また一興
人物
トッキ(大塚ときや) 男
メグ(入道めぐり) 女
まこと 男
まーちゃ 女
人形1,2(まーちゃ)
トッキが歩いてくる。扉が置いてある。
トッキ なんで、こんなとこにトビラ?
トッキが近づこうとすると、不意に扉が開いて、メグが出てくる。
トッキ えっ、、、?
メグ あなた、ときやくんね?
トッキ えっと、、はい。
メグ 私は入道めぐり。私は未来から来たの。
トッキ み、らい、ですか?
メグ ええ。ときやくん。あなたの十二年後の未来、どうなってると思う?
トッキ 、、、ど、どうなってるんですか?
メグ あなたの息子が殺人を犯して死刑判決を受けてしまっているの。
トッキ 僕の、、、息子が?
メグ ええ。未来のあなたはそれが自分のせいだと自らを追い込んでしまっている。そして、未来の明日、あなたは自殺してしまうの。
トッキ そ、そんな、、、なにか方法は?
メグ あるわ。
トッキ お、教えてください!
メグ その方法は、、、この私と結婚することよ!
トッキ 、、、、え?
メグ 今回起こってしまった息子さんの殺人。それはすべてあなたの未来の奥さんが原因なの。
トッキ は、はぁ、
メグ だからそれを止めるためには事情を知っている私と結婚するしかないってこと!
トッキ 、、、な、なるほど?
メグ だから、今日はそれを伝えに来たの。
トッキ そ、それ?
メグ ええ。ときやくん、私と付き合って!
トッキ 、、、ごめんなさい。
メグ えぇぇぇぇー。なんでぇぇぇぇぇ?
メグがうなだれる。
トッキ いやぁ、最後が甘かったなぁ。
メグ えっそう?
トッキ うん。いっつも告白に先走りすぎ!もっとじっくり設定はあったら面白かったのに。
メグ じゃあそのときは、!
トッキ 付き合わないけど!
メグ なんでよ。
トッキ だから、一番最初に言ったよね?俺は別に誰とも付き合う気はないって。
メグ 言ったけど、、、
トッキ 何回目だっけ。
メグ うんと、、、二十五回目、、、かな!
トッキ いい加減諦めてよ、、、
メグ だってぇ、好きなんだもん
トッキ そう言われてもねぇ。
メグ それに毎回ときやくんもノリノリじゃん。
トッキ 設定は面白いし、部活のために演技の練習しようかと。
メグ もてあそんでる?
トッキ いや、最初はそりゃ真摯に受け止めて「ごめんなさい」って言ってたけどねぇ。二十五回ともなると、、、
メグ 回を重ねることが逆効果になってるの!?
トッキ うぅん。とゆうより、だんだん告白の仕方がおかしくなってることに問題があるんじゃない?
メグ それ変えたら付き合ってくれるの?
トッキ それはわかんないけど、てゆうか、この扉、どうしたの?
メグ 備品室に立ててあった。
トッキ 持ってきたの!?
メグ まあね!
トッキ いやなんで自慢げ。バレたら怒られない?
メグ 大丈夫よ。こぉーっそり持ってきたから。、、、ってなんで普通に喋ってんのよ!
トッキ え?
メグ 私今振られたよね?え、忘れられてる?なかったことになってる?
トッキ てゆうか告白のしすぎで、一回一回が軽くなってるよね。
メグ これじゃ意味無くない?私ただ告白しまくってる変人じゃない?
トッキ まあ、一理あるね。
メグ あーもう!じゃあどうすればしっかり伝わるのよ!
トッキ いやすごいしっかり伝わってきてるんだけどね。
メグ また次しにくるから!次はぜぇったい、OKさせるんだから!いい?顔洗って待ってなさいよ!
トッキ これ喧嘩なの?
メグが歩き始める。すぐに振り返る。
メグ あっその扉戻しといて。
トッキ え?いやだ。
メグ無視して退場。
トッキ えっちょっと、おい!、、、えー。これ、運べるかな?くっそなんなんだよあいつ。
トッキ扉を持ってブツブツ言いながら退場。
暗転。台が置いてあるところにトッキが歩いてくる。後ろからまことが追いかけてくる。
まこと トッキ!
トッキ ?あぁまこと。
まこと 今日はもう終わった?
トッキ 終わった?なにが?
まこと いつものだよ。告白。
トッキ ああ。ついさっき。
まこと 今日はなんだった?
トッキ 未来から来てた。
まこと 未来?
トッキ うん。
まこと なんだ、それ。
トッキ 途中まではよかったんだけど、爪が甘かったかな
まこと 次の公演のネタになりそう?
トッキ まあ、あの扉の感じはよかったかな
まこと 扉?
トッキ うん。扉がなんかタイムマシーンみたいになってて。
まこと ほうほう。今んとこドラえもんだな。
トッキ で、メグがそこからでてきて、
トッキが説明しているときに、台の裏からパペット人形が二匹出てくる。人形1と人形2はどちらもまーちゃが喋る。人形の形状はなんでもよい。
人形1 ねえしっかりして!
人形2 はっ!ごめん!しっかりしろ俺!
トッキとまことが人形に気づく。人形が会話をしている。
まこと あれって、、、めぐりさん?
トッキ 、、、たぶん。
人形1 死んでしまうにはまだ気が早いわ!
人形2 わかってる。まだ可能性はある、、、姫を助けられる人を探すんだ!
人形1 ええ。あれっ、あの人はどう?
まこと うわっ。こっち見た。
人形2 どれどれ、、、おぉ!素晴らしい!
人形1 でしょう!?
人形2 彼こそ姫を助けられる王子に違いない!
人形1 すいません、そこの方!
トッキ 、、、
まこと おい、返事してやれよ。
トッキ 、、、はい。
人形2 あなたお名前は!?
トッキは一度ため息をついて、覚悟を決めたように、グッとする。
トッキ 大塚ときやです!
人形1 ときやさん、、、いや、ときや王子!
まこと ときや王子?(笑)
人形2 私たち人形は三組に住むめぐり姫の秘密の魔法で意思をもっていられるんです。
トッキ ほう。(ちょっと興味をそそられて前のめりになる)
人形1 しかし三日前北の闇の森からやってきた魔女に姫は呪いをかけられてしまいました、、、
人形2 その呪いは我々の力ではどうすることもできません、、、
まこと どんな呪いなんですか?
人形1 あなたは黙って!村人A!
まこと えっ、俺への当たり強くね?
トッキ どんな呪いなんですか?
人形2 それは、、、彼氏がいないとやる気がでない呪い
トッキ 、、、惜しい。
人形1 彼氏がいないとやる気がでず、姫は三日間眠りっぱなしなんです!
まこと 惜しいな
人形2 なのでどうか、ときや王子!姫を、姫を助けてください!
人形1 姫の彼氏に!
まこと 、、、止める?
トッキ そーだね。
トッキが台に近づく。
トッキ メグさん、告白は一日一回まででお願いします。
トッキが台を動かそうとするが、重くて動かない。
トッキ えっ、おっも。どうなってんのこれ。重りでも入れてるの?
人形1 おっ王子!おやめください!
人形2 私たちが死んでしまう!
トッキ まこと、手伝って。
まこと おっけー
人形1 村人Aは近づくな!
まこと だから、俺の当たりだけ強くない?
トッキとまことが二人で台を動かす。人形はワーワー喚く。
二人 せーの!
動かした裏にまーちゃがバツが悪そうに屈んでいる。両手にはパペット人形。
まこと だれ!?
トッキ まーちゃ!
まこと まーちゃ?
トッキ メグの唯一の友達。
まこと めぐりさんそんな友達いないの。
まーちゃ ちがうよトッキくん。唯一の友達なんじゃなくて、唯一無二の親友なの!
まこと それ、さっき言ったのと何が違うの?
まーちゃ 特別なの!村人A静かに!
まこと はい!
トッキ まあそれは置いといて!まーちゃはなんでメグのフリを?
まーちゃ フリじゃないよ。
トッキ え違うの?
まーちゃ メグちゃんに頼まれてて。
トッキ 頼まれて?
まーちゃ うん。このあと、私は三組に行ってってトッキ君に言う予定だったの。
トッキ なるほど。じゃあ今は三組にメグがいるの?
まーちゃ うん。机四個並べて寝てる。
まこと なんだそれ(笑)
まーちゃがまことを睨みつける。
まこと うす。黙ります。
まーちゃ だからトッキ君。ここは上手くいったってことにして、三組に行ってあげてくれない?
トッキ えっ、えぇ、、
まーちゃ お願い!メグちゃん今回のは自信作なんだって言ってたの!今頃ほんとに寝ちゃってるかも。
トッキ 寝ちゃってるならそーとしておこうよ。
まーちゃ そうじゃなくて!
まこと トッキ、まあ行ってあげようぜ。少なくとも想いは届いてるだろ?
トッキ 届きすぎてるね。
まこと だからさ、
トッキ えー。
まーちゃ 村人A!
まこと はい!
まーちゃ 、、、ないす!
まこと えっ、あざす!
トッキ う、うぅん。
まこと 頼む!(同時に)
まーちゃ お願い!(同時に)
トッキ はぁ、、、わかった。
まーちゃ ほんと!?
トッキ ただし別にOKするとは言ってないからな。
まーちゃ いいの!そこは全然いつも通りだから!
まこと せめて信じてあげろよ。
まーちゃ 行くことに意味があるの!そうと決まれば、早く行ってあげて!ずっと机の上に寝てると思うと不便で可哀想なの!
トッキ それは自分でやりだしたことだろ。
まこと よっしゃじゃあ行こうぜ。
トッキ 、、、おう。
トッキが歩き出す。それに続いてまことも着いていく。
まーちゃ 村人A!
まこと えっはい!
まーちゃ あんたはここに残りなさい!
まこと えーーー!?なんで!?こっからがおもろいんじゃん?
まーちゃ メグちゃんは毎回本気なの!あんたみたいなのがそんなお気楽に見ていいものじゃないの!
まこと むぅ、、、それは確かに。告りすぎて忘れてたけど、めぐりさんは純愛なんだもんね。
まーちゃ そう。メグちゃんは、、、その表現がちょっと苦手なの。
まこと 、、、よく知ってるね。
まーちゃ そりゃ親友だからね!
まこと ははっ、さすが!唯一無二だけあるな!
まーちゃ 今は応援することしか出来ないけど、きっとうまくいくって信じてるから、
暗転
教室。一つの机の上にメグが座っている。トッキが入ってくる。
トッキ 起きてんじゃん。
メグ きっ来たの!?
トッキ 姫は起きてるけど。
メグ 遅いからやっぱりまーちゃ失敗したのかと、、、
トッキ いや失敗したんだけど、行けって頼まれて。
メグ まーちゃ、、、なんて素敵な子なの、、、
トッキ 台無しだけどね。
メグ はっ!くそ!
メグが一つの机に横になる。体が飛び出して仰け反る。
トッキ 、、、
メグ (棒読み)あぁ、やる気でないなぁ。誰か助けてくれないかなぁ。
トッキ 、、、
メグ 、、、無理無理!おしまいよ!失敗失敗!
トッキ とゆうかそもそもまーちゃが全部設定教えてくれたから、もし寝ててもそれはそれで面白かったけど。
メグ どっちみち失敗じゃない!
トッキ そうゆうこと。
メグ 、、、はぁ。ほんとことごとく上手くいかないわ。
トッキ でもパペット人形使うのは面白かったよ。
メグ パペット人形?
トッキ え、知らないの?
メグ うん。何それ。
トッキ 手に突っ込んで喋るヤツ。
メグ それは知ってるけど、私それ用意してないわよ。
トッキ じゃあまーちゃが独自でやったのかな。
メグ そんなものまで、、、まーちゃ大好き。
トッキ それも全部水の泡だけどね。
メグ もう言わないで!
トッキ ははは、、、。
メグ あぁ、次の考えなくちゃ。
トッキ 次?
メグ そうよ。次の告白。
トッキ あー、それ本人に言っちゃうんだ。
メグ もう吹っ切れたわ!もう隠したって私がときやくんが好きなのはバレてるから。次は特大のを考えてくるから!
トッキ 、、、二十、、、五回目だっけ?
メグ なにが?
トッキ 告白。
メグ あぁ。え?二十六回目じゃない?
トッキ 朝二十四回目って言ってた気がする。
メグ そうだっけ。、、、じゃあ二十五回!
トッキ 全部どんな設定だったかおぼえてる?
メグ あったりまえよ。最初は普通に告白したでしょ?次は手紙。その次は殺人予告。で、次に宇宙人で、その次が、
トッキ わかったわかった!全部言わなくてもいいよ。
メグ そう?これだけ頑張ってるって思って貰えた?
トッキ 十分伝わってます。
メグ それでこの反応なら先はまだまだ長そうね。
トッキ 、、、でも、今回まだ例の言葉を言ってなくない?
メグ 例の?
トッキ ほら、例のさ、その、、、あれだよ。
メグ 何よ。あれじゃわかんないわ。
トッキ さんざんやっといてわかんないのかよ。
メグ え?なんて?
トッキ ダメだこりゃ。
メグ えぇ。なに?私、なにか忘れちゃってる?
トッキ 、、、ふっ、あーー、もう!わかった!じゃあ三十回行ったら!
メグ え!?三十回?
トッキ 三十回目で付き合う!
間
メグ 、、、えっ!えっえぇ!ほんと!?
トッキ ほんと!
メグ ほっ、ほんとにほんとに!?
トッキ ほんと!
メグ どうして急に!?
トッキ 伝わった!
メグ ほんとっ!?
トッキ そうゆうこと!
メグ ひぃぃぃ!
トッキ その代わりあと五回。めっちゃくちゃ面白くしろよ!
メグ まっ、まっかせて!設定作るのは大得意よ!
トッキ よし!じゃあ俺は帰る!
メグ えっ私も!
トッキ じゃあ帰るぞ!
トッキが退場。メグは立ち尽くしたまま。
メグ 、、、やった!
舞台外トッキ 早く行くぞー?
メグ あっ、うっうん!
メグ走って退場。
終了
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