カーツ惑星調査団 ♯3『怪獣狩り in 惑星ラロキ』 SF

エネルギー補給の条件として、怪獣狩りをする事になったカーツ惑星調査団の面々。しかし作戦中、ナサマチ・F・ダラ(17)の脳裏には、船内の秘密部屋の様子がこびりつく。その結果、ダラを庇ったタノク・M・イリウス(20)共々、落石に巻き込まれてしまい……。
マヤマ 山本 32 0 0 08/04
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第一稿

<登場人物>
タノク・M・イリウス/影タノク(20)団員/影の巨人
ナサマチ・F・ダラ(17)同
テシ・Y・ケルナー(8)同
ナサマチ・F・ルギエバ(46)同団長、ダラの父 ...続きを読む
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<登場人物>
タノク・M・イリウス/影タノク(20)団員/影の巨人
ナサマチ・F・ダラ(17)同
テシ・Y・ケルナー(8)同
ナサマチ・F・ルギエバ(46)同団長、ダラの父
ラヤドケ・S・リオト(33)同副団長

矢浦/影矢浦(26)宇宙探偵/影の巨人

王様(44) #3ゲスト
被狩獣・ベーサー



<本編>
○ツエーツ号・安置室・中(夜)
   ウエットスーツを着た人間の死体が入ったカプセルが数十体並んでいる。それを見て、呆然とするナサマチ・F・ダラ(17)。
ダラ「何やコレ……?」
   その内一体の死体を見るダラ。
ダラ「これは人……いや、生きてへん。死体や。けど、何でこないぎょうさん……?」
   ドアの開く音。
ラヤドケの声「何をしているんですか?」
   驚き、物陰に隠れるダラ。
   入ってくるラヤドケ・S・リオト(33)。
ラヤドケ「ここは貴方が勝手に入って良い部屋ではないんですよ」
   ダラの近くまで歩いてくるラヤドケ。
ラヤドケ「聞いているんですか、ナサマチ団長」
ダラ「せや、まだウチとはバレてへん」
   周囲を見回すラヤドケ。
   そのすぐ近くの物陰で息を潜めるダラ。ラヤドケが奥に行った隙に部屋から出ていく。
ダラの声「危なかった~……」

○同・ダラの部屋(夜)
   ベッドに寝転がるダラ。
ダラ「それにしても……」

○(フラッシュ)同・安置室・中(夜)
   入ってくるラヤドケ。
ラヤドケ「ここは貴方が勝手に入って良い部屋ではないんですよ」
ダラの声「団長のオトンですら勝手に入ったらあかん部屋……」

○同・ダラの部屋(夜)
   ベッドに横になるダラ。
ダラ「しかも、普段コクピットからほとんど動かへんリオトさんがわざわざ来る程の事……一体、何やねん。あの部屋」
   目を閉じるダラ。

○(夢の中)同・安置室・中(夜)
   カプセルに入った死体が並ぶ。

○同・ダラの部屋(夜)
   起き上がるダラ。
ダラ「あ~、もう、気になって眠れへん。アレ、誰? 何? 目的は?」

○メインタイトル『カーツ惑星調査団』
   T「♯3 怪獣狩りin惑星ラロキ」

○航行するツエーツ号

○ツエーツ号・共同スペース
   入ってくるダラ。
   作戦机に並んだ空の食器を片付けるナサマチ・F・ルギエバ(46)と、コクピットに座るラヤドケ。
ナサマチ「おう、ダラ。おはようさん」
ダラ「おはようさん」
ラヤドケ「今日は随分と遅かったですね」
ダラ「あ……おはようございます」
   ラヤドケの顔色をうかがっているダラ。
ラヤドケ「……私の顔に、何か付いていますか?」
ダラ「あ……いえ。(話をそらすようにナサマチに)あ、オトン、朝ご飯はもう片してもうた?」
ナサマチ「せやな。けど安心しぃ。ダラの分はちゃんと、イリウスが食べてくれたで」
ダラ「(棒読みで)それは一安心やなー。ほな、軽くでえぇから、何かあらへん?」
ナサマチ「おう、ちょっと待っとき」
ラヤドケ「いえ、ダメです」
ダラ「え?」
   立ち上がり、ダラの元にやってくるラヤドケ。息をのむダラ。
ラヤドケ「間もなく、次の星に到着します。準備をして下さい」
   コクピットに戻って行くラヤドケ。
ダラ「(息を吐き)了解」

○惑星ラロキ・外観
   黄色い惑星。そこに向かって行くツエーツ号。
   T「惑星ラロキ」
ラヤドケの声「惑星ラロキ」

○同・王宮・外観
   豪華な宮殿。脇にツエーツ号が停泊している。
ラヤドケの声「エネルギーは豊富な星ですが」

○同・同・応接間
   赤い絨毯の上、跪いているタノク・M・イリウス(20)、ダラ、テシ・Y・ケルナー(8)、ラヤドケ、ナサマチ。
ラヤドケの声「『必ず王室に謁見する』というルールが存在します」
   面々の向かい側の壇上、豪華な椅子に座る王様(44)。周囲の側近らも含めて、皆1/4程の年齢にしか見えない。
王様「難しい事はよくわからないけど、要するにエネルギーの補給がしたいだけなんだよね?」
ナサマチ「いかにも。お願いできますか?」
王様「それで、僕らに何のメリットがあるの?」
ラヤドケ「例えばですが、他の惑星で手に入った珍しい宝石等と交換して……」
王様「そんなのは要らない」
ナサマチ「ほな、どないしたら?」
王様「そうだな……。あ、じゃあ、こうしよう。ゲームだ」
タノク「ゲーム?」
王様「僕の提案するゲームをクリアしたら、エネルギーを分けてあげるよ」
ダラ「で、そのゲームって何や?」
王様「(にやりと笑い)ハンティングさ」

○同・採掘場
   山の中腹にある採掘場。見上げれば崖もある。
   そこにやってくるタノク、ダラ、テシ、ナサマチ。脇にはツエーツ号が停泊している。
王様の声「ズバリ、怪獣狩り」
タノク「ったく、結局怪獣と戦わなきゃなんねぇのかよ」
ダラ「仕方ないやん」
テシ「怪獣さん、かわいそう」
タノク「しかもエネルギーのためじゃねぇ。ただのゲームだなんて。胸くそ悪ぃぜ」
ラヤドケの声「そういうものでもないですよ」

○ツエーツ号・共同スペース
   コクピットに座るラヤドケ。
ラヤドケ「例え人間がエネルギーを回収しなくとも、怪獣を倒したエネルギーは大地に還ります。そしてこの星の方々は、そのようにして産まれたエネルギー源を、別の形で採掘しているのでしょう」

○惑星ラロキ・採掘場
   タノク、ダラ、テシ、ナサマチ。
ラヤドケの声「私達が怪獣を倒して得たエネルギーも、私達が回収しきれるのはせいぜい一割程度。残りの九割以上は、その星のものになっている訳ですから」
タノク「わかってっけど、何かイメージ的にさ」
ナサマチ「それよりラヤドケはん、データは手に入ったんか?」
ラヤドケの声「はい、ナサマチ団長。今お送りしました」
ダラ「オトン、来たで」
   タブレット端末を手にするダラ。映し出される怪獣・ベーサーの画像。皮膚の一部に特徴的な傷。
ラヤドケの声「怪獣の名は、ベーサー。この惑星には多数存在する怪獣だそうですが、今回の狩りの対象となるのは、以前あの王様がしとめ損なった個体、との事です」
テシ「この傷が目印なんだよね?」
ラヤドケの声「はい。ただ、体長に関してですが……『非常に大きい』という事以外、詳細は不明です」
ダラ「つまり、まずこの個体を探さなあかん、いう事か」
ナサマチ「そない大きな怪獣やったら、すぐ見つかるやろ」
   遠くを見ているタノク。
テシ「イリウス君、どうかした?」
タノク「え? あ、いや、アレ……」
   タノクの指す先、その特徴的な傷を持つベーサーがいる。体長は七メートル程。
ダラ「あ、居った」
テシ「傷もあるね」
タノク「でも、小さくね?」
ナサマチ「せやな……サイズ七って所や」
   顔を見合わせる四人。
ラヤドケの声「……どうやら、この星の大きさの基準というのは私達と少し異なるようですね」
ダラ「まぁ、えぇわ。早よ狩ったれや、タノク」
タノク「は? あのサイズだぜ? サーゼ無しで行けんだろ?」
ダラ「まったく。もっともらしい事言うて、すぐサボろうとするんやから」
タノク「だって、疲れんだもん」
ナサマチ「まぁまぁ。タノクの言う事も一理あるやろ。たまには、ワイ達で頑張ろうやないか。えぇですか、ラヤドケはん?」
ラヤドケの声「了解しました。では、プランCで」
ナサマチ「プランC、スタートや」
   レーザー銃を発砲する四人。ベーサーに当たり、ダメージを与える。
ナサマチ「えぇで、効いとる」
ラヤドケの声「では、ナサマチ団長とテシ君はその場で引き続き怪獣の足止めをお願いします」
ナサマチ&テシ「了解」
ラヤドケの声「ダラさんとタノクさんは、怪獣に出来るだけ近づき、傷口を中心に攻撃して下さい」
ダラ「了解や」
タノク「え~、何で俺?」
ダラ「ほな、サーゼシステム起動するか?」
タノク「行きゃいいんだろ、行きゃ。了解」
   ナサマチとテシが銃撃する最中、ベーサーの近くの崖まで行き身を隠すタノクとダラ。
ラヤドケの声「もう少し近づけませんか?」
タノク「いや、さすがにこれ以上は危ないっしょ。副団長、俺らの事殺す気?」
ダラ「!?」

○(フラッシュ)ツエーツ号・安置室・中(夜)
   カプセルを目撃するダラ。

○惑星ラロキ・採掘場
   崖の影に隠れているタノクとダラ。怯えている様子のダラ。
タノク「? どうした?」
ダラ「いや、何でもあらへん」
   ベーサーの胸の傷口に向けて銃撃するタノクとダラ。
   ダメージを与えると、再び崖の影に身を隠す。
タノク「よし、今だ。頼むぜ、副団長」
ラヤドケの声「了解です」
   そこにやってくるツエーツ号。
ラヤドケの声「プワツナー砲、発射!」
   プワツナー砲を発射するツエーツ号。それを受け、そのまま崖に激突するベーサー。崩れた崖に埋もれる。
タノク「やったか?」
ラヤドケの声「各位、確認お願いします」
   ベーサーの元に行くタノクとダラ。早速岩をどけようとするタノク。
ダラ「ちょっ、オトン達が来るまで待ちぃや」
タノク「大丈夫だろ。あんだけダメージ受けてりゃ」
ラヤドケの声「ちょっと、タノクさん。何をしているんですか?」

○(フラッシュ)ツエーツ号・安置室・中(夜)
   入ってくるラヤドケ
ラヤドケ「何をしているんですか?」

○惑星ラロキ・採掘場
   崩れた崖の脇に立つタノクとダラ。怯えた様子のダラ。
タノク「? おい、ダラ。やっぱおかしいぞ?」
ダラ「平気やて」
タノク「あ、アレだ。お前朝飯食ってねぇからだ。悪ぃけど、俺はお前の分まで頂いたから……」
   完全に背を向けているタノクと、前方から目をそらしているダラ。崩れた崖からベーサーが立ち上がる。
   ベーサーの上に乗っていた岩や、ベーサーが立ち上がる際に新たに崩した崖の岩がタノクとダラを襲う。
タノク「危ないっ!」
ダラ「えっ!?」
   ダラを庇うタノク。二人揃って岩に埋もれる。そこに駆けつけるナサマチとテシ。
ナサマチ「ダラ!」
テシ「イリウス君!」
   ベーサーが居るため、近づくに近づけないナサマチとテシ。
ナサマチ「くっ……」
ラヤドケの声「ナサマチ団長、テシ君。一旦撤退して下さい」
ナサマチ「せやけど、二人が中に……」
ラヤドケの声「まずは撤退です!」
ナサマチ「……了解」
   撤退するナサマチとテシ。

○同・岩の中
   中腰の姿勢くらいにはなれる程度の、僅かな空洞が出来ている。そこに身を寄せるタノクとダラ。
タノク「ケガは?」
ダラ「ウチは大丈夫。イリウスは?」
タノク「マズイな……」
ダラ「え? まさか、ウチの事を庇ったせいで……?」
タノク「腹減った」
ダラ「アホ」
タノク「(周囲を見て)しっかし、完全に閉じ込められちまったみてぇだな」
ダラ「(ため息をついて)……堪忍な」
タノク「まぁ、俺も油断しちまったからな。アイツがあんなにしぶといとは」
ダラ「いや、ウチがちゃんと見とったら……」
タノク「ダラ、お前今日やっぱおかしいぞ。何があった?」
ダラ「いや、それは……」
タノク「まぁ、言いたくねぇなら聞かねぇけど。面倒くせぇし」
ダラ「……ちょっと、恐い事を思い出しただけや。もう、大丈夫やから」
タノク「ふ~ん……そういうの見ちまうと、記憶があんのって不便だなって思うよな」
ダラ「イリウスはあいかわらず、記憶は戻ってないんやな?」
タノク「まぁな」
ダラ「まったく?」
タノク「まったく」
ダラ「ゼロ?」
タノク「ゼロ」
ダラ「そっか……。あの部屋にもヒントはなさそうやったしな」
タノク「ん?」
ダラ「あ、いや、こっちの話や」

○同・採掘場
   停泊したツエーツ号の前に並び立つナサマチ、テシ、ラヤドケ。
ナサマチ「どないします?」
ラヤドケ「もちろん、お二人の救出が最優先ですが、あの怪獣がいる限り難しいでしょう」
ナサマチ「じゃあ、先に怪獣を……」
ラヤドケ「プワツナー砲が効かなかった以上、我々の装備では厳しいでしょう」
ナサマチ「この星の人達に協力を……」
ラヤドケ「あくまでも『ゲームの失敗』ですからね。動いてくれるかどうか……」
ナサマチ「(怒りながら)ほな、娘を見殺しにしろ言うんか!?」
   ラヤドケに掴みかかるナサマチ。
テシ「イリウス君も居るよ?」
ナサマチ「そんな事、わかっとるわ!」
テシ「……(涙目)」
ナサマチ「あ……すまん、ケルナー。そういうつもりやなかったんよ」
ラヤドケ「団長。まずは落ち着いて……」
矢浦の声「ご無沙汰しております、カーツ惑星調査団の諸君」
   そこにやってくる矢浦(26)。
ラヤドケ「どちら様ですか?」
ナサマチ「(思い出して)あぁ。この間話した、矢浦さんいう人や」
矢浦「失礼、初対面でしたな、其方とは。小生、名を矢浦という者」
ラヤドケ「カーツ惑星調査団、副団長のラヤドケ・S・リオトと申します」
ナサマチ「そう言えば、ワイらも自己紹介はしてへんかったな。ワイは団長のナサマチ・F・ルギエバ。こっちはテシ・Y・ケルナー」
テシ「本当にまた会ったね」
矢浦「左様。それにしても、小生もおおよそ察している、この状況。邪魔なのだな、あの怪獣が」
ナサマチ「いかにも」
矢浦「では何故使わない、あの影を?」
テシ「だって、イリウス君も閉じ込められているから」
矢浦「それは承知。『其方達では無理なのか』という疑問を持っているのだ、小生は」
ラヤドケ「ご覧の通り、テシ君はまだ幼く、私はこの足、そしてナサマチ団長は……」
ナサマチ「メタボリックシンドロームや」
ラヤドケ「私達では、サーゼシステムの負担には耐えられないのです」
矢浦「……本当にそれだけか、理由は?」
ラヤドケ「……何がおっしゃりたいんですか?」
矢浦「本当に理由がそれだけならば、代わりに戦おうか、小生が」
ナサマチ「!?」
ラヤドケ「御冗談を」
矢浦「本気だ、小生は」
ナサマチ「無理やて」
矢浦「何故? 小生は大人であり、ケガもしておらず、健康体」
ナサマチ「それは……」
矢浦「やはり、他に理由がある様子。あの彼でなくてはならない、理由」
ラヤドケ「もの凄く体力を使います」
矢浦「問題はない、体力も」
ラヤドケ「最悪、死にますよ?」
矢浦「ならば、試してみれば良い、小生を」
ラヤドケ「は?」
矢浦「小生が死んでも、其方達にはないだろう、不利益が」
ラヤドケ「……何故そこまでして? 貴方にとってはメリットがないでしょう?」
矢浦「この状況、一言で現すなら……興味」

○同・岩の中
   体を寄せ合うタノクとダラ。
タノク「大丈夫か?」
ダラ「うん」
タノク「まぁ、じきに助けが来んだろ。それまでの辛抱だ」
ダラ「……結局ウチは、待っとる事しかでけへんのやな」
タノク「ん? 何だよ、いきなり?」
ダラ「イリウスは『クグノワ事件』の事、どこまで聞いとるん?」
タノク「『クグノワ事件』って、アレだろ? 俺が記憶を失くした時の事だろ?」
ダラ「せや。それまで百人近く居った団員がほぼ全滅。帰ってきたのは足を負傷したリオトさんと、記憶を失くしたイリウスだけ」
タノク「その原因が……」
ダラ「怪獣・クグノワ」

○(回想)ツエーツ号・共同スペース
   轟音が響き、窓を見るダラ、テシ、ナサマチ。ナサマチはシェフの服装、ダラとテシは私服姿。
   T「惑星ペユワー」
ダラの声「あの頃のウチは、まだ見習いやったから、船に待機」
   窓の向こう、体長五〇メートル程の怪獣・クグノワ(ここではシルエットしかわからない)が暴れている。
ダラの声「せやから、どんなに怪獣が暴れとっても……」

○惑星ラロキ・岩の中
   体を寄せ合うタノクとダラ。
ダラ「ウチは待ってる事しかでけへんかった」
   拳を握り締めるダラ。
ダラ「結局今も、あの頃と何も変わらへん。いや、あの頃の方がまだマシや。今回はイリウスまで巻き込んでもうて……」
   ダラの肩に手を置くタノク。
タノク「気にすんな。ダラ一人のせいじゃねぇ」
ダラ「せやけど、皆に迷惑を……」
タノク「いいじゃねぇかよ。そん時は、そん時だ。今度、誰かに迷惑かけられた時に、返せばいいんじゃねぇの?」
ダラ「そないな割り切り方……」
タノク「それに、そもそも迷惑だとも思ってねぇかもよ? 迷惑だと思ってたら、こんな所まで必死こいて助けに来ねぇって」
ダラ「え?」
   岩が粒子状の光を発し、隣の岩に吸収されて行く。
   その先、ナサマチとテシが居る。
テシ「あ、居た~!」
ダラ「ケルナー、オトン……」

○同・採掘場
   岩の隙間から出てくるタノクとダラ。ダラに抱きつくナサマチ。
ナサマチ「お~、ダラ~!」
ダラ「あ~、もう、暑苦しいわ、オトン」
テシ「イリウス君も居るよ?」
ナサマチ「そうやったな。イリウス~(と言って抱きつこうとする)」
タノク「俺はいいっての。それにしても……」
   見上げる四人。黒いスーツに黒いハット、黒いネクタイ姿の黒い巨人・影矢浦がベーサーと戦っている。荒っぽい影タノクと違い、スマートな戦い方。
タノク「これ、どういう状況なん?」
ダラ「あれって、確かこの前の……?」
テシ「そう、矢浦さん」
ナサマチ「協力してくれたんや」
影矢浦「(タノクとダラに気付き)終わったようだな、救助は。あとは其方達でやるといい、カーツ惑星調査団の諸君」
   サーゼボックスの脇に立つラヤドケに目で合図を送る影矢浦。
   スイッチを切るラヤドケ。影矢浦が消えて行く。
   サーゼボックスから出てくる矢浦、その前に立つラヤドケ。
ラヤドケ「貴方、何者ですか?」
矢浦「申しただろう、先ほど。小生、名を矢浦という者」
   そこにやってくるタノクとダラ、ナサマチ、テシ。
ナサマチ「矢浦はん、二人とも無事でしたわ。ほんま、何とお礼を申し上げたら……」
矢浦「何より」
ナサマチ「この二人も紹介はまだでしたな。コッチはナサマチ・F・ダラ。ワイの娘や」
ダラ「ダラです」
ナサマチ「で、コッチが……」
タノク「タノク・M・イリウスだ。もし良ければ、このまま怪獣狩り、このまま続けてくれてもいいんだぜ?」
矢浦「さすがにさせてもらおう、遠慮を。今の小生の状況、一言で現すなら……疲弊」
タノク「そうなんだよ。マジで疲れんだよな、コレ。やっとわかってくれた人が……」
ダラ「ほら、イリウス。無駄話せんと、さっさと準備しぃ」
タノク「ちぇっ。……まぁ、仕方ねぇ。あの野郎には殺されかかったしな」
   サーゼボックスの中に入るタノク。
ダラ「サイズ七。サーゼシステム、起動!」
   伸びて行くタノクの影、影タノクの出現。
影タノク「さて、たっぷりと礼はさせてもらうぜ。どっちが勝っても、恨みっこ無しだ」
   荒っぽい戦い方だが優勢に進める影タノク。いつもより動きが軽快。
影タノク「いいな、このサイズ。動きやすい」
ダラ「コラ、無駄口叩くんやない。また岩ん中閉じ込められるで?」
影タノク「ハハ、やっぱダラはそうじゃねぇとな。よし、寄越せ」
ダラ「ミニサーゼシステム、起動」
   出現した剣を手に取る影タノク。さらに優勢に進める。
影タノク「……そろそろ頃合いだな。くらえ!」
   剣を地面に突き刺し、土煙を起こす。そしてその土煙の中に飛び込んで行く影タノク。
ダラ「?」
   土煙の中、ベーサーのすぐ近くまで行く影タノク。剣を使い、傷口の部分の皮膚のみ切り取る。
影タノク「(切り取った皮膚部分を見せ)コレで勘弁してやっから。消えな」
   不思議そうにするベーサー。
影タノク「だから、コレでお前を狩った事にしてやっから。本当に狩られちまう事はねぇ。お前はこのまま逃げろ。今ならこの土煙で誤摩化せっから。ほら、急げ」
   頭を下げ、姿を消すベーサー。
   それを見て、崖を剣で斬りつける影タノク。
影タノク「シャドーストライク!」
   爆音とともに崩れる崖。
   土煙が晴れ、影タノクのみが立っている。
ナサマチ「イリウス、終わったんか?」
影タノク「あぁ」
   切り取った皮膚部分をナサマチ達に投げて寄越す影タノク。
ナサマチ「おぉ、コレで王様も喜ぶで」
   その様子を離れた場所から見ている矢浦。

○同・王宮・外観

○同・同・応接間
   皮膚部分を手に取りご満悦な王様。
ナサマチの声「無事にエネルギーは補給できたとして……」

○同・採掘場
   ツエーツ号の前に立つタノク、ダラ、テシ、ナサマチ、ラヤドケ、矢浦。
ナサマチ「二度も助けられてもうたな、矢浦はん」
矢浦「不要だ、遠慮は。それにしても、なかなか興味深いシステムであった。サーゼとやら」
ラヤドケ「お褒めに預かり、光栄です」
タノク「なぁ。良かったら、俺達の仲間になんねぇか?」
ラヤドケ「勝手に決めないで下さい、タノクさん」
タノク「いいじゃん、部屋は余ってんだし。戦力は多い方が良くねぇ?」
矢浦「至極光栄な話だが、小生にもあるのだ、小生の船」
タノク「そっか、そりゃ残念」
ナサマチ「ほな、代わりに何かお礼をせぇへんとな。せや、他の惑星で手に入った珍しい宝石がありましてな。この星では使えんかったけど、他の星ではエネルギーと交換できたりするから、持って行きなはれ」
矢浦「では一つ、とびきりの宝石を」
   ダラの肩に手を置く矢浦。
矢浦「小生が頂きたいのは、其方の娘」
ナサマチ「へ?」
ラヤドケ「ん?」
テシ「え?」
タノク「(吹き出す)」
ダラ「はぁぁぁあああ!?」       
             (♯4へ続く)

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