鍵が出てこない! ドラマ

とある会社員の男とめんどくさい泥棒やらの話
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第一稿

〇居酒屋・中( 夜)
飲み交わす男( 29) と上司。
上司、酔いながら怒っている様子。
上司「頼むから持ち帰って、やるって言って た書類、絶対明日だせよ」
男「も ...続きを読む
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〇居酒屋・中( 夜)
飲み交わす男( 29) と上司。
上司、酔いながら怒っている様子。
上司「頼むから持ち帰って、やるって言って た書類、絶対明日だせよ」
男「もちろん必ず出します」
上司「もしや、まだやってないなんてことね えよな?」

男「いえいえ、書類自体はもう昨日で完成済 みで。後は送るだけです」
上司「ならいいけどさあ。お前、肝心なとこ でいつも詰めが甘いというか、おっちょこち ょいというかさあ」

男「すいません」
上司「前の部署の代表としてプレゼンしたと きだってさ、スライドに『各々』を『かくか く』って書いたりしてたよな、よりによって 他の課の連中の前で」

男「……すいません」
上司「……いいよ、こっちこそごめんな。上司に言われるんだよ、後輩のお前の面倒ちゃ んと見てるかってしつこくさ」

男「……すいません」
上司「いいよもう謝らなくて、とにかく明日 の六時までには出せよ、必ずな」

〇アパート・付近( 夜)
歩く男、酔って千鳥足になり、電柱にぶつ かる。
男「書類さっさと送らねえと」 とつぶやき、ポケットを探りながら、歩く。

〇アパート・玄関前( 夜)
男、玄関前に止まってポケットを探る動き が慌ただしくなる。

男「あれ?」 しかし手ごたえがない。 鞄の中を開き、探すも、なく呆然とする

男「( 呆然とし空を仰ぎ) 鍵がない」
男がしてる腕時計が丁度24時を指す。

〇タイトル「鍵が出てこない!」

〇居酒屋・表( 夜)

「CLOSE」の看板が立ててある。 それを見て落ち込み、
男「遅すぎたかぁ」 とつぶやき、
腕時計を見る。 腕時計は1時を指している。

男M「五時間後には書類をださなきゃいけな いのか」 と焦る表情。

そこへ
店長「おい、何やってんだよ」 と声を聞き、
男が振り向く。

男「あ、店長。その、折り入ってお願いがあ りまして」

〇同・中( 夜)
店内をくまなく探す男と店長。
男「( 探しながら) どうですか?」

店長「( 探しながら) ない、てかもうここには ないと思うぞ」

男「そんな!あるとしたらここぐらいしか ないんですよ」
店長「だとしてもすぐに見つかる筈がない。 諦めてくれ、もう閉めるぞ」
男「僕だけでも探させてください」
店長「駄目だ。こんな夜中に堂々と空いてた ら泥棒の格好の餌食だよ」
男「泥棒って……」
店長「この町の大泥棒らしいぞ。まだ捕まっ てないそうだ」
男「もし来たらちゃんと110しますから」
店長「そういう問題じゃないんだよ。もしマ ジで出て被害にあったら責任は俺にあるから な」 男「お願いします( と深々と頭を下げる) 」
店長「( 近寄り) やめてくれ、あんたの気持ち はよくわかった」
男「( 晴れた顔で) じゃあ」

〇同・表( 夜)

店長、男をつまみ出し、店を閉める。
男「分かったって言ったじゃないですか」

店長「ああ、よく分かったよ。野宿するか大 家さんに泣きつくんだな( と去る) 」
男「……くそっ」 とスマホを開く。 スマホは「2時半」を指してる。 男、スマホで大家に電話する。 しかし出ない。

男「クッソー!」

〇街角( 夜)
歩く男、懲りずに通話を試みる。 とついに通話が通じる。

大家の声「もしもし、何?」
男、歓喜に溢れた表情をし、
男「あ、大家さん。夜分遅くにすいません。 その家の鍵を( と続けようとする) 」
しかし通話が途切れる。

男「は!?」 とスマホを見る。
スマホは充電切れになっていた。 男、悲痛な声を上げる。

〇公園付近( 夜)
公衆電話で通話している男。

男「えっ、朝の七時ですか?」

大家の声「前言ったじゃん、交通が不便なと こに引っ越したって。だから初発の電車が6 時ぐらいで、そっから合鍵も用意すると考え たらこれぐらいはかかるよ」
男「6時前に着くことって」

大家の声「話聞いてた?」

男「いやその会社に提出しなきゃいけない書 類があって、その期日が今日の6時で」
大家の声「良いことを教えてやるよ」
男「なんですか?」

大家の声「今のうちに泣く演技の練習をしと くといいよ、これなら上司もドン引きして許して貰える( でしょ) 」 男、大家の声を遮り、通話を切る。 公園内の時計台は3時を指す。

〇アパート・付近( 夜)
辺りを落ち着かない表情でうろつく男。

男「どうすりゃいいんだよ」 と眠気が襲い、電柱に倒れかかる。 電柱に頭をぶつける。

男「痛って!」 と足元の下水溝を見つける。 ×××( 男の回想・フラッシュ)

同じ電柱にぶつかる男。
×××( 回想終わり)

下水溝の蓋を開けて、泥水の中を探す男。
男「頼む、あってくれ」 と必死に探す。 腕時計は3時半を指す。

×××
服が泥に汚れ、仰向けで寝る男。 ハッと目を覚まし、腕時計を見る。 腕時計は5時30分を指す。 男、頭を抱え、

男「俺はもうおしまいだ!」 と悲痛な声を上げる。
男、自然と泣きながら、土下座してしまう。
男「( 頭を上げ) 何やってんだろ、俺」
とつぶやき、ふと、そこでアパートをふと見る。

男「( 何かに気づき) ん?」
アパートの3階の一室の窓が開いていた。

男M「あれって、うちの窓だよな」 と近寄る。 ×××
アパートの壁をよじ登っていく男、しかし 足が滑って転げ落ちる。
男M( 尻もちをつき) 諦めてたまるか」
とどこかへ向かう。

×××
走ってアパート付近まで戻ってくる男、コ ンビニ袋に入った何本かのビニール傘を持 つ。
男、ガムテープでビニール傘を繋ぎ合わる そして空いてる窓のレールにビニール傘の 取っ手を引っかける。

男「よし!いけるぞ」 と傘をつたってよじ登る。 しかし男の体重に耐え切れず、取っ手が折 れてしまう。 男、転げ落ちる。

男「( 地面を殴り) クッソ!」 と腕時計を見る。 腕時計は5時50分を指す。 男、絶望した顔で頭を抱える。
その瞬間、窓から強盗が顔を出す。 男、その強盗の顔を見る。

男「( 驚き) お前、何してんだよ!」

強盗、焦る。
男「お前、アレか。この町でよく出るってい う」

強盗「だったらどうする?」
男「そりゃ、110に通報って( ハッとし) そ うだ、お前に頼みがある」
強盗「何ですか」
男「俺のパソコンをそっから渡してくれない か?」
強盗「は?」

男「頼む!お前のことは通報しないでやる から、目を瞑ってやるから」
強盗「そんなの信用できません」

男「マジで頼む、このままじゃ、土下座しな がら泣かないといけねえんだ」

強盗「意味わかりませんよ…」
男「てか、お前どうやって俺の部屋に入った」 強盗「何って普通に」
男「どうやって俺の部屋までよじ登った?」
強盗「よじ登るって……」

男「あ、そうだ。部屋ン中の脚立あるだろ」
強盗、部屋の周りを見て

強盗「ちっさいのならあります」
男「それ、こっちに落としてくれ」
強盗「ええ……( と脚立を持ち) これでいいんですか?」
男「ああ、それを早く」

強盗「……嫌ですね」
男「なんで」
強盗「さっきから言ってるけど意味わかりませんよ、僕を見つけたのに何で通報しな いんですか?第一普通にドアから入ればいいじゃないですか」

男「鍵がないんだ」
強盗「は?」

男「鍵がどっかいったんだ」
強盗「大家さんとかに頼むとか」
男「頼んだけどすっげえ時間がかかるってい うもんで泣いて土下座する練習でもしてろっ て言われたよ( とイライラしながら) 」

強盗「泣いて……土下座?」 と困惑している。 男「とにかく早く俺を部屋に入れてくれ、通 報なんて絶対しないから、な?」

強盗、神妙な表情で
強盗「……いや、もう終わりにしよう」
男「は?」
強盗「僕、こんなしょうもない生き方に嫌気 がさしてきたんです。もしかしたらあんたに見 つかったことが僕の人生を変えるチャンスな のかもしれない」

男「…へ?」
強盗「今から出頭してきます」 と部屋を出ようとする。
男「おいちょっと待て待て」 と慌てる。

強盗「止めないでくれ!これは僕は決心し たんだ( と思いつめた表情で) 」
男「おい待て、唐突に改心すんな!」
強盗「もう終わりにしたいんだ、こんなクソ
みたいな人生を、情けない自分を」
と完全に自分の世界に入っている。

男「あ、お前出頭するふりをして逃げるつも りだろ!そうはいかねえぞ」

強盗「そんなことするわけ……( 声のトーンを 下げ) いや、そうだよな。僕がこんな人生歩ん できたのは全部僕が臆病だから、意気地なし だから悪いんだろうな。だからこうやって信 用されて貰えないんだ」 と過剰に泣く。

男、引きながらも
男「いや、他人の家に入ってる時点で何言っ てんだよ……」 と時計を見る。
時計は5時55分。

男「やべっ、とにかくせめて脚立は下してく れ」

強盗「こんな最低な僕だ、どうせ脚立すらも まともに下せないんだろう」
男「何バカなこと言って」

強盗「いつもやることなすことが裏目に出る 人生なんだ、だから泥棒になって吹っ切れよ うと思ったのに……僕は誰の役にも立てな い」

男「今がその時だって何で気づかない!」
強盗「え?」

男「後五分を過ぎたら俺は地獄を見る羽目に なる。地獄から逃げるにはまず部屋にはいる しかない。お前しか俺を救えないんだよ」

強盗「そうか、そうなのか」
男「だから早くしてくれ」 強盗、脚立を下ろそうとするが

強盗「本当に大丈夫なのか……僕の今までの 人生、失敗ばかりだ。その癖、失敗が成功に 繋がったことなんて一つもない。まさしく今 がそうじゃないか。この家に強盗をしたとい う失敗から始まって、あの人を助けるという 成功で果たして終わるのか?そんな都合の いいことが起こるのか?……やっぱり手が震えてしまう。僕は、僕は」

とぶつぶつ言う。

男「早くしろー!」 とついにキレる。
強盗、少し怯える。

男「お前の人生なんて知らんわ!こっちは な今後の俺の会社の立場がかかってんだぞ! 下手したら首がちょん切れるんだぞ!そう なったらお前責任とれるのか」
強盗、少し沈黙し、

強盗「いける、僕ならいける。最悪の人生、 脆弱な自分、己の失敗、全てのしがらみを超 えて僕はあの人を助ける」

と掛け声とともに脚立を勢いよく投げる。 脚立、勢いよく男の足に当たる。

男「痛って!」 と悶える。

強盗「( 悶える男を見て) クソ、どうしてだよ。 いっつもこうだ」 と意気消沈する。
男「……いや、お陰で助かった」

と脚立を持ち、アパートの真下まで動く。 男、脚立を置き、上るが、やはり窓まで高 さが足りない。

男「やっぱり無理か……」 と落ちてる先ほどの繋げた傘を見る。

男「一か八か使うか」 と脚立から降りて繋げた傘を拾い、取っ手 が折れた一番上の傘を外す。 そして脚立に上がり、傘の取っ手を窓のレ ールに引っかける。

男「よし!」 と繋げた傘をつたってよじ登る。 男「いけるぞ、これ!」 しかしひっかけた取っ手が割れそうになる。

男「しまった!」 強盗、窓に引っかけた取っ手を持ち支える

男「お前」 強盗、必死に支える。
男、よじ登り続ける。 強盗、男に手を伸ばす。

男、伸ばした強盗の手を掴む。 ついに男、窓から部屋に入る。 男と強盗、虫の息。

男「( 疲れつつ) ありがとな」 とふいに時計が目に映る。 時計は6時間近。

男「やばい」 と付近のパソコンを開きファイルを開く。
パソコンが示す時間は6時まで後僅か。
とその書類の文に「各々」を「かくかく」 とまた誤字になっていた。

男「あーもう!」 と早急に直す。 そして時計が6時に変わる瞬間、書類を 送信する。
男、疲弊しきって倒れ

男「終わった……」
強盗「大丈夫か、あんた」
男「ホントに助かったよ」
強盗「でも俺は現にあんたの家に」

男「いいよ、あんたが必死に変わろうとして るのは分かったし、それにあんたのお陰で、 上司に怒られずに済んだ」
強盗「ありがとう」 と言って泣き始める。
男「涙もろいなぁ、相変わらず」 と笑う。
×××
男、窓から、外に出て出頭しようとする 強盗をみる。

強盗「ありがとう、変れる気がするよ」 と去る。 男、笑顔で見送る。 とそこへ一本の車が止まる。 中から大家が出てくる。

男「大家さん、なんで。頑張っても7時ぐら いって」
大家「わざわざ車で来てやったの、あんたの 為に( ダルそうに) 」
男「え、( 感激し) ありがとうございます」

大家「てかなんで部屋に入れてんのよ」

男「あーそれは、でも鍵は本当になくて」
大家「( 呆れ) スペアの鍵持ってきたから、お 金だけ頂戴」

男「分かりました」 と貯金箱を開ける
しかし中身は空。
男「あれ」 と色んなとこを探すが1円も出ない。 男「しまった!」

〇町のはずれ( 朝)
男の金を数える強盗。
強盗「全然持ってねえな、あの野郎」 と舌打ちする。

強盗「てか、なんであいつ窓から入ろうとし てたんだ?( とつぶやく) 」

〇アパート男の部屋・中( 朝)
男「あいつ全部芝居だったのか」

と頭を抱える。 男、窓から落ちているバックを見る。

男「とりあえず、バックから財布取るか」 とドアを開けて、部屋から出る。 男、違和感を覚え、立ち止まる。

男「え、なんで開いてるんだ」
と再度部屋に入る。 廊下に鍵が落ちてる。

男「( 全てを察して) もしかして……ずっとド ア開いてた?」

終わり

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