CHAIN ドラマ

あいつにだけは絶対勝てない。 抗えない宿命にもがく高校生を描いたサスペンス。
山岸遼 16 0 0 04/04
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第一稿

   人物
鈴木克洋(17) 高校生
澤田克美(17) 鈴木の異母弟
呉まりも(17) 鈴木の恋人
五木田凛子(28)鈴木の担任
鈴木亜沙美(53)鈴木の母
鈴木正克( ...続きを読む
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   人物
鈴木克洋(17) 高校生
澤田克美(17) 鈴木の異母弟
呉まりも(17) 鈴木の恋人
五木田凛子(28)鈴木の担任
鈴木亜沙美(53)鈴木の母
鈴木正克(56) 鈴木の父


〇高校・教室(朝)
   黒板の上に、「文武両道」と記されたプレートが飾られている。
   澤田克美(17)、窓の外を眺めている。
   窓の外、グラウンドでは、生徒たちが部活動に励んでいる。
   澤田、ニヤリと笑う。

〇同・グラウンド(朝)
   鈴木克洋(17)、走っている。白線を超える。
   その近くに、呉まりも(17)。ストップウォッチを止める。
   鈴木、汗を拭い、
鈴木「タイムは?」
   まりも、ニヤっと笑ってストップウォッチを鈴木に見せる。
まりも「ベスト更新!」
   鈴木、ガッツポーズをする。
まりも「大会に向けて準備万端じゃない?」
鈴木「慢心は禁物だよ」
まりも「相変わらずだね」
鈴木「何事も準備が肝心って言うだろ。陸上もテストも」
まりも「学年トップが言うとなんか嫌味に聞こえる」
   と、笑う。
   鈴木、ニヤリと笑う。水筒を手にする。
まりも「……あ、ねえねえ」
鈴木「ん?」
まりも「あそこ、人いる」
   と、校舎を指さす。
まりも「うちの制服じゃない」
鈴木「え?」
   鈴木、視線を向ける。
まりも「転校生かな」
   澤田が窓際に立っている。鈴木を見つめている。
   鈴木、絶句する。額から汗が流れる。

〇同・外観(朝)
   チャイムが鳴る。

〇同・教室(朝)
   五木田凛子(28)、黒板に「澤田克美」と書く。
   澤田は凛子の隣に立っている。眼鏡のブリッジを中指で押す。
凛子「今日からこのクラスに転校してきた澤田克美くんです」
澤田「澤田です。誕生日は9月23日」
   窓際列最後尾まりも、驚いて、廊下列最後尾鈴木を見る。
澤田「好きな食べ物はアクアパッツァ」
   鈴木、伏し目がちに澤田を見る。
澤田「卒業まで1年もありませんが、よろしくお願いします」
   生徒たちは拍手する。
凛子「席は、あそこ」
   と、鈴木の隣を指して、
凛子「鈴木の隣」
   澤田、鈴木の隣に座る。
澤田「澤田です」
鈴木「ああ、鈴木です」
澤田「アクアパッツァ、好き?」
鈴木「……」
   澤田、手を差し出す。
澤田「よろしく」
   と、はにかむ。
   鈴木、徐に手を握る。

〇同・グラウンド
   澤田、ゴールテープを切る。
   生徒たちからどよめきと拍手が起こる。
   少しして、鈴木がゴールする。
   澤田は周囲から、「すげえな」「陸上部?」などと声を掛けられている。
   鈴木、汗を拭う。頬をピクつかせる。
   澤田、鈴木に駆け寄って、
澤田「鈴木くん、速いね」
鈴木「……」
澤田「県大会記録保持者だって、すごいじゃん」
鈴木「嫌味か?」
澤田「まさか、本心さ」
鈴木「……そうか」
澤田「でも、勝ててよかった。ほっとした」
   鈴木、ムッとして、澤田を睨む。
   澤田、鈴木に顔を近づける。耳元で囁くように、
澤田「これは運命じゃない。宿命だよ」
鈴木「何のことだ」
澤田「そのうちわかる」
   澤田、鈴木の肩をポンと叩く。去る。
   鈴木、地面を蹴る。砂埃が舞う。
   不安そうに鈴木を見つめているまりも。

〇呉家・まりもの部屋(夕)
   鈴木、まりもに勉強を教えている。しかし、心ここにあらずといった様子。
   まりも、ペンを置いて、
まりも「どうかした?」
鈴木「え?」
まりも「元気ない」
鈴木「いつも通りだよ」
まりも「体育の授業のこと?」
鈴木「大丈夫だから」
まりも「驚いたよね、めっちゃ速かった」
鈴木「……」
まりも「克洋が遅いってことじゃなくて」
鈴木「わかってる」
まりも「それにしても、この時期に転校なんて急だよね。澤田くん、西大和から来たんだって。関西の超名門。でも陸上部じゃなくて――」
鈴木「いいって!」
まりも「……」
鈴木「あいつの話はやめてくれ」
まりも「え……」
鈴木「……ごめん」
まりも「知り合いなの?」
鈴木「……」
まりも「克洋?」
   まりも、鈴木の手に触れようとするが、鈴木はさっとよける。
鈴木「……あいつは、俺の弟なんだ」
    まりも、愕然とする。

〇鈴木家・リビング(夜)
   高級家具で揃えられた豪奢な部屋。
   鈴木正克(56)を中心に、鈴木亜恵美(53)と鈴木が向かい合わせで座っている。
   食事中。ナイフの音が響く。メイン料理はアクアパッツァ。
   鈴木、手を止めて、
鈴木「……あいつが来た」
   正克、鈴木を一瞥して、
正克「誰のことだ?」
鈴木「お父さんにも連絡が行っているはずです」
正克「何の話だ」
鈴木「克美です」
   亜沙美、ちらっと鈴木を見て、食事に戻る。
鈴木「どうして教えてくれなかったんですか」
正克「そんな連絡など知らん。迷惑メールにでも振り分けられているんだろう」
鈴木「……」
   正克、豪快に料理を口にする。
   鈴木、ため息をつく。ナイフを置く。
   手つかずのアクアパッツァ。

〇高校・正門・外
   大雨が降っている。

〇同・教室
   澤田、生徒たちに囲まれている。
   澤田の手には試験の答案。「100点」の赤文字。
   まりも、澤田に駆け寄って、
まりも「すごいね」
澤田「まりもちゃん、ありがとう」
まりも「こちらこそだよ。この前のこれ」
   と、答案を見せて、
まりも「教わったとこ、まんま出てきて驚いた」
澤田「偶然だよ」
まりも「おかげで前回の点数超えられた。澤田くん、様様です」
澤田「そんな大げさな」
   笑い合う澤田とまりも。
   鈴木、奥歯を噛みしめる。答案を握る。
   澤田、鈴木の隣に座って、
澤田「どうだった?」
鈴木「……」
澤田、答案を覗き込む。
鈴木、咄嗟に隠そうとすると、答案を落とす。
澤田、拾って、
澤田「ふーん」
   「94点」赤文字。
澤田「トップ陥落、か」
鈴木「克美……」
澤田「やっと名前呼んでくれた」
   と、微笑んで、
澤田「いい機会だから伝えておく。陸上で僕に負けたのも、テストで僕に負けたのも運命じゃない。だって、運命は変えられるでしょ」
鈴木「……」
澤田「どれだけ努力しようが、兄さんは僕に負ける。ずっと永遠にね。だからこれは宿命なんだ」
   と、笑う。立ち上がって、まりものもとに向かう。
   鈴木、くしゃっと答案を握りつぶす。
鈴木「……」
   鈴木、俯いて大きく息を吐き出す。顔を上げる。瞳に決意を宿している。

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