ディープ・フォレスト ホラー

その雪山には、霊が出る。 夢を諦めた元スキー選手は怪異に立ち向かう。
山岸遼 17 0 0 04/04
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第一稿

   人物
晴山雪彦(34) スキー場職員
雨宮雪乃(25) 新人スキー場職員
浅間雄三(45) 晴山の上司

男1・2


〇スキー場・禁止区域・奥深く(夜)
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   人物
晴山雪彦(34) スキー場職員
雨宮雪乃(25) 新人スキー場職員
浅間雄三(45) 晴山の上司

男1・2


〇スキー場・禁止区域・奥深く(夜)
   吹雪が舞っている。
   大きな祠が雪に晒されている。
   紙垂が風に揺られて激しく揺れている。
   祠の中から青い光が漏れる。
   一層激しさを増す雪。
   祠が勢いよく開く。

〇同・全景
   雪がぱらついている。

〇同・ゲレンデ
   雨宮雪乃(25)、やって来る。立ち止まる。あたり一面を見渡す。
人々で賑わっている。
雪が、雪乃のてのひらに落ちる。雪乃はそれを見て微笑む。
遠くから、晴山雪彦(34)、雪乃を見ている。
雪乃は歩いていく。

〇同・事務所・外観
   「御祠山スキー場・事務所」と手書きされたプレートがドアノブにかかっている。

〇同・同・中
   窓の外、雪がぱらついている。
   ゲレンデは人々で賑わっている。
   雪乃、資料を見ている。
   浅間雄三(45)、資料を閉じて、
浅間「とまあざっと、うちの説明はこれくらいにして」
   と、壁に貼られたスキー場内マップのもとへと移動する。
   雪乃、資料を閉じ、顔を上げる。
   浅間、「立ち入り禁止区域」と朱書きされた場所を指さして、
浅間「ディープフォレスト、ここはそう呼ばれています」
雪乃「深い森?」
浅間「大雪の日に入ってしまったら、戻っては来れません」
雪乃「遭難ですか?」
浅間「……まあ、そんなところです」
   と、窓の外、空を見て、
浅間「降りますね」
雪乃「わかるんですか」
浅間「ええ、一応は」
   浅間、鋭い目つきで雪乃を見つめて、
…浅間「…雨宮さん」
雪乃「はい」
浅間「我々には様々な業務があります。その中で最も重要なのは、この禁止区域に誰も入れないことです」
雪乃「はい」
浅間「昼夜問わず監視を徹底し、入ろうとするものがいれば、即刻警告してください。できますか」
   雪乃、大きく頷く。「立ち入り禁止区域」の文字を見つめる。

〇同・禁止区域付近
ロープが張り巡らされ、「立ち入り禁止」のプレートが吊るされている。
   男女数人がはしゃいでいる。
男1「全然禁止されてねえじゃん」
女「ほんとは誰でも入っていいんじゃない」
男1「だな」
   男2、動画を回して、
男2「人が消えると噂のスポットにやって参りました~!」
女「普通のゲレンデなんだけど」
男2「それがそれが、今まで何人もの人間が姿を消しているらしいんです!」
女「こっわ」
男1「ただの遭難だろ」
男2「ノーノ―」
女「じゃあ何?」
男2「奥に祠が――」
   坂の上から、晴山がスキーで滑って来る。男たちの前で急停止する。
   男2は思わずスマホを落とす。
男2「おい、危ないだろ」
晴山「……」
   晴山は徐にゴーグルを外す。
晴山「何してる」
   晴山の腕にはスタッフの腕章。
女「動画撮影」
男1「邪魔、しないでもらえます?」
晴山「撮影ね……」
   晴山、スマホを拾う。動画を停止させる。
男2「お、ちょ……!」
晴山「入るつもりか?」
男2「あんたに関係あんのかよ」
晴山「死にたいんだな」
女「え……」
   晴山、スマホを男2に渡して、
晴山「死ぬ覚悟があれば行けばいい。俺はとめない」
   と、ゴーグルをつける。
男1「そ、それって……」
   晴山、ニヤリと笑う。坂を滑っていく。
   取り残された男たち、立ち入り禁止区域を見やる。

〇同・ゲレンデ(夕)
   吹雪が舞っている。
   人はいない。ゴンドラも停止している。

〇同・事務所・中(夕)
   浅間、窓の外を見ている。ため息をつく。
   雪乃はPC作業をしている。
浅間「ひどい雪ですね」
   雪乃、手を止める。窓際に行って、
雪乃「懐かしい」
   と、微笑む。
浅間「吹雪がいい思い出ですか?」
雪乃「え?」
浅間「笑ってらしたので」
雪乃「あ、すいません。私、地元北海道で、こんなのしょっちゅうだったなって思い出して」
浅間「ああ……」
雪乃「高校卒業してから雪と無縁な場所にいたんです。だからつい懐かしくなっちゃったのかも」
浅間「ここもしょっちゅうですよ」
   晴山、入る。
晴山「戻りました」
   雪乃と浅間、振り返る。
浅間「おかえりなさい」
   雪乃、晴山に駆け寄って、
雪乃「メダリストの晴山さんですよね」
   浅間、無視して、防寒具をハンガーに吊るす。
雪乃「私、ずっと尊敬してました。雨宮雪乃です」
晴山「過去形ね」
雪乃「あ、いや、今もです」
晴山「……死にたいか?」
雪乃「え?」
浅間「ちょっと浅間くん」
晴山「ここは楽しいところじゃない。お前、そのうち死ぬぞ」
雪乃「……」
   雪乃、放心する。
   晴山、ニヤリと笑う。

〇同・全景(夜)
   猛吹雪。

〇同・事務所・中(夜)
   晴山、ストーブで暖を取りながら、ココアを飲んでいる。
   浅間、資料を読んでいる。手を止めて、
浅間「もう少し優しくできませんか」
晴山「殺したいんですか、彼女を」
浅間「まさか。ただ厳しすぎると、すぐにやめてしまいます」
晴山「それならそれで、その方がいい」
浅間「困りますよ、ここも人手不足なんですから……」
   晴山、ココアを飲む。ほっと息をつく。
浅間「ところで、今日は誰も立ち入ってませんよね」
晴山「一組だけ」
浅間「とめましたよね?」
晴山「一応は」
浅間「一応?」
晴山「死ぬ覚悟があるなら構わないと」
浅間「ちょっとちょっと、あなたこそ殺す気ですか」
晴山、ニヤリと笑う。
晴山「これって殺人になります?」
浅間「はい?」
晴山「殺すのは俺じゃないでしょ。あいつだ。というかそもそも、殺すという表現は正しくない。呪った、呪い……」
浅間「なんだって、いいですから。お願いしますよ、ちゃんと警告してください。吹雪の日は、特に。ユキコが目覚めてしまう」
晴山「ユキコね……」
   晴山、窓の外を見る。

〇スキー場・禁止区域・奥深く(夜)
   猛吹雪。
   祠の中が青く光っている。
   女性のうめき声があたりで響いている。
   紙垂が激しく揺れている。
   祠の中から、手が飛び出してくる。

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