つまり、奈々になるということは ドラマ

趣味でセーラー服を着ていることが叔父にバレてしまった。僕は、ただ優しくされたいだけだった。
ウノカグラ 11 1 0 11/14
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第一稿

成田悠也(18)  …高校生
清水直樹(45) …成田の叔父
平井翔太(18) …成田の友達
佐々木奈々(18)…成田のクラスメイト

○ 成田家・玄関(夕)
   成 ...続きを読む
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成田悠也(18)  …高校生
清水直樹(45) …成田の叔父
平井翔太(18) …成田の友達
佐々木奈々(18)…成田のクラスメイト

○ 成田家・玄関(夕)
   成田悠也(18)、外から帰ってくる。

○同・リビング(夕)
   成田、中に入る。
   清水直樹(45)、ソファーに座り、テレビを
   見ている。
成田「あ……どうも」
清水「おかえり。姉さんは買いもの行ってる。も
 うちょっとで帰るんじゃないかな」
成田「そう、ですか」
   と、リビングから出て行こうとする。
清水「あ、なんか荷物届いてたよ」
   成田、一瞬固まるが、すぐ出て行く。

○同・成田の部屋・中(夕)
   殺風景な部屋。
   成田、ダンボールの箱を開ける。

○同・前(夕)
   清水、部屋の前に立っている。
   ドアをノックしようとする。

○同・中(夕)
   開けられたダンボールの箱。
   姿見に映る、セーラー服を着た成田。
   静かにドアが開き……。

○高校・教室・中(朝)
   成田、机に突っ伏している。
   前の席に座る平井翔太(18)、成田の頭を
   シャーペンでつつきながら。
平井「何? ついに失恋?」
   成田、しぶしぶ顔を上げる。
成田「多分、人生終わった」
平井「深くは聞かないけどさぁ……」
   佐々木奈々(18)、窓の外を見つめている。
   成田と平井、奈々を眺める。
成田「終わったのに、今日も佐々木は生きてるんだ
 よなぁ……」
平井「ろくに話したことないくせに」
成田「眺めるだけで十分なんだよ」

○成田家・成田の部屋(夜)
   清水、セーラー服を着た成田をカメラで撮
   る。
成田「直樹さん、そういう趣味あったんすね」
清水「悠也くんもね。言っておくけど、良いものを
 撮りたくなるのはね、写真家ゆえなんだよ」
成田「いつもうちに来るんで、てっきり無職かと」
清水「心外だな。あ、ここ寝てくれる?」
   と、ベッドを指差す。
成田「……いや、さすがに」
清水「それ着てるから大丈夫でしょ」
成田「……今日だけですよ」
   と、ベッドの上に寝転ぶ。
   清水、成田の上に跨る。
   シャッターを切っていく。
成田「なんか、変になりそう……です」
清水「まじで女の子みたいなんだけど」
成田「うるさいな」
   と、スカートの裾を掴む。
清水「昨日は驚いて聞けなかったんだけどさ、何で
 こんなことしてんの?」
   成田、カメラのレンズから目を逸らす。
清水「あ、答えたくなかったらいいけど」
成田「……笑わないでくださいよ?」
清水「どうかな」
   シャッター音。
成田「……僕は、クラスメイトの佐々木奈々になり
 たいんです」
清水「なりたい? なにそれ」
   と、馬鹿にしたように笑う。
成田「あ、笑った。性格悪いっすね、まじで。だか
 ら結婚できないんですよ」
清水「……そうかもね」
   と、少し寂しそうに笑う。
成田「あ、今のは冗談っていうか。言い過ぎまし
 た。すみません」
清水「いいって」
成田「まあ、その佐々木って子になりたくて、とい
 うか近づきたい? みたいな」
   清水、いつの間にかカメラを置いて、真面目
   に聞いている。
清水「そっか」
成田「おかしいってことは分かってるんですけど」
   と、起き上がって座り直す。
清水「おかしくないよ」
成田「だって、普通気持ち悪……」
   清水、成田を押し倒す。
清水「お前さ、肯定されたいの? 否定されたい
 の? 好きでやってることを『気持ち悪いね』っ
 て笑われたいわけ?」
成田「いや、それは……」
清水「おかしくないし、何ともないから。結構かわ
 いいし。大丈夫だよ。大丈夫だから」
   と、静かに成田が流した涙を指で拭う。

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