A
小学生の時「お前息くさくね?」「きめえんだよ」
中学生の時「Aって空気読めね〜」「邪魔だわ〜」
高校生の時「え?お前いるんだー」「うざくね?」
せいぜい言われて数回程度だが、自分にとっては黒歴史と同等の重さを持ってふとした時に襲いかかってくる。
みんなこれをどう処理しているのかはわからない、が、少なくとも僕の中では処理できないほど大きな存在として居座り続けてしまっている。何年何ヶ月この言葉を覚えていなければならないのだろう。死ぬとか生きるとかそのレベルではなくとも僕はこれを背負い続けない
「しんどいなぁ」
今日から大学生か、
「印象は第一印象が9割!」「よし」
A
大学入学最初の登校はあれやこれやの大学のシステムや学部学科の資料をもらい説明をされる
C「ちょいちょいここ教えてくんね?」
A「あ〜ここは.....だよ。」
C「サンキュー!なあ、君友達にならない?俺知り合いいなくて困ってるんだわ。」
A「いいけど、とりあえずライン交換しとこ」
C「オッケ〜」
A
かれこれ少なからずも知り合いができた。Cくん三重県出身サッカー部らしい。見た目からして明るくてどのグループにも入っていけそうな感じ、別に羨ましいとは思わない、ただ
「大変そうだな」
C「なんか言った?」
A「なんも言ってないよ?」
C「そか、とりま他の奴らと交流してくる〜
さっき教えてくれてサンキューなー!」
A「あ〜羨ましい」何も考えてなさそうで
LINE
C サークル入る?
A わからん
C 一緒にバスケサークル行ってくんね?
Aいいけど〜
サークル少しくらい経験しときたかったし。
参加中Cにくっつきある程度の交流ができた。
Cはこのサークルに入るらしい。ついでに出席はあまりするつもりのないが一応名前だけは入れておくことにした。
Cとその他との雑談を聞き流してたら
帰りご飯行くグループと行かないグループで別れることになり面倒だから行かないグループに入り帰宅する車に乗った。2人の一年とBはそこにいた。Bは二年でかなりフレンドリーな方で一年生とよく話をしてて三、四年にも好かれるとは言わずとも隔たりない後輩としてサークルにいた。しかし、発言と行動が女のそれとは思えず、僕の嫌いなタイプの女だった。
B「喉からからだからコンビニ寄っていい?先輩として君たちになんか奢ってあげるよ!」
一年2人「ありがとうございます。」
B「これも先輩の務めだからね!」
Aは流れるようについて行った。
B「Aくんは何にする?」
A「じゃあ、二人と一緒で、」
B「え〜それでいいの〜?」
A少しむかついた。勝手にコンビニ寄って勝手に奢ったのはそっちだろ、なんでもいいんだよこっちは!と思いつつ
A「大丈夫です。」
その後近くまで送ってもらい帰宅した。
A
疲れていたためすぐ寝るつもりだったが、コンビニのジュースのせいでなかなか寝付けないので軽く散歩することにした。大学祝いに買ってもらった原付でとりあえず山を少し登り乙な雰囲気で眠気を誘おうと原付を走らせた。適当なところに原付を止め適当に歩くそれだけだった。自分に浸るっていうイメージが正しい、ちょうどいいタイミングでいいポイントを見つけた。原付と一緒に人が一人いたが気にせず二つ離れたベンチに座った。一人は女の人だった。タバコを吸っている。僕は気にせず夜景と星を楽しんだ。そしたら急に、
女「君時間ある?」
喉に引っかかってるような声だった。
だれかわからんが、面倒だったけど、何故だかわからない、声かそれともシルエットか、女のタバコのせいかもしれない。
A「どうしたんですか?」
ここからは女の愚痴だった。主に自分の扱いとその扱った人に対しての。
何故見知らぬ俺にそんなこと言うんだよ、と思いつつ、
聞き入ってしまった。
...(一方的愚痴)...Aはその女に魅力を感じた。女は女らしくいたらビッチだのなんだの言われ男らしくいたら女らしくなれよ、って馬鹿にしたような空気を作られ話のネタにされる。その一言一言が反論したくなるようなことでも抑えて輪の中に居続ける。その心に深く共感、尊敬した。
A「あなたはなんでそんな愚痴を言うような輪に居続けるんですか?」
女「うーん、それは深い質問だね」
女はクスッと笑った。
「真面目な質問だし、真面目に返そうかなぁ。
え〜と、うん、怖いからだよ。」
A「え?」
女「君は多分質問から察するに輪にいなくても大丈夫な人なんだね。けどさ、君は気づかなくても今まで輪の中にいたんだと思うよ?家族、クラスメート、友人、教師とか、これらと喋らず生活はできないでしょ?居続けるっていうのは間違いであなたも居て私も居るんだよ。
そしてその輪をどれだけ自分に合ったものにするか、合わずにそのままでいると常に不安、いつこの輪から外れてどこかの輪に収まるのが怖い、そんな感じ、私もわからないや。」
A「わかります。」
何故か声に出てた
女「良かった伝わって、じゃあ私行くね、タバコも吸い終わったし。」
と言ってタバコの茶色いとこを掴み地面に押しつけた。
A「あの、」女「んっ?」
僕は夜も更けて頭がおかしかったのかもしれない
A「あなたのこともっと知りたです。」
女は笑った、耳に残るような声だった。
女「いいよ。次あったらね。」
A「あっ、」
女の原付の光に照らされ女が見えるようになる。
A「Bさん。」
Bはすぐわかったのか顔を隠すようにしてすぐに原付を飛ばして行った。
A
そこからはなんかよくわからなかった。
会って話して、流れに流され、付き合うことになるまで時間はかからなかった。僕はあの日以来BさんにひかれてるしBさんも満更じゃなかったし、まさか僕が付き合うことになるとは意外の意外だったけど。
.......
大学生活にも慣れてBとも付き合って数ヶ月にもなる。
昔彼女が居たことはあるが、面倒くさくて軽く対応してたら振られた。その経験のもと記念日を忘れず、プレゼントを時間をかけて選び、ファッションも興味を持ち、しっかりバイトをしてまるで今までの自分じゃないような生活を送っていた。自分を知ってくれる人、自分を分かろうとしてくれる人がいかに大切かを痛感する毎日だった。初めてかもしれない
A「充実してる」
B「どうしたの?」
A「いや、幸せだなぁってね」
B「だれのおかげ?」
A「ありがとう、B」
(ピロン)
携帯の着信音によっていいムードが台無しになったが
B「うふふっ」
笑うBを見てふと思った。
僕はこの言葉を何度吐いたかわからない。けど、この言葉が大切だと思う、この幸せを築く上でこの上なく。
次の日、なぜかバイトの先輩Dに明日予定ある?とラインが来た、しかもDは女の先輩、Bに一応言っておいた。
A「明日Dさんとご飯に誘われたから行ってきていい?」
B「大丈夫だよ、私も予定あるし、.....」
A「気にしないで、Bを愛してるから。」
B「うん」
Bは目を合わせてくれなかった。
A「先輩どうしたんですか?急に場所変えて」
D「とりあえず、座って」
A「はい」
D「Bちゃんが私の彼氏と浮気してるかもしれないの。だから一緒に来て。」
Aは言葉が出なかった。頭がいっぱいになった。Bが浮気してるかもしれない。その言葉はAにとってとても重い、息が詰まり、吐き気を催した。しかし、まず聞かなければならない。
A「それは本当ですか?誰から聞いたんですか?なんでこの場所だってわかるんですか?なん...」
僕の言葉はDの表情によって遮られた。
A「すいません。失礼でした。」
Dだって彼氏のことだ、しかもDは付き合って僕たちと同じくらい、僕と同等いやそれ以上思ってても無理はない。
D「彼の携帯を開いたら」
僕は驚いた。かなり信憑性が高かったからだ。
てっきり友人EとかFとか出てくると思っていたのに。
ここに来て不安が蘇る。しかし、今までのBを見る限りそんな様子はない。逆に愛が溢れてるレベルだ。
そんなことを考えてるとBとDの彼氏が本当に歩いているのを目撃した。
A「あっ」
口が閉まらなかった。
D「抑えてね」
僕はこの時抑えるというか、逆に疑問しか浮かばなかった。なんで僕に言わなかったのか、どうしてあの二人が?と
......かれこれDと彼氏彼女のふりをして尾行すること数時間、日も暮れて夜になってしまった。
Dのメンタルは限界でAは逆に見続けてDに注意される始末。なんとかDと一緒にBと似たようなことをしてお互い楽しんで尾行は続いてるけど、楽しむ自分への罪悪感とBへの疑惑で頭も体も限界である。
Dの彼氏はある所を指差しBと向かう。そこは有名な告白ポイントだった。そして
D彼「好きです....愛しています。付き合ってくれませんか」
ある結婚式場
Aこの時のDの彼氏の言葉は多分いや絶対何年何ヶ月どころじゃなく一生涯思い出し続けるであろう。
神父「永遠の愛を誓いますか?」
女「はい」
A「はい」
神父「では、誓いのキスを」
だってそうだろう。
D「愛してるわ、A」
この先ずっと言って言われ続けるのだから。
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