カラスの哭く刻 ミステリー

家族を殺された女は、復讐を果たすため、犯人が潜む歌舞伎町でフリースクールを営んでいる。
山岸遼 22 0 0 04/03
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第一稿

   人物
烏丸幸華(25)  塾講師
粟原俊司(25)  幸華の同僚
アサ(18)    幸華の生徒
烏丸優作(55)  幸華の父

少女1・2・3



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   人物
烏丸幸華(25)  塾講師
粟原俊司(25)  幸華の同僚
アサ(18)    幸華の生徒
烏丸優作(55)  幸華の父

少女1・2・3



〇回想/道1
   ガードレールに車が衝突している。車から煙が湧き上がっている。
   烏丸幸華(22)、後部座席から這いずるようにして出てくる。血だらけ。呼吸が荒い。
   車内、運転席に烏丸優作(55)、助手席に烏丸愛子(52)。2人とも血だらけ。愛子はぐったりして動かない。
   幸華、窓ガラスに手をついて、
幸華「お父さん! お母さん!」
優作「(ゆっくりと顔を動かして)……さち」
幸華「今、今助けるから!」
優作「……す、すまない」
幸華「お父さん!」
優作「花桜は……?」
   幸華、ハッとして後部座席を覗く。
   後部座席、烏丸花桜(15)の姿。ロリータ系のファッションが血に濡れている。
幸華「花桜!」
優作「逃げろ……」
幸華「え……」
優作「もう、無理だ」
幸華「助ける、今助けるから!」
   幸華、扉を開けようともがくが、開かない。
優作「さち」
   優作、窓ガラスに手を当てる。
幸華「大丈夫、大丈夫だから」
優作「……幸せに――」
   優作の手が落ちる。
幸華「お父さん! お父さん!」
   幸華、その場に崩れ落ちる。
幸華「……」
   息絶えた優作、愛子、花桜の姿。
   幸華、次第に息が激しくなり、慟哭する。

〇歌舞伎町・実景(朝)

〇同・道(朝)
   散らかったゴミ。それを漁るカラスたち。
   1羽のカラスが鳴く。

〇雑居ビル・廊下(朝)
   粟原俊司(25)、鍵を指先でくるくると回しながらやって来る。ある部屋の前に着くと、鍵を開け、中に入る。
   「フリースクール・桜学校」の看板がドアノブにかかっている。

〇桜学校・室内(朝)
   こじんまりとしたワンルームの部屋。長机がランダムに並べられている。本棚には、小学生から高校生までの参考書がずらりとある。
   受付には写真、幸華と粟原が写る。
   粟原、入る。鍵を机に置いて、座る。切なそうに写真を見る。
   ソファで寝ている幸華(25)、むくっと起き上がる。
幸華「ふわぁ!」
   と、大きく伸びをする。
   粟原、驚いて、椅子から落ちる。
粟原「いたのかよ」
幸華「ああ、シュン、おはよ」
粟原「(椅子を立て直して)また泊まり?」
幸華「家帰っても誰もいない。寝るだけ」
   と、冷蔵庫から水を取り出す。
幸華「ここにいるのと大差ない」
粟原「そうかもしれないけど……」
幸華「飲む?」
粟原「ああ、うん」
   幸華、ペットボトルを投げる。
   粟原、キャッチ。
   幸華、グッドサイン。
幸華「てか早いね」
粟原「(笑顔を消して)今朝のニュース見た」
幸華「何?」
粟原「死んだって、リマちゃん」
幸華「(水をぐいと飲んで)そう」
粟原「また勝手に殺ったのか」
幸華「……」

〇フラッシュ/ビルの屋上(夜)
   ロリータ系の服を着たリマ(15)が屋上から落ちる。
   幸華、それを無表情で見ている。

〇桜学校・室内(朝)
粟原「どうして突き落とした?」
幸華「ナイフでぶすっとした方がよかった?」
粟原「じゃなくて、今まで遺体は隠してきただろ」
幸華「もう隠す必要はないから」
粟原「それってどういう――」
幸華「(笑顔になって)大丈夫、大丈夫。シュンには迷惑かけたくないし、かけないから」
粟原「幸華……」
   粟原、ペットボトルを握りしめる。

〇新宿・雑観

〇桜学校・室内
   スーツケースがいくつか隅の方にまとめて置かれている。
   少女たちが勉強している。粟原は指導している。
   幸華、少女のひとり、アサ(18)を見ている。
少女1「ねえ、リマが死んだってホント?」
   粟原、幸華を一瞥して、
粟原「うん……」
少女2「殺人なんでしょ」
少女1「え、殺人? どうしてリマが?」
少女2「知らないよ」
少女3「恨みでも買ってたんじゃない?」
   アサ、一瞬頬をピクっとさせる。
少女3「やばいことに関わってたって噂あったでしょ」
少女2「やばいこと?」
少女3「なんか――」
粟原「はい、そこまで。今授業中ね」
少女1・2・3「はーい」
   アサ、ペンを握る手に力を籠める。
   幸華、アサから視線を逸らす。窓の外を見つめて、ニヤリと笑う。

〇道3(夕)
   人ごみをかき分けて、アサ、走っている。その手にはスマホ、耳に当てている。
アサ「はい……そうです。もしかすると気づかれたかもしれません。……はい、花桜の家族のこ――」
   アサ、ビクッとして、足を止める。徐に顔を上げると、幸華が立っている。
アサ「……先生!」
幸華「アサちゃん」
アサ「(スマホに)あ、すいません。また連絡します」
   と、電話を切る。
幸華「あ、ごめん、大丈夫だった?」
アサ「あ、はい、すいません。……先生、教室は?」
幸華「休憩中」
アサ「そうなんですね」
幸華「今から帰るところなんだけど、一緒に来る?」
アサ「ああ……」
幸華「ん? どうかした?」
アサ「あ、いえ、行ってもいいですか」
幸華「もちろん!」
   幸華とアサ、歩いていく。

〇桜学校・教室(夕)
   閑散とした室内。夕日が差している。
   幸華とアサ、入る。
アサ「あれ、みんなは?」
幸華「今日はもう帰るって。カラオケ行くとかなんとか。自由だよね」
アサ「確かに」
   幸華、冷蔵庫から水を取り出す。アサに手渡して、
幸華「これしかないけど」
アサ「ありがとうございます」
幸華「(適当な椅子に座って)なんか、大丈夫? トラブルとかそういうの」
アサ「……うん」
幸華「ほんと?」
アサ「はい、何とかなると思うんで」
幸華「そう」
アサ「先生って優しいですよね」
幸華「そう?」
アサ「私たちなんかの為に、無料で勉強教えてくれて、勉強だけじゃなくて色んな相談にも乗ってくれて」
幸華「私にも夢があるからね、winwinだよ」
アサ「夢?」
   幸華、微笑んで、水を飲む。
アサ「なんですか」
   と、水を飲む。
幸華「(笑顔を消して)……私、妹いてさ」
アサ「初耳です」
幸華「初めて言ったし、これが最期」
アサ「それってどう――」
   アサ、苦しみ出す。
   ペットボトルが地面に落ちる。
幸華「(アサに近づきながら)あなたがあの事故に関係していることは最初から知ってる。もちろんリマちゃんも」
アサ「せ、先生……?」
幸華「その背後に誰がいるのか、ずっと知りたかった」
   幸華、アサの鞄を探る。スマホを取る出す。
幸華「ありがとね、助かった」

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