来たぞ我らがエクストラマン 舞台

典型的なダメ大学生の生活を送る主人公、シンドウ=ハヤト。 ある夜ふらっと外に出たところ、謎の赤い球と激突してしまう。赤い球の正体はアポストルと名乗る異星人だった。 激突のショックでシンドウの命は危険にさらされている。助けるにはシンドウとアポストルが一体化するしかない。 不満はあれど一体化を了承するシンドウ。だがそれは侵略者との戦いの日々の始まりだった・・・。
松横丁 32 0 0 07/29
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第一稿

登場人物
シンドウ=ハヤト(シンド)・・主人公。自分をクズだと卑下する理系三流大学生。
アポストル(アポス)・・・・・銀河の彼方からやってきた光の戦士「エクストラマン」。
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登場人物
シンドウ=ハヤト(シンド)・・主人公。自分をクズだと卑下する理系三流大学生。
アポストル(アポス)・・・・・銀河の彼方からやってきた光の戦士「エクストラマン」。
ナナセ=ダイシ(ナナセ)・・・シンドウの幼馴染でゲーム友達。文系三流大学生。
シンドウ=ケン(ケン)・・・・シンドウの父。期待故にシンドウに厳しく当たってしまう。
シンドウ=マリ(マリ)・・・・シンドウの母。ケンからシンドウを庇う。
フジタ=アキ(フジタ)・・・・シンドウが片思いしている相手。研究室の同期。
イシノ=ミツル(イシノ)・・・シンドウに強く当たる研究室の先輩。
ガメオ星人ガガ(ガガ)・・・・地球侵略の命を受け、アポストルと闘う宇宙人。
ガメオ星人統制官(統制官)・・ガメオ星人のボス。
隊長(隊長)・・・・・・・・・アポストルの上司。
アナウンサー(アナ)・・・・・ニュースのアナウンサー

本文
プロローグ 世界中が君を待っている
ダークオープン。
ステージ(あるいはホリに投影した映像)に赤と青の球体が現れる。
2つの球体は何度も激突する。赤い球体から放たれた光線を受けて青い球体は爆散する。
一方で赤い球体もフラフラとホリに投影された地球へと向かって行く。
暗転。

一場 自分で自分を苦しめているシュウジン
鍵を開けるSE。下手サスCI。下手サスの中にはマリとケンがいる。

マリ  おかえりなさい。
シンド (ボソボソと)ただいま。
ケン  ハヤト、話がある。

シンドウ、ケンの方を向く。
ケン、手に持っていた紙をシンドウに突きつける。

ケン  前学期の成績だ。なんだこれは!不可が半分、残りも全部可!
シンド 先生と相性が悪くて・・。
ケン  いやこれはそういうレベルじゃないだろう! 
マリ  そんな、ハヤトだって頑張ってるんですから。
ケン  頑張ってたらこんな成績にはならん!
シンド (ボソボソと)俺は父さんみたいに出来が良くないんだよ。
ケン  なんだって?
シンド 明日も早いから上行くわ。
ケン  待ちなさい!
マリ  (遮るように)あなた!

ケンとマリの口論をよそにシンドウは下手サスを出る。
階段を登る足音のSE。ドアを開けるSE.中央大サスCI。下手サスFO。
シンドウ、中央大サスの中へ。中央大サスの中にはヘッドセットとゲームのコントローラー、望遠鏡が置いてある。
シンドウ、ヘッドセットを装着し、コントローラーを持つ。
着信音SE。上手サスFI。上手サス内にはヘッドセットをつけ、コントローラーを持ったナナセがいる。

ナナセ おっす。
シンド うぃーす。
ナナセ じゃあ早速イベクエ回しますかぁ!
シンド オッケー。俺部屋立てるわ。
ナナセ りょー。

シンドウ、パチパチとボタンを叩く。

シンド そういやユウジは?
ナナセ いや昨日さー、てか今日なんだけど結局3時・・・
シンド 半だな。
ナナセ あ、そうそう3時半まで素材集めしてたじゃん?
シンド うん。
ナナセ (笑いをこらえられず)で、今日2限必修単位のテストだったんだけど・・。
シンド あーちょっとオチ見えてきたわ。
ナナセ いやもうほんと想像通りなんだけど、あいつ見事に寝坊して。
シンド いやあほだなー。
ナナセ で、あいつ留年確定にリーチかかってっから、家族会議だって。
シンド え、あと1単位落としたら留年ってこと?
ナナセ そうそう。いや俺も結構笑えないっちゃ笑えないんだけど。
シンド 俺も危うく親父の説教タイム食らうとこだったわ。
ナナセ え、マジで。なんだかんだシンドウ成績良かったし大丈夫だと思ってたわ。

シンドウ、「しまった」という表情になる。

シンド お前それ中学の時のイメージじゃん。
ナナセ いやつっても、つってもよ。寅究高校の奴は違うと思ってるわけさ。
シンド でも結局湊大だしな。
ナナセ うーん・・・まあ冷静に考えてこんだけゲームやってるやつが成績優秀なわけねえ    か。
シンド そうそうこんなクズ大学生中々いないからな。

シンドウ、ナナセ笑う。しかしシンドウの笑いはひきつっている。

シンド あ、部屋できた。
ナナセ どーもどーも。
シンド ユウジいないし、野良で誰か募集する?
ナナセ そうだな。前評判的に二人じゃきついべ。

マッチングアプリの通知SE。
シンドウ、スマホを見る。

ナナセ ユナイツ?
シンド うん。てかパーティ成立したからクエスト始めるわ。
ナナセ (呟く程度の音量で)外国人か、属性わかってるやつだといいけど。

ラッパのSE(ゲーム内音声)。
シンドウ、スマホを操作し、ため息をつく。

ナナセ どうした?
シンド またブロックされた・・。
ナナセ あー、なるほどぉ?
シンド 会いたいっつうから顔写真送った途端にこれだよ。
ナナセ まあ、マッチングアプリってそういうもんじゃね?俺も30回くらいブロックされ    てるし。
シンド 30⁉果てしないな!
ナナセ 1回だけ会えたけど、それもなんか『ぶつかり稽古帰りですか?』みたいな女だっ    たしな。
シンド クソ失礼だなお前!
ナナセ いや本当に迫力やばかったんだよ、このモンスターみたい(正面を指して)。
シンド つーか、やばくね?早く角折れ、角!
ナナセ 角、角・・。あーもう、射線上に立つなっっつーの!

爆発音SE。
コントローラーを落とすシンドウ。

シンド まじかー。
ナナセ 野良じゃ厳しいかー。
シンド あ、なんか外国の人からメッセージ来てる。「ユーアーアスホール」だって。
ナナセ どういう意味?

シンドウ、スマホをいじる。

シンド なんだろ、ドンマイ的なアレか?・・・はあー!?
ナナセ ど、どうした!?
シンド 『このクソ野郎!』だとさ。
ナナセ はあー!?こいつのせいで失敗したのに、ってもう抜けてるし!
シンド はー、やってらんねー。

シンドウ鞄から空き缶を取り出す。
ナナセ、スマホを見る。

シンド あれ、空じゃん。
ナナセ 何が?
シンド 酒だよ酒。買ってくるわ。
ナナセ あ、そう。なんかバイト先から明日ヘルプ入れって連絡きたから先抜けるわ。
シンド マジか。まあいいや一人で呑も。
ナナセ またあのおでん屋台?
シンド あーそうそう。
ナナセ 好きだねー。じゃあまた今度。
シンド おいっすー。

シンドウ、下手へはける。
ナナセ、懐から煙草を取り出して吸う。

ケン  ハヤト!こんな夜遅くにどこ行くんだ!?
シンド 忘れ物。

中央大サス&下手サス、道明かりCF。
フクロウSE。

下手から千鳥足でシンドウが道明かりに入ってくる。

シンド ったく、どいつもこいつもなめやがって。

ホリに赤い球体が映る。
シンドウ、正面を見る。

シンド なんだあれ?赤い・・・流星?なんか速くね?

赤い球体、みるみる大きくなる。

シンド えっ、ちょっ、こっち来て・・!

シンドウ、後ろへ逃げようとするももたつく。
爆発SE。舞台全体が真っ赤に染まる。
シンドウ、ふらふらと中央サスの位置へ行き、横たわる。
中央サスFI。

シンド 誰だ、そこにいるのは

ホリにアポストルの姿が浮かび上がる。

アポス 私はパラージ星雲から来た宇宙人だ。
シンド 宇宙人!?

シンドウ、飛び起きる。

シンド 嘘だろ!?
アポス 嘘ではない。ハロウィーン以外の日は嘘をついてはいけない、そうだろう?
シンド それを言うならエイプリルフール。いやハロウィーン知ってる時点でなんでっ      て感じではあるんだけど。
アポス 緊急事態故、君の言語中枢から地球語をラーニングさせてもらっている。
シンド 緊急事態?
アポス そうだ。君と私は今、死の淵にある。
シンド 死って、なんで!?
アポス 君たちが火星と呼ぶ惑星の近くで私は凶悪な怪獣と交戦した。結果、怪獣の討伐に    は成功したものの、私も深手を負い、この星に墜落してしまった。
シンド あっ、あの赤い球・・。

アポストル、頷く。

アポス 辛うじて人口密集地を避けることができた。だが、落下地点には君がいた。

間。

シンド 俺、死ぬん、ですか?
アポス いや、決して死なせない。ただそれには君の協力が必要だ。
シンド 俺の?
アポス そうだ。君と私が一体化し、一時的な生命力の底上げを図る。
シンド それで?
アポス その間に私が君と私の肉体を修復する。そして分離すれば君は今ままで通りの生活    を送ることができる。
シンド なんか、不安だな。
アポス ヘァッヘッハ…心配スルコトハナイ…。
シンド いやどんな笑い方だよ。余計心配になるわ。
アポス すまない。まだ地球人の感情表現に慣れていないのだ。
シンド そういう問題なのか・・・。
アポス 肉体の修復には数日かかってしまうが、どうか耐えてくれないか。
シンド まあ、死ぬよりはマシか。えーっと、パラージ星雲人さん?
アポス 私の名は・・・君たちに発音可能な言葉で表すとしたら、そう、アポストル。アポ    ストルと呼んでほしい。
シンド わかった。アポストル、よろしくお願いします。
アポス ありがとう。では、一体化を始める。デラックスしてくれ。
シンド ・・・リラックスだと思うんだよな。

暗転。

二場 Take me higher
中央大サスCI。シンドウが座布団を枕に寝ている。
シンドウ、起き上がる。シンドウの腕にはブレスレットが新たに装着されている。

シンド あー、頭いてー。

シンドウ、あたりを見回す。

シンド ははっ、まあ、夢だよな。宇宙人なんてんな馬鹿な・・・。

アポストル、下手から入りながら。

アポス シンドウ!二日酔いにはしじみの味噌汁が効くそうだ!御母堂に作っていただいて    はどうだ?
シンド (食い気味で)ちょいちょいちょいちょい!

シンドウ、アポストルを指さして。

シンド ホントにいるし!そんでなんかめっちゃ馴染んでるし!
アポス なんだ、まさか夢だと思ったのか?
シンド いや、まあ。
アポス 全く、アルコールの摂取はほどほどにすることだ。そうだ、そこに昨日買ったス     ポーツ飲料があるから飲みなさい。
シンド あんたほんとに宇宙人なんだよね?

シンドウ、ポカリを飲む。

シンド ていうか、え、普通にいる感じ?
アポス 安心してくれ。私の姿はあくまで一体化している君にしか見えない。
シンド 安心。安心なのかな?
アポス 実体のない、そうだな、幽霊のようなものだと思ってほしい。
シンド 幽霊か。じゃあ、俺がアポストルに触ったり・・・
アポス 逆に私が君に触ることも不可能だ。
シンド なるほどね。
アポス ところで1つ聞きたいことがあるのだが。
シンド 何?
アポス そのデバイスが先ほどから一定間隔で警告音のようなものを鳴らしているのだ      が・・。

アラームSE。

アポス そう、これこれ。
シンド やっべ!遅刻だ!

シンドウ、走って下手へはける。

アポス シュワッ!

アポストル、シンドウを追いかけて下手へはける。
中央大サスFO。
下手サスCI。

アポス (袖から)地球にも高等教育機関が存在するのだな。

食器ののったお盆を持ったシンドウが入ってくる。シンドウはあたりをキョロキョロと見回している。あとからアポストルも入ってくる。

シンド ああ、大学のこと?
アポス (頷いて)しかし、なぜ皆教官の話を聞かないのだ?
シンド まあうちはFランだから。
アポス シューマッハの? 
シンド それはF1。
アポス ところでさっきから何をしている?
シンド 席探してんの。
アポス 席か。友人と一緒に食べてはどうだ?
シンド (顔をしかめて)嫌味かよ。
アポス (首をかしげて)いや、あれを見てな。

アポストル、上手を指さす。シンドウ、その指の先を見る。
中央大スCI。中にはイシノとフジタとその他研究室の面々が座っている。
イシノ、シンドウに手招きしている。
シンドウ、一瞬顔をしかめるがすぐ真顔に戻る。
シンドウ、お辞儀をして手前サスへ。アポストルもついていく。
下手サスFO。

シンド イシノさん、どうも・・・。
イシノ シンドウクンってマジでボッチなんだな。
シンド はは、まあそうスね。
イシノ ま、座れ座れ。

シンドウ、空いている席(フジタの隣)に座る。
フジタ、シンドウに微笑みかける。シンドウ、ぎこちない笑顔になる。
イシノ、シンドウの肩を乱暴に叩く。

イシノ あれだあれ、あの話してくれよ。
シンド あの話ってなんですか?
イシノ とぼけんなよ。あのゲームサークル抜けたときの話。
シンド いや、それはちょっと・・。
イシノ 何?いやなの?
シンド いや、そんなことは・・・。
イシノ じゃあいいじゃん。はい皆注目注目。
シンド いや、そんな面白い話じゃないんですけど・・・。

間。

シンド いや、俺一年の時ゲームサークルっての入ってたんですけど・・。
イシノ あのめっちゃ汗臭そうなキモヲタばっかいるとこだろ?
シンド いや、はは。それで、最初の飲み会でメッチャお酒すすめられたんスけど、俺調子    にのって飲みすぎちゃって。それで・・・吐いちゃって。うちの大学アルハラ厳しいんで、新入生吐かせたってことで大学の公認サークルから外されちゃったんスよね。
イシノ ギャハハ!やっべー、シンドウクンサークルクラッシャーじゃん!意味ちげーか!

イシノ以外は誰も笑っていない。

シンド あ、はは。面目ないです。
イシノ それでもう居づらくなって、抜けたわけ?
シンド まあ、そうですね。
イシノ その後もどこにも入んないでいまだにボッチ飯!と。いやーシンドウクンやべー!

シンドウ、愛想笑いする。
イシノ、腕時計を見る。(腕時計は大学生にしては高級そうなものを)

イシノ やべっ、バイトじゃん。あ、そうだ。シンドウクン片付け頼むワ。
シンド あっ、はい。

イシノ、周囲に話しかけながら立ち上がる。
イシノが振り向く際、シンドウに当たってシンドウは顔面から食器に突っ込んでしまう。

イシノ あ、ワリ。じゃ、あとは頼むワ。

イシノ、他の研究室メンバーと笑いながら下手へはける。
顔を上げたシンドウにフジタがティッシュを渡す。

フジタ シンドウ君大丈夫? 
シンド あっ、あっ、ありがとう。フジタさん。
フジタ 同期なんだからフジタでいいって。
シンド う、うん。ありがとう。
フジタ (イシノの盆をもって)これは私が片づけておくから・・・あっ、イシノさんには内    緒ね。
シンド う、うん。ありがとう!
フジタ じゃあね。

フジタ、小さく手を振って下手へはける。
シンドウ、手を振り返し、フジタが去ってもなお振り続ける。

アポス ふむ、若さだな。
シンド うっせ。

緊急速報のSE。

アナ 緊急速報です。現在ナナハチ市に不審なロボットが出現しているとのことです。

ホリにレグザギートの暴れる姿が映る。レグザギートが腕から発射する液体を浴びた人は服を残して消えてしまう。

アナ こちらは当該地域でロケを行っていたクルーが撮影しているライブ映像になります。
アポス シンドウ!すまないが来てくれ!

アポストル、下手へはける。

シンド え、ちょっと待てって!

シンドウ、アポストルを追いかけて下手へはける。
中央大サスFO。
ホリではレグザギートがカメラの方を向いている。レグザギートがカメラに向かって液体を発射する。カメラが落下し、ノイズまみれの映像になる。

下手サスFI。下手サス内ではアポストルが走っている。

シンド 待て、待てってば。

シンドウ、走って下手サス内へ。

シンド 一体なんだってんだよ!
アポス あれは宇宙重機レグザギート。
シンド え、あのテレビでやってたロボットのこと?
アポス ああ、ガメオ星人の侵略兵器だ。
シンド ガ、ガメオ?
アポス 生体転移液には気を付けてくれ。あれを浴びたら地球には戻れんぞ!
シンド なるほど?ん、気を付けてくれってどういうこと?

アポストル、ゆっくり立ち止まる。

アポス 誓って君を巻き込むつもりはなかったんだ。
シンド (息を切らしながら)へ?
アポス だが、こうなった以上は・・許してくれというほかない。

悲鳴。
シンドウ、正面を向く。
中央大サスCI。中ではレグザギートが人(以下被害者)の首根っこをつかんでいる。

アポス シンドウ!ベータライターを!
シンド は?
アポス ブレスレットについている!
シンド え?俺ブレスレットなんて・・・っていつの間に!?

シンドウ、ブレスレットからベータライターを外す。

アポス かかげるんだ!

アポストル、右手を斜め上へ向ける。

シンド こ、こうか?

シンドウ、ぎこちなくベータライターを掲げる。
変身SE。変身用の照明。シンドウはける。
ホリに二人のシルエットが重なって1つになるような映像を映す。
地明かりCI。下手からアポストルが入ってくる。

アポス シェア!
シンド なんだこれ!体が、動かねえ!
アポス すまない、しばらく体を借りるぞシンドウ。
ガガ  げぇつ、パラージの宇宙警ら隊!・・・ってなんか小さくないか。
アポス その地球人を解放しろ。
ガガ  しゃらくさいわ!それ以上近づくな!

レグザギート、銃口を被害者に向ける。

アポス 卑怯な・・・!
ガガ  卑怯もラッキョウもあるものか!

レグザギート、発砲。アポストル、ビーム弾を躱す。
アポストル、構える。

アポス 車裂き光輪!

アポストルが手を振ると光輪がレグザギートに向かって飛んでいく。
レグザギート、被害者を盾にするが光輪はレグザギートの真上にまで上昇、垂直落下してレグザギートにヒットする。

ガガ グエッ!

レグザギート、被害者を手放す。

アポス アストリウム熱線!

アポストル、スペシウム光線の構えをとる。光線がレグザギートにヒットする。

ガガ  おのれえぇぇい!

爆発SEと照明効果。
上手サスFI。中にはアナウンサーがいる。

アナ ナナハチ市に出現し、不審なロボットを破壊した存在について、専門家会議は「extra terrestrial human-like life form」つまり地球外生命体であるとの見解を示しています。巷ではこれを略し、「エクストラマン」と呼んでいるとのことです。

中央大サス上手サスCC。中央大サスはシンドウの部屋のセットになっており、シンドウとアポストルがいる。

シンド あの液体を浴びせられた人たちはそのガメオ星ってとこに送られちゃったってこ     と?
アポス そうだ。
シンド なんのためにそんなことを?
アポス ガメオ星は度重なる内戦の結果、人口が極度に減少してしまっている。他の惑星の    知的生命体を労働力として、有体に言えば奴隷として使わなければ文明を維持する    ことすらできないのだ。
シンド じゃあ、あのロボット、レグザギートっつったっけ?は地球人を攫って奴隷にする    ために来たと?
アポス ああ、そして恐らくレグザギートを操っていたガメオ星人は今だ地球に潜伏してい    るはずだ。
シンド もっと沢山の地球人を奴隷にするために・・・。

アポストル、頷く。

アポス だが私がいる限りそんなことは許さない!と言いたいところだが・・。

アポストル、居住まいを正してシンドウに頭を下げる。

シンド な、なんだよ。
アポス 実体を失った今の私では不可能だ。(頭を上げて)シンドウ、君の協力が必要なん     だ。
シンド それってつまりまた体を貸せってこと?

アポストル、深く頷く。

シンド いいよ。
アポス 本当か!?
シンド うん。(にやけ顔で)まあなんていうか、世界を救うとか、そういうのちょっと憧れ    てたし・・・。
アポス そんな気持ちのいいものではないさ。
シンド え?
アポス だがありがとう。共に地球を救ってくれ。
シンド お、おう!俺たちは地球を守るヒーロー、エクストラマンだ!

三場 Get over now. Get over pain
中央大サスFO。ホリにベータライターの映像が映る。ベータライターが光る。
神秘的な照明。舞台中央にはアポストルが立っている。
スモーク。舞台奥から武器を変えたレグザギートが現れる。

アナ  エクストラマン!エクストラマンが再び現れました!
ガガ  ぬぁーにがエクストラマンじゃ!このレグザギート・ガガ・カスタムの力        思い知るがいい!

レグザギートとエクストラマン、神秘的な照明の中で戦う。
「ありがとうエクストラマン」という声を流す。
下手サスCI。その中にはシンドウがいる。

シンド すごい!そうだよ、俺だって力があればできるんだ!俺がエクストラマンだ!
ガガ  くそう!こんなところで負けられるか!下半期の査定に響く!
シンド アストリウム熱線!

爆発。
神秘的な照明FO。
上手サスCI。上手サス内にはアナウンサーがいる。

アナ  エクストラマンが現れてからちょうど一か月。エクストラマンは日本各地で謎のロボットとの交戦を続けているとのことです。当番組では視聴者の皆さんからの映像提供を募集しております。

ブチッというSE。下手サス上手サスCC。
下手サス内ではケンが新聞を読んでいる。

ケン  またエクストラマンか。
マリ  あらハヤト、お帰り。

シンドウ及びアポストル、下手サス内へ。
続いてマリも。

ケン  挨拶くらい・・・

マリ、ケンをつつく。

ケン  (咳払い)ハヤト、週末だし偶には三人で外食でもしないか?
シンド いや、用事あるし。
ケン  用事ってどうせ下らんゲームだろう。
マリ  (小声で)あなた!

間。

シンド じゃあ上行くから・・。

シンドウ、中央大サスの位置へ向かう。階段SE。
アポストル、マリとケンを見続ける。

マリ  ご飯なにがいい?
シンド なんでもいい。
マリ  わかった。部屋にもってくわね。
ケン  お前はハヤトに甘すぎるんじゃないか?
マリ  でも、小さい頃に厳しくし過ぎたのがよくないってカウンセラーさんもおっしゃっ    てたじゃないですか。
ケン  だがこのままではあいつの将来は・・・。
マリ  そんな、大丈夫ですよ。あなたの息子じゃないですか。
ケン  だから言ってるんだ!・・・器用な生き方ができる子じゃない。真面目に頑張らな    くてはいけないんだ。

アポストル、中央大サスの位置へ向かう。

中央大サス下手サスCF。
中央大サスではシンドウがすでにヘッドセットをつけてしゃべっている。
アポストル、中央大サスに入ってくる。

シンド あー、そっかお前特撮好きだったよな。

上手サスCI。中にはナナセがいる。ナナセは鼻にティッシュを詰めている。

ナナセ そうそう!まさか現実にあんなお面ドライバーみたいなヒーローがいるとは思わな    かったね。
シンド ははは。
ナナセ 興奮して鼻血出ちゃった。
シンド 馬鹿だなー。

ナナセ、ティッシュを取る。 

ナナセ いやーすごいよなー、エクストラマン。
シンド だろー?
ナナセ だろーってなんだよ。
シンド あ、いや、だよなーと間違えたんだよ。
ナナセ なんじゃそりゃ。
シンド (咳払い)いやほんとすごいよエクストラマン。あの強さは憧れちゃうね。
ナナセ いや違うだろ。
シンド え?
ナナセ 強さの問題じゃなくて、宇宙人なのに地球人のために戦うのがすごいんだよ。
シンド どういうことだよ。
ナナセ だってエクストラマンからしたら俺たちってわけわからんエイリアンなわけさ。
シンド な、なるほど。
ナナセ そのエイリアンのために戦えるってのがすごいのよ。
シンド なーるほどねー。
ナナセ きっとヒーローに相応しい、いいやつなんだろうなー。
シンド どうかな?俺たちみたいなやつかもしれないぜ。
ナナセ それはやだよ。
シンド (半笑いで)なんでだよ。
ナナセ だってそれは・・・ヒーローじゃないだろ。
シンド (笑いがひきつる)どういうことだよ。
ナナセ 俺たちみたいなクズが変身したとして、他人のために戦えるかよ。
シンド 戦えるだろ、地球の危機なんだから。
ナナセ どうかなー、結局承認欲求が先に出ちゃうんじゃないの?人のために戦ってる俺を    見ろ!みたいな。
シンド で、でも人を助けてるのは間違いないだろ。
ナナセ まーな。でもヒーローではねえな。金持ちが金ばら撒くのと一緒だろ。

シンドウ、ヘッドセットを外す。

ナナセ まあ仮にそういうやつだとしても助けてもらったら嬉しいけどさ。いやー        こういう考え方がダメなんだよなー。あれ、シンドウ?シンドウ?

シンドウ、座布団に倒れこむ。

ナナセ おっかしーな。回線切れた?

下手サスFO。

アポス シンドウ、君は・・・。

ライン通知SE。
シンドウ、スマホをとる。

シンド フジタさん?なんで!?

シンドウ、立ち上がる。

アポス シンドウ!
シンド あとで聞く!

シンドウ、下手へはける。
アポストル、少し遅れてついていく。

中央大サス、道明かりCF。道の真ん中にはイシノがいる。
シンドウ、道明かりに入る。

イシノ (下手を見て)おっ、マジで来たよ。
シンド イシノさん、なんで・・・?
イシノ これなにかわかるー?

イシノ、ストラップのついたスマホを掲げる。

シンド スマホ・・・?
イシノ そっからかよ!アキのスマホだよ。
シンド アキ?フジタさん?

イシノ、スマホを操作。

イシノ これ見ろよ。

イシノ、シンドウにスマホの画面を見せる。

シンド えっ・・・。

シンドウ、口元を抑える。

イシノ あいつ、俺の女なンだわ。

シンドウ、震える。

イシノ あいつがなんかシンドウクンの目線が気になるっつーからカマかけたらほんとに来    んだもん。ギャハハ。シンドウクンも一丁前に性欲とかあるんだな。犯罪になる前に風俗でも行ったら?

シンドウ、とっさにベータライターを取り出す。

アポス シンドウ!その戦いには手を貸せない。
イシノ なにそれ。ライター?はあ?っざけんなよ。

イシノ、シンドウの腹を殴る。
シンドウ、うずくまる。

イシノ これ、セートーボーエーだから。二度と調子乗んなよカス。

イシノ、下手へはける。
アポストル、シンドウの下へ。

アポス 許してくれ、シンドウ。だが、喧嘩にこの力を貸すわけにはいかないんだ。
シンド (アポストルのセリフの途中で)うわああああああああ!

シンドウ、泣く。

シンド なんで!なんで!なんでなんだよ!変われると思ったのに、なんでこんなうまくい    かないんだよ・・。
ガガ  (上手袖から)わかるぞその気持ち!

シンドウ、顔を挙げる。ガガ、上手からドタドタと入ってくる。

ガガ  わかるぞその気持ちぃ~。
シンド え、いや、誰?
ガガ  少年、吾輩に話を聞かせてくれい。

ブル転。フクロウの鳴き声。
中央大サスの位置におでん屋台のセット。シンドウとガガ、そこに腰かける。
中央大サスCI。

ガガ  そうか。辛い、辛いなあ。酷いやつもいたもんだ。
シンド でも、それだけじゃないっていうか。
ガガ  なんだね?
シンド 俺がもっと頑張って、こんなFランじゃない良い大学いってたらあんな奴とそもそ    も会わずに済んだんじゃないかって・・・。
ガガ  わかる、わかるよ。私もそうだ。
シンド おじさん・・・。
ガガ  もっと頑張ってればこんな閑職で上司の無茶に振り回されることもなかったろう     に。
シンド 辛いよね。
ガガ  もっとダディのいうことをよく聞いておくべきだった。
シンド 親父かあ。
ガガ  少年のダディはどういう人なんだい?
シンド 俺の親父はエリートで、文科省の官僚だったんです。
ガガ  モンカショウ?
シンド はい。だから息子である俺だって本気を出したらできるはずだって勝手に思い込ん    でるんですよ。
ガガ  そうかぁ。
シンド 俺は親父みたいに優秀じゃないんだ!
ガガ  うんうん・・・マミーはどうなんだい?
シンド お袋は変な言い方ですけど、親父が厳しい分甘いんですよね。
ガガ  それは悪くなさそうだな。
シンド どうなんですかね。お袋がもっと厳しかったらもっと頑張れたのかも・・・いや、    俺が悪いんだ、俺が・・・。

シンドウ、目頭を押さえる。

ガガ  そうだ、今日はもう吐き出せ、吐き尽くせ。

シンドウ、手に持ったカップを一気飲みしてえずく。

ガガ  いや吐くってそっちじゃなくて。
シンド わ、わかってますよ。
ガガ  しかし、親の話をしたらマミーの手料理を思い出してしまったよ。
シンド お袋の味ってやつか。
ガガ  ちょうどこのおでんとやらの味がよく似てるのだ。
シンド お袋のおでんか・・・最後に食べたのいつだっけ?
ガガ  そんな昔の話なのか?
シンド いやそういうわけじゃなくて。なんか独りで黙々と食ってると自分が何喰ってるか    もわかんなくなっちゃうんですよね。
ガガ  わかるわかる。吾輩も船の中で何食べてたか覚えてないもの。
シンド はは・・。大学入る前は一緒に飯食う友達すら作れないなんて思わなかったな。
ガガ  友が1人いるかゼロか。その間の溝はあまりにも深いからなあ。
シンド 俺、一生こんなんなのかな。
ガガ  なーにいっとる!少年はまだ若い。人生を決めつけるには早すぎるわい。
シンド そうかな。もう21だけど。
ガガ  いや若い若い!青い青い!果実だったらまだ食えたもんじゃない!
シンド どういう例えですか。
ガガ  それに比べてこのダイコンだ!味が染みててうまいぞ!
シンド うん、うまい。
ガガ  ガンモドキさん、タマゴさん、出汁の力お借りします!ほれ、もっと食え。
シンド どうも。

電子音SE。

ガガ  む。上司からだな。
シンド おじさん。

シンドウ、ぐっと拳を握って見せる。ガガ、頷く。
ガガ、下手サスの位置へ。下手サスFI。
ガガ、懐から通信機を取り出す。

ガガ  イエッサー。こちらガメオ星人ガガであります!

統制サスCI。

統制官 ガガよ・・・奴隷の転移が滞っているようだが、何をしている?
ガガ  いや、それは様々なトラブルがございまして・・・。
統制官 トラブルなどあって当然だ!地球人に擬態したせいで思考速度まで連中のレベルに    なり下がったか?
ガガ  そそそそんなことはございません。
統制官 フン、やはり他惑星の飯を食ってるような奴はダメだな。
ガガ  どーか、どーかもうしばらくお待ちください。
統制官 レグザギートを何体投入したと思っている!これ以上は待てぬわ!
ガガ  し、しかしエクストラマンは強すぎます!
統制官 エクストラマン?なんだそれは。
ガガ  あ、地球人どもがパラージ星雲人のことをそう呼んでいるのであります。
統制官 忌々しい宇宙警ら隊のやつらめ。
ガガ  ただいまそのエクストラマンの情報をお送りします。
統制官 そんなもの送ってどうする。

統制官の台詞の途中でアポストルが戦うニュース映像がホリに映る。

統制官 こいつは・・?フハッ、フハハハハハ!
ガガ  あ、あのー。
統制官 面白い!ガガよ。地球人の相手は貴様だ。そしてエクストラマンとやらの相手は、    こいつだあ!

舞台は暗転。ホリに隕石の映像が映る。
統制官の笑いが高らかに響き続ける。

四場 ご唱和ください我の名を
下手サスCI。中にはガガがいる。

ガガ  地球のおでんは名残惜しいが仕方あるまい。(仮面を構える)これが誇り高きガメオ    星人の仕事なのだ。

ガガ、仮面をつける。
上手サスCI。中にはアナウンサーがいる。

アナ  臨時ニュースです!地球に向かって急速に接近している隕石が・・・。
ガガ  どけぇい!

ガガ、アナウンサーを突き飛ばす。

ガガ  地球人よ!吾輩はガメオ星人である!現在地球に迫る隕石の正体は宇宙恐獣ガメオ    ンである!ガメオンが暴れればこんな下等な文明などひとたまりもない!それがいやならこの星を植民地として我らガメオ星人に差し出すのだ!

中央大サスCI。シンドウの部屋のセット。シンドウとアポストルがいる。

アポス 宇宙恐獣ガメオン、まさかやつが来るとは。
シンド 知ってるのか?
アポス ああ。ガメオ星人の最終兵器として・・・我が同胞の命を数えきれないほど奪って    きた最強最悪の敵だ。
シンド そんなヤバイやつなのか。
アポス 正直、まともに戦ったら私でも勝てないだろう。
シンド そんな、じゃあどうしたら。
アポス 禁じられた技を使うしかない。
シンド なんだよそれ。
アポス エクストラダイナマイト。肉体に宿る全エネルギーを攻撃力に転換する技だ。
シンド 待てよ、全エネルギーってことはまさか・・。
アポス (頷く)一言でいえば自爆。使用者の命と引き換えに敵を倒す究極の技だ
シンド 自爆・・・。
アポス ただ、失われる命は1つではすまない。
シンド どういう意味だ?

アポストル、シンドウを見つめる。

シンド そっか、俺も死ぬのか。
アポス 私と一体化している以上はそうなる。
シンド そっか。

間。

シンド いいよ。やれよ、エクストラダイナマイト。
アポス 本当にいいのか?
シンド どうせ俺には何にもないんだし。最後に地球を守れるならちょっとは意味のある人    生だったっていえるだろ?
アポス ・・・・・そうだな。では・・・。

ケン、マリ、ナナセ下手から駆け込んでくる。

マリ  待ってください!
ケン  ハヤトを、ハヤトを連れて行かないでください!
シンド 親父、お袋。
アポス だが本人が承諾したことだ。

ケンとマリ、アポストルに縋りつく。

マリ  でも、私たちの大切な息子なんです
ケン  私が代わりに死にますから!どうかそれだけは勘弁してください。
ナナセ シンドウ!

ナナセ、シンドウにつかみかかる。

ナナセ お前かっこつけんなよ!来年の新作やるんじゃなかったのかよ!まだ死ぬなよ!
シンド ナナセ・・!
アポス 皆騒ぐな。シンドウはもう覚悟を決めている。
シンド そ、そうだよ!俺はもう決めたんだ。
マリ  この大馬鹿!親より先に死のうとするなんて許さないよ!
ケン  ハヤト、頼む父さんたちを置いていかないでくれ・・・。
ナナセ シンドウ!
シンド やめろよ、皆、やめろよ・・・。

シンドウ、震える手で頬に触れる。
シンドウ、手についた涙をじっと見つめる。

アポス シンドウ。

シンドウ、アポストルに向き直る。

アポス 君は『俺には何もない』といった。

シンドウ、頷く。

アポス 愛してくれる両親がいる。語り合う友がいる。生きる理由などそれで十分ではない    か。

シンドウの両親、シンドウの肩を抱く。
シンドウ、両親の方を見る。

シンド 俺、いいのかな。こんなクズだけど・・。

ケンとマリ首を振る。

マリ  当たり前よ。
ケン  地球なんか守れなくていい。ただ健康で長生きしてくれればそれでいい。

シンドウ、泣き崩れる。

アポス どうやらもうお節介は要らないようだな。

シンドウ、顔をあげる。

アポス エクストラダイナマイトなどという技は存在しない。君たちを、騙していた。すま    ない。

シンドウ、泣き笑い。

シンド お前ってやつは・・。
アポス 気が済まなかったら、殴ってくれ。思いっきりな。

シンドウ、アポストルを殴り倒す。
シンドウ、アポストルに手を差し出す。

アポス 許してくれるか、友よ。

シンドウ、頷く。
アポストル、シンドウの手を取り、立ち上がる。
シンドウ、目を見開いてアポストルと繋いだ方の手を見る。

アポス そう、もう私たちの肉体は完治し、分離に成功している。
シンド いつの間に。
アポス 少し前からな。だが、君を再び立ち上がらせるまでは別れることはできない、そう    思ったのだ。
シンド ホントにお節介だな、お前。
アポス だがもう大丈夫だ。

シンドウ、両親とナナセを見る。

アポス シンドウ。ベータライターを。
シンド え?
アポス 私が完全に肉体を取り戻すための最後の1ピースだ。
シンド いくのか。一人で。
アポス ああ。
シンド 強いんだろ、ガメオンは。
アポス 自爆技がなくても命がけの戦いになる。父や母、戦友たちのように私の命もまたこ    こで尽きるかもしれない。

シンドウ、首を振る。

シンド 勝てよ、エクストラマン。

シンドウ、ベータライターをアポストルに渡す。
アポストル、深く頷く。
アポストル、ベータライターを手の中で転がす。

アポス 皆、離れてくれ。

シンドウたち、アポストルから離れる。

アポス シンドウ。

シンドウ、アポストルをまっすぐ見つめる。

アポス ありがとう。
アポストル、ベータライターを掲げる。
中央大サスCO。神秘的な照明。
ホリにアポストルのぐんぐんカットが映る。
ホリにアポストルの着地を下から撮影した映像を流し、巨大感を演出する。
それに合わせ、地明かりCI。跪いたアポストルがゆっくりと立ち上がる。

アポス ジュワッ!

アポストル、舞台奥を見る。ホリに隕石が映る。
アポストル、隕石に向けて構える。
アポストルの光線が隕石を破壊する。
スモーク。
ガメオンの鳴き声SE。
舞台奥からゆっくりとガメオンが出現する。
ガメオンとアポストル、戦う。
ガメオンは最小限の動きだけでアポストルを捌く。
アポストルが光線を発射するが、ガメオンはそれを吸収し、火球を放つ。
火球を受けたアポストル、倒れる。
地明かり中央大サスCF。
下手サスCI。下手サスの中にはシンドウ、シンドウの両親、ナナセがいる。

ナナセ そんな、マジかよ。
シンドウ、強く拳を握りしめる。

シンド がんばれー!エクストラマーン!

シンドウ、なんども頑張れと叫ぶ。
両親とナナセも叫び始める。
中央大サスFO。

シンド 皆さんも、皆さんもあいつを応援してあげてください!そしたら、そしたらきっ     と!

客席からも頑張れという叫びが上がる。(客席に身内を入れて口火を切ってもらう。)
ホリにアポストルのカラータイマーが映る。カラータイマーが明滅する。

シンド 諦めるな!

カラータイマーに金色の光が集合する。(光が集合し始めたら叫びをやめる)
下手サスFO。
地明かりFI。
舞台にはガメオンとアポストルがいる。アポストルの背中にはノアイージスを思わせる翼が付いている。
アポストルとガメオン、再び戦い始める。今度はアポストルが押していく。
アポストルが弓矢状の光線を発射し、ガメオンのバリアを貫いて撃破する。
地明かり中央大サスCF。下手サスFI。下手サス内にはシンドウがいる。

シンド やったー!

ホリに赤い球体が映る。
アポストル、ホリの方を見る。

隊長  よくやった、アポストル。
アポス 隊長。
隊長  君が誘い出したガメオンの航行経路からガメオ星人の本拠地を突き止めることがで    きた。お手柄だ。
アポス 偶然です。私はただ命を守るため戦った、それだけです。
隊長  ならば、もうひと働きしてもらおう。我々は今からガメオ星人との決戦に向かう。    戦えるな。
アポス 無論です。

アポストル、振り向き、頷く。シンドウ、頷き返す。

アポス シュワッチ!

中央大サスCO。ホリにもう1つの赤い球体が映り、2つの赤い球体が遠ざかっていく。

シンド ありがとう、アポストル。

暗転。

エピローグ きっと必ず誰かが見ているはず

学生 先生!シンドウ先生

中央大サスCI。机に突っ伏して寝ているシンドウ(白衣を着ている)。

シンド はい!はいはい!
学生  もう僕たち帰るんで、戸締りお願いしまーす。
シンド はいはい気を付けてねー。

シンドウ、ため息をつく。

シンド あー、やばい。学会の準備しなきゃ。いい加減成果出さないとクビになっちゃう     よーっと。

シンドウが独り言を呟いている後ろにに清掃員の恰好をしたガガが現れる。
シンドウ、ふり向いてガガと目が合う。
二人で気まずい笑いを交わす。

シンド はは、なんかストレス溜まると独り言増えちゃいますよね。
ガガ  わかりますわかります。お疲れ様です。
シンド はは。そちらこそ、いつもお掃除ご苦労様です。

ガガ、お辞儀して去る。
シンドウ、机の上にある望遠鏡を覗き込む。
ホリに星雲が映る。

シンド あれから十年か。俺はまだ戦えてるよ。お前のおかげだ。ありがとう、エクストラ    マン。
アポス (声のみ)シュワッチ!

幕。

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