〈登場人物〉
藤川直人(30)ニート。
若松湊人(30)ニート。直人の親友。
白石香恋(30)会社員。
若松麻衣(30)湊人の妻。香恋の同僚。
藤川康二(60)直人の父。大手製薬会社の社長。
細塚亮平(37)康二の部下。
藤川美空(28)直人の妹。会社員。
美波(25)結婚相談所のスタッフ。
子ども
〈本編〉
◯結婚相談所・待合室
藤川直人(30)、ソファで本を読んでいる。
読んでいるのは「婚活ガイドブック」という本。
美波(25)、部屋から出てくる。
美波「藤川さん、どうぞ」
◯同・個室
直人、入室する。美波、デスク席に座っている。
美波「どうぞ、お座り下さい」
直人、美波の対面に腰掛ける。
美波「結婚相談所をご利用されるのは初めてですか?」
直人「はい、初めてです。なんか緊張しますね」
美波「緊張しなくていいですよ」
直人「でも、すごく不安なんですよ。僕みたいな男が、理想の女性と結婚できるのか」
美波「きっと大丈夫です。最初は理想のお相手探しから、最後はご結婚まで、私たちが全力でサポート致します」
直人「それを聞いて少し安心しました」
美波「それじゃあ早速、カウンセリングを始めましょうか」
と、パソコンを操作する。
美波「(パソコンの画面を見ながら)えっと…お名前が…藤川直人様ですね」
直人「はい」
美波「まずは、生年月日をお伺いしてもいいですか?」
直人「1994年12月10日生まれです」
美波「1994年…12月…10日ですね」
と、キーボードを打つ。
美波「つまりご年齢は、30歳で合ってますか?」
直人「はい、30歳です」
美波、キーボードを打つ。
美波「次に、ご職業を伺ってもよろしいですか?」
直人「職業は、無職です」
美波「…無職?」
直人「はい、無職です」
美波「お仕事は何もされてないんですか?」
直人「所謂、ニートってやつですね」
美波「…なるほど。お仕事は、最近お辞めになったんですか?」
直人「いえ、生まれてから仕事をしたことがないんです」
美波「一度もないんですか?」
直人「一度もないです」
美波「今、将来のために何か勉強をされているとか?」
直人「勉強もしてないですね。ニートなので」
美波「そうですよね…」
直人「…理想の相手は見つかりそうですか?」
◯タイトル「ニート」
◯カフェ・中
直人と松若湊人(30)、テーブル席に座っている。
湊人「どうだった? 結婚相談所」
直人「ニートは結婚相談所に入会できないらしい」
湊人「入会できないだと? そんなの差別だろ」
直人「これでハッキリしたよ。ニートに結婚する資格なんて無いんだ」
湊人「俺もニートだけど結婚できたぞ」
直人「君の場合は、結婚相手が女神みたいな女性だからだ。ニートのことを愛してくれる女性なんて殆どいないんだ」
湊人「お前も女神に出会える」
直人「どうかな」
ふと視線を別の方向に向ける直人、とある光景を目にする。
白石香恋(30)、小さいテーブル席でコーヒーを飲んでいる。
直人「(湊人に)ねえ、あの女性見て」
湊人、香恋を見る。
湊人「おう、すごくセクシーな女だ」
直人、香恋のことをじっと見ている。
湊人「気になるのか?」
直人「気になるっていうか…すごく美人だ」
湊人「声かけろよ」
直人「何て声をかけるんだ?」
湊人「デートに誘えばいい」
直人「初対面でいきなりデートに誘うのはマズイよ」
湊人「俺はそれで結婚できた」
そこへ、店の外から、松若麻衣(30)がやって来る。
麻衣「お待たせ」
と、席に座る。
麻衣「何の話してたの?」
湊人「直人がさ、あそこの美女が気になるんだって」
直人「いやだから、気になるっていうか…」
麻衣、香恋のほうを見る。
麻衣「ああ、彼女、私の同僚よ」
直人「同僚?」
麻衣「先週、私の会社に転勤してきたの」
湊人「すごい偶然」
麻衣「声かけてくる」
と、香恋のもとへ行く。
湊人「(直人に)お前も行けよ」
直人「えー。…君も一緒に来てよ」
湊人「…ったく、しょうがないな」
直人と湊人、香恋のもとへ行く。
麻衣「あ、香恋、紹介するね。こっちは私の夫の湊人。そっちは友達の直人」
直人「(香恋に)どうも」
香恋「白石香恋よ。香恋って呼んで」
湊人「香恋、直人が君とデートがしたいんだって」
香恋「え?」
直人「(湊人に)だから、いきなり誘うのはマズイって」
香恋「いいわよ」
直人「⁉︎ いいの?」
香恋「明日の夜7時なら空いてるけど」
直人「僕も空いてる」
香恋「じゃあ決まりね」
湊人「(直人に)ほら、上手くいったろ」
香恋「(腕時計を見て)私、そろそろ行かないと」
麻衣「あら、そう」
香恋、席から立ち上がる。
香恋「じゃあね」
直人一同、香恋に別れの挨拶を返す。
香恋、立ち去っていく。
湊人「(直人に)よし、俺たちも行くぞ」
直人「どこに行くの?」
◯ブティック・中
湊人、試着室の前に立っている。
試着室から、直人が出てくる。
湊人「おお、すごく似合ってるじゃないか。これでデートもバッチリだな」
直人「でも、肝心な問題が一つある」
湊人「心配するな。これから靴も買いに行く」
直人「いや、問題っていうのは、僕がニートをやってることだよ。こんなこと香恋に知られたら、僕を好きになってくれないよ」
湊人「お前は香恋のこと、本気で好きなのか?」
直人「認めるよ。本気だ」
湊人「よし。それじゃあ、あそこへ行こう」
直人「あそこってどこ?」
◯藤川製薬・外観(朝・日替わり)
立派な本社ビル。
◯同・エントランス(朝)
藤川康二(60)、出勤してくる。
細塚亮平(37)、康二のもとへ来る。
細塚「社長、おはようございます」
康二「おはよう。今日も良い天気だな」
細塚「社長、リバイバル製薬の蘭原社長とのランチの件なんですけども」
康二「ああ、確か今日だったな。何時からだっけ?」
細塚「元々12時半の予定でしたが、蘭原社長が11時に変更したいと」
康二「11時? それじゃあ、ランチというよりブランチだろ」
細塚「ええ、まあそうなんですけど…」
康二「まあいい。行けると伝えてくれ」
細塚「かしこまりました」
細塚、立ち去っていく。
直人の声「父さん」
康二、声のほうを振り向く。直人と湊人が立っている。
康二「直人じゃないか。それと、湊人君だったな」
湊人「ご無沙汰してます」
康二「今日はどうした?」
直人「父さんに話があるんだ」
◯同・社長室
康二、ソファに腰掛けている。
康二「なるほど。今夜のデート相手の女性に、ニートをやってることを知られたくないのか」
対面に、直人と湊人が腰掛けている。
直人「どうすればいい?」
康二「デート相手の女性は何て名前だ?」
直人「香恋」
康二「その香恋って子に正直に話すんだ」
直人「ニートのことを話すの?」
康二「正直に話すのはニートのことだけじゃない」
直人「どういうこと?」
康二「私は大企業の社長で大金持ちだ。そのことを話すんだよ」
直人「そうか。親が金持ちだって話せば、僕を好きになってくれるかも」
康二「そういうことだ」
直人「…なんか自信が湧いてきたよ」
康二「それにしても、直人がデートするなんて久しぶりだな。最後はいつだ?」
湊人「11年前にデートしたのが最後です」
康二「確か…8年くらい前にもデートしなかったか?」
湊人「いや、あの時のはデートじゃないですよ。相手の女性とセックスしなかったので」
直人「確かにセックスはしなかったけど、あれも歴としたデートだ」
湊人「今回はセックスしろよ」
◯街並み(夕方)
夕方の街並み。
◯レストラン・中(夜)
直人と香恋、テーブル席で向かい合って食事している。
直人、香恋に笑顔を見せる。
香恋「なんで、さっきからずっとニヤついているの?」
直人「僕、ニヤついてる?」
香恋「ええ、すごくニヤついてる」
直人「君に話したい事があるんだ」
香恋「え、何?」
と、食事の手を止める。
直人「藤川製薬って会社、知ってる?」
香恋「ええ、もちろん」
直人「じゃあさ、藤川製薬の社長の事は何か知ってる?」
香恋「さあ、それは知らない」
直人「すごい金持ちだと思う?」
香恋「そりゃあ、あんな大企業の社長だったら、お金はたくさん持ってると思うわ」
直人「実はね、僕の父親が藤川製薬の社長なんだ」
香恋「そうなの?」
直人「僕の親は、大金持ちなんだよ」
香恋「(薄い反応)そうなんだ」
直人「…うん」
香恋「それで?」
直人「それで?」
香恋「私に話したい事って、それだけ?」
直人「まあ、そうだね…」
香恋「そう」
香恋、ステーキ肉をカットし、食べる。
香恋「うん、このお肉すごく美味しい」
直人「ねえ、ちょっといい? なんかリアクション薄くない?」
香恋「どういうこと?」
直人「僕の親が金持ちだって言った時、リアクション薄くなかった?」
香恋「ああ、ごめんなさい。私、お金とかそういうのに興味ないから」
直人「え、そうなの?」
香恋「うん」
直人「女性ってみんな、金持ちに興味があるんじゃないの?」
香恋「それは偏見よ。確かに、お金持ちに興味がある女性もいるけど、興味ない女性だっているの。私みたいに」
直人「…それは困ったな」
香恋「あなたのお父さんのことよりさ、あなた自身のことを聞かせてよ」
直人「僕のこと?」
香恋「質問してもいい?」
直人「ああ…どうぞ」
と、グラスのワインを飲む。
香恋「仕事は何してるの?」
直人、ワインを吹き出しそうになる。
直人「し、仕事?」
香恋「そういえば、まだ聞いてなかったなって」
直人「…」
答えを待つ香恋。
直人「…弁護士をやってる」
香恋「弁護士? すごいじゃない!」
直人「そ、そう?」
香恋「だって、なかなかなれる職業じゃないもの。ホントすごいと思う」
直人、何とか笑顔を作る。
◯藤川家・ダイニング(日替わり・朝)
康二、テーブル席でコーヒーを作っている。
藤川美空(28)、康二の対面に座り、朝食のシリアルを皿に盛る。
美空「今日、帰りが遅くなるかも」
と、シリアルに牛乳を注ぐ。
康二「残業か?」
美空「仕事終わりに、麗華と飲みに行く約束してるの」
康二「麗華って、職場の同僚の?」
美空「そう。それでね、麗華の弟なんだけど、まだ18歳なのに、もう結婚するんだって」
康二「相手はいくつ?」
美空「それが17歳。どっちもまだ子どもよ。麗華も結婚するには早過ぎって言ってる」
康二「結婚と言えば、昨日直人がデートをしたらしいぞ。直人が結婚する日もそう遠くはないかもしれないな」
美空「お兄ちゃん、結婚したがってるの?」
康二「今、婚活中らしい」
美空「婚活?」
康二「あいつはもう30歳だ。そろそろ結婚を考えても不思議じゃない年頃だろ」
美空「でもお兄ちゃんニートだよ」
康二「ニートは結婚できないと言いたいのか?」
美空「仕事してる男のほうが結婚しやすいのは確かよ」
康二「直人は大人だ。仕事するかしないかは、あいつの判断に任せるよ」
美空「パパはお兄ちゃんに結婚して欲しいって思ってる?」
康二「あいつが望んでるならな」
美空「だったら、結婚相手見つける前に仕事見つけろって言うべきよ」
康二「いや、その必要はない。なんせあいつには、金持ちの親つまり私がいるからな。女には困らないはずだ」
美空「お兄ちゃんは、毎月パパから生活費もらって生活してるのよ。私はそんな男イヤだけど」
康二「それはお前の好みの話だろ」
美空「やっぱりさ、パパはお兄ちゃんを甘やかし過ぎなんだよ」
康二「それが不満なら、お前もニートになったらどうだ? パパは全然構わないぞ」
美空「…だめだこりゃ」
◯湊人のアパート・リビング
ドアのノック音。
湊人、ドアを開ける。訪問者は直人。
と、直人を部屋に入れる。
ソファに、麻衣が腰掛けている。
麻衣「デートどうだった?」
直人「そのことで此処に来たんだ」
麻衣「何かあったの?」
直人「マズイことになった」
麻衣「香恋に嫌われちゃった?」
直人「いや、むしろ気に入られたよ」
湊人「じゃあ、マズイことって何だ?」
直人「…」
×××
湊人、ソファに腰掛けている。
湊人「弁護士って言ったのか?」
直人もソファに腰掛けている。
麻衣「何で嘘ついたの?」
直人「だって、金持ちには興味ないって言われたんだもん」
麻衣「だからって嘘つかなくてもいいじゃない」
直人「しょうがないよ。親が金持ちってことが、僕の唯一の魅力なんだから」
湊人「直人が嘘つくなんて珍しいな」
直人「ものすごく後悔してる。もう最悪な気分だ」
麻衣「それで、香恋とはどうなったの?」
直人「今夜またデートすることになった」
湊人「弁護士ってモテるんだな」
直人「やっぱり香恋に話したほうがいいよね? 弁護士じゃなくて、本当はニートだってこと」
麻衣「そりゃそうよ。正直に話したほうがいいわ」
直人「うーん、でも悩んでるんだ。もし正直に話したら、香恋に嫌われるかもしれない」
湊人「ああ、確実に嫌われるな」
麻衣「だとしても正直に話すべきよ」
直人「他に何か良い方法ないかな?」
湊人「とりあえず、司法試験を受けてみたら?」
◯藤川製薬・社長室
康二、デスクワークをしている。
ドアのノック音。
康二「どうぞ」
細塚、入室する。書類を持っている。
細塚「失礼します」
と、康二の前へ行く。
細塚「社長、頼まれていた書類、お持ちしました」
康二「ああ、そこに置いておいてくれ」
細塚、書類をデスク上に置き、社長室を後にしようとする。
康二「なあ、細塚」
細塚、立ち止まり、振り返る。
細塚「何でしょう?」
康二「私は良い父親だと思うか?」
細塚「どうして急にそんなことを?」
康二「私は息子を甘やかし過ぎだと娘に言われたんだ。私は良くない父親なのか?」
細塚「私は、良くない父親だとは思いません。むしろ良い父親です」
康二「なぜそう思う?」
細塚「息子さんはとても優しくて、誠実で、ご立派な方だからです」
康二「…そうか。そうだな」
◯直人のアパート・リビング(夜)
直人、ドアを開ける。訪問者は香恋。
直人「どうぞ、入って」
香恋、入室する。
香恋「あなたのお家、素敵ね」
直人「ありがとう」
香恋「ディナーは何時の予約だっけ?」
直人「7時半だ」
香恋「(腕時計を見て)あと一時間もあるわね。何して過ごす?」
直人「ああ…そうだね…ゲームとか?」
香恋「いいわね。何のゲームする?」
直人「マリオカートは?」
香恋「マリオカートは得意よ。祖父もカーレーサーだったし」
直人「カーレーサーって、あの…車でレースをする人?」
香恋「ええ、そう」
直人「へえ、すごいね」
香恋「でも、飲酒運転で捕まったけどね」
直人「それはひどいね」
香恋「懲役10年くらって、今も刑務所」
直人「つらいよね」
香恋「飲酒運転って懲役何年くらいが普通なの?」
直人「え?」
香恋「やっぱり10年くらいが普通?」
直人「ああ…」
香恋「あなた弁護士だし、弁護士だったら、そういうの詳しいでしょ?」
直人「…弁護士なら詳しいよ」
香恋「飲酒運転で懲役10年って、長いほうなの? それとも普通なの?」
直人「その……場合によるかな」
香恋「場合って?」
直人「あの…何ていうか…」
答えを待つ香恋。
直人「ダメだ。もう正直に話すよ」
香恋「ん? どういうこと?」
直人「実は、僕は弁護士じゃないんだ」
香恋「え?」
直人「本当はニートなんだ」
香恋「ニート? 私に嘘をついたの?」
直人「本当に申し訳なく思ってる」
香恋「何で嘘ついたの?」
直人「君に嫌われたくなかったんだ」
香恋「何それ?」
直人「本当にゴメン」
香恋、席を立つ。
直人「どこ行くの?」
香恋「もう帰るわ」
と、ドアを開け、部屋を出ていく。
直人「…」
◯広告会社・外観
◯同・オフィス
香恋、デスクで仕事している。
そこへ、麻衣が来る。
麻衣「香恋」
香恋「ああ、麻衣」
麻衣「昨日のこと聞いたわ。直人があなたに本当のことを話したんでしょ?」
香恋「彼、私に嘘ついてたのよ。最低よ」
麻衣「ええ、でも聞いて。直人が嘘をついたのは、あなたに好かれたいからよ」
香恋「それは分かってるけど…」
麻衣「それに、彼は、あなたが思ってるような悪い人じゃないの。私、直人とは長い付き合いだけど、彼が他人を傷つけるような嘘をついたのは今回が初めて」
香恋、黙って聞いている。
麻衣「彼はすごく良い人よ。それだけは分かって欲しい」
香恋、無言。
◯市街地
香恋、とぼとぼ歩いている。
横断歩道の前で立ち止まり、信号待ちをする。
香恋、ふと横を見ると、とある光景に目を見開く。
街路樹の上に登っている直人である。
直人、木の上から降りられなくなっている猫を捕まえて、木から降りる。
木の下には、飼い主らしき子どもがいる。
直人「はい、どうぞ」
と、その子どもに猫を渡す。
子ども「お兄さん、ありがとう」
直人「もう目を離しちゃダメだぞ」
子ども「うん、分かった」
と、その場を去っていく。
その様子を見ていた香恋。
香恋「…」
香恋、直人のもとへ行く。
直人、香恋に気づく。
直人「ああ、やあ」
香恋「どうも」
直人「仕事帰り?」
香恋「ええ」
直人「そうか」
間。
香恋「ちょっと聞いてもいい?」
直人「ああ、いいよ」
香恋「あなたは…その…どうしてニートをやってるの?」
直人「親が金持ちだから働く必要がないんだ」
香恋「これからも働くつもりはないの?」
直人「僕に働いて欲しい?」
香恋「分からない」
直人「僕も、ちょっと聞いていい?」
香恋「どうぞ」
直人「僕はまた君とデートがしたいんだけど、君はどうかな?」
香恋、少し間を空けて
香恋「考える時間が欲しいわ」
直人「つまり?」
香恋「私たち、友達でいましょ」
直人「友達?」
香恋「ええ、友達」
直人「そうだね。そうしよう」
香恋「良かった」
間。
直人「今から湊人たちと飲みに行くんだけど、一緒にどう?」
香恋「ええ、良いわね」
直人「ホント? 良かった。すぐそこの店なんだ」
香恋「行きましょ」
直人と香恋、肩を並べて歩いていく。
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