地アナと飛行物体 ファンタジー

(あらすじ) 健は、原チャリで移動中、道に落ちていたアナログテレビと衝突。そのテレビは、過去や未来の映像が映る不思議なテレビだったが…。
ライトフック賭場 152 0 0 11/01
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第一稿

 
(主な登場人物)
根岸健(18)…主人公の大学生。
笹峰ゆき(18)…根岸と同じ大学に通う女子大生。
店主(50)…笹峰ゆきの父親。古本屋店主。


 
 
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(主な登場人物)
根岸健(18)…主人公の大学生。
笹峰ゆき(18)…根岸と同じ大学に通う女子大生。
店主(50)…笹峰ゆきの父親。古本屋店主。


 
 
 
◯北東明星大学・キャンパス・外観(昼)
噴水広場や広い校庭、学舎と遠くから山々が見える。
 
◯同・一階・教室内(昼)
英語教授、吉岡(45)が授業をしている。黒板に英文を書いている。
吉岡「えーとな、この英文を訳すと「目的地までの行き方が分からず戸惑う私は、目的地に行き方を尋ねたが、目的地から返って来た言葉は、目的地の行き方では無かった」。これ意味分かるやついる?」 

根岸健(18)、怠そうな顔でノートを取る。

健N「俺の名は、根岸健。東京出身の18歳。都内の大学に進学するはずだったが全て落ちてしまい、唯一受かった大分の大学に通っている。入学してまだ1カ月しか経っていないが、既にもうホームシックが襲い始めている」

健、斜め前の机の左端にいる笹峰ゆき(18)をチラと見る。

健N「唯一この寂しさを紛らわしてくれるのが、あの子の姿だ。それにしても美しい…」
吉岡「この英文を訳すと「このマンションに住み始めて気づいた事がある。この部屋には出口が無い」これ意味分かるやついる?」

チャイムが鳴る。

吉岡「はい。じゃあ今日は、ここまで」
健、ため息をつきノートをバッグにしまう。
 
◯同・キャンパスの駐輪場(昼)
健、原チャリに乗ってキャンパスを出る。
 
◯道路(昼)
健、原チャリでダラダラと走行。
古本屋を見つけ店の前に停車する。
 
◯古本屋の店先(昼)
健、看板を見て。

健「へえ。こんなとこに古本屋なんてあったんだ」
 
◯同・店内(昼)
健、恐る恐る店内へ入る。奥のレジで古本屋店主(50)が読書している。棚に並んだ文庫本を1つ1つ眺めている。驚いた顔で文庫本を手に取る。

健Ⅿ「こ、これ、瀧山牛造の「闇の泥船」だ!ネットでも入手困難な幻の推理小説!」 

健、裏表紙を見る。値札シールに200円と記されている。

健Ⅿ「えー!?200円!?マジか!?昔、中野の古本屋でガラスケースに入ってた初版本が3万付いてたんだぞ!?ここのオヤジ相場全然分かってないぞ!これは絶対買わなきゃ!」

健、希望に満ち溢れた顔で本を大事そうに持ちレジへ向かう。
 
◯喫茶店「ガルベス」・外観(夕方)
古びたロッジ風の家屋。
 
◯同・店内(夕方)
喫茶店のマスター(60)がカウンターの奥でカップを拭いている。おば様2人(60)がテーブルに対面で座り話している。健、店内奥の小さなテーブルに座りアイスコーヒーを一口飲んだ後、バックからそそくさと「闇の泥船」を取り出し読み始める。

健Ⅿ「東京の大学全部落ちた甲斐があったわ。大分最高!」
数ページ読んだ所で「ケビン」という登場人物に赤ペンで丸が付けてあり、「こいつが犯人」と書かれている。
健、呆気にとられた顔で。

健「ふざけんなよおい!」 

マスターとおば様達が健の方を見る。
健、本をバッグにしまい店を出る。
 
◯道路(夕方)
健、原チャリで走っている。
 
◯古本屋の店先(夕方)
健、原チャリを停める。店のシャッターが閉まっている。ヘルメットを取り。

健「ふざけんなよおい!!」
 
◯道路(夜)
健、原チャリで走行。
周りは広大な田畑が広がっている。
原チャリが何かにぶつかる。

健「やべっ!」
 
◯同・路側帯(夜)
健、原チャリを路側帯に停め、スマホのライトで地面を照らす。
小さなアナログテレビが倒れている。

健「え?これって‥昔のテレビ?はあ‥動物じゃなくて良かったあ‥ていうか何でこんなとこに捨ててんだよ!ったく!」

健、テレビを道路脇にドンと置く。
置いた衝撃でテレビ画面から砂嵐が付いたり消えたりしている。

健「え?何だこれ?‥」

テレビから通販番組の映像が流れる。
 
◯テレビから流れている映像(夜)
通販商品をプレゼンする男性(50)と女性タレント(40)が映っている。

男性「この8Kテレビにブルーレイレコーダーを付けて何と!ヨンキュッパッでご提供致します!」
女性タレント「えー!?本当にー!?」
 
◯道路脇(夜)
健、屈んでアナログテレビを観る。

健「まだ映るんだ‥リモコンは無えのかな?」

健、電源ボタンを押すが消えない。
テレビの側面を叩くと90年代のグラビア番組の映像に切り替わる。
 
◯テレビから流れる映像(夜)
ハイレグ水着を着た女性グラビアモデル(20)が砂浜で太陽を浴びながら、歩いている映像。
 
◯道路脇(夜)
健、訝しげな顔でテレビを観て。

健「何だこれ?急に古い映像になってねえか?」
 
◯健の住むアパート・外観(夜)
 
◯同・アパート・健の部屋(夜)
六畳一間の広さに布団が敷かれ、周りは文庫本や雑誌が乱雑に置かれている。アナログテレビの電源が消えている。
健、テレビの色んな箇所を触るが電源が付かない。

健「さっきの勢いは、どうした?」

健、テレビを強く叩く。画面から砂嵐が浮かび上がる。押入れからトンカチを取り出しテレビの上部を強く叩く。少し人影が見える。

健「おっ?なんか見えてきた」

健、テレビの上部と側面を激しく叩く。
映像がだんだん鮮明になっていく。
健、助走をつけてトンカチで思い切りテレビを叩く。
 
C・O

タイトル 「地アナと飛行物体」
 
◯北東明星大学・外観(日変わって朝)
 
◯同・一階・教室(朝)
吉岡が英語の授業をしている。
健、ノートを取りながら前列に座っている笹峰ゆきをチラチラ見ている。

健Ⅿ「それにしても驚いた。道に棄てられてたテレビがとんでもないシロモノだったなんて。あのテレビさえあれば、どんな願いも‥‥」 

ゆき、チラっと健の方を見る。
健、目を逸らしノートを取るフリ。
 
◯古本屋・外観(夕方)
健、店の前に原チャリを停める。
 
◯古本屋・店内・レジカウンター(夕方)
健、「闇の泥船」を店主に見せながら。

健「僕は10年前にこの幻の小説の存在を知った時から情報をずーっと遮断して今まで生きて来たんすよ」

店主、申し訳無さそうな顔で。

店主「ああ、そうなんですか」
健「やっと自分の手でこの小説を見つけて、歓喜して、勢い勇んで読み始めた矢先にネタバレにぶち当たるとは思いませんでしたよ!何でチェックしなかったんですか!?」
店主「いやー、一応チェックは、したはずなんですが、何せ1人でやってるもんで‥」

ゆきが店に入って来る。2人のやり取りを後ろで黙って見ている。

健「5年前にこの本が原作の映画が上映された時も、情報入れないためにしばらく学校行かずに友達との連絡もネットも断ったんですよ!?」
店主「そこまでされたんですかあ…。これは取り返しのつかない事をしてしまったなあ」
健「本当にねえ、取り返しつかないっすよ!!」

健、本をバッグにしまい店を出ようとすると真後ろにゆきがいる事に気付き動揺する。

健「あ‥」

ゆき、健に伏し目がちで会釈。健も泳いだ目で会釈する。

店主「お客さん?返金はしなくてよろしいんですか?」

健、店主に向かって。

健「ご、ご主人さん、気にしないでください」
店主「…え?」
健「僕は良いけど他のお客さんは、どうかな?って思っただけなんで」
店主「はあ‥」
健「せっかく質の高い古本屋さんなんですから。ま、また来ます」

健、そそくさと店を出る。

店主「…本当に申し訳ありませんでした」
 
◯同・店の前(夕方)
健、原チャリのメットケースからヘルメットを取り出し被る。
店内からゆきと店主の会話が漏れ聴こえる。

ゆき「パパ、何があったの?」
店主「いや、お客さんが買った推理小説の登場人物に「こいつが犯人」て落書きがされてたらしくて」
ゆき「もうパパ、ちゃんとチェックしないとダメじゃない!」

健、驚いた表情で。

健Ⅿ「こ、この店の子だったのか!」

健、原チャリのエンジンを掛けて走り去る。
 
◯アパート・外観(夜)
 
◯同・健の部屋(夜)
健、アナログテレビの両側面と上部をテンポ良く叩く。競馬中継が流れる。
 
◯競馬中継の映像(夜)
ゴール直前に追い上げる競走馬達。
競馬実況の男性アナウンサー(40)が実況している。

男性アナ「さあ残り200メートルを切った!5番バトルクイーンが逃げ切れるか!ここで内側から8番シャドーウィンターが来た!大外から15番ドッグレスが猛追だ!シャドーウィンターが猛追!シャドーウィンターも追い上げる!ドッグレスも猛追!バトルクイーンを追い抜いた!シャドーウィンターも後を追う!ドッグレスとシャドーウィンターの競り合いだ!まさかの大波乱!15番ドッグレスが勝ちました!」
 
◯健の部屋(夜)
健、ニヤつきながら布団の下に忍ばせていた馬券を取り出す。単勝「15番」、馬連「15-8」の番号が記された2枚の大当たり馬券2枚を見る。スポーツ新聞の競馬欄を広げると15−8の馬連の倍率が「258.3」と記してある。健、ニヤケて。

健Ⅿ「このまま行けば来月には億万長者確定だな」
 
◯古本屋・外観(夜)
 
◯同・2階・店主の自宅(夜)
10畳ほどのワンルームにキッキンと冷蔵庫、食器棚、テーブルが置かれている。店主とゆき、2人でテーブルを囲み夕食を食べ始める。
店主、中濃ソースが無い事に気付く。

店主「あれ?ソースが無いな」
ゆき「え?無いの?」
ゆき、冷蔵庫を開けて探すが無い。
ゆき「何だよマジかよー」
店主「まあいいや。醤油掛けて食おう。な?」
ゆき「うーん‥‥」
店主「塩で食べても美味いぞ?」
ゆき「いや、ちょっと買って来るわ」
店主「え?今から?」
ゆき「うん、鈴木商店まだやってるでしょ?」

店主、時計を見る。時間は午後7時。

店主「まあ、やってるけど外暗いから今日はやめといた方が‥」
ゆき「だいじょぶだいじょぶ。サーッと行ってすぐ帰って来るから」

ゆき、自宅を出る。

店主「危ないから気をつけろよー!」
 
◯道路(夜)
ゆき、自転車で車道の脇を走る。前輪が何かにぶつかる。

ゆき「キャッ!!」

自転車が横転し、ゆきも転ぶ。

ゆき「‥痛ったあ‥」

ゆき、ゆっくり立ち上がり、スマホで地面を照らす。アナログテレビのリモコンが落ちている。

ゆき「え?リモコン?」

ゆき、リモコンを手に取りスマホで照らす。

ゆき「何でこんなとこにリモコンが落ちてんのよ!」

ゆきの背後を緑色に発光した何かが近づく。気配に気付き振り向く。
 
◯健の部屋(夜)
健、部屋中を右往左往している。

健「来月には駅前の分譲マンションを一括で買うだろ。そんでミッドセンチュリーの家具なんか揃えて、まあ配置はインテリア雑誌に載ってるやつそのままパクって、いや、むしろ余計なことしないでマンションに付いてる家具そのまま置いときゃ良いか。そんで、あの子とソファに座って100インチの8Kテレビで恋愛映画でも観ながら良きところで肩をそっと抱いて、あの子がこっちを振り向いた瞬間にコクったら向こうが黙って頷くと。うん、見えるわ」

健、腕組みしながら考える。

健「待てよ?その前に、どうやって部屋に呼ぶかが問題だよな。そもそも、まだあの子の名前すら知らないし‥」

部屋のドアを誰かが叩く。

健「ん?誰だろ?」
 
◯同・玄関口(夜)
健、ドアの覗き穴を見ると、ゆきが居る。

健「え!?いきなり!?え!?何で!?」

ゆき、ドアを叩く。

ゆき「すいませーん!」

健、恐る恐るドアを開ける。

健「は、はーい」

ゆき「夜分遅くすいません。私、笹峰ゆきっていう者なんですが…」
健「笹峰ゆきさん…」
ゆき「はい」
健「…あのー、だ、大学の英語の授業で、お、お見掛けした事が…」
ゆき「知ってくれてたんですか?嬉しい!」
健「え?」
 
◯古本屋・2階・店主の自宅(夜)
店主、ゆきのご飯にラップを掛ける。スマホに来たゆきのメールを見る。メールには「ごめん!(>人<;)鈴木商店で久しぶりにまりえっちに会って話し盛り上がっちゃった(^O^)ちょっと遅くなるから先に飯食っててね!(>人<;)」と表示されている。店主、ため息をつく。

店主「また新しい彼氏でも出来たんだろ」
 
◯健の部屋(夜)
ゆき、正座しながら部屋を見渡す。
健、乱雑に置かれた雑誌や衣服を押入れにしまう。アナログテレビからバラエティ番組が流れている。

健「あ、全然楽にしてください。足を崩す場も無いかもしれないですけど(笑う)」
ゆき「すいません。じゃあ、お言葉に甘えて」

ゆき、足を崩す。

健「あ、そうだ。何か飲みます?お茶とかコーラとか‥」
ゆき「じゃあコーラを頂いて良いですか?」
健「はい、今持って来ますね」 

健、部屋の隅にある冷蔵庫の所へ行く。
ゆき、怖い目に変わり健の背後に周る。

健「それにしても何でこんな時間に僕の…」

ゆき、健にチョークスリーパーを掛ける。
ゆきの腕から緑色の光が放たれる。
健、一瞬で気を失う。
ゆき、スカートのポケットからリモコンを出してアナログテレビのチャンネルをザッピングする。
ゆきの全身から緑色の光が放出されている。
 
◯大気圏(夜)
円盤型のUFOが飛んでいる。
そこへ隕石が衝突しUFOが砕け散る。
 
◯健の部屋(夜)
ゆき、アナログテレビをリモコンで操作している途中で気を失って倒れる。
 
◯住宅街(日変わって早朝)
日の出前の薄白い空に鳥の鳴き声。
 
◯アパート・外観(早朝)
 
◯同・健の部屋(早朝)
アナログテレビからニュースが流れている。
健、目を覚まし体を起こす。
ゆき、アナログテレビの前で仰向けで倒れている。
健、ゆきの両肩を揺らして起こす。

健「ちょっと!大丈夫ですか?ねえ?起きてください!」

ゆき、目を覚ます。健の顔を見て。

ゆき「(大きな悲鳴)!!」

健、慌てた顔で。

健「いやいやいやいや!悲鳴上げたいのこっちですよ!ここ僕の部屋ですよ!?」

ゆき、体を起こして部屋を見渡す。

ゆき「え!?何この汚い部屋!?」
健「失礼だな!僕が聞きたいですよ!しかもあなた後ろから僕の首絞めたでしょ?」

ゆき、訝しげな顔で。

ゆき「あれ?あなたうちの古本屋に来てませんでした?」
健「え!?今気付いたんですか!?」
ゆき「‥はい」
健「昨日の夜、あなたがここに来たの覚えてないんですか?」

ゆき、首を傾げる。
アナログテレビから今日のニュースが流れている。
 
◯ニュース映像(早朝)
女性アナウンサー(28)がニュース原稿を読んでいる。 

女性アナ「日本時間の15日午後、直径約10メートルほどの隕石が、地上から高度約100kmの大気圏内を通過して爆発したと、アメリカの宇宙調査局の関係筋が明らかにしました。爆発の原因に関して、人工衛生や未確認飛行物体と衝突した可能性があるとして更なる調査を進めています」
 
◯健の部屋(早朝)
健とゆき、ニュースを観て。

健「ふーん。何らかの物体と衝突か‥」
ゆき「このTVってブラウン管なのに地デジが映るんですね」
健「あ、そうなんですよ。それどころか過去の放送も…あ、いや、えーと…」
ゆき「過去の放送?どういう事ですか?」
健「…」

ゆき、健に近づき。

ゆき「教えてくれません?」
健「…まあいいか」 

健、テレビの側面と上部を叩く。画面が昔のアイドル寝起きドッキリ番組に切り替わる。

ゆき「凄い!めっちゃ古い映像が映ってる!え?どういう構造?」
健「それが分からないんですよ。叩き方で過去の何時何分の調節とかも出来るんですよ」
ゆき「へえー‥‥これってもしかして…未来も映ったりします?」

健、慌てた顔で。 

健「え?‥そ、それは流石に無理ですよ」
ゆき「そうなんだ‥‥」

健、ゆきのそばにリモコンが置いてある事に気づく。

健「あれ?何このリモコン?」

健、リモコンを手に取りテレビのチャンネルを変える。画面に昔の演芸番組や歌番組、探検隊番組などが映る。

健「このテレビのリモコンだ!え?でも何でここに?‥」

健、ゆっくりとゆきの方を見る。
ゆき、天井を見上げる。
 
    × × ×
(フラッシュ)
ゆき、夜の道路でリモコンを拾った後、背後を振り返ると緑色の発光体が襲う。
    × × ×
ゆき、虚ろな目。
健、心配そうに。

健「大丈夫ですか?」

ゆき、健を見つめて。

ゆき「それ…持って来たの私です」
健「え!?」
 
◯青空(昼)
太陽の陽が降り注ぐ。小鳥達の鳴き声や布団を叩く音。
 
◯健の部屋(昼)
健とゆき、座布団に座りカップラーメンを食べている。テレビから昼のワイドショーが流れている。

健「じゃあ僕がこのテレビを拾ったのと同じ場所で笹峰さんもこのリモコンをみつけたんですか‥それにしても怖い体験しましたね」
ゆき「はい。根岸さんはテレビを拾った時、誰かに襲われませんでした?」
健「いや全然無かったですね。襲って来たのは、昨日の笹峰さんだけです」

ゆき、カップラーメンを置き、土下座する。

ゆき「本当にすいませんでした!」
健「いや、やめてください!ほんの冗談ですから!意図的に襲ったわけじゃないんですから!顔上げてくださいよ!‥‥あれ?」

ゆき、顔を上げて。

ゆき「本当にチョークスリーパーを掛けた記憶が全く無いんです!」
健「あの、もう1回頭下げてくれます?」
愛菜「え?‥‥やっぱり怒ってますよね‥」
健「いや、全然怒ってないですけど、とりあえず謝らなくて良いんで、もう1回頭を下げてもらえますか?」
ゆき「え?謝らないで頭を下げるんですか?」
健「はい。ちょっとお願いします」

ゆき、無言で頭を下げる。首の後ろに幾何学的な模様のタトゥーが入っている。

健「笹峰さんて…タトゥー入れてるんですか?」

ゆき、頭を下げながら。

ゆき「え?タトゥー?」
健「あ、すいません、頭上げてください」

ゆき、頭を上げる。

健「うなじに入ってるのってタトゥーですか?」
ゆき「え?うなじに?入れた覚え無いですけど」
健「マジっすか?ちょっと失礼しますね」

健、ゆきの後ろに回り、スマホでゆきのうなじを撮って画像を見せる。

健「見てください」
ゆき「え!?イヤだ何これ!?」

ゆき、自分のうなじを触り。

ゆき「あれ!?何か凹凸があるんだけど!」
健「凹凸?」
ゆき「ちょっとうなじのとこ触ってみてください!」
健「え?‥い、良いんすか?」
ゆき「はい!確認してください!」
健「じゃあ…ちょっと」

健、ゆきのうなじを触る。

健「あ、確かに。少し凹凸がある」
ゆき「でしょ!?これ何なんですか?」
健「もしかして…チップ‥‥かも」
ゆき「チップ?」

健、ゆきのうなじを触りながら。

健「マイクロチップが何者かに埋め込まれたのかもしれません」
ゆき「え!?何で埋め込まれてるの!?」 

健、ゆきのうなじを触りながら。

健「うーん‥もしかしたら笹峰さんがリモコンを拾った時に何者かが埋め込んだのかも」
ゆき「え?そ、それじゃあ、このリモコンもテレビも何かヤバイ組織が関わってるって事ですか?」

健、ゆきのうなじを触りながら。

健「うーん‥どうなんだろう‥うーん…」
ゆき「あのー‥もうよくないですか?」
健「え?…あ、すいません!」

健、ゆきの首から手を離す。

健「すいません!ちょっと触りすぎました」
ゆき「あのー‥‥いったいこのTVって何なんですか?」
健「僕にもまだ分かりません。只、その埋め込まれたものがマイクロチップならば、このTVの正体が見えて来たような気がします」
ゆき「正体?」
健「はい。笹峰さん、もう1度確認しますけど、そのタトゥーは笹峰さん自身が入れたものじゃ無いんですよね?」
ゆき「はい、もちろんです!自分が入れたタトゥーは、おへその下に入れたバタフライだけですから」
健「あ、違う所には入れてるんだ…」
 
◯古本屋・外観(夕方)
 
◯同・店内・レジカウンター(昼)
店主、スポーツ新聞を読んでいる。
1面に「隕石が衝突爆破!UFOか?人工衛星か?」という見出し。
店主、スマホを手に取り、ゆきから来たメールを見る。
「ごめん(^_^;)まりえっちと話めっちゃ盛り上がって、お泊りしちゃった!(=゚ω゚)ノそのまま大学行って来まーす!(^。^)」と表示されている。
店主、ため息をつき新聞を読む。 

店主「‥‥嘘つけ」
 
◯健の部屋(昼)
アナログテレビに80年代のUFO特集の映像が流れている。外国人男性(50)が宇宙人にマイクロチップを埋め込まれた話をしている。
健とゆき、体育座りで真剣に観ている。

ゆき「てことは私、宇宙人の乗ったUFOに乗せられて、このチップを埋め込まれたって事ですか?」
健「おそらく。笹峰さんにチップを埋め込んだ宇宙人が笹峰さんの意思を操作し、僕の部屋に向かわせ、笹峰さんを使ってこのテレビを奪い返そうとしたんじゃないかと」
ゆき「何で宇宙人は自らここに来なかったんですかね?」
健「多分テレビが置いてあった場所と違ってこの辺は住宅街で結構目立つし、このアパートで暴れたりしたらすぐ住民に気づかれるし、誰かに撮影でもされたらマズいっていう思惑があったのかもしれないですね」
ゆき「根岸さんがこのTVを拾った時、宇宙人は、あの場所には居なかったんだ」
健「そうですね。怪しい光も襲われる気配も全く無かったですね」

ゆき、気まずそうに。

ゆき「‥‥すいません」
健「え?あ、いや、そういう意味じゃないですよ!笹峰さんは操られてただけなんですから!むしろ被害者ですよ!‥そのー‥おそらくUFOがあの場所から発進した時にこのテレビを落としてしまったか置き忘れたのか知らないですけど、みつかったらマズいと思って戻って来た時に、丁度、笹峰さんがリモコンを拾ってるのを宇宙人が目撃したんだと思います。笹峰さんは完全な被害者ですよ」
ゆき「…それじゃあ私、そのままUFOの中に居たら隕石にぶつかって終わってたのかもしれないんですよね」

ゆき、俯きながら泣き出す。
健、ポケットからシワシワのハンカチをゆきに差し出す。
ゆき、ハンカチを見て。

ゆき「あ、大丈夫です。ハンカチ持ってるんで」

ゆき、自分のハンカチで涙を拭く。

健「ま、まあとにかく笹峰さん。あなたは悪運が強い。きっと神様から与えられた死なない運を持って‥」
ゆき「ていうかこのテレビってそんなに凄いんですか?」
健「え?」
ゆき「過去の映像が映るだけですよね?」

健、気まずい顔で。

健「ま、まあ、そのー‥」
ゆき「何か隠してるなら言ってください!誰にも言いませんから」
健「…実は‥このTV、過去の放送だけじゃなくて‥」 

健とゆき、同時に。

健&ゆき「未来も映るんです」
健「知ってたんですか?」
ゆき「顔に出てましたもん」
 
◯場外馬券場・外観(日変わって夕方)
 
◯同・馬券払い戻し場(夕方)
健、馬券を払い戻し、少し離れた所にいるゆきのもとへ。

ゆき「どうだった?」
健「どうもこうもテレビの通りだよ」 

健、財布の中の札束をゆきに見せる。
ゆき、ニコリと笑い健と腕を組み歩く。

健N「僕らは未来を映すブラウン管テレビの力で大金を荒稼ぎしまくった」
 
◯高級ホテル・外観(日変わって夜)
駅前にある高級ホテル。
 
◯同・高級ホテル・777号室(夜)
10畳ほどの広さの部屋。テーブルにピザやサンドイッチ、缶ビール、エナジードリンクなどが並ぶ。
ゆき、バスローブ姿でダブルベッドに仰向けになりスマホを見ている。
 
◯同・バスルーム(夜)
健、ドアを豪快に開いて出てくる。
バスローブ姿で頭をタオルで拭きながらベッドへ向かう。
 
◯同・ダブルベッド(夜)
健とゆき、寄り添いながら。

健「ゆき、スーパートトの発表まだか?」
ゆき「もう出てるわよ」
健「配当金いくらだったっけ?」
ゆき「1億3千万くらい」
健「まあまあってとこだな」

◯外車のショールーム・外観(日変わって夕方)
様々な高級外車が並ぶ。
 
◯同・ショールーム・内(夕方)
健、ブランドのボストンバッグを持ち、肩で風を切るように店内に入る。
男性店員(26)が健に近づき深々とお辞儀する。

男性店員「いらっしゃいませ!」

健、入り口付近にあるホワイトのSUV車を指差し。

健「これちょうだい」
男性店員「え?あ、こちらですか?」
健「うん。これ」
男性店員「ありがとうございます!」

健、バッグから札束を出す。

健「これで足りる?」

男性店員、驚いた顔で。

男性店員「現金でよろしいですか?」
健「うん、一括」

健、男性店員に札束を渡す。
男性店員、手で待ったのポーズ。

男性店員「少々お待ちください!今お見積りを持って来ますんで、その後にお渡しして頂ければ幸いでございます!」

男性店員、健に一礼し関係者入り口の方へ向かう。

健「あのさー!」 

男性店員、振り返り。

男性店員「はい!いかが致しましたか?」
健「これって今すぐ乗りたいんだけど大丈夫?」
 
◯同・ショールーム出口(夕方)
男性店員とその他の店員9人(21)、姿勢を正して整列している。
健が白いSUV車に乗って出てくる。店員が深々とお辞儀する。SUV車が道路へ颯爽と走り去る。
 
◯駅のデッキ下(夕方)
ゆき、カールした金髪の髪に高級なドレスとヒール、派手目の化粧をして立っている。左腕に着けた金無垢の時計を見る。そこへ健のSUV車が停まる。
健、左の窓から顔を出し満面の笑みで。 

健「ライドン!」

ゆき、笑顔で。

ゆき「OK!」
 
◯焼肉屋の個室(夜)
健とゆき、テーブルに対面で座り、特上の焼肉を食べている。テーブルにズラーッと焼肉が盛られた皿が並ぶ。
ゆき、焼肉をトングで裏返しながら。

ゆき「健ちゃ~ん?」
健「何?ゆきちゃ~ん?」
ゆき「私さあ、そろそろマイクロチップ取り除きたいんだけど」
健「取り除く?なんか違和感とかあんの?」ゆき「ううん、それは無いんだけどさあ、チップってこのまま埋め込んだままで大丈夫なのかな~と思って」
健「まあ取り除きたいんなら、すればいいと思うんだけど…」
ゆき「何か気になる事でもあんの?」
健「うーん。そのー…病院によると思うんだけどさ、マイクロチップのメカニズム調べられて、万が一、国の機関なんかにその情報が流れてテレビの存在を知られたらマズいかなーみたいな」
ゆき「うーん…確かにそれはリスク高いかあ」
健「どうしても取り除きたいなら情報漏洩の危機管理がしっかりした病院探すけど」
ゆき「健ちゃんは気にならないの?」
健「え?」
ゆき「私のうなじの模様とチップが埋め込まれてる事」
健「全然気にならないよ。だって、それが俺とゆきの出会いの証なんだから」
ゆき「……(笑う)健ちゃんカッコイイ!」

健とゆき、2人で高笑いをしている。 

健N「こうして俺とゆきは大学へも行かず、増え続ける大金を湯水の如く使い倒した」
 
◯古本屋・外観(日変わって昼)
 
T「半年後」
 
◯同・2階・店主の自宅(昼)
テーブルに高級スーツに身を包んだ健とゆきが店主の対面に座っている。

健「お父さん!娘さんを僕にください!」

健、頭を下げる。 

店主「‥まあ‥うちの娘で良いなら喜んで」
健「ありがとうございます!」

健、再び頭を下げる。
ゆき、笑顔で健の肩に寄りかかり、互いに顔を見合わせる。

店主「健さんは投資家をやってらっしゃるんですよね?」
健「はい。株式、国債、不動産、仮想通貨、FX、全ての運用に大成功してます」
店主「はあ…大したもんだねえ。この前までうちの店に来てた学生さんが、あっと言う間に大投資家なんだもんなあ」
健「いえいえ、さすがにそれは言い過ぎです」
ゆき「まあ来年辺りには世界的投資家になってるだろうけどね」
 
◯タワーマンション・外観(日変わって朝)
晴れやかな空。
 
T「1年後」

◯同・最上階にある健とゆきの部屋・リビング(朝)
健とゆき、巨大な革張りのソファーに座っている。壁際に100インチのTV、その横にある大理石の台の上にアナログテレビが置かれている。アナログテレビから競馬中継が流れている。
ゆき、メモを取りながら。

ゆき「来週は、どのレースも大穴は無いみたいね」

ゆき、リモコンでチャンネルを換える。
株式市場の番組が流れる。

健「おっ、東洋メガデックの株が急上昇か。でも1年後は、どうなんだろうな」
ゆき「ちょっと観てみようか?」
健「うん」

ゆき、リモコンの日付表示を2023年10月13日に合わせる。

健「それにしても罪の無いインサイダー取り引きって最高だよな」
ゆき「そうねえ。したい事、何もかも叶うもんねえ」

アナログテレビの電源がプツンと切れる。

ゆき「あれ?」

ゆき、リモコンの電源ボタンを何回も押す。

健「どうした?」
ゆき「電源が付かないのよ!」
健「マジで!?ちょっと貸して!」

健、リモコンの電源ボタンを色んな角度から押すが何をやっても動かない。
ゆき、アナログテレビを叩きまくる。

ゆき「‥‥嘘でしょ?」

健とゆき、アナログテレビを叩いたりリモコンを押しまくる。
 
◯同・タワーマンション・外観(夜)
 
◯同・健とゆきの部屋・寝室(夜)
健とゆき、呆然とした顔でキングサイズのベッドに横になっている。

健「…まあ、投資を一旦辞めて出費を抑えれば5年くらいは、そこそこ良い暮らし続けていけんだろ」
ゆき「そうね。とりあえずヴィトンは週1に抑えとくわ」
健「俺もヴァセロンは月1に抑えとこ」
 
◯都内の道路(日変わって夕方)
車が行き交う。
 
◯健が乗る自動車の車内(夕方)
健、古びたボロボロの青いセダンを運転している。タワーマンションの駐車場に入って行く。
 
T「1年後」

◯タワーマンション・健とゆきの部屋・玄関内(夕方)
健がドアを開け玄関に入る。

健「ただいま〜」
 
◯同・リビング(夕方)
ゆき、ソファに横になり100インチのTVに流れるドラマを観ながらウイスキーをラッパ飲みしている。お腹が少し膨らんでいる。
健、リビングに入って来る。

健「おいおい、ゆき!また飲んでんのかよ」

健、ゆきのウイスキーを奪い取る。

ゆき「(舌打ちして)何すんのよ!」
健「そんなに飲んだら母胎に影響出るだろ!」
ゆき「ストレスが溜まる方が身体に悪いでしょ!あんたに分かるの?一人でつわりに耐えてる私の辛さが!」
健「だから体調悪い時は、いつでも連絡しろって言ってるだろ」
ゆき「電話に出た事無いじゃない」
健「それは、たまたま取引先と大事な商談をしてる時に被っちゃっただけだって。その後ちゃんと折り返してるじゃん」
ゆき「不安が治まった時に電話来てもうざいだけなのよ!」
健「怒るなってー。スケジュール空いてる時は一緒にパパママ教室も行くから」
ゆき「たまに来られても迷惑なだけなのよ!この部屋も立退かなきゃいけないし。もう毎日イライラでおかしくなりそう!」
健「落ち着いてくれよ。普通のマンションに転居するだけじゃないか」
ゆき「あんなブランドショップも何もない所に移ったら益々胎教に悪いじゃないの!」
健「…ゆき、とりあえず落ち着こう。今のゆきはビタミンと亜鉛が足りてない。ちょっとサプリ取ろう。な?」

健、バッグからサプリメントの瓶を出す。

ゆき「別れましょ?」
健「は?」
ゆき「赤ちゃん産まれたら一人で育てるわ。慰謝料くれれば、あんたに振り回されずにマイペースで生きて行けるし」
健「ちょ、ちょっと待てよ!何だよそれ!ふざけんなよてめえ!」
ゆき「今、胎教が胎教がって言ってた人がよくそんな汚い言葉使えるわね」

ゆき、健からウィスキーを奪い取りラッパ飲みする。
健、険しい顔で。 

健「こ、この女‥なめやがって‥」
ゆき「何よ?身重の妻に手をあげる気?チョークスリーパーでも掛ける気?」

向こうの部屋から話し声が聴こえて来る。

健「この野郎……ん?…なんか音してない?」
ゆき「は?誰も落としてないわよ」
健「いや、スリーパーじゃなくて。なんか向うの部屋から音がしてない?」
ゆき「あ‥‥本当だ。これってもしかして‥」

健、リビングを出る。
 
◯同・和室・内(夕方)
小さな棺桶が置いてある。
健、和室に入る。
小さな棺桶から声が聴こえて来る。
健、棺桶の窓を開く。窓からアナログテレビの画面が顔を出す。
外国人男性(50)の会話に合わせて日本語のナレーションが入っている映像が流れている。
 
◯映像(夕方)
外国人男性が身振り手振りで話す。
外国人男性「緑色の発光体が空から降りて来て気が付いたら私は宇宙船の中にいたんだ」

◯タワーマンション・外観(深夜)
 
◯同・寝室(深夜)
アンティークの壁時計が午前0時を示している。
健とゆき、アナログテレビを二人の間に挟んで横になっている。競馬中継が流れている。2人、顔を見合わせて微笑み、アナログテレビを抱きしめる。
 
◯同・タワーマンション・外観(深夜)
空からUFOがマンションへと近づく。
 
◯同・寝室(深夜)
薄明かりのスタンド。
健とゆき、付けっぱなしのアナログテレビを2人で抱きながら熟睡している。寝室の壁から緑色に発光した何者かがスーッと入って来て熟睡する2人に近づく。

◯同・タワーマンション・外観(日変わって朝)
 
◯同・寝室(朝)
アンティークの壁時計が午前6時半 を示している。
健とゆき、ベッドで寝ている。アナログテレビの電源が消えている。
健、目を覚まし、あくびとけのびをする。
リモコンでアナログテレビの電源を入れる。画面に現在の健とゆきが映っている。
健、驚いた顔。

健「‥‥ん?何だこれ?」 

健、辺りをキョロキョロと見渡す。

健「ちょっと!ゆき!おい!ゆき!」

ゆき、健の声で目を覚ます。

ゆき「うーん‥うるさいなあ…胎教に悪い」
健「ゆき!ちょっとこれ観て!」

ゆき、気だるそうに身体を起こしアナログテレビを観る。

ゆき「何なのよもう‥‥ん?…え!?どういう事!?何で私たちが映ってんの!?」

健、画面を観ながら腕を上げ下げし。

健「しかも今の映像だよ!ほら!ほら!」
ゆき「隠しカメラでも仕込まれたの!?」
健「だとしたら誰が仕込んだんだよ!?」

健、部屋の隅々に移動しカメラが仕込まれて無いか探す。

健「‥何も無い」

ゆき、リモコンでチャンネルを切り替えるが、どのチャンネルも今の自分たちしか映らない。

健「とりあえず電源消してみて!」

ゆき、リモコンの電源ボタンを何度も押す。

ゆき「…全然消えない…」
健「…もしかして‥俺たち‥」

健とゆき、顔を見合わせて。

健&ゆき「ブラウン管の中に入ってる?」
 
◯同・ダイニング(朝)
健、カーテンを開け窓を開くと外一面が巨大なブラウン管内部の半導体や コードなどで閉じられている。指先で触るとビリッと電流が走る。

健「あちっ!」
 
◯同・リビング(朝)
ゆき、ソファーに座り呆然としている。
健が入って来て。 

健「ダメだわ。どこも出られない」
ゆき「そっか…もう鉄パイプとかでぶち破るしかないんじゃない?」
健「それは危な過ぎだよ。叩いた瞬間、感電死するよ。とりあえず今は冷静になって対策を考えるしかない。あと、うちには鉄パイプなんて無い」
 
◯大気圏(朝)
緑色に発光した円盤型UFOが飛んでいる。そこへ隕石が急接近する。

◯タワーマンション・健とゆきの部屋・リビング(朝)
健とゆき、ソファーに座っている。
アナログテレビには相変わらず現在の2人の姿が映っている。
健、大学時代に買った「闇の泥船」の文庫本を読んでいる。
ゆき、100インチTVの映像を観ながら虚ろな顔でウィスキーをラッパ 飲みしている。

健「あれ?」
ゆき「どしたの?」
健「昔、ゆきの店で買った本なんだけどさあ」
ゆき「ああ、犯人に赤丸が付いてたやつでしょ?うちのパパに説教してたわよね」
健「今読み終わったんだけどさあ。犯人…赤丸が付いてたやつじゃなかったわ。この赤丸‥罠だったのか」
ゆき「そうなの?只のイタズラ書きだったんだ。あんたも最後まで読まずによく見切り発車で‥」

リビングの窓から大量の砂が入って来る。
健とゆき、咄嗟に目を瞑る。

健「わあっ!!何だこれ!?」
ゆき「ちょっと!!何なのよ!?」

アナログテレビの画面が砂嵐になり、電源がプツンと切れる。
 
◯家電量販店(昼)
店主(ゆきの父親)が家電を観ている。
販売中のテレビからニュースが流れている。立ち止まりニュースを観る。

◯テレビのニュース映像(昼)
女性アナウンサーがニュースを伝えている。

女性アナ「日本時間の14日午前、直径約10メートルほどの隕石が、地上から高度約100kmの大気圏内を通過して爆発したと、アメリカの宇宙調査局の関係筋が明らかにしました。爆発の原因に関して、人工衛生や未確認飛行物体などと衝突した可能性があるとして更なる調査を進めています」

◯家電量販店(昼)
店主、ニュースを観て。

店主「…世知辛えなあ…あ、そうだ。単3電池買わなきゃ」

ゆっくりと他の家電コーナーへ移動する。
(おわり)

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