水入らず コメディ

不思議な「石田家」の日常。お父さんは頭を打つと――
ぽんこつ 10 0 0 07/04
本棚のご利用には ログイン が必要です。

第一稿

登場人物
石田 透(42) サラリーマン

石田怜美(40) 透の妻。パート
石田真奈(17) 透の娘。高校2年生

上司
怜美の友達
男の子

〇石田家・玄 ...続きを読む
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
 

登場人物
石田 透(42) サラリーマン

石田怜美(40) 透の妻。パート
石田真奈(17) 透の娘。高校2年生

上司
怜美の友達
男の子

〇石田家・玄関
   忍び足で歩く石田透(42)。

〇同・リビング
   透、そっとドアを開ける。
真奈「まじお前ポンコツ!食べたいぜ豚骨!
 いぇあ!やば。パンチライン熱すぎて草」
   暗がりの中、ノリノリで体を動かす石田真奈(17)。
   透、テーブルを叩く。
透「おい、金出せ。おとなしくしといたほうが身のためだ。
 おれは伝説の殺人鬼。世紀末に46人も――」
   真奈、後ろを向いたまま突っ込むそぶりを見せ、
真奈「坂道か!あれ実際46人おらへんやろ!知らんけど!」
透・真奈「え」
   透、体をびくっとさせて表情が固まる。
   真奈、黙ってゆっくり振り向く。
   しばらく見つめ合う透と真奈。
真奈「(冷静に)買い物は?ティラミスの」
   透、ハッと我に返り、ポケットから家の鍵を出して見せびらかす。
透「は?なめてんのかクソガキ。この鍵はな、
 死神を呼び出すことが出来る」
真奈「はあ。今日はそういう設定ね」
   真奈、落ちてあるハリセンを取って透に近づく。
透「これで貴様もおしまいだ47人目の――」
   真奈、ハリセンで頭を叩く。
   透、目を閉じて視界が真っ暗になり、倒れ込む。

同・同・朝
   朝食を食べている透、真奈、石田怜美(40)。
   真奈、食べ終わって食器を台所へ持っていく。
真奈「あーそういや、昨日アレなってたよ」
怜美「あらそう。久しぶりね」
   透、2人を交互に見ながら真顔で、
透「え、何が?」
怜美「あなたはぽんこつ!だから知らなくていいわ。
 にしても音速!で食べるわねー。真奈は」
   真奈、動きが固まる。
   透、思い出したように、
透「そういや真奈ちゃん。46人がどうのこ
 うのって言ってたけど、あれなんなん?」
   真奈、舌打ちをして歯を食いしばる。
真奈「都合良いとこばっか忘れやがって……」
   真奈、バッグを持ち、出て行く。

〇オフィス
   上司に書類を見られながら叱られている透。
怜美N「私の夫は二重人格というやつです」
   上司、立ち上がって透に手を伸ばす。
怜美N「頭に強い衝撃を受けると……」
   透、目を瞑って肩をすくめる。
   上司、透の肩を組んで、
上司「息抜きに夜飲み行くか!」
怜美N「ああなりますが、会社では一度も出
 たことがない様子。良い会社ですね」

〇街中
怜美N「娘の真奈は、深夜になるにつれて、
 テンションが高くなる体質です」
   友達と歩いている真奈。腕時計を確認
   し、ハッとした表情で、
真奈「あ!もう門限の時間だ!じゃあね!」
   真奈、手を振って走り出す。
怜美N「遅くまで友達と遊ぶことはなく、帰
 ってきます。引かれるからでしょう」

〇石田家・リビング
   真奈、スマホで動画を撮っている。
真奈「どーも!まななんです!今日のききゃくは……」
怜美N「夜な夜なやってることを気づかれて
 ないと思ってたのでしょう。ぽんこつです」
   真奈、動画を止め、撮り直す。

〇スーパー・店内
   レジ打ちをしている怜美。
怜美N「私はと言うと……」
   怜美の前でイライラした様子の客。
客「ちっ。おせーなくそが。こんなのも早くできねえのかよ」
   怜美、手を止めて身を乗り出し、満面
   の笑みで客の腹を素早く殴る。
   うめき声を出して倒れる客。
怜美「お客様!どうなされましたか!」
   怜美、客に近づいて耳元で、
怜美「(満面の笑みで)殺すぞ」
   客、怯えた様子で返事をする。
怜美N「普通のパート主婦です!」

〇キャンプ場
透と真奈、食材を見ている。
怜美N「今日は家族水入らずでキャンプに来ています」
真奈「水いるでしょ!」
透「いらないよ」
真奈「はあ?どう考えてもいるでしょ!煮込むんだから!」
   透、真奈のキレた反応にポカンとする。
透「いや、潰して和えるだけだよ。ポテサラ」
真奈「はあ。キャンプでポテサラ作るわけないじゃん。食材的にカレーでしょ。
 キャンプ来てゲームしますか?それと一緒」
   怜美、二人の背後に立っている。
透「え、一緒じゃないけど?」
   真奈、舌打ちして何か言おうとする。
   怜美、笑顔で二人の頭を掴み、二人の
   間に顔を近づける。透を見て、
怜美「ポテサラだとしても水って使うよねー」
   怜美、真奈を見て、
怜美「馬鹿にキレるのって馬鹿じゃない?」
透・真奈「はい」
怜美「二人とも分かってるじゃない。で、どうするの?」
   透と真奈、ペットボトルを持って、歩いていこうとする。
怜美「ちなみに……。ポトフだから」
真奈「あー。だよね……。キャンプと言えば」
透「お豆腐?」
   ペットボトルで透を殴ろうとする真奈、
   笑顔の怜美を見て手を止める。
×     ×     ×
   辺りは暗くなっている。
   怜美、テントの中でヘッドフォンを付けて、ゲームをしている。
怜美「そっち芋だわ!はい、安パイ!雑魚乙」
   透、テントの前で焚火を見ている。
透「キャンプ来てゲーム……」
   真奈、膝をついて空に手を掲げている。
真奈「ああ。何て美しい……。まるで……。まるで……。
 満天の星空のよう……」
透「そんままじゃん」
透、ため息をついて焚火を見つめる。
透「いいな……。個性って」
   男の子が変身ベルトで遊んでいるのを
   見て、何か閃いたような表情の透。
   透、頭を抱えて苦しそうにする。
透「ううあああああ!」
   真奈、声を聞いて透へ駆け出す。
   怜美、ヘッドフォンを取って透を見る。
真奈「どうしたの。具合悪い?」
   透、真奈の腕を掴む。
透「あいつが来る……。来ちゃダメだ!えっ
 とー……。48人目の犠牲者になる!」
真奈「フォーティエイトになってるやん」
   透、ポカンとするも、すぐ険しい表情を作る。
透「あ、ああ。そんな事より離れた方がいい。おれの中の、あいつが……。
 封印されし……。んー。堕天使が殺しに来るぞ!」
   様子を見ていた怜美、ペットボトルを
   真奈に投げ、ゲームを続ける。
   真奈、ペットボトルを受けとり、透に近づいて殴ろうとする。
透「え、ちょちょちょちょ。逃げないとほら、
 危ないよ?」
真奈「(笑顔で)うん。そうだね」
   透、真奈の攻撃をかわし、立ち上がって逃げる。
透「思ってたのと違う。変なツッコミされた
 し。普通のが良かった」
   真奈、楽しそうに追いかける。
   透、振り返って笑顔の真奈を見る。
透「うちの家族やばいな」
   前を見てさっきの男の子に気づく透、
   避けようとして躓き、倒れ込む。
   男の子、透の頭をつんつん触る。
   真奈、追いついてふうーっと息を吐く。
   透、男の子の腕を掴む。起き上がって、
透「ふっ。やはり、過去のおれか」
   透、子どもの手を握って食い気味に、
透「この腐りきった世界を救わんと、わざわざやってくるとはな」
   男の子、困惑した顔で泣きそうになる。
真奈「頭打ったはずなんだけど。まいっか」
   真奈、ペットボトルで透の頭を殴る。
   透、空に手を掲げながら倒れる。
真奈「大丈夫?怖かったね」
   真奈、子どもと手を繋いで歩いていく。
真奈「普通未来からくるよね。そういうの」

〇車内
   助手席で下を向いている透。
透「どうやったら面白くなれると思う?」
真奈「またそれ?(棒読み)面白いってー」
   怜美、急ブレーキをかける。
怜美「ごめんごめん」
   透、ブレーキの勢いで頭を打つ。
   怜美と真奈、下を向く透を見る。
怜美・真奈「めんどくさー」
   透、パッと目を開く。

この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
本棚のご利用には ログイン が必要です。

コメント

  • まだコメントが投稿されていません。
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。