マイルーム・青春 恋愛

コロナ禍青春ラブコメが始まる?!
a//// 24 0 0 09/04
本棚のご利用には ログイン が必要です。

第一稿

マイルーム・青春

    


(人物表)
石倉圭吾(18)  高校三年生
霧島ななか(18) 高校三年生・幼馴染
石倉瞳(49)   母
石倉達郎(52)   ...続きを読む
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
 

マイルーム・青春

    


(人物表)
石倉圭吾(18)  高校三年生
霧島ななか(18) 高校三年生・幼馴染
石倉瞳(49)   母
石倉達郎(52)  父
石倉さな(16)  妹







○石倉家・圭吾の部屋
  新品のクーラーを見上げる。石倉圭吾(1
  8)、石倉瞳(49)、石倉達郎(52)、
  石倉さな(16)。
  ブォーンと勢いよく風が来る。
一同「おお~~~~!」
達郎「これで受験勉強に集中出来るな」
圭吾「え、そういう話?」
瞳「そういう話で買ったんでしょ」
圭吾「えーじゃあいらなかった」
瞳「あんたね、ちゃんと勉強しなさいよ」
達郎「そうだ、勉強第一!」
圭吾「分かったってば……」
瞳「じゃ、頑張ってね」
さな「頑張れー、バカ兄貴」
  瞳、達郎、さな、去って行く。
圭吾「はあー」
  がっくしと首を擡げる。

○石倉家・表
  蝉の鳴き声。
  霧島ななか(18)が、袋を持ってやっ  
  て来て、慣れた感じで玄関扉を開ける。
ななか「ごめんくださーい」

○同・圭吾の部屋
  勉強している圭吾。
  ペンをくるくる回していると、そっちに  
  気を取られてペン回しに夢中になる。
瞳の声「圭吾ー!」
圭吾「(びくっ)えーーー?」
瞳の声「ななかちゃーん」
圭吾「えっ!?」
  ポトリ、ペンを落とす。

○同・玄関
  2階に向かって叫ぶ瞳。
瞳「な・な・か・ちゃ・ん! 聞こえてんの
 かねえ?」
ななか「さあ?」
○同・圭吾の部屋
  圭吾、慌てて鏡を見ながら髪を整える。
圭吾「今日こそ……」
  あ、と鼻毛が出ているのに気付く。小さ
  い鋏を出して急いで鼻毛をカット。

○同・玄関
ななか「あ、おばさん、きゅうりとなす」
  ななか、袋を渡す。
瞳「(受け取り)悪いわねえ。いつもありがと」
ななか「全然。うちもトマト貰ったから」
瞳「そお? 圭吾、遅いけどあがってよ。序
 に勉強も教えてやって?」
ななか「(笑み)はい。おじゃまします」
  ななか、靴を脱いでいると、圭吾が2階  
  から駆け下りて来る。
ななか・瞳「?」
  圭吾、オールバックの髪型で壁に手を付
  け、斜め45度の角度で言う。
圭吾「呼んだか?」
  瞳、ぷっと笑う。
  圭吾、チッと瞳を睨む。
  ななかも、くすくす笑っている。
  圭吾、おかしいなあ、と襟足を掻く。

○同・圭吾の部屋
  新品のクーラーを見上げるななか。
ななか「へー、クーラー買ったんだ」
  圭吾、座って、髪型を戻しながら、
圭吾「まあな、受験勉強に集中するためだっ
 てさー」
ななか「(も座って)いいじゃん。圭吾、受験
 危ういし」
圭吾「たかがD判定だろ」
ななか「危ういじゃん」
圭吾「てか、ななかはどうだったんだよ、模
 試の結果」
ななか「私はA判定」
圭吾「へ、へえー。さすが優等生」
  ななか、ちょっと拗ねて、
ななか「別に優等生じゃないし」
圭吾「いや、優等生じゃん。学校では真面目
 だし、ツンツンしてる。俺の前では大口開
 けて笑ってんのに……」
ななか「だって、圭吾の前ではカッコつける
 必要ないもんねー。(と圭吾の問題集を見て)
 あ、ここ間違ってる」
圭吾「え? ああ、うん。(と消しゴムで消し)
 てか、何で? 何でカッコつける必要ない
 んだよ」
ななか「ん? 小さい頃から知ってる仲だし、
 家族みたいなもんじゃん?」
圭吾「家族、ね……」
ななか「違う?」
圭吾「半分ね。半分家族かな」
ななか「じゃ、もう半分は?」
圭吾「そりゃさ……」
  圭吾、じっとななかを見つめる。
ななか「……?」
圭吾「俺、さ……」
  ガチャ、ドアが開く。
達郎「お茶、持って来たぞ」
  達郎がお盆にコップを乗せて持って来た。
  圭吾、さっと問題集を取って読むふり。
圭吾「お、おう、サンキュ」
ななか「……ありがとうございます」
  達郎、にやにやしながらお茶を置く。
圭吾「何、笑ってんだよ」
達郎「別に? ちゃんと勉強してるか?」
圭吾「見りゃ分かるじゃん」
達郎「ふぅーん。では、ごゆるりと~」
  達郎、旅館の女将のようにしなやかなお
  辞儀をして出て行く。
圭吾「何なんだよ、気持ち悪い……」
  ななか、くすくす笑う。
圭吾「……?」
ななか「圭吾ン家ってやっぱ面白いね」
圭吾「そうかー?」
ななか「居心地いいわあー」
  ななか、はあーと寝そべる。
  圭吾、ちらと見る。
ななか「いっそ、この家の娘になろっかな」
圭吾「え!?」
ななか「クーラーもあって快適だし」
圭吾「結局クーラーかよ……」
ななか「だって私の部屋さー、ないんだよね」
圭吾「リビングにあるじゃん」
ななか「だからいつもそこで勉強するんだけ
 ど、2匹ワンちゃんいるじゃん? 集中出
 来なくて」
圭吾「だったら俺の部屋使えば?」
ななか「(起きて)いいの?」
圭吾「いいよ。10分1000円」
ななか「なんだ」
圭吾「嘘。好きに使えば」
ななか「ほんと? いいの?」
圭吾「その代わりにっちゃ、何だけど教えて
 欲しい事がある……」
ななか「何? 勉強?」
圭吾「怒んないでね」
ななか「何よ?」
圭吾「そのー、ななかってさ……」
ななか「……?」
圭吾「何カップ?」
  ななか、俯いたまま、すっと立ち上がる。
圭吾「へ……?」
ななか「死ね!」
  ななか、圭太の背中を蹴る。
圭吾「イッタ! 怒るなって言ったじゃん!」
ななか「このド変態! 最低!」
  ガシガシ圭太の背中を蹴るななか。
圭吾「違う、違うんだって! これが正常の
 男子なんですって!」
ななか「(フン)もういい! 帰る」
圭吾「え、帰んの?」
ななか「厭らしい事される前に帰る」
  ななか、ドアを開けて帰ろうとする。
圭吾「ちょ、待てって!」
  圭吾、バンとドアを閉める。
ななか「……?」
  圭吾、ドアに手をつけ斜め45度の角度
  で。
圭吾「夏だぜ? 夏休みだぜ? 高校最後の」
ななか「だから?」
圭吾「思い出作ろう」
ななか「は?」
圭吾「思い出、あんまし作れなかったじゃん? 
 修学旅行もコロナでパーだし」
ななか「んーまあね」
圭吾「それなのにいいのかよ!? 勉強しか
 しない夏で!」
ななか「(呆れ)D判定が言う?」
圭吾「……それは置いといて。ちょっとだけ
 ね。息抜きに、ね?」
  ななか、う~んと考えて、にっと笑む。
  ×   ×   ×
  ゲーム(ストリートファイター)をして  
  いる圭吾とななか。
圭吾「昇竜拳!!!」
ななか「あっ!」
  ななか、KO。
圭吾「イエーイ、はい、また俺の勝ちー、俺
 全勝~! ななかよっわ! よっわ!」
ななか「ムカつく……」
  コントローラーを置いて俯くななか。
圭吾「(聞こえないふり)はい~?」
ななか「絶対、勉強出来ないストレスを私に
 ぶつけてる!」
圭吾「そんなわけないじゃ~ん」
ななか「普段何も私に勝てる事ないからっ
 て、ゲームで仕返ししてるでしょ?」
圭吾「は? 勝てる事あるわ、腕相撲」
ななか「うわ、だっさー。女子に腕相撲勝っ
 てどや顔~?」
圭吾「はいはい、負け犬の遠吠えか?」
ななか「じゃ、もっかいやって」
圭吾「やんのか、俺に勝てると思ってんのか?」
ななか「ほら、出せ」
  ななか、机の上にドンと腕を出す。
圭吾「ま、やってやらん事もないけど」
  圭吾、ななかの手を取って、腕相撲の体
  制になる。
  真剣に見つめ合う二人。
圭吾「レディ……」
ななか「の前に」
圭吾「?」
ななか「Cだよ」
圭吾「え」
ななか「胸、私の」
  圭吾、え、え? と目が泳ぐ。
ななか「(にやり)ゴー!」
  ななか、圭吾の腕を押し倒す。
圭吾「あ!」
ななか「やったー! 勝ったー!」
圭吾「うわ、反則! ずっる!」
ななか「勝ちは勝ちでしょ」
圭吾「さ、最悪だ……。ななかに負けた」
ななか「これで一勝一敗だね?」
圭吾「……ま、いいけどさ」
  にやっと笑む圭吾。
ななか「?」
圭吾「聞けたしな、胸の大きさ」
  ななか、すっと立ち上がる。
圭吾「(制して)待って、待って!」
ななか「このド変態が!」
  ドカッと圭吾の背中を蹴るななか。
圭吾「イッテエ……」
  と背中を押さえる圭吾。
  ななか、くるっと踵を返す。
ななか「はあーもう帰るわ」
圭吾「(慌てて)も、もう?」
ななか「下らないしね」
圭吾「(ショック)下らないっすか……」
ななか「でも、面白かったよ」
圭吾「?」
ななか「いい思い出、出来た。大学入っても
 忘れないよ、こうして遊んだ事、きっと」
圭吾「何だよそれ。今生の別れみたいに」
ななか「だってお互い別々の大学だし……。
 県外だし。もうこうやって会う事もないで
 しょ」
圭吾「そんな事ないでしょ」
ななか「あるよ。彼氏彼女出来たりしたらさ、
 気軽に会えないじゃん……」
圭吾「そ、そっか」
ななか「(寂し気に)ね……」
圭吾「……」
ななか「そんじゃーね」
  行こうとするななか。
  圭吾、咄嗟に立って、ななかの腕を掴む。
ななか「(振り返る)……?」
圭吾「でも……さ、あれじゃね……?」
ななか「あれ?」
圭吾「俺らが付き合えば、また今まで通り会
 えるんじゃね?」
ななか「は?」
圭吾「それがいいよ、うん」
ななか「……バカじゃないの」
圭吾「え、違った?」
ななか「もっとさあ、そういう事はさあ」
圭吾「はい……」
ななか「夜景が見えるとこで言ってよ」
圭吾「や、夜景……?」
ななか「こんな殺風景な部屋じゃなくて」
圭吾「あ、はい。すいません」
ななか「別にいいけど」
圭吾「え」
ななか「付き合っても」
圭吾「いいの!?」
ななか「んーでもやっぱり、圭吾が無事に大
 学生になれるまで、保留って事で!」
圭吾「そ、そか、だよな……」
  がっくしと溜息する圭吾。
ななか「でもなあ、それまでに浮気するかも
 しれないしなあ」
圭吾「は? そんなんするわけ……」
  と、言い終える前に、ななか、つま先立
  ちして圭吾の頬にキスする。
圭吾「!?」
  ななか、照れて俯きながら、
ななか「私のって印つけといたから」
圭吾「(頬を押さえ)ふぁっ? へっ?」
ななか「取れないからね、それー」
  ななか、笑って去って行く。
  圭吾、照れ笑い。

                  (了)

この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
本棚のご利用には ログイン が必要です。

コメント

  • まだコメントが投稿されていません。
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。