○道路・横断歩道上
笑顔で幼稚園生の男の子が手を振っている。
幼稚園生「さようなら」
そこへ車がつっこんで幼稚園生がひかれる。
○花屋前
笑顔で店員の女性がパラソルを閉じる。
店 員「さようなら」
その頭上に大きな看板が落っこちてくる。
○駅・ホーム
杖をついた老人の男性が笑顔で立っている。
老 人「さようなら」
線路に老人が落ち、そこへ電車が滑り込んでくる。
○鈴木のアパート・寝室
鈴木(22)、がばっと目を覚ます。激しく息を切らしながら周囲を見回すと、ほっと息をつく。
○同・玄関
支度を済ませた鈴木、靴をはいてドアを開けようとうする。が、手がドアノブをすり抜けてしまう。
鈴 木「えっ……?」
外側からドアが開かれる。そこには笑顔の紳士。
紳 士「こんにちは。いらっしゃい」
鈴 木「はっ、えっ? だ――」
紳士、玄関に入って鈴木の手首を力強くつかむ。
紳 士「そして……さようなら」
満面の笑顔だが、目は笑っていない。(終)
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