マッチが恋に火を点ける コメディ

報われない理系大学生と陽気な女神さまの20枚ドタバタコメディ
本山武文 7 0 0 07/23
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第一稿

◇人物
 佐藤聡(19):理学部の大学生
 アフロ(18):アフロディーテ
 有坂亜里沙(18):佐藤の元カノ
 ヤンキーA(19)
 ヤンキーB(20)
 ヤンキーC ...続きを読む
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◇人物
 佐藤聡(19):理学部の大学生
 アフロ(18):アフロディーテ
 有坂亜里沙(18):佐藤の元カノ
 ヤンキーA(19)
 ヤンキーB(20)
 ヤンキーC(18)
 やんきーD (19)

◇シナリオ
〇佐藤家・佐藤の部屋(朝)
   壁際で浴衣姿の佐藤聡(19)が蹲り泣いている。床には『隅田川花火大会』とかかれたチラシとお面やうちわが落ちている。
佐藤「シジミになって海の水質改善に貢献したい…」
アフロの声「なーに意味わかんないこといってんですか」
   佐藤、反応し虚ろな目で周りを見回す。と、突如部屋の中央が光りだす。部屋の中央に光る扉が出現し、女神の格好をしたアフロ(18)が出てくる。
アフロ「私は愛と美の女神アフロディーテ。アフロちゃんとお呼びくださいましっ!」
   アフロ、可愛くキメポーズ。佐藤、虚ろな目で見ている。
アフロ「あなたは昨日の花火大会で、彼女である有坂亜里沙さんの『ねぇ、聡くんって、ファーストキスは、まだ?』というなけなしの勇気を振り絞っていったであろう言葉をさらっと流し、亜里沙さんに炎色反応の原理を電子軌道のエネルギー準位のところから順に説明し始めてしまい、愛想をつかされて振られてしまった残念な理系大学生、佐藤聡さんで間違いありませんか?」
   佐藤、呆然とするが、突然、滂沱のごとく涙を流し始める。
佐藤「だって花火大会だぜ…?そりゃ説明したくなるだろ…。理系なら…」
   アフロ、面倒くさそうに佐藤を見る。
アフロ「うわー…」
   佐藤、ゆらりと立ち上がり、ベッドに突っ伏してまた啜り泣き始める。アフロ、にっこりし、語り始める。
アフロ「そんなあなたにこのマッチ!」
   アフロ、金色のマッチ箱を差し出す。
佐藤「ぴかってる…」
アフロ「実は私、このマッチをつかってとあるサービスをしていましてね」
佐藤「…サービス」
アフロ「はい!まぁ火をつけてみてください」
   佐藤、火をつけると、指から赤い糸が窓の外に向かって出ているのが見える。
アフロ「この赤い糸は、あなたの運命の相手に繋がっているのです」
   アフロ、マッチを吹き消す。
佐藤「マジで…?」
アフロ「マジで。ただし、その相手が何処のどなたかは会ってみるまでわからないことと、効果は一本につき十分しかないことに注意して…」
   佐藤、最後まで聞かず、マッチ箱を掴み、窓から飛び降りる。
アフロ「…って!ちょっと待ってくださいよぉ!」
   
〇上空(朝)
   アフロ、空を飛びながら佐藤を探す。
アフロ「どこいっちゃったんでしょう、聡さん…」
   アフロ、山の頂上に聡を発見する。
アフロ「いた…!」
   アフロ、そちらの方向へ向かうと、後ろからヘリの飛ぶ音がしてくる。
アフロ「…は?」
   ラダーを出したヘリが突っ込んできて、アフロ、ギリギリ避ける。
アフロ「うわっ!…あっぶないですねまったく!」
   ヘリ、佐藤のところまで飛んでいき、佐藤、ラダーに掴まる。
アフロ「…はぁ?」
   
〇ヘリの中(朝)
   佐藤、真剣な顔で前を見ている。アフロ、乗り込んでくる。
アフロ「まったく、なにしてんですか聡さん」
   佐藤、操縦士に声をかける。
佐藤「北北西に」
   佐藤、マッチに火をつけ、タバコのように口にくわえる。
佐藤「チャンスってのはな、全力で掴まなきゃならねぇんだよ」
アフロ「なぜだか心に響かないっすね」
   アフロ、大きくため息をつく。佐藤、何かに気付く。
佐藤「この方向は…!」
   
〇東工大・本堂屋上
   ヘリ、降り立ち佐藤とアフロが出てくる。佐藤、糸を目で追う。
佐藤「…図書館の方だ!」
アフロ「ここは?」
佐藤「オレの通ってる大学!」
   佐藤、アフロ、走り出す。
   
〇東工大・ウッドデッキ
   走る佐藤とアフロ。佐藤、マッチを取り出し火をつける。糸が前方に見える図書館に続いている。
佐藤「ラスト一本だ!」
アフロ「急ぎましょう!」
   突然、佐藤、足を止める。
アフロ「どうしたんですか!」
   遠くの校門のところで有坂亜里沙(18)がヤンキーに絡まれている。
佐藤「亜里沙!」
アフロ「えーと、あれは、あなたの元カノ!」
   佐藤、マッチと亜里沙を見比べる。亜里沙、ヤンキーに腕を掴まれる。佐藤、歯を食いしばる。
佐藤「ごめん、アフロちゃん…」
   佐藤マッチ箱を放り出しかけだす。
アフロ「佐藤さん!」
   
〇東工大・校門
   佐藤、ヤンキーと亜里沙の間に立ちふさがる。
ヤンキーA「なんだてめぇは!」
   佐藤、キメポーズ(逆光)。
佐藤「オレに近づくと、火傷するぜ」
ヤンキーA「はぁ…?」
ヤンキーB「おい、なんか煙が…」
   ヤンキーA、下を向くと、ズボンから煙が出ている。
ヤンキーA「あぁぁぁ俺のジーンズがぁぁ!」
ヤンキーB「てめぇ、なにしやがった!」
   ヤンキーたち、次々に声を上げる。
ヤンキーC「俺のも!」
ヤンキーD「あちぃぃ!!」
   佐藤、逆光の中、両手を見せる。指の隙間に虫眼鏡のレンズが挟まっている。
佐藤「ムシ、メガネ」
   ヤンキーたち、次々に焼かれていく。
佐藤「焦点距離は5mから50cmまで完全網羅!オレに焼かれたくない奴はさっさと失せな!」
ヤンキーA「くそぉ!」
ヤンキーB「おぼえてろよぉ!」
   ヤンキーたち、去っていく。
佐藤「ふぅ、やれやれだぜ。おい、亜里沙…」
   佐藤、後ろを振り返る。が、誰もおらず。地面に置手紙が残されており、そこには、『ごめんなさい。キモいです』と書かれている。佐藤、絶句する。
   アフロが寄ってきて、肩に手を置く。
アフロ「お礼も言わないで行っちゃうような人なんて、止めときましょうよ」
   佐藤、悔し涙を流し、小さく頷く。
アフロ「ポケットに一本入ってました。使ってください。あなたは幸せになるべきです。」
   アフロ、マッチを一本佐藤に差し出す。
   
〇東工大・図書館全景
   
〇東工大・図書館
   佐藤、赤い糸が本棚の間に延びているのを見て、唾をごくりと飲み、呟く。
佐藤「あの後ろに、オレの生涯の伴侶が…」
アフロ「ええ。ゼアイズユアオヨメサンです」
   佐藤とアフロ、そろりそろりとちかづいていき、覗くと、誰もいない。アフロ、狼狽する。
アフロ「あれ、こんなはずは…。どうして…」
   二人、近づくと、赤い糸が『数論入門』という本に絡まっている。佐藤、呆然とするが、その後、笑いだす。
佐藤「あははははっ!」
アフロ「え、ええっ?」
佐藤「はー。なるほどね。アフロちゃん、数論って、なんて呼ばれてるか知ってるか?」
アフロ「(怪訝そうに)いえ…」
   佐藤、晴れやかな顔で答える。
佐藤「数学の女王、さ」
   アフロ、ぽかんとするが、くすくす笑いを始める。
アフロ「ほんっと、報われませんね」
佐藤「いや、こういうのも悪くない。数学の女王様の寵愛を受けられるなんて、理系男子には至上の幸福さ」
   アフロ、佐藤、笑いあう。
   
〇図書館
   佐藤、アフロ、隣り合って座って居る。
佐藤「ところで、なんでマッチなんだ?」
アフロ「はい?」
佐藤「いや、なんつーか、わざわざマッチでやる必然性がないだろ、これ」
アフロ「あぁ、それはですね」
   アフロ、ニヤリと笑う。
アフロ「このサービスは、対象者を運命の赤い糸で結ばれた相手のところまで導き、二人の恋に火をつける、つまり…」
佐藤「つまり…?」
   アフロ、満面の笑みを浮かべる。
アフロ「マッチングってことです!」
佐藤「だじゃれかよ!」

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