・・・少年
父親(34)・・・玩真の父親
白洲(しらす)(35)・・・武装集団のリーダー
七井(なない)(31)・・・武装集団のメンバー
釘咲(くぎさき)(27)・・・武装集団のメンバー
澄夫(すみお)(26)・・・武装集団のメンバー

○ 住宅街(夕)
   家の郵便ポストに、ガコンとチラシが
   投げ込まれる。
   四人の男たちが住宅街を走りまわり、
   チラシを配って回る。
   チラシにはこう書いてある。
   〝東京で唯一、満天の星空が眺められ
   る場所に来ませんか?〟

○ 廃工場前(夜)
   人々がぞろぞろと廃工場内に入ってい
   く。皆、あのチラシを手にしている。

○ 廃工場内
   星空を期待して集まった30名ほどの
   人々。
   皆、天井を仰ぐが、星空は見えない。
   黒い天井が空を覆っている。

○ 廃工場、とある部屋
白洲「なにか撃ちにいこう」
   スッと銃を突き出す白洲の手。
   それに続くように、他の男の手が、シ
   ョットガン、マシンガン、ピストルを
   突き出す。
   白洲は特製のリボルバー、〝ダブルリ
   ボルバー〟をくるっと回す。
   そのリボルバーは、一丁のリボルバー
   のグリップに、銃身が反対、かつ逆さ
   になったもう一丁のリボルバーをテー
   プで止めたもの。
   横一列に並んだ四人、しゃがんで祈る
   ように両手を合わせる。
   そしてズンズン歩いていく。全員、防
   弾プロテクターで身を包み、その上に
   ロングコートを着ている。
   ロングコートの裾がたなびいている。  

○ 廃工場内
女 「星・・・、見えないね」
   その瞬間、銃声がし工場の天井に穴が
   開く。穴から月光が射し込む。
   続けざまに、何十発もの銃声がし、天
   井に無数の穴を開けていく。
   撃ったのは白洲率いる銃乱射魔たち。
   人々は弾痕の星空に釘付けになってい
   る。
   見入る人々に向かって、白洲が、
白洲「俺たちこそ・・・弾丸だったんだ」
   そう言い、集まった人々に銃弾を放ち
   始める。
   白洲、〝ダブルリボルバー〟を連射す
   る。
   澄夫が首に下げたヘッドホンを耳にか
   ける。
   ヘッドホンからは大音量のハードロッ
   クが流れている。
澄夫「ロックンロール」
   手にしたソードオフショットガンをぶ
   っ放す澄夫。吹き飛ぶ人。
   澄夫が、撃った衝撃ではねるショット
   ガンの動きを利用し、ショットガンを
   くるっと回す。
   そして、背後、すぐそばにいた男の腹
   を撃つ。男は弾丸の衝撃を耐え、足が
   地面をすって後ろに下がる。が、絶命
   し倒れる。
   釘咲がM-16を乱射する。逃げる人々
   の体に弾丸がぶち当たる。
   立ち向かってきた男性にイラつき、執
   拗に銃弾を浴びせる釘咲。
   弾切れだ。
   ヒュイ!と口笛を鳴らす。
   離れた所で銃を撃っていた澄夫が、そ
   れに反応する。
   M-16のマガジンを上着のポケット
   から取り出し、釘咲に向けて投げる。
   宙を舞うマガジン。
   飛んできたマガジンを、上手くマガジ
   ンインレットで受け止める釘咲。
   木材を持った5、6人に囲まれた釘咲、
   上体を逸らし、M-16を自分の上で
   ぐるりと回し撃ち、囲んだ人々を撃ち
   殺す。
   白洲もリボルバーを撃ちまくる。素早
   い銃撃だ。正確に頭を射抜かれ、倒れ
   る人々。
   弾切れだ。
   特製のリボルバーをクルッと180度回
   転させ、まだ撃ってないリボルバーを
   掴む。そして撃つ、撃つ。弾切れ。
   一人の若者が大きいガラス片を持って、
   じりじりと白洲に近づいてくる。  
   それに気付いた白洲。両腕を広げ、迎
   えるような体勢をとる。
   若者が走り出した!
   白洲は若者の、ガラス片を持った手を
   蹴りつける。
   蹴られた勢いで、ガラス片は若者の腹
   に、深く突き刺さっていた。
   どう、と地面に倒れる若者。 
   これらの凶行を、乱射魔の一人、七井
   だけは誰も撃たず、周りを呆然と眺め
   ていた。
   何度か白洲たちを撃とうとするも、怖
   くて引き金が引けなかった。 
   そうこうしている内に、凶行は終わっ
   た。
   撃たれた人々の死屍累々。
   15名ほどの人々が生き残っている。
   皆、怯えている。
   震える人々に、釘咲と澄夫がリボルバー
   を渡して回る。
   白洲が言う。
白洲「今からお前らの運を試してもらう。受
 け取った銃で、近くの人間に銃口を向けろ
 。弾は一発しか入ってない。撃つか撃たれ
 るか。生き延びろ」
   銃が全員に行き渡った。
   バンッ、と銃声。
   撃ったのは一人の若者。
   撃たれたのは白洲。
   だが、弾は白洲の腹、防弾プロテクター
   に阻まれている。
白洲「馬鹿野郎」
   と言い、撃った若者を素早く撃ち殺す。
白洲「生きるチャンスを逃すな。自分の運を
 試せ」
   人々が、少しずつ、少しずつ、近くの
   人間に銃口を向け始める。
   総勢15名のメキシカンスタンドオフ
   が出来た。
   焦る七井。どうにかしなくては・・・。
   人々が、全員撃鉄を上げた。
   しかし誰も引き金を引かない。
   静かな間。
   静寂と、生死の境目に耐えきれず、最
   初に撃ったのは10歳にもならない少
   年・梅餅玩真(9)だった。
   玩真は銃口を向けていた中年の女性を
   撃ち殺した。
   そこからは死の連続だった。
   次々に引き金が引かれ、弾が発射され、
   死んでいく人々。
   硝煙が濛々と立ち込める中、立ってい
   るのは玩真とその父親(34)だけだった。
   父親は玩真に銃口を向けている。
父親「愛してるよ、玩真・・・」
   自分の脳天を撃ち抜く父親。
   硝煙をかき分けて、白洲が玩真に近づ
   く。
   玩真の目は、色が薄く濁り、瞳孔も開
   いていく。死生眼である。 

○ 玩真が見てる世界
   カラーで映っていた世界が、徐々にモ
   ノクロに変わっていく。
   そこら中に散っている血も、玩真には
   黒色にしか見えない。
   白洲が屈んで、玩真と視線を合わす。
白洲「クスクスクス・・・(笑)。全員、一発
 で弾が出るように仕込んだのに、気付かな
 かったね」

○ 元の、カラーの世界
白洲「しかし、お前は生き残った。・・・何
 歳だ?」
   玩真が喋ろうとするが、声にならない。
   仕方なく玩真は手を使って数を示す。
   右手で5、左手で4。9歳だ。
白洲「9歳か。大したもんだ」
   釘咲と澄夫が、互いに銃を相手の頭に
   向け合っている。
   チラとそちらを見る白洲。
   二人は一緒に3、2、1の合図の後、
   互いに銃を撃って死んだ。
   次は白洲と七井の番だ。
   七井は未だ、離れた所で呆然としてい
   る。
   白洲が近くまできた。
   銃を向ける白洲。
   七井が震えながら銃を向ける。
   3・・・、2・・・、
   その時、銃声が轟く。
   撃ったのは玩真。
   撃たれたのは白洲。右腕を撃たれて倒
   れた。
   ハアハアと荒く息をする玩真。
   七井の体から緊張感が抜けていく。
七井「よ、良かった・・・。俺はこいつらに
 ついていけなくて・・・」
   言い終える前に、玩真が銃口を七井に
   向ける。
   その目は怒っていた。 
   動揺する七井。
七井「ま、待って!俺は改心したんだ!撃た
 ないでくれ!」
   玩真は尚も銃を向け続ける。
   玩真が一歩踏み出した時、足に何かが
   引っかかった。
   父親の手だ。玩真の足を掴むように、
   その手は伸びていた。
   玩真の気がそれた内に、七井は素早く
   逃げだす。
   足を振って、父親の手を離し、今や銃
   弾が0発のリボルバーを捨て、白洲の
   ダブルリボルバーを拾う。
   七井を追う玩真。倒れた白洲のそばを
   通る時、白洲の左腕を撃ち抜く。  
   クルッとリボルバーを回す玩真。

○ 工場、部屋
   七井は部屋の隅に身を潜め、息を殺し
   ていた。
   玩真がやってくる。
   七井、隠れている緊張感に耐えきれず、
   物陰から飛び出す。
七井「落ちついて・・・!俺はもう善人にな
 ったんだ・・・。なっ?」
   玩真がリボルバーをしっかりと七井に
   向ける。
   子供にしては冷静な声が告げる。
玩真「お前だって、一緒じゃないか」
   そして撃つ。
   放たれた銃弾は七井の脳天を貫通した。
   くず折れる七井。
   玩真がゆっくりと銃を下げる。
   遠くからサイレンの音がかすかに聞こ
   える。
   玩真、自分の首に銃を押し当て、引き
   金を引く。
   死んでいく玩真を、部屋の入り口から
   白洲が見ている。

○ 工場、入口(早朝)
   無数のパトランプが、外で光っている。
   白洲はコートもプロテクターも銃火器
   も全て外し、外へ出ていこうとしてい
   る。
   降伏の表しとして両手を上げたいが、
   玩真に撃たれていて上げられない。
白洲「あのクソガキ・・・!腕なんて撃ちや
 がって!」
   そして叫ぶ。
白洲「う、撃たないでくれ!俺は一般人だ!
 怪我して・・・」
   外に出た白洲を、警官たちが銃で撃ち
   まくる。
   蜂の巣になる白洲。
   工場の入口がゆっくり閉まっていく。

               終わり

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