継いでいくもの ドラマ

国見次郎が営むスポーツ店「国見スポーツ」は近くのショッピングモールの煽りを受け、赤字が続き、廃業を迎えようとしている。 件のショッピングモールのスポーツ用品店に務める次郎の息子・慎二は、後ろめたさから次郎との関係をこじらせてしまう…。
諸橋隼人 4 3 0 08/22
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第一稿

○明宝高校・校庭(1965年)
野球部の部員たちが練習している。
鼻の横の黒子が特徴的な、真中泰助(当時17)が声を張り上げる。
真中「集合!」
集まってくる球児たち。
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○明宝高校・校庭(1965年)
野球部の部員たちが練習している。
鼻の横の黒子が特徴的な、真中泰助(当時17)が声を張り上げる。
真中「集合!」
集まってくる球児たち。
その中に体の小さな国見次郎(当時17)が瞳をキラキラと輝かせて立っている。
その後方、少し離れたところでその様子を見つめる、スコアボードを持ったの里中多恵(旧姓・当時17)。
真中「紅白戦だ!いつも通り別れろ!」
真中に言いにくそうに後輩部員が手を挙げる。
後輩「…先輩、今日清水が休みなので、一人少ないんです」
真中「…そうだったな。清水の野郎ぶったるんでやがる…仕方ねぇな。他の奴…そうだな…」
次郎の方を見る真中。
ワクワクした表情に変わる次郎。
×  ×  ×
次郎が手に持ったスコア表に数字を書いている。
その視線の先にはバッターボックスに立つ多恵の姿がある。
ピッチャーが投球すると、見事にヒットを打つ多恵。
一同から歓声が上がる。
次郎もパッと明るい笑顔になる。
真中「ホケツ!坪井が多恵に打たれたの、ちゃんと記録つけとけよ!」
次郎「う、うん!」
慌てて記録をとる次郎。

○同・部室(夕)
道具を片付ける次郎。
そこに多恵がやってきて手伝い始める。
多恵「…今日はごめん。出番、取っちゃって」
次郎「別にいいよ。みんなも俺が出るより練習になるし。どうにかして多恵を公式戦に出せないかみんな本気で考えてたよ。俺も、多恵のプレー好き。ホント、多恵のバッティングは、なんていうか…美しいよ」
屈託なく笑いながらグローブを磨く次郎。
その横顔を見る多恵。
多恵「国見くん、ホント野球好きなんだね」
次郎「下手だけどね」
多恵「得意なものを好きになるのは簡単だけど、苦手なものを好きでい続けるのはすごく難しいと思う。それってすごく素敵なことだと思うなぁ」
次郎「そうか?…素敵なんて言われたことないから、なんかちょっと照れるな」
多恵「私だってないよ。『美しい』なんて言われたこと」
次郎「あ、あれはバッティングが…いや…その…でも別にバッティングのことだけでもないというか」
慌てる次郎を見て微笑む多恵。
しばらくして沈黙する二人。
多恵「国見くんは、夢とかあるの?」
次郎「絶対に言わない」
多恵「プロ野球選手?」
次郎「…」
多恵「…」
次郎「…夢見るのは自由だろ」
   
(1965年はここまで)

○商店街・全景(1980年)
にぎやかな街の商店街。
スポーツ用品店『クニミスポーツ』のショーウィンドウの前にワクワクした表情の子供たちが集まっている。
 
○クニミスポーツ・店内
次郎(当時30)が脚立に上り、壁にかけられたプロ野球選手『鷲尾克己』のポスターを まっすぐになるよう直している。
赤ん坊を抱きながら、レジの準備をしている国見多恵(当時30)。
多恵「ほら次郎さん、もうすぐ十時!」
脚立から下りて店を見渡す次郎。
次郎「いよいよだなぁ。野球選手にはなれなかったけど…」
多恵「第二の夢が叶ったね。ここから始まるのかぁ。見てごらん慎二。お父さんのお店だよ。…さぁ店長、開店ですよ」
店の壁かけ時計が鳴る。
次郎が店の扉を開くと、小学生が押し寄せてくる。
次郎「(慌てて)ほら、ゆっくり…一人ずつ
な!」
その様子を微笑んで見ている多恵。
子供たちに混ざり、真中(当時30)が入店してくる。
真中「…大盛況じゃねぇか…ようホケツ!多恵!赤飯!赤飯炊いてきた!」
多恵「真中くん!」
次郎「おお泰助!ありがとう!…みんな危ないから。ゆっくり、ゆっくりね!」
   
(1980年はここまで)

○クニミスポーツ・店内(現在)
すっかり古くなった内装。
丸椅子に腰かけている次郎(68)。
ぼーっと色あせた『鷲尾克己』のポスターを見ている。
壁時計が鈍い音で鳴り、時計を見る次郎。
次郎「(呟くように)ああ、もうこんな時間
か」
ゆっくりと立ち上がる次郎。

○作品タイトル 『継いでいくもの』

○中学校・校庭
車で中学校へやってくる次郎。
車を降りると、体育教師(50)が歩みよる。
    ×  ×  ×
ライン用の石灰袋など、次郎が持ってきた体育用品の数を確認する体育教師。
体育教師「はい、オッケーです」
次郎「(領収書を渡しながら)毎度ありがとうございます」
体育教師「これでクニミスポーツさんにお願いするのは最後か…寂しくなります」
次郎「長い間、ありがとうございました」
体育教師「やっぱり、ショッピングモールの煽りを受けて?」
次郎「ええ、まあ…今はほら、インターネット?ホームページ?なんかも便利ですしね。ウチもそういうのに対応できれば少しは違うのかもしれませんが」
体育教師「なんか悔しいなぁ」
次郎「でもまぁ、便利になるのは悪いことじゃありませんよ。そりゃ私だって便利なものがあれば、そっち使いますもの。時代は変わります」
校庭で走っている子供たちを遠い目で見る次郎。

○ショッピングモール・全景
大型ショッピングモールの駐車場にはたくさんの車が停まっている。

○同・スポーツ用品店・外観
いくつもの店舗が並ぶショッピングモール内。
たくさんの人々が出たり入ったりしているスポーツ用品店がある。

○同・店内
品ぞろえの良いスポーツ用品店。
国見慎二(35)はしゃがみ、サッカーシューズを試着する少年と話している。
その傍らには少年の母親が立っている。
慎二「きつくない?」
うなずく少年。
少し後ろに下がり、遠くから少年の履く靴を見る慎二。
慎二「おお~、かっこいいじゃん!」
少年は嬉しそうに笑い、母親の顔を見上げる。
      ×  ×  ×
照明が落とされた閉店後の店内。慎二はパソコンで売り上げを打ち込んでいる。
バックヤードから男子バイトが出てくる。
バイト「店長、お先っす」
慎二「ああ、お疲れさま」

○慎二のマンション・LDK(夜)
ビールを飲む慎二。 
国見直子(30)は赤ん坊をあやしている。
直子「あ、そういえば今日お義父さんから電話あったよ」
慎二「へぇ、珍しい」
直子「なんか、慎ちゃん宛ての同窓会のハガキが来てたの忘れてたんだって」
慎二「なんの同窓会だろ?」
直子「高校の野球部みたいよ。取りに行くって言っといたからね」
慎二「えっ?送ってもらえばいいじゃん」
直子「近くに住んでるんだから、取りに行ってきなよ。仕事行く前でも帰りでも寄れるでしょ?…たまには話でもしてきな。お義母さん亡くなってからろくに話してないんだから」
慎二「話すことなんて、別に無いんだよ」
ビールをぐいっと飲む慎二。
直子「同業者なんだから、いくらでもあるでしょ?二人とも野球好きだし、普通の親子より話題豊富だと思うけど」
慎二「別に、親父の影響で選んだ仕事じゃねぇし。野球だって、自分で続けてきただけだし。共通の趣味の微妙なズレって、ものすごく大きいのよ。それなら趣味ごとずれてたほうが…」
直子「そうですか!とにかく取りに行くって行っちゃったんだから、自分で取りに行ってよね」
慎二「何怒ってんだよ…」
半笑いでごまかす慎二。

○クニミスポーツ・店内(昼)
棚にある商品を段ボールに移している次郎。
慎二が店内に入ってくる。
次郎「いらっしゃい…ああ、慎二か」
慎二「…おう。なんか、同窓会の手紙が来たって?」
次郎「ああ、電話のとこ」
電話の棚を探り、ハガキを手に取る慎二。
次郎「いまだにちゃんと集まりがあるなんて、さすがは強豪校だな」
慎二「(ハガキを見ながら)甲子園も行ってないし、強豪ってほどじゃないだろ。しかし久しぶりだなぁ」
次郎「忘れずに送って来てもらって良かったな」
慎二「…それより、何してんの?そんなにたくさん段ボールに移して」
次郎「言ってなかったか?月末で、店閉めようと思って。メーカーに返せるものだけでも、整理しているんだ」
驚きハガキから目を上げ、次郎の方を見る慎二。
慎二「…聞いてないよ。辞めるの?…マジ?」
次郎「まぁ、商店街もほとんどみんな閉めちゃったし…ここらが潮時だろ」
慎二「なんで言わないんだよ…」
次郎「いや、別に隠していたわけじゃ…」
二人とも沈黙し、少し気まずい空気が流れる。
次郎「…悪いと思ってな。忙しくやってるんだろう?一家の主として頑張らなくっちゃな。お前も父親だもんなぁ。…直美さんと陸人は元気でやってるか?」
慎二「…ああ、元気だけど…」
次郎「来週の七回忌で久々に会えるな。お前忘れてないよな?」
慎二「(ちょっとイラついた様子で)忘れてないよ…」
次郎「もう七年か。早いなぁ」
慎二「…」
次郎「…」
慎二「…仕事だからもう行くわ。じゃ、また」
店を出る慎二。
   
○同・店の外
少しの間立ち止まり、離れた所から店を見ている慎二。
再び歩き出す。

○病院・病室内
次郎が病室に入ってくる。
真中(68)がベッドで体を起こし、本を読んでいる。
次郎「泰助」
真中「おお、ホケツか」

○同・外の広場
ベンチに、次郎と真中が座っている。
次郎「元気そうで安心した」
真中「大した病気でもないのに、大げさなんだ。周りが」
次郎「(笑いながら)心配してもらえるだけありがたいと思え」
真中「病院に入れるだけ入れて、見舞いなんて来やしない。…で、お前は最近はどうだ?店の方は」
次郎「…そのことで来たんだが…店、畳むことにしたんだ」
真中「……そうなのか」
次郎「お前には開店前から良くしてもらったからな」
真中「…ホケツが多恵と店を開くって聞いた時は驚いた。すぐに潰れると思ってたが、思ったよりもったな」
次郎「ああ…思ったよりもったよ…」
真中「本当にいいのか?」
次郎「仕方ないさ」
真中「…」
次郎「いつの間にかこの歳だ。女房も死んで、あの頃のことを知ってるやつも、お前以外にほとんどいなくなってしまった」
真中「…時の流れは残酷だってか。辛気臭いじじいだねぇ。俺はじじいにはなりたくない」
次郎「お前こそ、こんなに弱ってるじゃないか。今にも死にそうな老人に見えるぞ」
真中「病人相手だと思ってデカイ口を叩くじゃねぇか。今だってお前に劣ることなんかひとつだってないぞ。…やるか?」
次郎に向き合ってこぶしを握る真中。
次郎「(あきれたように)やらない」
真中「逃げるのか!」
まるで少年のように、半笑いでやり取りする二人。

○寺・仏壇の前
寺で七回忌の読経を行う僧侶。
次郎・慎二・直子ら国見家の人々が十数人正座してそれを聞いている。

○寺・食事会場
国見家の一同が食事をとっている。
酔った次郎を囲むようにして、同年代の親戚たちがワイワイと話をしている。
次郎「(上機嫌に)いやぁ~確かに、確かに店は畳む。悲しいかなこのご時世では仕方のないことだよ。でもね、でもあの店にはいい思い出も沢山あるのよ。中でも、一番はやっぱ『鷲尾克己』が来たことだね」
それを聞き、親戚たちは「おぉ~」と口々に声を上げる。
得意げな次郎。
親戚1「で、何を買ってったの?鷲尾は」
次郎「…悔しいんだが、これが思い出せないんだよ。鷲尾克己だって気が付いた時には、もう緊張でもう石みたいになっちゃってね。そっから先の記憶がどうも…いやぁ、もったいないことをした。サインでも写真でももらっておけば…」
少し離れたところで、遠巻きに次郎の
話を聞いている慎二と直子。
直子「あれってホントの話?すごいじゃない」
慎二「嘘に決まってるだろ?わざわざ田舎のあんな小さい店に来るスターがどこにいるってんだよ」
直子「でも、お義父さんが嘘つくようには思えないけどなぁ」
慎二「酔うといつもああいう調子なんだよ。自分の話をウンウンって聞いてくれる人には、何回だって同じ話をするんだから。そのうち、何が本当に起きたことかわからなくなってんだよ。自己暗示ってやつ」
楽しそうに話している次郎の顔を見て、あきれた様子の慎二。

○クニミスポーツ・次郎の自宅・玄関(夜)
次郎が帰ってくる。
靴やゴミ袋でゴチャゴチャと散らかっている玄関。
電気のスイッチを入れるも、点かない。
次郎「あ?あ~、電球が切れたのか」
何度か試してみるが、やはり点かない。
散らかった靴につまずき、転びそうに
なり体を反転させてゆっくり尻餅をつ
く次郎。
一連のばたばたとした音が無くなると、家には何の音もしない。
一点を見つめてため息をつく次郎。

○同・居間(夜)
仏壇の線香を上げる次郎。
テーブルには食べ終わったカップ麺の空になった容器とビールの空き缶が置かれている。
二本目のビールを開ける次郎。
次郎「(呟くように)寺でお経をあげたばかりで、ここにいるのかよくわからんけどなぁ…親戚は誰も欠けずに集まったぞ。年寄りも多いっていうのに、お前が追い返してくれたのかもしれんな。久々に昔話ができて、楽しかった」
写真の中の多恵が笑っている。
次郎「…そんな風に見ないでくれ。お前がいなくなってから、七年も頑張ったんだぞ…店のこと、申し訳ないとは思ってるんだ…」

○モール・スポーツ用品店・店内
慎二が商品の在庫チェックをしていると、バイトに呼ばれる。
バイト「店長!」
慎二がバイトの方を見ると、傍らにスーツ姿の玉木大輔(48)が立っている。

○同・バックヤード
スタッフのロッカーなどが並ぶ、小さなスペースで話をしている慎二と玉木。
玉木「すまないね。急に来てしまって」
慎二「いえ、こちらこそ、もう少しきれいに
しておけば良かったです…」
バツが悪そうに笑う慎二。
玉木「まぁどの店舗もバックヤードはこんなもんだよ。…いや君にとっていい話だし、こういう事はすぐに直接言ったほうがいいと思ってね」
慎二「はぁ」
ピンと来ない表情の慎二。

○慎二のマンション・LDK(夜)
子供を抱いた直子が、夕飯を食べる慎二の向かいに座って、嬉しそうに驚く。
直子「すごいじゃない!」
慎二「店舗勤務で腐らずやってきたかいがあったよ。売り上げも高い位置でキープできてて、展示に関しても評判がいいって認めてもらえたみたいなんだ」
直子「いきなり本社の企画室なんて!ほんと、頑張ってよかったね。(赤ん坊に話しかける)パパ、もっと稼いでいいもの食べさせてくれるみたいでちゅよ~。早くおっぱいも離乳食も卒業したいでしゅね~」
慎二「おいおい、そんなに急に給料上がらないぞ」
嬉しそうな慎二。

○クニミスポーツ・店内
空になったアルミの棚を解体している次郎。
親子の客がグローブを選んでいる。
母親「いいじゃない。どうせそんなに変わらないんだから。この中から選びなさいよ」
ノートの切れ端に書いたメモを手に不満そうな表情の子供。
歩み寄る次郎。
次郎「ん?どれ、そのメモちょっと見せて。(メモを見て)ああ、このモデルはうちには入ってないなぁ」
母親「すみません…。ほら、ないって」
次郎「…もしかしたら、あっちのショッピングモールの店にあるかもしれません。あそこは品ぞろえがいいから」
母親「どうしてもそれがいいの?」
うなずく子供。
母親「じゃあすみません。そっちに行ってみます」
次郎「場所はわかりますか?」
母親「えっ?」
次郎「ああ、あんなに大きけりゃ、流石にわかるか」
母親「(少し笑いながら)はい。どうもありがとうございます」
店を出る親子。
次郎「ありがとうございました」
ドアが閉まり、客は誰もいなくなる。
再び棚のネジを外し、棚を解体する。
棚をどけると、その下から一枚の紙が出てくる。
慎二が小学生時代に書いた絵で、タイトルが「2020年のクニミスポーツ」とつけられている。
その絵ではSF映画ような巨大なビルに、クニミスポーツという看板が掲げられ、そのビルの屋上では野球の試合が行われている。
それ見て微笑む次郎。

○慎二のマンション・LDK(夜)
部屋に入ってくる慎二。
慎二「ただいま~」
次郎が座っているのを見て少し驚く慎二。
次郎「おお、お邪魔してるよ」
慎二「あっ…ああ」
キッチンまで行き、料理をしている直子に小声で話しかける慎二。
慎二「なんで親父がいるんだよ」
直子「お寺でもろくに話してなかったでしょ?あなたの栄転の話もあっておめでたいタイミングだし、いいじゃない」
慎二「別に大した話じゃ…なんで急に呼ぶんだって…!」
直子「たった一人の親なんだから、少しは孝行しなさいよ。きっかけ作ってるんだから感謝されてもいいくらいだと思うけど」
慎二「んもう!」
      ×  ×  ×
夕食をとる次郎、慎二、直子。
少し気まずい空気。
慎二「…」
次郎「…」
慎二「…閉店の準備は進んでるの?」
次郎「ああ、ぼちぼちな。もともと大して在庫があるわけじゃないし、得意先への挨拶も早めに済ませていたから、どうってことないよ」
慎二「そう」
次郎「…」
慎二「…」
黙ってしまう二人の様子にしびれを切らしたように話し始める直子。
直子「慎ちゃん、栄転が決まったんですよ」
次郎「栄転?」
直子「本社に、ね?」
慎二「…ああ」
直子「企画室だって。すごいでしょ?」
次郎「それはおめでたいな」
直子「見てくれてる人は見てくれてるもんだなぁって、私も嬉しくって」
嬉しそうな直子を見て、微笑む次郎。
次郎「そうか。栄転か。良かった。おめでとう」
慎二「…」
食事する手を止める慎二。
慎二「おめでとうって、本当に思ってる?」
慎二の言葉に、少し驚いた表情になる次郎。
次郎「(不思議そうに)当たり前だろう」
慎二「俺には皮肉に聞こえるよ」
直子「…慎ちゃん」
慎二「…自分の店を潰した大手グループで息子が昇進するのが、面白い訳ないだろ」
次郎「…」
慎二「親父はいつも本当のことを言わないな。俺が店を継がずに就職するって言った時だって、まったく止めやしなかった。それとも何か?どうでもいいか?俺がどんな仕事をしていようが興味ないか?」
次郎「そんなこと…」
慎二「小さいころからそうだよ。野球だって母さんに習った。親父はいつも店に座ってるだけで、ろくに俺にかまってくれたことなんてないだろう!」
次郎「…」
慎二「俺だって運悪くクニミスポーツの近くの店舗に配属されて…親父に悪いなと思いながら働いていた気持ちだってある。…でも、俺にも息子ができて、頼もしい父親として、見本になってやりたいんだよ。だから悪いけど…冷たいことを言うようだけど、クニミスポーツが閉店することとかいちいち考えてられないから。俺は自分と、直子と、陸人のことだけ考えていくから」
次郎「…」
三人に沈黙が訪れる。
赤ん坊が泣き出し、席を立つ直子。
直子「(赤ん坊の方に向かいながら)…さぁ、二人とも箸が止まってるよ。今日結構頑張って作ったんだから。煮物はお義母さんから習ったやつだし、きっとお義父さんも…」

○病院・真中の病室
病院の廊下を歩き、扉を開く次郎。
同室の何人かの患者に頭を下げながら、窓際の真中のベッドのもとにつく。
ベッドは空になって荷物なども無くなっている。
唖然とする次郎。
次郎「ああっ…ついに死ん…」

○病院・案内受付
次郎と担当の女性看護師が話している。
看護師「ああ、真中さんは体調を崩されて、別室に移ったんです。今はもう、危ない状態ではないのでご安心ください」
次郎「(ホッとしたような様子で)そうでしたか…」
看護師「ご案内しますね」

○病院・真中の新しい病室
点滴が打たれ、以前の病室よりものものしい機械のある病室で眠っている真中。
その様子を座って見ている次郎。
次郎「生きてたのか」
しばらくして、静かに語りかける。
次郎「昨日、息子に言われたよ。昔っから自分のことを気にかけてくれたことなんて無いって。…そんなつもりもなかったが、あいつにはそう映ってたんだろうな。店が無くなることも、いちいち気にしていられないとまで言われた」
真中の顔を見る次郎。
真中の唇がわずかに動く。
真中「…悔しくないのか…」
次郎「ん?起きてたのか?」
弱弱しい声で続ける真中。
真中「…悔しくないのか…息子を見返してやろうとは思わないのか…こっからでっかいビルを建てて、後を継がせてくださいと息子に懇願されたくはないのか」
真中の言葉に自嘲的に吹き出してしまう次郎。
次郎「懇願?…何を今更…」
真中「…お前、本当は店を潰したくないんじゃないのか。…そう思ってるなら、もう少し流れに逆らってみたらどうなんだ。…だからお前はホケツなんだ」
次郎「…」
真中「…せっかくいい気持ちで寝てたのに。つまらない話でわざわざ起こしに来るんじゃねぇよ…帰れ」
ふてたようにまた目を閉じてしまう真中。
それを見て次郎、唇を噛み、涙目になる。
部屋を出る次郎。
真中は次郎の背中を見届けて、フッと笑う。

○商店街(夜)
シャッターの閉まった商店街を歩く次
郎。
魚屋や肉屋など、それぞれの看板を見
ている。
    
○クニミスポーツ・店の外(夜)
シャッターの閉まったクニミスポーツを表から見る次郎。

○同・次郎の自宅・居間(夜)
小学生時代に慎二が書いた『2020年の
クニミスポーツ』の絵を見ている次郎。
よく見るとそこには社長室があり、偉
そうな椅子に人が座っている。
その横には『40歳で社長になったぼ
く』と書かれている。
その部分を指でなでる次郎。

○銀行・窓口
銀行で行員と話をしている次郎。
行員「お店の状況を考えても、融資は難しいですね」
次郎「そうですか…どうもありがとう」
頭を下げて立ち上がり、銀行を出る次郎。

○金融会社・接客室
書類を前にする次郎。
次郎「これだけですか?」
担当者「これが限界ですね…」
次郎「こういうところは、利子いっぱい取られるけど、好きなだけ借りれるって聞いていたんですが…」
少しイライラした表情になる担当者。
担当者「うちはそんな悪徳業者じゃないですよ!人聞き悪いな」
次郎「(申し訳なさそうに)どうも」

○競馬場・馬券売り場
馬券売り場のおばさんに馬券の買い方を聞いている次郎。
次郎「これが一番倍率が高いの?ここを押せ
ばいいんですか?」
おばさん「そう。8番のナイスバッティン」
次郎「(嬉しそうに)ナイスバッティン」
おばさん「…あなた、そんなにかけちゃっていいの?」
 
○同・観客席
観客席で馬券を握りしめて、緊張の面持ちでレースを見る次郎。
次郎「頼む…頼む」
拝むようにして呟く次郎。
先頭の馬が逃げ切り一着でゴールする。
次郎「やった、やったぁ!ナイスバッティ
ン!」
電光掲示と自分の馬券を見比べて歓喜する次郎。
周りの観客が迷惑そうにしている。

○同・換金窓口
次郎が窓口で女性の担当者と話している。
あきれたように説明する女性の換金担当者。
次郎「もう一回、ちゃんと確認してもらえませんか?」
換金担当「何度も言ってますけど、あなたの買った馬券は8番。勝ったのは6番」
次郎「この目で見たんです。レースが終わった時に」
換金担当「私も、この目で見ているんです。今、ちゃんとレース結果の画面を。あなたの馬券は8番。勝ったのは6番。見間違えたんじゃないですか?」
事務的に答え、ほかの作業を進める換金担当者。
次郎はしばらくそこに立ち尽くすが、無視され、やがて歩き出す。

○モール・スポーツ用品店・店内(夜)
慎二が接客を終えると、携帯電話が鳴る。
慎二「はい、国見です。えっ?」

○交番(夜)
ひどく酔い、下を向いたまま動かない次郎に水を渡す警官。
警官「ほら、お父さん、水ですよ」
慎二が警官にぺこぺこと頭を下げる。
警官「お呼びだてしてすみませんね。いや大したことじゃないけど、結構酔っぱらってるし、迎えに来てもらったほうがいいだろうと思って」
慎二「いえ、こちらこそ…」
警官「家の前でおじいさんが寝てるって通報があったんですわ。これ、一応お父さんの持ち物ね」
慎二が中身を見ると、ビニール袋にはたくさんの酒の空き缶と馬券が入っている。
慎二「本当にご迷惑をおかけしました」
再び頭を下げる慎二。
  
 
○商店街(夜)
閉まったシャッターを伝って何とか歩く次郎。
少し後ろを慎二が歩いている。
慎二「(不機嫌そうに)なんで競馬なんてやったんだよ。あんなに賭けて。今までだってギャンブルなんてやったことないだろ。真面目だけが親父のいいところだったんじゃないの?」
次郎「…」
慎二「…」
次郎「…今さら戦い方もわからず、状況を変えることもできない」
慎二「…」
次郎「…お前の言う、見本になる父親にもなれない。だからって…いい経営者にもなれない。今更店を立て直そうったって、そのための知識も度胸もない…」
慎二「…店、続けたくてこんなことしたのか」
次郎「うるさいな。お前には関係ない」
慎二「…そうかよ」
沈黙して歩く二人。
   
○病院・外の広場
ベンチに座って話している次郎と真中。
真中「馬鹿だな」
次郎「そう言うなよ」
真中「…でも、頑張ったな。お前にしては。やり方はめちゃくちゃだけどな」
次郎「…」
真中「…」
次郎「…これからどうするかなぁ。毎日店以外のことはほとんどしてこなかったから何をしていいのやら…」
真中「…キャッチボールだな」
次郎「キャッチボール?」
真中「俺のリハビリだよ。付き合え。お前くらい下手な奴が相手なら、気を使わなくてすむからありがたい」
次郎「今までの分、いじめてやるからな」
微笑む次郎。

○居酒屋(夜)
慎二の高校の野球部時代の同窓会が二十名ほどでワイワイと行われている。
慎二と田辺(35)・三宅(35)・田口(35)が話している。
田辺「え!?クニミスポーツ無くなっちゃうの?」
慎二「ああ。明日でお終いなんだけどさ」
三宅「明日!?」
田口「お前継がないの?」
慎二「このご時世、あんな小さな店で嫁と子供食わせていけないから!」
三宅「そうかぁ…」
田口「俺たちみんな、クニミスポーツにはお世話になったからなぁ。ちょっとショックだな」
慎二「ショック?」
田口「そりゃショックだよ。俺たちみんなあそこで買い物してたんだから。いつも親父さんにまけてもらってた。今思うと、まけてもらい過ぎてた」
田辺「たぐっちゃん、グローブ買おうとして断られたんだよな」
三宅「うわ!懐かしい!」
慎二「断られた?」
田口「そんなことあったっけ?」
三宅「河北に負けた時だよ」
田辺「そうそう。打たれたのをグローブのせいにしてさ。縁起が悪いから買い替えるとか言って」
三宅「親父さん驚いて、『まだまだ使えるのに馬鹿言っちゃいけない』って必死で説得してたよな」
田口「覚えてないわ」
三宅「昔から都合の悪いことはすぐ忘れちゃうからな。あとさ、ほら、ポスター。みんな欲しくてな」
田辺「ポスターじゃない、巨人カレンダーな。店にちょっと入ってくるなんかの広告?みたいなやつ」
田口「あ~!そうだ!誰がもらうか、毎年じゃんけんしてた!いつも俺たちのために、取っておいてくれてたんだよ」
楽しそうに話す一同をボーっと見ている慎二。
   ×  ×  ×
野島(75)と話している慎二。
野島「そうか。子供生まれたのか」
慎二「はい。男の子で陸人っていいます」
野島「…そうか。国見も父親か。そうか」
慎二「最高にかわいいですよ」
笑っている野島を見て自分も笑顔になる慎二。
慎二「監督、昔怖かったですよね。あの頃はこんな風に話せるとは、正直思っていませんでした」
野島「お前ら、勝手に怖がってたからな」
慎二「いやぁ、実際かなり怖かったですよ。…でもこんな風にみんなと集まって昔を懐かしんで…同じ思い出を楽しく話せるのも、監督のおかげです」
野島「(酒を飲んで)ん~?」
慎二「いえ、一年の時、俺退部しようとしたことあったじゃないですか。小学校から野球ばっかりやってきて、こんなんでいいのかって悩んで。あの時監督が止めてくれなかったら、今頃俺、どうなってたんだろうって思いますもん」
野島「ああ、あの時か」
慎二「あの時は、ホント、ありがとうございました」
野島「…俺は去る者は追わない主義なんだ」
慎二「え?」
野島「お前を止めたのは、親父さんから電話いただいたからだよ」
慎二「親父から?」
野島「今でも覚えてるよ。『今辞めたら、後々あいつ絶対後悔します。少し考える時間をやってください』って。あんなに必死に話されたら、そりゃ止めないわけにはいかなくてな」
慎二「…」
野島「親父さん、元気にしてるか」
慎二「…はい」
野島「そりゃよかった。感謝するなら、親父さんに、だな」

○道(夜)
歩いている慎二。
ふと、立ち止まり、振り返る。
道を戻る。

○クニミスポーツ・店の外(夜)
店の外にトボトボと歩いてくる慎二。
店の中を覗くと、次郎が一人、段ボールを棚から降ろしたり、積み上げたりしている。
時折、自分の背中や腰を叩いて、作業を再開する。
そんな次郎の背中をじっと見つめる慎二。
ガラスに張られた『クニミスポーツ』の文字が剥がれかけてめくれあがっているのに気がつく。
近づいて指で貼りなおそうとするが、すぐにペラッとまためくれあがってしまう。
店の扉を開け、店内に入る慎二。

○同・店内(夜)
段ボールを棚から降ろそうとする次郎。
背の高くない次郎にはギリギリの位置にあり、背伸びしてなんとか段ボールに触れる。
横から慎二の手が伸びてきて、その段ボールを降ろす。
慎二「こんな時間までやってるのかよ」
次郎「あぁ、慎二。……この前は悪かったな」
慎二「…いいよ。そんなの。閉店作業は順調だって言ってなかったか?」
次郎「どうも、ギリギリになっていろいろ思い出してな。後回しでも何とかなるんだが、やっぱり最後は綺麗に終わらないと母さんにも悪い気がして」
慎二「この辺のものを、降ろしていけばいいの?」
次郎「ああ、手伝ってくれるのか?」
慎二「親父は下の段やっててよ」
次郎「じゃあ、中身だけ確認して、メーカーごとに分類して、戻しておいてくれるか?」
慎二「はいよ」
しばらく黙って作業をする二人。
慎二が箱を降ろして開ける。
慎二「なにこれ?なんでこんなにたくさん同じレガースがあるの?」
次郎「(段ボールをのぞき込んで)ああ、それか、懐かしい。昔、発注ミス大量に仕入れて、全部買い取りになっちゃったんだよ。さすがに捌けなくてなぁ」
慎二「どれだけスネ守るつもりだよ。てか、いつのだよこれ。骨董品だよ…」
次郎「大げさだな」
慎二「だから潰れるんだよ」
半笑いで話す二人。
二人とも沈黙し、また作業音だけの静かな時間が流れる。
慎二「…なぁ親父」
次郎「ん?」
慎二「同窓会に行ったら、みんながさ、話すんだよ。この店の思い出。俺も忘れてたり、知らなかったりするようなことをさ。…みんなこの店が好きだったって」
次郎「ありがたい話だなぁ」
次郎「……俺が店継ぐから、辞めるのやめようっていったらどうする?」
作業の手を止め、作業をする次郎の方を見る慎二。
慎二を見ることもなく、相変わらず作業をしている次郎。
次郎「…馬鹿言うんじゃないよ。お前には未来があるんだぞ。それももう、お前だけの未来じゃない。家族がいるんだ」
慎二「…」
次郎「この店には、もう未来なんてない。認めたくなかったが、ずっと前から、わかっていたことなんだ」
慎二「…そんなこと」
次郎「…お前が店を継がず就職した時、正直少し残念だった。…でも嬉しくもあったんだ。俺に似ず、母さん似のたくましい子になったって。現実と向き合って判断して、自分の道を選んで進める、戦える大人になったなぁって思ったんだ。…これは本当の気持ちだぞ」
背を向けて手を動かしながら話をする父親の背中をじっと見つめる慎二。
慎二「…」
次郎「お前がお前の勝負に一つずつ勝って、新しい挑戦をするのを見るのが楽しみでもある。だから何も迷うことはない。今お前の前に広がってる道をまっすぐ行けばいい」
腰をさする次郎。
慎二「親父…」
次郎「…」
慎二「親父だって、ずっと戦って…ずっと勝負してきたんだろ?」
次郎「……ちょっと今日は腰の調子が良くないな。だいたい分類して、棚にもどしておいてくれればいいから。適当にシャッター閉めて帰ってくれ」
奥のドアから、自宅に入っていく次郎。

○同・次郎の自宅・居間(夜)
靴を脱いで自宅に上がる次郎。
歩いて居間に行き、仏壇の前に座る。
ぶわっと涙が出て、嗚咽する。
次郎「…多恵。慎二が店を継ぐって言ってくれたよ。それだけで、十分じゃないか?」
棚の上には、小学生の頃の慎二と若かりし頃の多恵と次郎が並んで撮られた写真がある。

○クニミスポーツ・店内(夕)
店内の丸椅子に腰かける次郎。
時計に目をやると、もうすぐ六時になりそうである。
ゆっくりと立ち上がり、片づけを始める次郎。
すると扉が開き、鷲尾正樹(35)が入ってくる。
正樹「まだ大丈夫ですか?」
次郎「ええ、いらっしゃい」
次郎の方へやってきて自分のリュックサックに手を突っ込み、ごそごそと中を探る正樹。
正樹「これを修理してもらいたくて…」
少年用グローブを差し出す正樹。
次郎「…ああ、すみません、修理はお受けできないんです。この店はもう今日で…」
ふと、正樹の背後にかけられた、鷲尾
克己のポスターに目が行く次郎。
目の前に立っている正樹は、鷲尾克己
にそっくりである。
グローブにはマジックの滲んだ文字で『鷲尾』と書かれている。
正樹「(店内を見渡して)そうなんですか。いやぁ、残念だなぁ。このグローブね、父親が昔ここで買ってくれたものなんですよ」
   ×  ×  ×
次郎の回想フラッシュ。
鷲尾克己が子供用グローブを渡してくる。
ガチガチに緊張しながらレジを打つ若き日の次郎。
   ×   ×   ×   
次郎「(少し放心した様子で)そうでしたか。お父さんが…」
正樹「これでよくキャッチボールしたんですよ。…そうしたら、それと同じメーカーの子供用のグローブってあります?」
次郎「は、はい」
棚からグローブを出し、正樹に渡す次郎。
次郎「…これで?」
正樹「(微笑みながら)はい。これ、いただきます。…まだ男の子か女の子か、右利きか左利きかもわからないんだけど」
少年のように笑う正樹の言葉に驚く次郎。
   ×  ×  ×
店から出ていく正樹。
次郎「ありがとうございました」
長時間、頭を深く下げる次郎。
時計が鈍い音で六時を告げる。

○同・店の外(夕)
シャッターを閉める次郎。
その横顔は、穏やかに微笑んでいる。
慎二「親父」
次郎が振り向くと、慎二が立っている。
慎二「なんだよ、なんか良いことあったの?」
次郎「…いいや、なんでもない」
閉じられたシャッターを見る次郎と慎二。
次郎「…」
慎二「…ついに閉まったか」
次郎「…閉まったよ」
慎二「一杯やろうよ。新しくできた、いい店があるんだよ」
次郎「新しい店か。そりゃあいいな」
そっと慎二が次郎の背中に手をやり、歩き始める。

○商店街・全景(夕)
ほとんど店のシャッターが閉まった商店街を歩く次郎と慎二。
慎二「明日、間違えて開店するなよ」
次郎「うっかりやってしまいそうだな」
(次シーンにオーバーラップ)

○商店街・全景(昼・1998年)
(前シーンからオーバーラップ)
若かりし頃の次郎(当時38)と、小学生の慎二(当時8)が活気のある商店街を歩いている。
肉屋で買い物を済ませた多恵(当時38)が脇から走ってきて合流する。
多恵「ひき肉おまけしてもらっちゃった」
慎二「ねえお父さん、カーブの投げ方教えて」
次郎「えっ、お父さんは無理だよ。母さんに習いな」
多恵「カーブなんて無理よ」
次郎「でも母さんのほうがうまいだろ」
多恵「まぁ、それは確かね」
慎二「じゃあ、お母さん教えて」
多恵「わかった。試しにやってみようか。宿題終わってからね」
慎二「じゃあ宿題はお父さんに習う」
多恵「うんうん」
次郎「ああ、いいよ」
三人が歩く先に『クニミスポーツ』が見えてくる。
   
               (了)

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