置換する関係 恋愛

通勤電車の中で青木健(40)から痴漢行為を受ける成田楓(28)。最初は抵抗していたが、徐々に求められる事を嬉しく思うようになる。しかしそんな二人の距離は、新型コロナウイルスによって引き離され……。
マヤマ 山本 25 0 0 03/02
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第一稿

<登場人物>
成田 楓(28)OL
青木 健(40)痴漢

女性社員A、B 声のみ
女性客     声のみ



<本編>
○走る電車

○電車・中
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<登場人物>
成田 楓(28)OL
青木 健(40)痴漢

女性社員A、B 声のみ
女性客     声のみ



<本編>
○走る電車

○電車・中
   それほど混み合っていない車内。吊革につかまる成田楓(28)。その背後、通路を挟んで背中が向かい合う位置の吊革につかまる青木健(40)。尚、以降のシーンも含め皆、マスクを着用しており、人と人の間隔は広い(回想シーンは除く)。
   トンネル内に入る電車。振り返る楓。反射する窓越しに青木と目が合う。

○メインタイトル『置換する関係』

○(回想)駅・前
   行き交う多く人々。尚、以降も含め回想シーンでは皆、マスクは未着用で、人と人の間隔は狭い。

○(回想)駅・ホーム
   通勤通学の人でごった返している。列に並ぶ楓。やってくる青木、楓の後ろに並ぶ。気に留める様子もない楓。

○(回想)電車・中
   満員。押しつぶされそうになりながら必死に立っている楓とその背後に立つ青木。手を伸ばし、楓の尻を触る青木。
楓「!?」
   何度も青木の手を退けようとする楓。それでもしつこく触ってくる青木。
    ×     ×     ×
   駅に着き、降りていく青木。
   放心状態で取り残される楓。

○ニュース映像
   新型コロナウイルス関連のニュースが報じられている。

○駅・前
   閑散としている。

○駅・ホーム
   人の数は少なく、距離を取って並ぶ人々。その中に居る楓。その後ろ、距離を取って並ぶ青木。振り返り、青木を確認する楓。周囲の客に気付かれぬよう、半歩下がる。

○(回想)同・同
   一旦、いつもの列に並びかけるも思い直し、そこから遠く離れた列に並び直す楓。安堵の表情を浮かべるが、そこにやってきて、楓の後ろに並ぶ人影。恐る恐る楓が振り返ると、それは青木。
楓「!?」

○(回想)電車・中
   吊革につかまる楓と、その背後に立つ青木。楓の尻を触る。
   何度も青木の手を退けようとする楓。それでもしつこく触ってくる青木。楓の抵抗は徐々に弱まる。

○同・同
   駅に着き、降りていく青木。吊革につかまり、その背中を見送る楓。
   ホームに降り立ち、窓越しに互いを見合う楓と青木。

○会社・外観

○同・オフィス
   各々の席の間に仕切り板の設置されたオフィス。
   無言で黙々とデスクワークをする社員達、端の席には事務作業をする楓。OLの制服姿で、胸元には「成田」の名札。ため息をつく楓。周囲が静かなため、妙に響く。

○(回想)同・同
   仕切り板のないオフィス。皆和気あいあいと喋りながら仕事をしている中、一人黙々と事務作業をする楓。
   大きな笑い声が聞こえ、楓が顔を上げると、若い女性社員が男性社員達にチヤホヤされている。
楓「……」
   楓の視線に気づき、声量を落とす社員達。ため息をつく楓。しかし周囲の音でかき消される。

○(回想)同・トイレ
   個室で用を足している楓。
女性社員Aの声「ねぇ、明日の合コン、京子ちゃん来れなくなっちゃったんだって」
女性社員Bの声「え~、じゃああと一人どうすんの?」
女性社員Aの声「……成田さんとか?」
女性社員Bの声「いや、無いわ~。あんな陰キャな人」
   女性社員A、Bの笑い声。
楓「……」

○(回想)駅・ホーム
   列に並ぶ楓。隣には若い美人な女性が立っている。そこにやってくる青木。迷わず楓の後ろに並ぶ。

○(回想)電車・中
   吊革につかまる楓。隣には先ほどの若い美人な女性が立っている。楓の背後に立つ青木。楓の尻を触る。
楓「!?」
   抵抗しようと手を伸ばしかけるも、その手を止める楓。
青木「?」
   楓の尻を軽く揉む青木。それでも抵抗しない楓。笑みを浮かべる青木。

○同・同
   ドア脇の手すりにつかまる楓、そこから一番近い吊革につかまる青木。周囲に気付かれないよう、楓の尻に向け手を伸ばす青木。しかし届かない。それに気付き、周囲に気付かれないように青木に向け尻を突き出す楓。しかし周囲の乗客に視線を向けられ、慌てて元の姿勢に戻る楓と青木。

○(回想)駅・ホーム
   列に並ぶ楓。後ろに別の男が並ぶ。そこにやってくる青木の姿を見つける楓。男に前を譲り、最後尾に並び直す楓。その後ろに並ぶ青木。

○(回想)電車・中
   吊革につかまる楓とその背後に立つ青木。楓の尻を触る青木。青木の手に自身の手を添える楓。
女性客の声「この人、痴漢です!」
   慌てて手を引く青木、周囲を見回す楓。同じ車両内の別の場所で、痴漢と思しき男性を周囲の客が取り押さえている。その様子を見て安堵する楓と青木、互いに目が合い、笑みを浮かべる。

○同・同
   青木が降りた後の車内。
   吊革につかまる楓。無意識に手を伸ばし、自分で自分の尻を触る楓。ハッと気づき、慌てて止める。周囲を見回すも、気づかれていない様子。

○会社・オフィス
   事務作業をする楓。体をさすり、一枚上着を羽織る楓。

○(回想)電車・中
   吊革につかまる楓とその背後に立つ青木。楓の尻を激しく揉みしだくように触る青木と、それに対して無抵抗な楓。
    ×     ×     ×
   別日。楓の手を取り、自らの股間に添えさせる青木。されるがままの楓。
    ×     ×     ×
   さらに別日。楓のスカートの中に手を入れる青木。悶えながらも周囲に悟られないように耐える楓。吊革につかまる手に力が入る。

○会社・オフィス
   仕事に身が入らない様子の楓。席を立つ。

○同・トイレ
   個室で自慰行為に耽る楓。入口のドアが開く音がし、慌てて止める。

○走る電車(夜)

○駅・ホーム(夜)
   電車から降りてくる楓。出口へ向かう階段を上り始めるも足を止め、ホームに戻り、ベンチに腰を下ろす。尚、ベンチの座席には一つおきに「使用禁止」の紙が貼られている。
    ×     ×     ×
   ベンチに座る楓。次々と電車が到着し、続々と人が降りていく様子を眺めている。
   やがて、楓の二つ隣の座席に腰を下ろす人影。楓が視線を向けると、それは青木。見つめ合う二人、互いへ少しずつ手を伸ばす。「使用禁止」の席の上、近づいていく二人の手。やがて触れ、握り合う。
                  (完)

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