フィッシャーマン コメディ

九十九里の漁師は、ダンサーになるため芸能事務所に入るも、バックダンサーに出向され、バックコーラスに出向され、バックオフィスに出向され、バックルームに出向され、果ては社長のバッグの材料になることに...。 〈自分がバッグにならないために〉、彼らは社長のバッグ生産工場の爆破を企てる!
古堅元貴 17 1 0 09/30
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第一稿

ダラリラ第1回公演「フィッシャーマン」


□ 登場人物
門田 メンドィ  (25) 九十九里の漁師


○九十九里・漁船(朝)

荒天の中、漁に出ている漁師たち ...続きを読む
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ダラリラ第1回公演「フィッシャーマン」


□ 登場人物
門田 メンドィ  (25) 九十九里の漁師


○九十九里・漁船(朝)

荒天の中、漁に出ている漁師たち。その中に門田メンドィ(25)。網で捕獲したフグを釣り上げようとしているが、

メンドィ「んん・・・ぐあぁっ!・・だめだッ!・・・」

倒れ込むメンドィ。すぐさまスマホを取り出し、画面越しにフグを見る。

メンドィ「(先輩漁師に)すいません!でもやっぱ越しじゃないと・・・スマホのカメラ画面越しなら見れるんです!・・・むしろこうやって目の前のフグを、マンゴーに加工すれば、フグ全然見れます!」

その瞬間、大きな波に襲われ、スマホを落とすメンドィ。

メンドィ「あああぁスマホ!?・・・(目の前にフグが来て)フグぁあああ嗚呼!?」



○メンドィの家

仕事後。流し台で必死に手を洗うメンドィ。魚の匂いやヌメヌメ感を身体から完全に取り払おうしている。外では町内放送が流れている。

町内放送「こちらは防災九十九里です。昨日14時頃から、25歳の漁師の男性が行方不明になってます~お名前は・・(と続き)」

傍の机にはPC。メンドィ、手を洗いながらChatGPTと音声会話をしている。

メンドィ「(GPTに)肉眼で見れなくても、別にいいよな?」

GPTの回答を待つメンドィ。

GPT(音声)「もちろんです!フグを肉眼で見ることは難しいかもしれませんが、漁師になるためには肉眼で見る能力よりも、船の操縦技術、漁業の知識、そして健康な体を保つことの方が重要です」

メンドィ「そうだよな、頭固てえんだよ。例えばだけど、魚は触れなくても、海流を読むのは抜群だったらさ、その人は漁師だよな?」

GPT(音声)「もちろんです!漁師は海流を読むことで効率的に漁を行うことができます。海流は海洋生態系において重要な役割を果たしており、漁師がそれを理解することは持続可能な漁業にも寄与します」

メンドィ「わ、思ってたこと一緒!僕はね、もっと皆が柔軟になって欲しいだけなの。ってか見て」

GPTに向かって前屈をするメンドィ。

メンドィ「やわらかいっしょ!前屈得意なんだよ。これ男子の中ではめっちゃ柔らかい方だよね?」

GPT(音声)「もちろんです!柔らかい体は、運動の幅を広げ、健康的な生活をサポートします」

メンドィ「分かってんね!僕さ、この柔らかさもあってね、小さい頃の夢、ダンサーだったんだよ。驚いた?・・・でも家のこととか色々あってさ、まあほぼ家のせいで夢諦めちゃって、だから家のせいでずっと悔やんでたんだけど、でも・・・やっぱり家のせいで!・・・」

GPT(音声)「(食い気味な)もちろんです!」

メンドィ「!?・・・それは今から世界一のダンサーを目指しても、遅くないっていう意味のもちろん・・・」

GPT(音声)「(食い気味な)もちろんです!あなたが夢に挑戦する事を楽しみにしていました」

メンドィ「・・・おまえ」

新生児のような輝きを放つメンドィ。直後踊り出し、モノローグが流れる。 

メンドィM「その夜、僕は九十九里を飛び出し、ダンサーになるために、目白にある日本最大のダンサー事務所「レッツダンスハッピー」に向かった。そして、そこのスクール生となった。除籍されそうな時期も数度あったが、その度100万円を入金すると講師の先生から「君、いいね」と言われ、免れることが出来た。卒業間近、僕はさらに150万円を追加入金すると、事務所の先輩・輝かしい伝説のダンサーズさんのバックダンサーとして、音楽番組に出演できることになった」



○ステージ裏

ライブ本番後。「おつかれしたぁ~!」、「最高だったね!」などの言葉が飛び交う中で、

メンドィ「(業界慣れしたような)おつかれしたぁあ~!いや全然っす、めっちゃ緊張してましたよ~(と謙遜ぶると)」

演出家から1人だけダメ出しを受けるメンドィ。

メンドィ「(演出家に)え、僕すか?・・・いやそんなつもりは・・・出してないです・・・(横のバックダンサーを見て)それ、小吉さんじゃないすか?・・・僕は演出通りにやってました!むしろ他のダンサーたちの潤滑油やってたくらいです!」

去ろうとする演出家。その肩を掴むメンドィ。

メンドィ「待ってください!ほんとに潤滑油なんです!・・・(掴んだことに)すいません。・・・でもリハの時何も言われませんでしたよ・・・本番では少し変えましたけど、それは舞台って生ものですから、そっちのチョイスした方が、逆に他のダンサーにもいいエッセンス与えられると思って・・」

去ろうとする演出家を再び制止しようとするメンドィ。演出家と取っ組み合いになると、演出助手・下黒石まいがメンドィを押し倒す。

メンドィ「(押し倒されたことに)え、下黒石さん!?・・・演出助手だからって、こんな演出家を庇う事・・・まさか・・え、下黒石さんと・・・お2人付き合って・・・(確信して)やっぱり・・・なんでまいまい・・こんな奴と付き合ってん・・・」

慰めながら、手を握り合う演出家と下黒石。

メンドィ「(2人を見て)今、手握ってませんでし・・・(さらに近づき)ん、指絡ませあってませんでした!?絡ませて・・・え、もう仕事って終わってるんでしたっけ?・・・いや、個人的な意見ですけど、公私混同の付き合いをしている演出家と演出助手って、僕らに客観的な演出って付けられるんでしょうか!?何よりチーム内にこういうスタッフがいるから(関係者に連行される)売れ出したのに消えちゃうアーティストがいるんですよ!・・・ねえまいまい!まいまい!?まぁあいいまぁあ!」

関係者に連行されるメンドィ。

メンドィM「翌日、僕はダンサーのスクールから、バックコーラスのスクールに出向することになった。ダンススクールに戻る為、200万を追加入金したら、講師の先生から「君いいね」と言われ、僕はある現場に参加することになった」



○スタジオ

まるでファーストテイクのような収録現場。緊張の面持ちで待っているバックコーラスのメンドィ(26)。歌手・まっきーが入ってくる。

メンドィ「(まっきーに)おはようございます!・・・よろしくお願いします!今回バックコーラスを務めさせていただきますメンドィです!・・・もちろんっす!学校の運動会とか全校合唱とか必ずまっきーさんの曲使われてましたし、僕らの代の教科書にも載ってましたよ!・・・新曲いいっすね、なんか新たなオンリーワン?感じました!」

挨拶が終わり、位置に付くメンドィ。

メンドィ「お願いしま~す!」

曲が流れ、一発撮りがはじまる。イントロ部分で、要らぬコーラスを入れるメンドィ。悦に浸ったのか直後のAメロでボーカルよりも歌詞を口ずさむメンドィ。すぐさま曲が止まり、メンドィの前にプロデューサーらがやってくる。

メンドィ「!?・・・(プロデューサーらに)あ、まっきーさん久々の復帰ですもんね・・・たしかに!全盛期に比べると・・・でも何か逆に声若返ってません!?やっぱ凄えっすわ~、現場久々だとは思えませんよ~、いえ!全然僕ら待つんで!」

「おまえのせいで止まったんだよ」と告げられるメンドィ。

メンドィ「え、僕ですか!?今、僕のせいで止まったんすか!?・・・目立とうとしたつもりは・・・(横のコーラスに)君じゃない?小吉くんだっけ?・・君、プロデューサーや監督がいる飲み会だと、意地でもその横座ろうとして、他の人たちの会話遮ってでも、プロデューサー陣の過去作褒めまくるけど、その後の作品には全く呼んでもらえないタイプでしょ?・・・なんでか分かる?人間性が透けちゃってるから!それがコーラスに出ちゃってるから!(関係者に連行される)・・・いや!僕は共演者と隅で日本酒お酌し合うタイプです・・まっきーさん!まっきーさん!まっきーぃいいい」

連行されるメンドィ。

メンドィM「この日の撮影は、一発撮りという趣旨から外れた史上初のツーテイクになった。逆にそれが話題となり、まっきーさんは再び第一線で活躍するようになった」

テロップ「10年後」



○バックオフィス

PCでリモート会議をしているメンドィ(36)。

メンドィ「お疲れ様です!・・・今月多いっすね・・はい、バックダンサー98名をバックコーラスに出向。バックコーラス462名をバックオフィスに出向。了解しました」

会議が終わり、横の後輩を見つめるメンドィ。

メンドィ「(後輩に)昼食った?・・・行く?おまえの行きたい店言えよ」

移動するメンドィと後輩。



○メンドィの家(四ツ谷三丁目のワンルーム)

仕事後。ChatGPTと話すメンドィ。

メンドィ「(GPTに)ねえ、まいまい(GPTの名前)、後輩をさ、昼飯に誘ってやったのよ。行きたい店連れてってやるよって言って?どこ行ったと思う?」

GPT(音声)「分かりません。早く話を続けて下さい」

メンドィ「(GPTに)うん・・・そいつね、フレンチのお店選んだのよ。しかも周りの客、平日の昼なのにデカいサングラスして、足元にデカい犬連れてる奴しかいないフレンチ!12000円飛んだからね!そのあとそいつさ、眠くなっちゃったって、タクシーで帰ったんだよ!?はあ!?だよな!昼休憩で連れてってやったのに、これじゃ早退じゃねえか!?」

GPT(音声)「早退ですね。ハハハ、今日一面白れえ」

メンドィ「まあ焦らなかったけどね!・・・でもまだダンスやってたら・・・ダンス続けてたら昼飯にフレンチは・・・ダンスが・・・ダンスで・・・ん、ダンサーの夢、どした?・・・やば、ダンス忘れてた・・・いいか!昼休憩にフレンチ連れてかれても、焦らないんだから!・・・なあ!」

GPT(音声)「凄いですね。ハハハ。フレンチ半端ねえって」

メンドィM「翌日、僕は姉妹会社のバックルームに出向することになった。フレンチ後輩は社長の甥だった。なぜ愚痴が漏れていたのか?ChatGPTに「おまえが裏切ったのか?」と聞いたら、『半端ねえって』と返ってきた。直後パソコンを破壊した」



○バックルーム

衣装の荷出しや在庫発注などをしているメンドィ。

メンドィ「ああぁあ!(とバランスを崩しそうになるが、先輩が助けてくれ)あ、ありがとうございます!・・えあ!?」

メンドィの前には元・輝かしい伝説のダンサーズのメンバー。興奮し、硬直するメンドィ。

メンドィ「・・・皆さん、輝かしい伝説のダンサーズじゃないですか!?・・・僕、皆さんに憧れて、九十九里からダンサー目指して、出てきたんです!・・・実は一度だけ皆さんのバックダンサーもやらせてもらってて・・・引退したと聞いてましたが、ここにいるなんて!?」

メンドィのミスを次々と指摘するダンサーズ。

メンドィ「え、ここ間違ってますか?・・・あ、これ表計算ソフト使うんですか!?・・・すいません手洗い表示、見てなかったです・・・え!?こんなに事務所に持ってかれるんですか!?・・・いやペニーオークションやってないです・・ごめんなさい一遍に指摘しないでぇ・・・ダンスやれや」

メンドィの発言に詰めてくるダンサーズ。

メンドィ「・・・いや、すいません、つい・・・」

さらにメンドィに詰め寄るダンサーズ。

メンドィ「・・・皆さんが一遍に伝えるから、それを止めようとして不意に出てしまったというか・・・」

なぜかメンドィに感謝するダンサーズ。

メンドィ「え!?またダンスやりたいんですか?」

激しく頷くダンサーズ。

メンドィ「でも・・・(踊り出すダンサーズ)ちょっと!踊らないで下さい!仕事中ですよ!でも・・分かりました!皆さんがダンスまたやりたいのは・・・今フォーメーション考えなくて大丈夫です・・・でもあんなにでかでかと引退会見したのに、また復帰したら、やっぱり他の仕事は続かなくて芸能界戻ってきたよ、芸能界甘いなーとか・・・輪になってミーティングしないで下さい!今誰がセンターとか決めなくていいです!・・・まだ何も決まってないのに方向性で揉めないで下さい!」

メンドィM「このような光景が半年続いた。僕は終止符を打つために、彼らと新ユニット・甚だしい伝説のダンサーズを結成した」



○公園(夜)

ダンス練習の休憩中。1人座っているメンドィ(37)。近くでは輪になってたばこを吸い、談笑しているダンサーズ。

メンドィ「(ダンサーらに手を叩き)はい!皆さん休憩終わりですよ!たばこ止めて下さい!公園内喫煙禁止です!週刊誌に撮られたらおしまいですよ!・・はい、再開します!(カウントを取って)1!2!3!4!・・・ちょ!たばこやめてください!」

葉巻を吸い始めるダンサーズ。

メンドィ「もう一度やりたいって言ったの皆さんですよね!練習はしたくないけど、ライブや音楽番組は出たいって虫がよすぎます!・・・今年オーディションに落ちたらもう8年ですよ・・・結婚して脱退したメンバーもいます。焼肉店経営してるメンバーもいます。勿論逮捕されたメンバーもいます。でも皆さんはダンスやりたいからここにいるんですよね!?・・・はい?16ビート?すいません、16ビート覚える前にスクール辞めちゃったので・・・ダウンアップと8ビートしか出来ないですけど、僕が必ず皆さんをまたデビュ・・・」

突如、犬が乱入してくる。

メンドィ「(犬に)あああ!?犬!?・・・(ダンサーズに)犬はいいですから!(犬に)邪魔だな!向こういけ!(ダンサーズに)犬無視してください!犬を焚き付けないで下さい!!犬に勝手に名前付けないで下さい!!犬に16ビート教えようとしないで下さい!(犬に噛まれて)イタぁあああ!犬!?足噛んだああぁああおお!(ダンサーズに)だったら犬と踊れよぉオオ!もうおしまいだよ!」

テロップ「10年後」



○バックルーム

在庫管理をしているメンドィ(47)とダンサーズ。

メンドィ「(作業しながらダンサーズに)皆さん!今日の練習は、新宿中央公園の噴水前ですよ!この前の牛久の公園じゃないですよ!あそこ出禁になりましたから」

突然、人事部の人がやってきて、

メンドィ「お疲れ様です・・・え、辞令?」

人事部、辞令を渡し、すぐさま去っていく。

メンドィ「(引き留めようと)ちょ!・・・足早ッ・・(辞令を見て)え、僕らバックルームから異動です・・・異動先?・・・えバッグ?・・・バッグって?バッグって部署無いですよね?・・・」

放心状態のダンサーズ。

メンドィ「・・・じゃ本当なんですね・・・なんとな~く、バックコーラスからバックオフィスに出向させられた時から?・・・バックオフィスの次はこのバックルーム。そしてここでも出向させれたら、次はバッグ。つまりかばん。つまり社長のかばん。つまり革製。つまり僕らの身体は社長のバッグの材料にされるってことですよね!・・・」

大きく頷くダンサーズ。

メンドィ「・・・いいんですか!?売れてる時は散々いいように使われて賞費期限が過ぎたと思われたら、果ては社長のバッグにされるんですよ!しかも絶対合成革です!着色とか、人工物とか、いろんな添加物と混ぜられて、皆さんの素材そのままなんて活かしてくれませんよ!・・・何があっても自分がバッグになっちゃ絶対ダメです!・・爆破しましょう、社長のバッグ生産工場」

団結するメンドィとダンサーズ。



○社長のバッグ生産工場

フグにそっくりな爆弾を仕掛けるメンドィ。それを見ているダンサーズ。

メンドィ「あ・・・フグに見えるかもしれないですが、これボムなんです・・・僕、漁師やってて、でも魚がダメで、魚を見る事も触る事も出来なかったんです・・・でもある日、一匹だけ触れる魚がいて、僕はフグが触れた!と喜んでいたら、それはボムだったんです。これはその時のボムです」

無関心のダンサーズ。

メンドィ「・・・いや、フグに見えるんですけど、これボムなんです・・・いえ、僕がボムじゃないです!この一見、フグに見えるものがボムで・・・いや、僕自身がボムなら、それ自爆ですよね!?・・・これはフグの形をした時限式のボムで・・・だから時限式の僕じゃないです!?それは自爆です!これはボムです!・・・とにかく(ボムを指さし)数日後、このフグに見えるボムが爆発して工場が・・・だから僕はボムじゃないです!?」



○バックルーム

在庫管理をしているメンドィとダンサーズ。

メンドィM「いつだ?いつ爆発するんだ?時限式と言ってたが、それはいつだ?確認し忘れた。もう確認しようがない。一体いつだ?どのいつだ?何がいつだ?あ爆弾か。それがいつだ?確認し忘れた」

そこに執行役員になった下黒石まいがやってくる。

メンドィ「え!?まいま・・下黒石さん!?お久しぶりです、・・・いや、はじめましてではなくて・・・あのー前にバックダンサーやってた・・・はい!あの時は・・・え、執行役員になられたんですか!?・・・あ僕は、バックダンサーやったあと、バックコーラスに異動になって、バックオフィスに異動になって、今はここのバックルームの、まあ・・・潤滑油です!・・・で、今日は?」

来月から社長のバッグ制度が廃止され、SDGsリュックが導入される旨を伝える下黒石。

メンドィ「(それを聞き)・・・え!?社長のバッグ制度廃止!?・・・(ダンサーズに)来月から社長は、タバコの吸い殻で作られたSDGsリュックを使用することに決めたそうです・・・世間体が理由でしょう・・・じゃあ社長のバッグの材料になることはもう!?」

歓喜するメンドィとダンサーズ。すぐさまたばこを吸い始めるダンサーズ。

メンドィ「(ダンサーズに)皆さん!吸い殻がSDGsになるからって、どこでもタバコ吸っていいわけじゃ・・(走り去るまいまい)あ!待ってまいまい!・・・(すでに数キロ先にいるまいまい)足早ッ・・・え?そしたら社長のバッグ生産工場は?・・・(ダンサーズに)僕ら爆弾しかけちゃいましたよ?もう爆破する必要ないのに爆弾を・・・あ!?・・・まいまい、このあと社長のバッグ生産工場の喫煙所にある吸い殻をリュック生産工場に移動するって・・・まいまいが・・・このままだとまいまいがボムで・・・」

喫煙所へ行こうとするダンサーズ。

メンドィ「どこ行くんですか?・・・タバコいいですから!喫煙所行かなくたって人とコミュニケーションは取れます!ボムを止めましょう!」

走り出すメンドィとダンサーズ。



○社長のバッグ生産工場

工場へ到着し、ボムを回収するメンドィら。

メンドィ「(ボムを抱え)これでまいまいは無事・・・(吸い殻を移動させてるまいまいを見て)・・・バイバイまいまい・・・(ダンサーズに)行きましょう」

「どこへ?」な表情のダンサーズ。

メンドィ「すいません!解除方法はわかんないです!・・・(ダンサーズに詰められる)ごめんなさい一遍に悪口言わないでえああ!?」

その最中、犬が乱入してくる。

メンドィ「(犬に)また犬あああぁあ!?・・・(ダンサーに)犬はいいですから!(犬に)邪魔だな!向こういけ!(ダンサーズに)犬無視してください!犬を焚き付けないで下さい!!犬に勝手に名前付けないで下さい!犬に16ビート教えようとしないで下さい!あ!?犬ボム噛んだあぁ!なんか動いてます!(ダンサーズに)フグじゃないです!ボムです!僕じゃないです!僕から離れても意味ないです!・・・(ダンサーズに押し倒され)僕を遠ざけて、犬とボムと集合写真撮らないで下さい!(ボムが発光し)だめだ!もう間に合わない!(視線の先に突然海が現れ)あ!目の前に海!海に投げよう!(メンドィを掴むダンサーズ)僕を投げようとしないで下さい!?ボムを投げるんです!?僕が海にボムを投げますから!・・・(ボムを持ち)ああぁああ!」

爆弾を海に(客席へ)投げるメンドィ。

直後、爆音!「ドガァああaarrんんッン!!」

呆然と見ているメンドィとダンサーズ。するとメンドィのスマホに着信。

メンドィ「(出ると)え・・・僕の家が燃えてる!?・・・(スマホ画面を横向きにし)これ今のNスタの生中継?・・・なんで?たった今この海に投げたばかりじゃないか!なのになんで家が・・・なんで四谷三丁目のワンルームが・・・」

サイレンが鳴る。直後、メンドィに向かって網が投

げ込まれ、警察に確保される。

メンドィ「なんで!?せめて手錠で捕まえて下さい!どうして網なんですか!本当に警察ですか!海に爆弾を投げたのに、燃えたのは四ツ谷三丁目のワンルームなんですよ!?まずそこを捜査してくださいよ!?なあダンサーズ!今こそお前らの歪んだ主張を国家権力にぶつけ・・・」

どこにもいないダンサーズ。

メンドィ「あれ、ダンサーズは?おい!ダンサーズ!?(警察に)さっきまで一緒にいたんです!僕だけじゃないんです!ダンサーズがいたんです!?でも丸々いないんです!?」

突如、意識を失い、連行されるメンドィ。



○九十八里・港(朝)

網の中で捕獲され、意識を失っているメンドィ。

町内放送「こちらは防災九十八里です~昨日18時頃から47歳の会社員の男性が行方不明となっております~」

目覚めるメンドィ。辺りは以前生活していた九十九里の景色。

メンドィ「!?・・・九十九里!?え、なんで・・・」

どこからかモノローグが聴こえてくる。

メンドィM「九十九里?違う。ここは九十八里だ」

メンドィ「九十八里!?」

メンドィM「九十九から1を引いた九十八だ。こうやって学校で習ったことは使えばいいんだ」

メンドィ「・・・はい」

メンドィM「私が分かるか?私だよ」

メンドィ「・・・・・・福岡の叔母ですか?」

メンドィM「違う。何度かおまえの前に現れた狂犬だ」

メンドィMは狂犬モノローグだった。

メンドィ「あ!?そっちか」

狂犬M「二択だったのか?」

メンドィ「・・・いやあ?」

狂犬M「九十八が一になるまで、おまえにはチャンスがある。さあ網を持って立ち上がれ」

網から出て立ち上がると目の前にはフグ。

メンドィ「(フグに気づき)フグうわッああ!?ん、あれ?え・・・フグが・・・肉眼で見れる!触れる!?・・・(フグに)おまえのせいで・・・おまえを見れて、触れてればこんな事には・・・でも今は触れられ・・・」

よく見るとフグが、ボムだと気づくメンドィ。

メンドィ「フグじゃない・・これボムだ・・だから触れ・・」

爆音!「ドガァああaarrんんッン!!」

狂犬M「おまえが悪い。次は九十七里だ。今回こそ網を活かすんだ」

タイトル『フィッシャーマン』

おわり 

「フィッシャーマン」(PDFファイル:562.31 KB)
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